経営労務情報 令和5年(2023年)6月

お知らせ◆7月は4月から6月に支払う給与の届出月です
この届出で今年10月払いの給与から1年間の社会保険料が決まります。3ヶ月の平均給与月額が、残業手当などの増加で高くなると社会保険料も増えますので注意が必要です。
◆7月は「労働保険料」の納付月です
現金納付の第1期納付期限は7月10日です。
口座振替の第1期振替日は9月6日です。
◆夏期賞与を支払った際はお知らせ下さい
賞与からも忘れずに社会保険料を引いてください。個人ごとの賞与額を報告しますので 支払い後にお知らせください。
◆梅雨の間も暑さが心配されます
梅雨の季節でも外作業や工場内での「熱中症」にはくれぐれもご注意ください。気温が高くなくても湿度が高いと熱中症のリスクが高くなります。本格的な夏の前に様々な熱中症の対策をご検討ください。
◆最低賃金が今年も10月から上がりそうです
昨年は過去最大の増額となりました。今年も確実に上がる情勢です。パートさんを多く抱える事業所様は、社員の給与とのバランスを考えながら対応策をご検討ください。

令和6年4月より「労働条件明示」ルールの改正◆労働条件明示事項が追加されました
労働基準法施行規則等の改正により、令和6年4月から労働条件明示のルールが変わります。 
具体的には、労働契約の「締結及び更新」の際の労働条件明示事項が新しく追加されます。
追加される①~④の事項は以下のとおりです。
1) 全ての労働契約の締結と有期労働契約の更新の際
→ ①:就業場所・業務の変更の範囲
2) 有期労働契約の締結と更新の際
→ ②:更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容。
※最初の締結後に更新上限を新設・短縮する場合は理由の説明が必須。
3) 無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約の更新の際
→ ③:無期転換申込の機会を与える。
  ④:無期転換後の労働条件の明示。
※無期転換後の労働条件を決める際、実態に応じて正社員等とのバランスを考慮し説明する努力義務が加わりました。
◆「労働条件通知書」を見直しましょう
上記1)は、すべての労働契約の締結と有期労働契約の更新ごとに、「雇入れ直後」の就業場所・業務の内容に加え、「変更の範囲」についても明示が必要になります。有期契約労働についても、上記2)3)に基づき、会社の方針をしっかりと説明する必要があります。
改正に適応した「労働条件通知書」となるよう修正が必要となります。

人手不足でない企業はなにをしているのか総務省の統計では、2022年12月現在で、日本の15~64歳人口は前年同月比0.28%減、人数にすると20万8,000人も減少しました。
また、これから働く年齢の15歳未満の人口は同29万3,000人も減少しています。
総人口の推移では、2019年以降加速度的に減少し、2023年5月現在の概算では、総人口は前年同月比57万人減となりました。
◆人手が不足していない企業がしていること
新型コロナ5類移行を受け、多くの企業で人手不足感が高まるなか、不足していないという企業もあります。帝国データバンクのアンケート調査の結果では「人手が不足していない会社の要因(複数回答)」としては、主に次の項目をあげていました。
(1) 賃金や賞与の引上げ   (51.7%)
(2) 働きやすい職場環境づくり(35.0%)
(3) 定年延長やシニアの再雇用(31.2%)
(4) 福利厚生の充実     (26.6%)
(5) 公平で公正な人事評価  (22.0%)
上記(2)の「働きやすい職場環境づくり」とは清潔な環境や休憩スペース、社内相談窓口の設置などがあげられています。また(4)と(5)は、従業員が自身の成長を感じられ安心できる職場になっている状況を意味しています。
◆賃上げの必要性
物価の高騰を受け実質賃金が低下するなか、賃金や賞与の引上げに取り組めない(あるいは取り組む姿勢を見せていない)では、従業員満足度や安心感が低下して優秀な人材が流出し、企業の競争力低下から新規採用が厳しく、運よく採用しても人を育てる余裕もないため早期離職を招くという傾向が見られます。会社を支える一番の力は、信頼できる「人」の力です。会社を信頼してくれる従業員が1人でも多く育つよう、会社は自らの進む先を示しつつ率先して変える努力が求められそうです。

2025年卒業予定の学生のキャリア形成志向◆概要
スカウト型就職サイトを運営する、株式会社 学情は、2025年卒業予定者の学生を対象に「キャリア形成」について以下3点のアンケート調査を実施しました。
(1) キャリア形成の志向
(2)「ジョブ型」採用への興味の有無
(3)「ジョブ型」インターンシップの興味の有無
(1) キャリア形成の志向について
「自身で主体的に選択したい」(29.8%)と「どちらかと言えば自身で主体的に選択したい」(34.4%)の合計が65%以上となり、自主的にキャリア形成を考えたい傾向を示しました。企業に依存する学生は15.6%に留まりました。
(2) 「ジョブ型」採用への興味の有無について
「興味がある」(44.6%)と「どちらかと言えば興味がある」(36.8%)の合計が81.4%となり、学生が「ジョブ型」採用に興味があると回答しました。前年同時期(2024年卒対象)の回答は67.7%で、昨年よりも「ジョブ型」採用に興味がある学生が増加していることがわかりました。
(3) 「ジョブ型」のインターンシップへの興味の有無について
「参加したい」(40.9%)と「どちらかと言えば参加したい」(37.9%)の合計78.8%となり「ジョブ型」のインターンシップに興味があると回答していました。
本格的な採用シーズンを迎え、自立的なキャリア形成を望む学生が増えていることを念頭に採用準備が必要になりそうです。

「2023年度 新入社員の意識」~東京商工会議所~東京商工会議所が2023年卒の新入社員1,050人を対象に、WEB上で社会人生活や仕事に対する意識調査を実施しました。
◆就職先の会社を決める際に重視したこと
「社風、職場の雰囲気」が60.0%で、半数以上が職場の雰囲気に重きを置いています。
その他、「処遇面(初任給、賃金、賞与、手当など)」(51.5%)、「福利厚生」(41.6%)、「働き方改革、ワーク・ライフ・バランス(年休取得状況、時間外労働の状況など)」(40.3%)が上位でした。
◆就職先の会社が、内定から入社までの間に 実施したフォローの取組み
「採用担当者からの定期的な連絡」(43.2%)、「会社見学会」(29.0%)、「内定式・内々定式」(27.6%)が上位でした。内定から入社まで期間があるため不安を持たせない対策です。
◆社会人生活で不安に感じること
「仕事と私生活とのバランスが取れるか」(42.0%)、「上司・先輩・同僚とうまくやっていけるか」(40.7%)、「仕事が自分に合っているか」(40.0%)が上位を占めていました。
9割強の新入社員は、社会人生活に何らかの不安を感じている結果が現れました。

「残業」は転職先選びに影響する~重要事項~エン・ジャパン㈱は、令和5年5月8日、「社会人1万人の「残業」実態調査~『エン転職』ユーザーアンケート」を公表しました。
運営する総合求人サイト『エン転職』上でユーザーを対象にアンケートを実施し1万2,940名が回答(調査期間は令和5年2月22日~3月28日)。
◆「残業の有無や平均残業時間」が転職先選びに影響していると回答したのは84%
「転職活動をする上で、残業の有無や平均 残業時間等は企業選びにどの程度影響しますか?」の質問に対し、「とても影響する」が最多で49%、「少し影響する」は35%で、合わせて84%が「影響する」と回答しました。
年代別で見ると、20代、30代は半数以上が「とても影響する」(20代:55%、30代:56%)と回答し、「少し影響する」と合わせると、20代は89%、30代は88%に上ります。
また男女別では、「とても影響する」と回答した男性が44%に対し、女性は54%と10ポイントの差があり、男性より女性のほうが、企業選びで残業時間を重要視していました。
◆残業時間が「増加傾向」は26%、「減少傾向」は24%。半数は「変わらない」
「ここ数年であなたの残業時間は増加傾向ですか?減少傾向ですか?」の質問には、 「変わらない」が50%と半数を占め「増加傾向」は26%、「減少傾向」は24%でほぼ同率でした。
業種別で残業時間が増加傾向だったのは、「コンサルティング・士業」が最多で36%、一方、減少傾向は「メーカー(機械・電気・電子など)」が最多で32%でした。
◆残業時間の増加理由は「人手不足」、減少理由は「企業の残業制限」
残業が増加傾向と回答したその理由を聞くと、「人員が足りないため」が最多で75%、次いで「仕事量が増えてきたため」が67%と続きます。一方、残業時間が「減少傾向」と回答した理由は、「残業が制限されたため」が最多で42%でした。
◆残業代の割増制度を知っている人は4割弱
中小企業で働く人の「月60時間を超える残業代の割増率が50%に引き上げられた」ことを「知っている」は39%(内容も含めてよく知っている9%、概要だけ知っている30%)と全体の4割弱に留まりました。
引上げについて「とても良いと思う」(47%)と「良いと思う」(33%)を合わせた80%の人が好感を示しました。一方で引上げが「良くないと思う」(とても良くないと思う1%、良くないと思う8%)という声は1割弱でした。

「技能実習制度を廃止すべき」との中間報告書が示された◆技能実習制度・特定技能制度のあり方を検討
令和4年12月からの有識者会議の中間報告書がまとめられ、「技能実習制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討すべきである」と示されました。
◆新たな制度はどんな制度?
基本的な考え方は、(1)制度目的と実態を踏まえた制度の在り方(技能実習)、(2)外国人が成長しつつ中長期に活躍できる制度(キャリアパス)の構築、(3)受入れ見込数の設定等のあり方、(4)転籍のあり方(技能実習)、(5)管理監督や支援体制のあり方、(6)外国人の日本語能力向上に向けた取組みの6項目がでました。
◆具体的にどう変わる?
上記6項目のうち、例えば(2)は「外国人がキャリアアップしつつ我が国で修得した技能等をさらにいかすことができる制度とする」、また(4)は「人材育成に由来する転籍制限は、限定的に残しつつも、制度目的に人材確保を位置づけることから、制度趣旨と外国人の保護の観点から緩和する」とされました。
◆管理監督や支援体制のあり方等も議論の対象
監理団体や登録支援機関の要件厳格化や 悪質な送出機関の排除等に向けた取組み強化のほか、来日前外国人の日本語能力向上(コスト負担の在り方)等も議論の対象となりました。

スポット情報●特定技能2号が11分野に拡大-閣議決定-(6/9)
政府は9日、在留資格「特定技能2号」の対象を現在の2分野から11分野へ拡大する方針を閣議決定した。新たにビルクリーニング、自動車整備、農業、外食業など9分野を追加する。
今後、法務省令改正により対象を追加、今秋にも9分野の試験を開始して合格者は来年5月以降、在留資格変更が認められる見通し。
●12月から白ナンバーの飲酒検査義務化(6/9)
警察庁は8日、白ナンバーの車を使う事業者に対するアルコール検知器を使用したドライバーの飲酒検査について、12月1日から義務化する方針を示した。2022年10月に義務化予定だったが、世界的な半導体不足の影響で検知器の供給が遅れ延期していた。白ナンバー5台以上か、定員11名以上の車を1台以上使用する事業者が対象。
●正職員の手当削減を「合法」と判断(6/5)
正職員の待遇を引き下げて非正規職員との格差を解消する手法について、就業規則変更の合理性を認める判決が、5月24日、山口地裁であった。正職員だけに支給していた手当を全職員対象の手当に改めたことについて、パート・有期法の趣旨に添うとし、経営が右肩下がりで人件費抑制を意識しながら手当の組替えを検討する必要があったとして、正職員の手当削減を肯定。職員全体の不利益は小さいとして、原告従業員の請求を退けた。パート・有期法の趣旨を意識しながら労働契約法10条の不利益変更の合理性に踏み込んだほかにない判決となった。
●物流2024年問題、政策パッケージ公表(6/3)
トラックドライバーへの時間外労働の上限規制適用等により輸送能力が不足する「2024年問題」について、政府は2日「物流革新に向けた政策パッケージ」を示した。荷主と物流事業者に対して、荷待ち・荷卸しなどの作業時間削減といった商慣行の見直しを求め、悪質な事業者には法的措置をとれるようにする方針。24年通常国会への関連法案提出を目指す。物流の効率化や消費者の行動変容も求める。
●荷待ち時間の削減、荷主の義務に(6/2)
運送業における荷待ち時間について、政府は、荷主企業への規制を強化し、削減に取り組むよう義務付ける。一定以上の物流量を抱える荷主企業には、トラック運転手の負担軽減に向けた計画策定を義務付け、国への定期報告も要請するほか、物流に関する管理責任者の任命も求める。関連法の改正案を2024年の通常国会に提出する。
●2028年度までに雇用保険対象者拡大(5/26)
政府は、週所定労働時間20時間未満で働く人も失業給付や育児休業給付等を受け取れるよう、6月に閣議決定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」に、2028年度までの雇用保険の対象者の拡大を盛り込む見通し。
まずは雇用保険法を改正し、細かい条件は 労働政策審議会にて議論のうえ、周知と準備の期間をかけて進める。

経営労務情報 令和5年(2023年)3月

お知らせ◆健康保険料・介護保険料が変更されます。
3月より「協会けんぽ」の保険料が変更されます。ただし各保険料は「4月に支払う給与」 から変更をお願いいたします。
お客様へは個人別の「保険料表」を後日お知らせいたします。
※ 新保険料率 (以下は本人負担率です)
     健康保険 = 5.005 %
     介護保険 = 0.91  %
健康保険+介護保険 = 5.915 %
◆雇用調整助成金(特例期間)の終了について
コロナ感染の「雇用調整助成金」の特例期間は3月末で終了します。4月からは通常の「雇用調整助成金」に戻ります。
◆4月から6月に支払う給与にご注意を
4月から6月に支払う給与総額の「平均額」により、今年10月から1年間の社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)が決まります。
残業など手当の増額で月額給与が増えると、結果として社会保険料が増えてしまいます。
◆3月、4月は入社・異動が増加
この時期は入社や異動の申請が多く、新しい「保険証」の発行が遅れます。早めの連絡をお願いいたします。
◆最近の監督署による「事業所調査」について
海外からの技能実習生などの入国がコロナ感染前に戻りつつありますが、海外実習生などを採用している事業所は、労働基準監督署の調査対象になっています。
私どもも調査対応をしてきましたが、「雇用契約書」「出勤・残業管理簿」の有無、残業手当を含め「正しい給与計算」がされているかなどを監理団体とも確認し整備をお願いいたします。

「雇用保険料率」が上がります雇用保険料率が4月の給与分から、従業員負担率も、事業主負担率も、0.1%分づつ加算されます。
◆従業員の負担率は以下となります。
建設業以外の事業は、0.5% → 0.6%
建設業の事業は、0.6% → 0.7%
給与計算時には給与プログラムの変更などもご対応ください。
◆変更対象月の具体例は、以下のとおりです。
15日締/当月25日払 → 4月25日払より
20日締/当月 末日払 → 4月 末日払より
25日締/翌月 5日払 → 5月 5日払より
末 日締/翌月10日払 → 5月10日払より
末 日締/翌月 末日払 → 5月 末日払より
末 日締/翌々月末日払 → 6月 末日払より

いわゆる「多様な正社員」の現状無期転換ルールによって、無期雇用となった社員の受け皿として期待される「勤務地限定正社員」や「職務限定正社員」「労働時間限定正社員」などのいわゆる「多様な正社員」について、労働政策研究・研修機構が、企業側、労働者側それぞれの調査を行った結果(2021年実施)が公表されました。
企業側調査は、従業員30人以上の全国の民間企業などが5,700社、労働者側調査は20歳以上の正社員、契約社員、嘱託、パート・アルバイト、派遣社員の2万人が回答しました。
◆多様な正社員がいる企業は18.3%でした。
◆多様な正社員の採用方法は「中途・通年採用」の割合が最も高く、「有期契約労働者からの転換」や「無期転換社員からの転換」による企業の割合も約2割でした(複数回答)
◆トラブルの事例
「限定された労働条件」の変更について、「限定内容の違反行為」や「限定区分の変更」に関するトラブルが発生しています。
企業側からの「区分変更申入れ」を労働者が拒否、労働者からは「会社都合で限定内容が変更された」事例が最も高くなっています。
限定内容の説明不足や、限定内容の規定がない企業でトラブルが多発してます。
無期転換については、労働条件の明示が重要になります。

賃上げ実態に関する調査結果厚生労働省は令和4年「賃金引上げ等の実態に関する調査」を公表しました。これは、全国の民間企業の、賃金の改定額、改定率、改定方法などの調査を目的に、例年7月から8月に実施されています。調査対象は、常用労働者100人以上を雇用する民営企業で、令和4年は3,646社を抽出し、2,020社から有効回答を得ています。
◆賃金を引き上げる企業が85.7%
令和4年中の賃金改定の実施状況では、1人平均賃金(注)を引き上げた、または引き上げる企業の割合は85.7%(前年80.7%)となり3年ぶりの増加でした。
産業別では「学術研究、専門・技術サービス業」が95.7%、次いで「建設業」が95.4%と高く、また賃金の改定状況では1人平均賃金の改定額は5,534円(前年4,694円)、1人平均賃金の改定率は1.9%(同1.6%)でした。
※ (注) 「1人平均賃金」とは、所定内賃金(諸手当等は含み、時間外・休日手当や深夜手当等の割増手当、慶弔手当等の特別手当は含まない)の1か月1人当たりの平均額です。
◆業績を踏まえつつ労働力の確保を
賃金改定の決定時に重視した要素は、⑴「会社の業績」(40%)、次いで ⑵「労働力の確保・定着」(11.9%)でした。
業界内や他企業の動向も踏まえつつ、自社の戦略を立てていくことが必要となりそうです。

「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果◆「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」
令和3年4月から65歳までの「高齢者雇用確保措置」が義務づけられ、また70歳までを対象に「定年制の廃止」、「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」の他に、「業務委託契約を締結する制度の導入」、「社会貢献事業に従事できる制度の導入」(創業支援等措置)など、雇用によらない措置(高年齢者就業確保措置)が努力義務となっています。
◆70 歳までの実施済企業は中小企業が3割弱
厚生労働省の令和4年6月1日現在の「高年齢者雇用状況等報告」では、70 歳までの措置の実施済企業は65,782社(27.9%)、前年比2.3 ポイント増でした。企業規模別では、中小企業は 28.5%、同2.3 ポイント増、大企業は20.4%、同2.6ポイント増でした。
◆継続雇用制度の導入が最多
実施済みの企業の内訳では、 ⑴「継続雇用制度の導入」が51,426社(21.8%)、前年比2.1ポイント増で最も多く、次いで ⑵「定年制の廃止」9,248社(3.9%)、同0.1ポイント減、⑶「定年の引上げ」4,995社(2.1%)、同0.2ポイント増、 ⑷「創業支援等措置の導入」113社(0.1%)、同変動なし、の順でした。
創業支援等措置の導入などはまだこれからという状況です。今後は人手不足等の状況も踏まえた検討が必要になりそうです。

新卒者の内定状況と企業の採用活動の早期化◆大学生の就職内定率は約85%
令和4年12月1日現在の、令和5年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(厚生労働省と文部科学省の共同調査)が公表されました。
大学の就職内定率は84.4%(前年同期比1.4ポイント上昇)となりました。短期大学の就職内定率は69.4%(同6.6ポイント上昇)、高等専門学校・専修学校(専門課程)は、それぞれ96.6%(同5.4ポイント上昇)、69.8%(同0.4ポイント低下)となりました。
◆令和6年卒の採用活動も本格化
令和6年卒の採用活動も本格化しており、リクルートの「就職みらい研究所」が2024年(令和6年)卒業予定に対する「就職プロセル調査」では、今年2月1日時点の大学生(院生除く)の就職内定率は、すでに19.9%(前年同月比で+6.4ポイント)に上っています。
内定企業の業種別では、例年どおり「情報通信業」、「サービス業」、「小売業」と続きますが、他の業種の割合も増えてます。全体として採用の動きが早まっていることがわかります。
◆早期化する企業の採用活動
人手不足の現状で、早期に採用活動を開始する企業が多く、この傾向はますます強くなることが予想されます。また、いわゆる「就活ルール」など新卒一括採用という慣習も見直しが行われる状況の中、新しい採用活動の在り方についても検討が必要になっています。

外国人雇用の届出状況を発表~厚生労働省~厚生労働省は令和4年10月末現在の「外国人雇用についての届出状況」を公表しました。
この届出制度は、労働施策総合推進法に基づき、外国人労働者の雇用管理の改善や再就職支援などを目的として、すべての事業主に外国人の「雇入れ・離職」時に、「氏名、在留資格、在留期間など」を確認し、ハローワークへ届け出ることを義務づけています。
◆外国人労働者数は、182万2,725人で、過去最高を更新
外国人労働者数は、前年比で9万5,504人増加し、届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新しました。前年増加率は5.5%と前年の0.2%から5.3ポイント増加しています。
◆外国人雇用の事業所も過去最高の約30万に
外国人を雇用する事業所数は、29万8,790で、前年比1万3,710増加し、届出の義務化以降、こちらも過去最高を更新しています。
ただし前年増加率は4.8%と、前年の6.7%から1.9 ポイントの減少でした。
◆国籍別では、ベトナムが46万2,384人で最多
国籍別ではベトナムが最も多く、外国人労働者数全体の25.4%を占めています。
次いで中国38万5,848人(全体の21.2%)、フィリピン20万6,050人(全体の11.3%)の順となっています。
前年増加率が高い主な国は、インドネシアが前年比47.5%増で7万7,889人、次いでミャンマーが前年比37.7%増の4万7,498人、ネパールが前年比20.3%増の11万8,196人の順となっています。
◆在留資格別では、「技能実習」が前年比8,534人減
在留資格別では、⑴「専門的・技術的分野の在留資格」が47万9,949人で、前年比8万5,440人(21.7%)の増加、 ⑵「特定活動」が7万3,363人で、前年比7,435人(11.3%)増加、 ⑶「身分に基づく在留資格」が59万5,207人で、前年比1万4,879人(2.6%)増加しました。
一方で、「技能実習」は34万3,254人で、前年比8,534人(2.4%)減少し、「資格外活動」のうち「留学」は25万8,636人で、前年比8,958人(3.3%)減少しています。

スポット情報●高度外国人材の獲得に新制度導入(2/18)
政府は2月17日、高度外国人材を呼び込むための新制度の導入を決定した。在留資格「高度専門職」の取得要件を緩和して優遇措置を設け、資格要件を満たす経営者や研究者、技術者などは滞在1年で永住権の申請可能等とする。また、在留資格「特定活動」に「未来創造人材」を創設し、世界の上位大学を卒業後5年以内の外国人を対象に日本で最長2年間の就職活動等を認める。今年4月中の運用開始を目指す。
●「特定技能」前年比2.6倍増(2/18)
出入国在留管理庁は2月17日、在留資格「特定技能」で働く外国人が13万923人(昨年12月末時点)で、前年同期の約2.6倍に増えたと発表した。新型コロナウイルスによる出入国の水際対策緩和により増加した。
業種別では飲食料品製造業が最も多く4万2,505人で、国籍別ではベトナム人が7万7,137人で最多だった。
●「自己都合退職」の失業給付制限期間を短縮(2/16)
政府は15日、「新しい資本主義実現会議」で失業給付のあり方の見直しなどの議論を始めた。自己都合退職の場合の給付制限期間の必要性について「慎重に検討すべきではないか」とし、資料では住民税の減免措置の対象外となること等も会社都合退職の場合との違いとして挙げられている。
6月末までに策定する指針に盛り込むかを検討する。
●75歳以上の負担増、健康保険法などの改正案を国会に提出(2/10)
政府は2月10日、75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」の見直しや「出産育児一時金」の財源を後期高齢者にも新たに負担することを盛り込んだ改正案を国会に提出した。
現役世代の負担軽減のため、年金収入が153万円を超える後期高齢者の保険料を収入に応じて引き上げる。今年4月から50万円に増額する「出産育児一時金」の7%分を、後期高齢者医療制度が負担する仕組みとする。今国会での成立をめざす。
●2022年実質賃金 前年比0.9%減(2/7)
厚生労働省が2月7日に発表した2022年の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)で、物価の影響を考慮した実質賃金は前年比0.9%減と、2年ぶりのマイナスとなった。
賃金の実質水準を算出する指標となる物価が3.0%上昇して、名目賃金に当たる現金給与総額の2.1%増を上回り、賃金上昇が物価高に追いつかない状況を映した。
●昨年の求人倍率1.28倍、4年ぶり上昇(1/31)
厚生労働省が1月31日に発表した2022年平均の有効求人倍率は1.28倍と、前年を0.15ポイント上回った。
コロナ禍からの経済活動の再開に伴い求人が伸びた。総務省が同日発表した22年平均の完全失業率は2.6%と前年に比べて0.2ポイント低く、2018年以来4年ぶりの低下となった。
●出産育児一時金が8万円増額(1/28)
政府は27日、出産育児一時金を4月1日から8万円増額し、48万8,000円とする政令を閣議決定した。産科医療補償制度の掛金1万2,000円を含めた総額は50万円となる。総額の引上げは2009年10月以来で、過去最大の上げ幅となる。
●物流業「2024年問題」対応で法改正の方針(1/18)
物流業界で運転手不足が懸念される2024年問題(運転者の労働時間の改善)への対応策として、国交省は関連法を改正する方針を固めた。
納品回数や待機時間の削減に関する計画を荷主と物流事業者が協力して作成することを義務付ける。来年の通常国会への法案提出を目指すとしている。

経営労務情報 令和4年(2022年)12月

お知らせ◆賞与の社会保険料率にご注意ください。
以下は本人負担率です。
        厚生年金 = 9.15 %
 健康健康保険+介護保険 = 5.785 %
(健康保険4.965 %、介護保険0.82 %)
 ※雇用保険料率も変更されています。
(建設業=0.6%、建設業以外=0.5%)
◆感染の再拡大に注意しましょう。身近な方が感染されるケースも増えています。発熱時はすぐ受診して検査を受ける対応をお願いいたします。
◆インフエンザワクチンの接種も
今年も感染対策としてインフエンザのワクチン接種もご検討ください。
◆年末調整の注意点
今年も配偶者や扶養家族の収入確認など、もれがないようにお願いいたします。

中小事業も月60時間超えの残業割増率が50%以上に◆猶予措置の廃止
令和5年4月1日から、中小企業も月60時間を超える残業時間に対して割増賃金率を「5割以上の率」とする規定が適用されます。これにより残業時間が60時間を超えた場合は、今までの1.25ではなく1.5を乗じた残業手当の支給が必要になります。
平成22年4月1日施行の改正により、残業時間が月60時間を超えた場合は、5割以上の率で計算した割増賃金を支払うことになっていますが、中小事業では適用が猶予されていました。
◆代替休暇の規定も適用に
1ヶ月に60時間を超えて残業を行なった場合は、労使協定を結び、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の代わりに有給の代替休暇を与えることができます。
代替休暇は、代休や振替休暇とは違い、超過時間分を有給の代替えの休暇として振り替える制度です。代替休暇の計算方法や、代替休暇の単位(1日または半日)などについては注意が必要になります。
◆残業を減らす管理をしましょう
残業時間の上限規制や残業単価の計算方法が厳格になってきています。効率の悪い残業を減らすなど、時間外労働の問題点を改善する努力が求められています。

雇用調整助成金の特例措置が終了◆12月以降は通常制度による支給
雇用調整助成金の支給上限額引上げや助成率引上げ、提出書類の簡素化等の特例措置が、有効求人倍率の回復等を理由に終了し、令和4年12月以降、通常制度による請求となります。10月以降は1日あたり支給上限額は原則8,355円となっています。
◆特に業績が厳しい事業主の経過措置
ただし特に業績が厳しい事業主については、令和5年1月31日まで1日あたりの支給上限額を最大9,000円とする経過措置が設けられます。助成率も、令和3年1月8日以降解雇等を行っていない場合は10分の9(大企業は3分の2)となります。
◆令和5年2月以降は
原則どおりの扱いとなりますが、申請書類が簡素化されたりする等の措置は令和5年3月まで続きます。

募集しても人が採れない!中小企業の採用活動の現況◆企業の採用活動は活発化している
人手不足の中で企業の採用活動が活発化しています。(株)マイナビが実施した最近の「中途採用・転職活動の定点調査(2022年9月)」の結果でも、9月に中途採用活動を実施した企業は全体で39.8%、従業員規模別に見ると「51~300名」「301名以上」で約5割となり、ほぼすべての業種で採用活動実施率が前年同月比で増加しています。
◆人が採れない企業が2割
採用活動の活発化により、中小企業の新卒採用も厳しい状況となっています。日本商工会議所ならびに東京商工会議所が中小企業6,007社に実施した調査によれば、2021年度の新卒採用の状況について、募集した企業は51.0%で、そのうち「予定人数を採用できた」と回答した企業は45.6%にとどまり、約2割の企業が「募集したが、全く採用できなかった」(19.9%)と回答しています。
マイナビが2023年卒採用の内定状況と2024年卒採用の見通しなどをまとめた「2023年卒企業新卒内定状況調査」でも、24年卒採用は78.6%が実施する予定で、採用予定数を「増やす」とする企業も増加するとしています。今後も採用活動の激化は避けられません。
◆採用活動にも工夫が必要に
コロナによる影響でオンライン面接が普及するなど、採用を取り巻く状況も大きく変化しました。学生の採用活動における質問事項としてよく使われる「ガクチカ」(学生時代に力を入れたこと)なども、コロナ禍でエピソードが少なかった学生を困らせているという話も聞きます。これまでの手法が必ずしもマッチしない状況の中で人材を獲得するためには、自社の採用方法に工夫を凝らし、他社と差別化していく取組みが必要になってきそうです。

いま注目の「人的資本経営」◆盛り上がりをみせている「人的資本経営」
近年盛り上がりをみせている「人的資本」や「人的資本経営」ですが、今年の8月30日には内閣官房から「人的資本可視化指針」が公表されています。こは上場企業向けにガイドラインを示したもので、「人材版伊藤レポート(2020年9月)」、「人材版伊藤レポート2.0(2022年5月)」と併せて活用することが想定されています。
これらは非上場企業にとっても無視できない内容となっています。
◆企業の人的資本の活性度は約30~40%
経済産業省は、「人的資本経営」とは人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」としています。
(株)リクルートが企業で働く10,459人を対象に実施した人的資本経営をテーマとした調査によれば、①今の職場が最適な部署配置だと感じている人、自分の知識やスキル・経験を活かすようなジョブ・アサインメント(仕事の割り当て)を実感している人の割合は約30%、②現在の仕事に関する知識やスキル・経験を言語化できる人、現在の仕事のレベルを高めるために必要な知識やスキル・経験を理解している人の割合は約40%という結果でした。
この結果からみえる企業の現況は、「人材の価値を最大限に引き出す」という人的資本経営からはまだ隔たりがありそうです。
◆今後の動きにも要注目
大企業中心と考えられがちな「人的資本経営」ですが、中小企業でも人材獲得の面などから注目されています。8月には経済産業省および金融庁がオブザーバーとして参加する、人的資本経営の実践に関する先進事例の共有、企業間協力に向けた議論、効果的な情報開示の検討を行う「人的資本経営コンソーシアム」が設立され、様々な情報が出されることが予想されます。今後の動きも注視していきたいところです。

高齢者の体力は低下傾向!これから企業が対策を講ずべきこと◆65歳以上の高齢者の体力は低下傾向!
70歳までの雇用・就業機会の確保に向けた取組みを行うことが努力義務として企業に課せられているなか、気になるデータが公表されました。
高齢者の体力の低下傾向が顕著であることが、スポーツ庁の体力・運動能力調査(2021年度)で分かりました。特に、65~74歳の男性の体力は過去10年間で最低を記録。週1日以上の頻度で運動している人の割合も同区分では減少しており、専門家は、「高齢者に運動習慣が広がり体力向上につながっていた流れが、頭打ちとなってきた」と警戒しています。
◆労働災害が増加する心配も
高齢者の体力の低下は、労働災害の増加にもつながります。そもそも高年齢層の労働災害発生率は若年層に比べ相対的に高いのですが、これは身体機能や体力の低下といった高齢者特有の事情によるものと考えられます。働く高齢者が増えるなか、企業としては、従来の想定以上に高齢者の体力が落ちていることを念頭に、安全に働ける職場づくりが必要となりそうです
◆特に重要な課題は「転倒対策」
特に意識して対応策を講じたいのは「転倒災害」です。職場内の段差を極力なくす、通路を整頓して通行しやすくするといった対策を講じるとともに、厚労省作成の「転倒等リスク評価セルフチェック票」等を活用して身体機能の状態について知り、無理な動作をしないなどの心がけが必要です。
職種によっては、安全作業に必要な体力について定量的に測定する手法や評価基準について定め、高齢労働者の体力を把握することも必要になりそうです。

紹介状なしで大病院を外来受診する場合の患者負担が増加◆紹介状なしの大病院の外来受診が増加
本年10月から紹介状なしで大病院を受診する場合の患者負担が引上げられました。
これは、一部の病院への外来患者の集中を避けるため「特別の料金」が見直されたことによるもので、対象病院の拡大も行われています。
◆具体的な見直しの内容
「特別の料金」は、これまで医科の初診が5,000円以上、再診が2,500円以上でしたが、初診が7,000円以上、再診が3,000円以上へと引き上げられています。歯科でも、初診が3,000円以上、再診が1,500円以上から、初診が5,000円以上、再診が1,900円以上へと引き上げられています。対象病院は、これまでの特定機能病院、地域医療支援病院(一般病床200床以上)に、紹介受診重点医療機関(一般病床200床以上)が加えられています。

スポット情報●介護保険制度見直し、議論先送り(12/9)
厚労省は、2024年度の介護保険制度見直しについて年内の結論とりまとめを先送りする方針を固めた。社会保障審議会で5日に示された案はDX推進や人材確保にとどまりケアプランの有料化などの法改正を要する見直しは、2024年度からの実施を断念。65歳以上の高所得者の介護保険料負担引上げやサービス利用料2~3割負担の対象者拡大などは来年以降も検討を続ける。
●企業年金運用、企業にも責任(12/5)
金融庁は、企業年金の運用に企業も責任を負うよう法律で最善利益義務とよばれる規定を盛り込む方針。金融機関だけでなく企業を含め運用の受託者としての責任を明確にし、民事上や行政上の責任を負わせ、信託銀行などに運用を任せきりで運用戦略がないなどの問題への対処を促す。2023年の通常国会での改正を目指す。
●専門人材の就活前倒しを検討。2026年春入社の学生から対象に(12/1)
政府は、大学生の就職活動の日程ルールの見直しを発表した。来秋までに結論を出す。2026年春入社予定の大学1年生から、専門性の高い人材採用の前倒しや通年採用を容認する方向。
●パートと正社員の待遇差「見直ししていない」が36%(11/26)
厚労省が実施したパートタイマーや有期雇用労働者の待遇に関する調査結果によれば、正社員との「不合理な待遇差の禁止」の法制化を受け、「見直しを行った」とした企業は28.5%、「見直しは特にしていない」とした企業が36.0%だった。「見直した」との回答の内訳は、「基本給」が45.1%で最多、「扶養手当」(6.1%)や「退職金」(3.1%)は少なかった。
●「インフレ手当」19%の企業が支給を検討(11/17)
帝国データバンクが約1,250社から回答を得た調査結果で、物価高の中でインフレ手当を「支給した」企業は6.6%で、「予定・検討中」が19.8%あることがわかった。支給方法は「一時金」が66.6%、「月額手当」が36.2%。一時金の平均支給額は53,700円だった。
●パートの厚生年金加入
企業規模要件撤廃に向け検討へ(11/10)
政府は、短時間労働者の社会保険加入要件を緩和する検討に入る。既に2024年10月より現在の101人以上から51人以上まで従業員規模を引き下げるが、企業規模要件を撤廃する方向で検討を進める。また労働時間が週20時間未満の労働者や、5人以上を雇用する個人事業所の適用業種追加、5人未満の個人事業所への拡大なども検討。
●実質賃金が6カ月連続で減少(11/8)
厚労省の毎月勤労統計調査では、9月の実質賃金が前年同月比1.3%減となり、6カ月連続でマイナスとなった。7~9月では1.7%減となった。現金給与総額は緩やかに増えているが物価上昇率は3.5%に達しており実質賃金の減少につながっている。
●傷病手当金のうち精神疾患の割合が過去最多(11/8)
協会けんぽが毎年10月に支払った傷病手当金の状況に関する調査で、昨年10月の約15万5,000件を調査したところ、「精神及び行動の障害」が約33%と最も多く、統計が残る1995年以降で最多だったことがわかった。件数自体も約5万1,000件と、公開されている2010年以降で最多だった。
●24.5%で定年が「65歳以上」(10/29)
厚労省は2022年の就労条件総合調査の結果を公表。一律定年制を定めている企業のうち、定年年齢を「65歳以上」としている割合は24.5%となり、平成29年の前回調査より6.7ポイント増え、平成17年の同調査開始以降過去最高となった。また、最高雇用年齢を「66歳以上」とする企業は勤務延長制度がある企業で31.7%、再雇用制度がある企業で22.0%だった。

経営労務情報 令和4年(2022年)9月

お知らせ◆最低賃金 が10月1日より31円上がり"986円"(愛知県)となります。
今年も過去最大の増額となります。
パートさんの時給変更と、社員の基本給や手当などの固定して支払う月額及び日額が、時間単価に換算した場合に、最低賃金以上となっている必要があります。
◆年1回の社会保険料の「定期変更」
「社会保険の算定基礎届」に基づく年1回の社会保険料の「定期変更」は、10月に支払う給与から対象となります。
個人ごとの社会保険料を、変更する必要があるかご確認ください。健康保険・厚生年金の保険料率の変更はございません。
◆雇用調整助成金について
コロナ感染の「雇用調整助成金」の特例期間は、10月以降も上限額の減額や要件を縮小して延長になる報道がでてきました。
◆ 今年も厳しい 残暑 が続いています。
外作業、工場内の「熱中症」にご注意ください。仕事中の「熱中症」は労災になります。

「雇用保険料率」が上がります従業員の「雇用保険料率」が10月から上がります。 ただし、事業主負担は4月より上がっています。
◆従業員の負担率(10月から)
建設業以外は0.5%、 建設業は0.6%
給与計算の時は、給与プログラムの変更などもご注意ください。
◆変更する月の具体例は以下のとおりです。
15日締/当月25日払→10月25日払より
20日締/当月末日払→10月末日払より
25日締/翌月5日払→11月5日払より
末日締/翌月10日払→11月10日払より
末日締/翌月末日払→11月末日払より
末日締/翌々月末日払→12月末日払より

最低賃金の過去最大の引上げ◆令和4年度、地域別最低賃金額改定の 目安は、厚労省審議会公益委員が示した3.3%を基準とし、30~31円という過去最大の引上げになります。
◆これを踏まえて、茨城県、兵庫県、佐賀県、熊本県では、答申額を上回る32円の引上げを決定し、また北海道も同じく31円への引上げを決定しています。
◆中小企業向けの支援策は?
中央最低賃金審議会では、企業物価指数が9%超の水準で推移する中で、多くは十分な価格転嫁ができず厳しい状況であること、特に中小企業・小規模事業者の賃金支払能力の点で厳しいものになったと受止められています。
◆業務改善助成金の動向に要注目
具体的には、業務改善助成金について、原材料費等の高騰にも対応したものとするなど、より実効性ある支援の拡充、また最低賃金が相対的に低い地域における重点的な支援の拡充等が挙げられています。
昨年度は、最低賃金引上げに対応した業務改善助成金特例コースの受付が令和4年1月13日に開始されましたが、本年度の 支援策の動向に注目したいところです。

外国人技能実習制度見直しへ◆国際的な批判
「技術移転による途上国支援」を目的に始まった外国人技能実習制度は、外国人を安価な労働力として使っている実態が指摘され、国際的にも批判を受けています。
米国務省の「世界各国の人身売買に関する2022年版の報告書」では、この制度で「強制労働」の実態について悪質な仲介業者や雇用主の責任を日本政府が追及していないと批判もしています。
◆厚労省から「外国人技能実習生の実習実施者に対する令和3年の監督指導、送検等の状況」が公表されました。その概要は、
1)法令違反があった事業者は、調査した9,036事業所の内6,556事業所(72.6%)
2)主な違反は、①使用する機械等の安全基準不備(24.4%)②割増賃金の未払(16.0%)③労働時間違反(14.9%)などでした。
3)重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検されたのは25件でした。
◆制度見直しの表明
法務省及び政府は抜本的な制度の見直しを急ぐ予定ですが、発表された論点としては、「実習生の日本語能力が不足し、意思疎通が困難」、「不当に高額な借金を負って来日する実習生の存在」、「技能実習生の保護と、受け入れ先企業の監督を行う監理団体の相談・支援体制が不十分」、「転職の在り方」などの問題点が示されました。
企業としても、違反する実態がないかなどの自主点検も必要になりそうです。

半数以上の新入社員が10年以内の退職を考えている!株式会社マイナビが2022年卒の新入社員800人を対象にWEB上で「新入社員の意識調査」を実施しその結果が公表されました。注目点は以下のとおりです。
◆今の会社を「3年以内に退職予定」は28.3%、「10年以内」では51.0%。
昨年とほぼ同じ割合ですが、ここ数年は 微増となっています。最も多い理由は、男性が「転職でキャリアアップしたい」(33.9%)、女性が「ライフステージに合わせて働き方を変えたい」(43.6%)でした。
なお「定年まで」と答えた割合は18.5%。
◆一方65%が現在「働きがい」を感じています。「働きがいを感じる職場」とは、
①「自身の成長を感じる」(55.6%)
②「誰か(顧客・同僚)の役に立てた」(49.8%)
③「褒められる、むくわれる」(48.0%)
意外にも、「自身の働きに見合う給与が得られている」は31.1%と低めの結果となり、金銭面よりも精神面での充実のほうが重要視されているようです。
◆「テレワークが廃止されても働き続ける」は約半数
新入社員のテレワーク率は19.1%ですが、廃止されても働くかの回答は、「働き続ける」(51.3%)、「テレワークできる会社に転職する」(23%)、残りは「分からない」。一方で、テレワークがない人に、テレワークで働きたいかを問うと「働けるならテレワークがいい」(50.0%)、「思わない」(43.7%)と分かれる結果でした。
本年の新入社員は授業や就職活動がWEB上であった世代で、完全出社、テレワークを問わず、上司や先輩とのコミュニケーションがとりやすく、働きがいを感じると職場の定着につながりそうです。

健康診断結果の「所見あり」は「受診推奨」を。放置はNG!◆会社にもメリットの多い「受診推奨」
健康診断の後「受けたまま」になっていませんか?「要再検査」「要精密検査」「要医療」などの「所見あり」になった場合、会社は「二次健康診断の受診をすすめるか、医師の意見を受けることが適当である」とされています。医師の意見書を受けるだけなら「地域産業保険センター」または「医師会」にて無料で受けることが可能です。
この再受診をすすめなかったために企業が安全配慮義務違反に問われたこともあります。病気が重症化する前に医療機関を受診すれば、労働者の健康リスクは低減されます。健康で長い間働き続けてもらうことができれば、企業の生産性向上、ひいては業績向上にもつながります。
◆すすめても受診しない場合の対応
どうしても受診しない場合は、会社が最善を尽くした証拠を残し、どのように受診をすすめたかか、どのように拒否されたかなどを記録しておくことが重要です。

企業の社員教育の現状とリスキリング◆教育訓練費用を支出した企業は5割
厚労省が令和3年度「能力開発基本調査」を発表し、企業の教育訓練への支出では、教育訓練費用(OFF-JT費用や自己啓発支援費用)を支出した企業は50.5%となり、昨年と同水準でしたが近年は低下傾向です。
OFF-JTに支出した費用の1人当たりの平均額は1.2万円でこちらも近年は減少傾向です。
◆能力開発や人材育成に関して、何らかの問題があるとする事業所は76.4%。
問題点は、①「指導する人材が不足している」(60.5%)、②「人材育成を行う時間がない」(48.2%)、③「人材を育成しても辞めてしまう」(44.0%)と続きました。
◆厚労省は6月に「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」を策定・公表し、社会環境の変化、職業人生の長期化、労働者の学び・学び直しの重要性の高まり、労使が取り組むべき事項、公的な支援策等を体系的に示しました。
社員のリスキリング(働き方の変化による新たに発生する業務に役立つスキルや知識の習得を目的に勉強する取り組み)にも注目が集まり、モチベーションアップや生産性の向上にも寄与する可能性があります

インターン学生情報、採用選考での活用が可能に◆「インターンシップの推進に当たっての基本的な考え方」の改正
これまで採用活動前の学生のインターンシップは「広報活動や採用選考活動に使用できない」ルールでしたが、一定の条件を満たす場合は、企業が採用選考時に利用できるようになります。
◆インターンシップとは?
これまでは「学生がその仕事に就く能力が自らに備わっているかどうか(その仕事で通用するか)」体験することを目的に、就業体験(企業の実務を経験)を行う活動(学生の学習段階に応じた内容)」と定義されていました。
◆今回の改正により、令和6年度以降に卒業・修了予定の大学生と大学院生の就職・採用活動において、令和5年度以降に実施するインターンシップで得られた学生情報については、採用活動開始後に活用できるようになります。これにより、今後インターンシップの実施を検討する企業も増えることが予想され、また既に実施している企業でも、採用活動に利用することができるようになります。
◆ただし、インターンシップは「就職・採用活動そのものではないので、インターンシップと称して就職・採用活動開始時期の前に就職・採用活動そのものを行わないこと」や、募集要項等に情報開示(実施時期・期間などの項目に関する情報を記載し、HP等で公表する)が求められるなどの要件が定められるため注意が必要です。

スポット情報●10月から「雇調金特例措置」上限引下げ
1万2,000円で検討(8月26日)
政府は特例的に増額していた雇用調整助成金について、10月から助成額の上限を引き下げる方針を固めた。特に業績が悪化している企業の日額上限1万5,000円を1万2,000円に引き下げる。それ以外の企業についても、日額上限9,000円を原則の8,355円に戻す。新しい上限額は2~3カ月間適用し、さらに引き下げるかは雇用情勢や感染状況等を踏まえて判断するとしている。
●「人への投資」に1,100億円
厚労省23年度概算要求(8月26日)
厚労省は25日、総額33兆2,644億円とする23年度予算概算要求案を自民党の厚労部会に提示した。政府が重要政策として掲げる「人への投資」を進めるため、関連予算で22年度当初予算比1割増の1,101億円を計上。デジタル人材の育成強化、「学び直し」を促進する環境の整備、人手不足業種への労働移動促進等により、成長力・生産性の向上につなげる。
●今年度の最低賃金改定額 
全国平均は31円増の961円(8月24日)
厚生労働省は23日、各都道府県の地方最低賃金審議会がまとめた22年度の地域別最低賃金(時給)の改定額を発表した。各地の引上げ幅は30~33円。全国平均は961円で、21年度からの上昇率(3.3%)、引上げ幅(31円)ともに過去最大となった。また、地方を中心に22道県で中央最低賃金審議会が示した目安額を超える改定となり、最高額と最低額の地域格差は2円縮まった。改定後の最低賃金は、10月1日から順次適用される予定。
●事務系の派遣時給
2カ月連続で過去最高を更新(8月18日)
エン・ジャパンが17日に発表した三大都市圏の7月の派遣社員の募集時平均時給は、全職種平均が1,628円で前年同月比0.2%(3円)増だった。特に事務(オフィスワーク)系が1,599円で前年同月比2.4%(37円)増となり、2か月連続で過去最高を更新した。
●特定技能外国人の運用見直し(8月4日)
政府は3日、特定技能制度による外国人の在留資格について、業種ごとに定めた受入れ上限人数の改定案をまとめた。コロナ禍で持ち帰り弁当や総菜の需要が強まったことを受け、飲食料品製造業の上限は現在の2.6倍に増やす一方、客数が減る外食業や宿泊は縮小させる。全業種合計の上限人数は据置きとする。このほか、一部の業種で技能実習生が試験免除で特定技能の在留資格へ円滑に移行できるようにする。近く閣議決定する見通し。
●技能実習
JICA・ベトナムが求人サイト(7月29日)
国際協力機構(JICA)はベトナム政府と協力し、日本の求人情報を提供する専用サイトを開設する。技能実習生が来日時に負担する高額な手数料が問題視される中、仲介業者を通さずに送り出し機関に直接応募しやすくすることで、手数料負担を減らす。2023年度に試行予定。
●中小企業の賃金上昇率
24年ぶりの高さに(7月13日)
厚労省は12日、今年の中小零細企業の賃金上昇率が1.5%だったことを明らかにした。コロナ禍の影響を受けた昨年は0.4%まで下がったが、今年は企業の業績回復や
物価高の影響もあったとみられ、24年ぶりの高さとなった。

経営労務情報 令和4年(2022年)6月

お知らせ◆コロナ感染対策と熱中症対策が重なる3度目の夏を迎えます。外作業や工場内での「熱中症」にはくれぐれもご注意ください。
◆7月は4月から6月に支払う給与の届出月です。この届出で今年10月支払の給与から1年間の社会保険料が決まります。この間の残業が増えるなどにより、給与総額が増えると保険料が増えてしまいますので注意が必要です。
◆7月は「労働保険料」の納付月です。
第1期の納付期限は7月11日です。
口座振替による納付は9月6日になります。
◆夏期賞与を支払った際はお知らせ下さい。
賞与からも忘れずに社会保険料を引いてください。
◆雇用調整助成金について
コロナ感染の「雇用調整助成金」の特例期間は、9月末まで延長が決まりました。
「小学校休業等対応助成金」についても9月末まで延長する方針が決まりました。

「雇用保険料」が上がります雇用保険法改正により、2022年度は雇用保険料率が2段階で上がります。4月からは事業主負担のみ上がっています。また10月からは従業員負担も上がります。
◆保険料率が引き上げられた背景
コロナ感染拡大の影響で、事業縮小や休業による悪化した雇用環境を改善するための支出が増大したことによります。
◆保険料の負担率
《事業主負担率》
      3月まで 4月から 10月から
建設業以外 0.6%  0.65%  0.85%
建設業   0.8%  0.85%  1.05%
《従業員負担率》
      3月まで 4月から 10月から
建設業以外 0.3%   0.3%  0.5%
建設業   0.4%   0.4%  0.6%

最低賃金引上げの影響と対応~日商調査結果から~◆最低賃金引上げが中小企業に与えた影響
日本商工会議所と東京商工会議所は、全国の中小企業を対象に「最低賃金引上げの影響および中小企業の賃上げに関する調査」(調査期間:2022年2月7日~28日、回答企業数:3,222社)を行いその結果を公表しました。
昨年10月の最低賃金引上げの影響とその対応等について調べたものです。
◆最低賃金引上げによる影響と対応
①最低賃金を下回ったため、賃金を引き上げた企業(直接的な影響を受けた企業)の割合は40.3%。
②賃金を引き上げた従業員の形態は、「パートタイム労働者(主婦パート、学生のアルバイトなど)」と回答した企業の割合が83.4%。
③人件費の増加に対して行った具体的な内容を聞いたところ、「人件費が増大したが対応策がとれない(とれなかった)」とする回答が4割超(42.2%)と最も多かった。
④現在の最低賃金額の負担感は、「負担になっている」と回答した企業の割合は65.4%。業種別では、コロナ禍で大きな影響を受けている「宿泊・飲食業」で90.9%と最も高かった。
⑤今年の最低賃金額の改定について、「引き上げるべき」と回答した企業の割合は、前年調査から13.6ポイント上昇し41.7%となり、「引き下げるべき」と「引上げはせずに現状の金額を維持すべき」の合計(39.9%)を上回った。
◆2022年度の賃上げは?
本年度に「賃上げを実施予定」と回答した企業の割合は45.8%、そのうち約7割(69.4%)が「業績の改善がみられないが賃上げを実施(防衛的な賃上げ)予定」と回答しています。社員のモチベーション向上や人材の確保・採用を目的に厳しい中でも賃上げを選択するという傾向がみられました。

就職観は「楽しく働きたい」が最多
  ~「マイナビ2023年卒業、大学生就職意識調査」から~
㈱マイナビが1979年卒より毎年実施している「マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査」の結果は次のとおりでした。
◆就職観
就職観はこれまでと同様に「楽しく働きたい」が最多で37.6%(対前年2.8pt増)。2020年卒以降減少傾向でしたが、3年ぶりに上昇に転じました。
経済状況の悪化や大災害等が起きた際は同項目の割合が減少する傾向にありますが、新型コロナ感染症の観点で見ると、ワクチン接種が進んだほか、各種行動制限の緩和などが進み、学生も社会に対する不安が軽減されたことから3年ぶりに数値上昇の背景となった可能性も考えられます。
◆企業選択のポイント
企業を選択する基準であてはまると思う項目を2つまでを聞いたところ、「安定している」が43.9%(対前年1.1pt増)と最多。「自分のやりたい仕事(職種)ができる」が32.8%で前年比1.8pt減、「給料がよい」が19.1%で前年1.6pt増となり、前年同様トップ3の項目となった。「給料がよい」は16年卒調査以来毎年上昇していましたが、前年22年年卒で2.3pt減少。今年は1.6pt増加となりました。
◆選択しない会社
選択しない会社(あてはまる項目を2つ選択)を聞いたところ、「ノルマがきつそうな会社」が前年に続き最多で37.4%(対前年1.6pt増)、次いで「暗い雰囲気の会社」で27.1%(対前年1.8pt減)となり、上位2項目は2008年卒以来変わっていませんが、2022年卒で上位3項目に浮上してきた「転勤の多い会社」が今年も3位となり、前年比1.7pt増の26.6%となりました。

新入社員が辞める理由は?
 ~連合「入社前後のトラブルに関する調査2022」より~
◆「3年以内に3割離職」の現実
日本労働組合総連合会が実施した「入社前後のトラブルに関する調査2022」(調査期間:2022年2月28日~3月2日、大学卒業後に新卒で正社員として就職した全国の入社2~5年目の男女1,000名の有効サンプルを集計)によれば、新卒入社した会社を「半年以内の離職」は7.7%、「半年を超え1年以内の離職」は6.2%、「1年を超え2年以内の離職」は10.4%、「2年を超え3年以内の離職」は5.2%、「3年を超えてからの離職」は3.7%、となり、「3年以内」は合計29.5%という状況でした。
◆新入社員が辞めた理由は?
理由は「仕事が自分に合わない」(40.1%)が最も高く、次いで、「労働時間・休日・休暇の条件が悪い」(31.0%)、「賃金の条件が悪い」(27.4%)と続き、待遇よりも仕事のミスマッチを挙げる人の割合が多い結果でした。また新入社員研修や先輩・上司からの指導・アドバイスがなかった人では、『離職した』の割合は41.9%と、指導・アドバイスがあった人(30.9%)と比べて11.0ポイント高くなっており、周囲の支援による差は大きいことがわかります。

中小企業の賃金動向と今後の見通し◆給与水準を引き上げた企業は昨年より上昇も、2年連続で半数を下回る。
日本政策金融公庫が公表した「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果(調査時点2021年12月、有効回答数5,640社)によると、2021年12月の正社員の給与水準を前年から「上昇」させた企業割合は41.1%と、前回調査(31.2%)から9.9ポイント上昇しました。ただしコロナ禍前は給与水準上昇との回答が5割を超えていたことから、2年連続で半数を下回っている点が指摘されています。
◆正社員の給与水準上昇の背景
同調査では、「正社員の給与水準上昇の背景」も聞いており、「自社の業績が改善」と回答した企業割合が35.0%と最も高く、次いで「採用が困難」(19.3%)、「最低賃金の動向」(18.1%)、「同業他社の賃金動向」(10.3%)と続いています。
特に2021年は、「最低賃金の動向」による影響が前年度よりも増加していることから、過去最大の上げ幅となった最低賃金の引上げが影響を与えたことがわかりました。
◆他社との採用競争と給与水準の見直し
2022年見通しをみると、給与水準を「上昇」と回答した企業割合は44.4%となっており増加傾向にあります。コロナによる影響から持ち直している企業も増える中、すでに人手不足を訴える企業も増えています。
人手不足は売上機会の逸失というリスクを生み、企業の経営上、影響は非常に大きいところです。今後、他社との人材獲得競争の中、給与水準の見直しも検討が必要になります。

法定の歯科健康診断 
 事業場の人数にかかわらず実施報告が義務に
◆労働安全衛生規則の一部改正の趣旨
厚労省は、令和元年度に一部地域で実施した自主点検の結果により、常時使用する労働者が50人未満の事業場では、歯科健康診断の実施率が非常に低いことが判明しました。そこで、実施状況を正確に把握し、その実施率の向上のため、事業場の人数にかかわらず実施報告の義務付けを行うことにしました。
◆改正の内容(令和4年10月1日予定)
歯科健康診断を実施する義務のある事業者は、使用する労働者の人数にかかわらず、歯科健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出することとされます。
※現行は常時50人以上が対象。

令和4年4月からの年金制度の変更点年金制度が4月より一部改正されました。
◆繰下げ受給の上限年齢引上げ
老齢年金の繰下げ年齢の上限が75歳になりました。(以前の上限は70歳)
また65歳後に受給権を得た場合も繰下げ上限が10年になりました。(以前は5年)
◆繰上げ受給の減額率の見直し
繰上げ受給の場合の減額率が、1月あたり0.4%になりました。(現在は0.5%)
◆在職老齢年金制度の見直し
60歳から64歳に支給される年金制度も、支給停止とならない範囲が拡大され、給与と年金の合計額の基準が28万円から47万円になりました。(65歳以上の在職老齢年金と同じ基準になりました)
◆加給年金の支給停止規定の見直し
加給年金の加算対象となる配偶者の支給停止基準が変更されました.(経過措置あり)
◆在職定時改定の導入
老齢厚生年金受給者が、再就職し厚生年金に加入した場合、65歳以降の加入期間は退職時か70歳到達時にのみ年金額が改定されましたが、在職中の65歳以上の受給者は毎年改定が行われるようになりました。
◆基礎年金手帳を持っていない人には「基礎年金番号通知書」が発行されます。

スポット情報●実質賃金4カ月ぶりにマイナス(6月7日)
厚労省は7日、4月の毎月勤労統計調査(速報)を発表した。1人当たりの現金給与総額は28万3,475円と前年同月よりも1.7%増え、4ヶ月連続のプラスとなった。
一方、実質賃金は前年同月1.2%減で4ヶ月ぶりにマイナスとなった。
●コンビニFCオーナー 労組法上の「労働者」と認めず(6月7日)
コンビニFCオーナーが労働組合法上の労働者に当たるかが争われた訴訟で、東京地裁は6日、「労働者には当たらない」との初めての判断を示した。中央労働委員会の命令を是認した内容となる。原告のユニオンは2009年に会社から団体交渉を拒否され、その救済申立てに対し14年に岡山県労働委員会から団体交渉に応じるよう命令が出されたが、再審査を受けた中央労働委員会が2019年に結論をくつがえしていた。
●実質賃金 5年ぶり増もコロナ前下回る(5月24日)
24日、厚労省が発表した2021年度の毎月勤労統計(確報、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年度に比べて0.5%増えた。5年ぶりのプラスとなったが、新型コロナ禍前の水準には届かなかった。
●75歳以上の金融所得を健康保険料に勘案(5月22日)
政府が近く決定する「骨太の方針」の原案が判明し、75歳以上の後期高齢者の金融所得を勘案して健康保険料を決める新たな仕組みを検討することがわかった。収入のある高齢者に応分の負担を求めるため、年金収入だけでなく株式売却益や配当収入などを勘案じて保険料を決めることを想定する。
●大企業の賃上げ2.27%で4年ぶりに上昇(5月21日)
経団連は春季労使交渉の1次集計結果で、大手企業の定期昇給とベアを合わせた賃上げ率は2.27%で、前年より0.45ポイント上昇したと発表した。前年を上回ったのは2018年以来4年ぶりで下落傾向に歯止めがかかる一方、新型コロナ禍で業種による格差も目立った。
●厚生年金加入義務 個人事業所の業種拡大検討へ(5月13日)
厚労省は5人以上の従業員を雇う個人事業所も厚生年金の加入を義務付ける業種を拡大する検討に入る。現行では製造や土木など16業種で加入が義務付けられており、今年10月には「士業」の追加が決まっている。新たに飲食店や旅館などを追加するか社会保障審議会で議論し、2025年の厚生年金保険法等の改正を目指すとしている。
●バス・タクシー運転手年齢要件を19歳以上に緩和(5月10日)  
改正道交法が施行され(5月13日)、バスやタクシーなど旅客運送に必要な「第2種運転免許」の受験資格「21歳以上かつ普通免許保有歴3年以上」が、特別な技能教習などを受ければ「19歳以上かつ普通免許保有歴1年以上」に緩和される。
21歳になるまでに累計3点以上の違反をした場合9時間の若年運転者講習の受講が義務付けられ、受講しなければ2種免許が取り消される。

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