経営労務情報 令和5年(2023年)9月

お知らせ◆最低賃金 が10月1日より41円上がり1,027円(愛知県)となります。
今年も過去最大の増額となります。
パートさんの時給と、社員の基本給や手当など固定して支払う月額または日額が、時間単価に換算した場合に、最低賃金額以上となっている必要があります。
◆年1回の社会保険料の「定期変更」
「社会保険の算定基礎届」に基づく年1回の社会保険料の「定期変更」は、10月払分給与から対象となります。
個人ごとに社会保険料を、変更する必要があるかをご確認ください。
◆ 今年も厳しい残暑が続いています。
外作業、工場内の「熱中症」にご注意ください。仕事中の「熱中症」は労災になってしまいます。
◆ 社労士業務ソフトのウイルス攻撃について
6月に㈱エムケイシステム(ソフト名「社労夢」)のサーバーがウイルス攻撃を受け、皆様にご心配とご迷惑をおかけしましたが、全て改善しましたのでご報告いたします。


令和5年度の「最低賃金」全国平均で初の1,000円超え◆目安はAランク41円、Bランク40円、Cランク39円
中央最低賃金審議会で地域別最低賃金額の改定が決定されました。過去最大の引上げで 全国平均で時給1,002円となりました。
◆引上率が4.3%を基準として検討された理由
政府の方針や賃金、通常の事業の賃金支払能力、労働者の生計費を勘案して4.3%が基準とされましたが、目安の議論を行ってきた公益委員の見解では、消費者物価の上昇が続いていることや、昨年 10 月から今年6月までの消費者物価指数の対前年同期比は 4.3%と、昨年度の全国加重平均の最低賃金の引上げ率(3.3%)を上回る高い伸び率であったこともあり、特に労働者の生計費を重視した目安額とされました。また、この目安額が、中小企業・小規模事業者の賃金支払能力の点で、厳しいものであると言わざるを得ない、とも指摘しています。
◆厚労大臣が中小企業・小規模事業者に対する支援策に言及
審議会の答申で要望のあった、業務改善助成金の対象事業場拡大等についてはできるだけ早期に発表したいとしています。

令和4年度、労基署の監督指導結果&指導事例令和4年度に長時間労働が疑われる事業所に対して労基署が実施した監督指導の結果が公表されました。この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業所や、長時間にわたる過重な労働による過労死等による労災請求が行われた事業所を対象に行われました。 
指導事例などの概要は以下のとおりです。
◆監督指導結果のポイント
1.対象期間:令和4年4月~令和5年3月
2.対象事業場:33,218件
3.主な違反内容(是正勧告書を出した事例)
(1) 違法な時間外労働があった:14,147事業場(42.6%)
(2) 賃金不払残業があった:3,006事業場( 9.0%)
(3) 過重労働による「健康障害防止措置」の未実施:8,852事業場(26.6%)
◆指導事例のポイント
1.是正内容の4割超を占め、過大な時間外 労働が行われていた事例
 ① 長時間の過大な時間外・休日労働があった。
 ② 36協定で定めた上限時間を超えて時間外労働を行なっていた。
 ➂ 労基法に定める上限時間を超えて時間外・休日労働を行なっていた。
 ④ 時間外と休日労働を1か月80時間以内とするための具体的検討の未実施だった。
2.時間外・休日労働時間が1か月80時間超の者に対し情報を提供しなかった事例
 ① 1か月80時間を超えた労働者に対し、時間外・休日労働時間に関する対応すべき情報を通知していなかった。
 ② 休日労働に対する割増賃金の未払い。
 ➂ 休日労働に対する3割5分以上の割増賃金の未払い。
3.衛生委員会での調査審議等がなかった事例
 ① 衛生委員会で長時間労働による健康障害の防止対策が審議されていなかった。
 ② 1か月80時間を超えて時間外・休日労働をした労働者に対し、医師の面接指導の制度を導入していなかった。
4.深夜業に従事する労働者に対する事例
 ① 深夜業に従事する場合は6か月以内ごとに1回健康診断を実施していなかった。

シニア雇用に関する、シニア自身、若手、経営者の思いシニアの働き方に関し、シニア自身や、同僚となる若手、雇用主である経営者等、それぞれを対象とした個別調査はありますが、それらを同時に行った調査はあまり見かけません。
今回、特定非営利活動法人YUVECの調査「シニア雇用ならびにシニアの働き方に関するアンケート」は、調査対象それぞれの感じ方が同時にわかる調査となりました。
◆経営者・シニアそれぞれの考える問題点
初回の2020年度調査では、下記の傾向(いずれも複数回答)が明らかになりました。
1.経営者が問題だと思うシニアの資質
 ①自分のやり方、経験にこだわる(66.7%)
 ②ITに弱い(37.0%)
 ③新しいことを習得してくれない(29.6%)
 ④自分の経験を自慢する(22.2%)
2.シニアが感じる一般的なシニアの問題点
 ①フルタイム勤務をいやがる(49.7%)
 ②ITに弱い(39.9%)
 ③自分のやり方・経験にこだわる(39.9%)
 ④新しいことをおぼえない(17.5%)
この傾向は3回目の2022年度調査でもおおむね同様で、経営者は「シニアがフルタイムで働かないこと」を許容している一方、やり方や経験にこだわることを嫌っています。ここがシニア自身と経営者の大きく違う点です。
◆若手・中堅社員が望むシニア像
職場で同僚となる若手・中堅層が望むシニア像は次の回答が上位でした(4位は同率)
 ①人柄がよい
 ②技術、経験、業界(商品)知識、人脈等会社に役立つ何かを持っている
 ③自ら手を動かす
 ④過去の事例に詳しく自分の仕事の役に立つ
 ⑤若手とうまくコミュニケーションができる
人手不足感がますます強まる中、シニアを特別視せず、シニア雇用のメリットを活かした職場づくりを考える必要もありそうです。

転職活動で「選考辞退をしたことがある」は61%総合求人サイト『エン転職』が、転職者を対象に転職活動時の「選考辞退」についてのアンケート結果を公表しました。
※調査期間:2023年5月29日~6月27日、有効回答数:8,622名
◆選考辞退をしたことが「ある」人は61%。「2社以上」の選考辞退経験者は63%。「転職活動において選考辞退をしたことはありますか?」の質問に、「ある」と回答した人は61%で、昨年2022年に実施した同調査より5ポイント上昇しました。
選考を辞退したことがある人に、辞退したのは何社かと質問すると、1社は37%で、2社以上の回答は63%(内訳は2社:28%、3社:16%、4社:5%、5社:5%、6社~9社:4%、10社以上:5%)。辞退したタイミングは、「面接前」が46%、「面接後」は45%、「内定取得後」は37%でした。
◆辞退理由
面接前に選考辞退した理由は、「他社の選考が通過した」が最多の37%、次は「ネットで良くない口コミを見た」が27%、「企業の応対が悪かった」が20%でした。
面接後に選考辞退した理由は、「求人情報と話が違った」が49%で最多、「他の選考が通過した」は35%で2位でした。
内定後に辞退した理由は、「他社の選考が通過した」と「提示された条件がイマイチだった」がそれぞれ44%で第1位でした。
「これが決め手となって辞退を決めた」という質問には、「他社の選考が通過した」「ネットで良くない口コミを見た」「企業の対応が悪かった」「求人情報と話が違った」について、具体的なエピソードも回答されています。
辞退するに至った理由の「求人情報と話が違った」や「企業の応対が悪かった」などは、企業の信頼を損なう大きな問題です。ネットの「口コミ」などが、求職者には転職先選びの判断の一つになっていることも、企業としては今後の採用活動において注意しておきたいところです。

フリーランスら個人事業主が、労働安全衛生法の対象に厚労省の「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」において、個人事業主なども労働安全衛生法(以下、安衛法)の対象に加えるとする報告書案が示され了承されました。これにより仕事を発注した企業・個人事業主等に対して、業務上の災害の予防や発生時の報告などが求められます。
◆業務上の災害の把握等
報告対象は、「休業4日以上の死傷災害(被災者が業務と関係のない行為で被災したことが明らかな事案は除く)」となる見込みで、
1.被災時に個人事業者等が行っていた業務の内容を把握している者、
2.災害状況を把握している者に当たる特定注文者及び災害発生場所管理事業者
に対して労基署への報告を義務付けます。
ただし、脳、心・精神事案が疑われる事案については、個人事業主自身もしくは代理する 業種・職種別団体が労基署に報告できるよう新たに仕組みが整備されます。
業種・職種別の団体には、防止対策を周知することが求められます。
◆危険有害作業等の災害を防止するための対策
事業者は、安衛法が定める措置について、労働者と同様に個人事業主等にも対応が求められます。また、個人事業主等にも事業者が通常行っている機械等の定期自主検査の実施や安全衛生教育の受講などが義務付けられます。

トラックGメンによる荷主、元請事業者への監視体制の強化◆荷主等への監視体制強化へ
国交省は、長時間の荷待ちや、依頼になかった附帯業務、無理な配送依頼等、適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業(着荷主企業も含む)・元請事業者の監視を強化するため、「トラックGメン」を創設しました。
◆トラックドライバーの労働条件改善が急務
ドライバーは、他産業と比較して労働時間が長く、低賃金がみられることから、担い手 不足が課題にあり、荷待ち時間の削減や適正な運賃の収受等により、労働条件を改善することが急務となっています。
これまで国交省では、適正な取引を阻害する行為を是正するため、貨物自動車運送事業法に基づき、荷主企業・元請事業者への「働きかけ」「要請」等を実施してきましたが、2024年問題(ドライバーへの時間外労働の上限規制が適用されることによる、物流への影響が懸念される問題)を前に強力な対応が必要と判断し、トラックGメンを創設したものです。
「トラックGメン」による調査結果を、貨物自動車運送事業法に基づく荷主企業・元請事業者へ以下の対応で実効性を高める予定です。
「働きかけ」(違反原因行為を荷主がしている疑いがあると認められる場合)
「要請」(荷主が違反原因行為をしていることを疑う相当な理由がある場合)
「勧告・公表」(要請してもなお改善されない場合)
◆162名体制で始動
トラックGメンは、国交省の既定定員82人のほかに、新たに80人を緊急に増員し、合計162人体制により業務を遂行するとしています。トラックGメンは、本省および地方運輸局等に設置されます。

スポット情報●求人倍率3カ月連続で低下(8/29)
厚労省の発表では、7月の全国の有効求人倍率(季節調整値)は1.29倍で、前月から0.01ポイント低下した。求職者が増えた一方、企業の求人数はほぼ横ばいだった。低下は3カ月連続。総務省が同日発表した7月の完全失業率は2.2%で前月から0.2ポイント上昇した。
●リスキリングの推進に1,468億円 
厚労省24年度概算要求(8/26)
厚労省は来年度予算33兆7,275億円の概算要求を発表。23年度より5,866億円の増加。
リスキリング(学び直し)の推進に1,468億円、育児や介護との両立を支える事業には200億円を要求。中小企業や小規模事業者が賃上げできる環境整備と生産性向上の支援に13億円を要求。非正規労働者の正社員化を進める助成金制度も拡充する。
●「こどもは誰でも通園が可能に」
9月に検討会設置(8/26)
こども家庭庁は、親の就労要件を問わず時間単位で保育園などを利用できる「こども誰でも通園制度(仮称)」の検討会を9月に設置する。 
小倉将信少子化相が25日の閣議後記者会見で明らかにした。12月に中間とりまとめを行い、来年の通常国会への法案の提出を目指す。
●非正規向けの職業訓練を創設へ(8/23)
厚労省は、主に離職者が対象の職業訓練を、非正規労働者も働きながら学べる新たな訓練の創設を発表した。オンライン講習や受講時間を選べる訓練を創設し、正社員になるのを後押しする。来年度の概算要求に計上する方針。
●「年収の壁」解消へ助成金を導入(8/11)
首相は「年収の壁」解消を目的として助成金制度を10月から適用する考えを示した。3年程度の時限措置。社会保険料の負担で手取りが減少しないよう賃上げしたり、段階的に勤務時間を延ばす計画を作成した企業に対して、最大50万円を助成する方針。
●白ナンバーの飲酒検査の義務化(8/9)
警視庁は「白ナンバー」の車両を使用する事業者にもアルコールチェック検知器による飲酒検査を12月1日から義務化することを発表。 
白ナンバーを5台以上か、定員11人以上の車を1台以上使う事業者が対象となる。道路交通法の改正により2022年10月より開始予定だったが、世界的な半導体不足の影響による 検知器の安定供給困難により延期されていた。

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