経営労務情報 令和5年(2023年)3月

お知らせ◆健康保険料・介護保険料が変更されます。
3月より「協会けんぽ」の保険料が変更されます。ただし各保険料は「4月に支払う給与」 から変更をお願いいたします。
お客様へは個人別の「保険料表」を後日お知らせいたします。
※ 新保険料率 (以下は本人負担率です)
     健康保険 = 5.005 %
     介護保険 = 0.91  %
健康保険+介護保険 = 5.915 %
◆雇用調整助成金(特例期間)の終了について
コロナ感染の「雇用調整助成金」の特例期間は3月末で終了します。4月からは通常の「雇用調整助成金」に戻ります。
◆4月から6月に支払う給与にご注意を
4月から6月に支払う給与総額の「平均額」により、今年10月から1年間の社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)が決まります。
残業など手当の増額で月額給与が増えると、結果として社会保険料が増えてしまいます。
◆3月、4月は入社・異動が増加
この時期は入社や異動の申請が多く、新しい「保険証」の発行が遅れます。早めの連絡をお願いいたします。
◆最近の監督署による「事業所調査」について
海外からの技能実習生などの入国がコロナ感染前に戻りつつありますが、海外実習生などを採用している事業所は、労働基準監督署の調査対象になっています。
私どもも調査対応をしてきましたが、「雇用契約書」「出勤・残業管理簿」の有無、残業手当を含め「正しい給与計算」がされているかなどを監理団体とも確認し整備をお願いいたします。

「雇用保険料率」が上がります雇用保険料率が4月の給与分から、従業員負担率も、事業主負担率も、0.1%分づつ加算されます。
◆従業員の負担率は以下となります。
建設業以外の事業は、0.5% → 0.6%
建設業の事業は、0.6% → 0.7%
給与計算時には給与プログラムの変更などもご対応ください。
◆変更対象月の具体例は、以下のとおりです。
15日締/当月25日払 → 4月25日払より
20日締/当月 末日払 → 4月 末日払より
25日締/翌月 5日払 → 5月 5日払より
末 日締/翌月10日払 → 5月10日払より
末 日締/翌月 末日払 → 5月 末日払より
末 日締/翌々月末日払 → 6月 末日払より

いわゆる「多様な正社員」の現状無期転換ルールによって、無期雇用となった社員の受け皿として期待される「勤務地限定正社員」や「職務限定正社員」「労働時間限定正社員」などのいわゆる「多様な正社員」について、労働政策研究・研修機構が、企業側、労働者側それぞれの調査を行った結果(2021年実施)が公表されました。
企業側調査は、従業員30人以上の全国の民間企業などが5,700社、労働者側調査は20歳以上の正社員、契約社員、嘱託、パート・アルバイト、派遣社員の2万人が回答しました。
◆多様な正社員がいる企業は18.3%でした。
◆多様な正社員の採用方法は「中途・通年採用」の割合が最も高く、「有期契約労働者からの転換」や「無期転換社員からの転換」による企業の割合も約2割でした(複数回答)
◆トラブルの事例
「限定された労働条件」の変更について、「限定内容の違反行為」や「限定区分の変更」に関するトラブルが発生しています。
企業側からの「区分変更申入れ」を労働者が拒否、労働者からは「会社都合で限定内容が変更された」事例が最も高くなっています。
限定内容の説明不足や、限定内容の規定がない企業でトラブルが多発してます。
無期転換については、労働条件の明示が重要になります。

賃上げ実態に関する調査結果厚生労働省は令和4年「賃金引上げ等の実態に関する調査」を公表しました。これは、全国の民間企業の、賃金の改定額、改定率、改定方法などの調査を目的に、例年7月から8月に実施されています。調査対象は、常用労働者100人以上を雇用する民営企業で、令和4年は3,646社を抽出し、2,020社から有効回答を得ています。
◆賃金を引き上げる企業が85.7%
令和4年中の賃金改定の実施状況では、1人平均賃金(注)を引き上げた、または引き上げる企業の割合は85.7%(前年80.7%)となり3年ぶりの増加でした。
産業別では「学術研究、専門・技術サービス業」が95.7%、次いで「建設業」が95.4%と高く、また賃金の改定状況では1人平均賃金の改定額は5,534円(前年4,694円)、1人平均賃金の改定率は1.9%(同1.6%)でした。
※ (注) 「1人平均賃金」とは、所定内賃金(諸手当等は含み、時間外・休日手当や深夜手当等の割増手当、慶弔手当等の特別手当は含まない)の1か月1人当たりの平均額です。
◆業績を踏まえつつ労働力の確保を
賃金改定の決定時に重視した要素は、⑴「会社の業績」(40%)、次いで ⑵「労働力の確保・定着」(11.9%)でした。
業界内や他企業の動向も踏まえつつ、自社の戦略を立てていくことが必要となりそうです。

「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果◆「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」
令和3年4月から65歳までの「高齢者雇用確保措置」が義務づけられ、また70歳までを対象に「定年制の廃止」、「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」の他に、「業務委託契約を締結する制度の導入」、「社会貢献事業に従事できる制度の導入」(創業支援等措置)など、雇用によらない措置(高年齢者就業確保措置)が努力義務となっています。
◆70 歳までの実施済企業は中小企業が3割弱
厚生労働省の令和4年6月1日現在の「高年齢者雇用状況等報告」では、70 歳までの措置の実施済企業は65,782社(27.9%)、前年比2.3 ポイント増でした。企業規模別では、中小企業は 28.5%、同2.3 ポイント増、大企業は20.4%、同2.6ポイント増でした。
◆継続雇用制度の導入が最多
実施済みの企業の内訳では、 ⑴「継続雇用制度の導入」が51,426社(21.8%)、前年比2.1ポイント増で最も多く、次いで ⑵「定年制の廃止」9,248社(3.9%)、同0.1ポイント減、⑶「定年の引上げ」4,995社(2.1%)、同0.2ポイント増、 ⑷「創業支援等措置の導入」113社(0.1%)、同変動なし、の順でした。
創業支援等措置の導入などはまだこれからという状況です。今後は人手不足等の状況も踏まえた検討が必要になりそうです。

新卒者の内定状況と企業の採用活動の早期化◆大学生の就職内定率は約85%
令和4年12月1日現在の、令和5年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(厚生労働省と文部科学省の共同調査)が公表されました。
大学の就職内定率は84.4%(前年同期比1.4ポイント上昇)となりました。短期大学の就職内定率は69.4%(同6.6ポイント上昇)、高等専門学校・専修学校(専門課程)は、それぞれ96.6%(同5.4ポイント上昇)、69.8%(同0.4ポイント低下)となりました。
◆令和6年卒の採用活動も本格化
令和6年卒の採用活動も本格化しており、リクルートの「就職みらい研究所」が2024年(令和6年)卒業予定に対する「就職プロセル調査」では、今年2月1日時点の大学生(院生除く)の就職内定率は、すでに19.9%(前年同月比で+6.4ポイント)に上っています。
内定企業の業種別では、例年どおり「情報通信業」、「サービス業」、「小売業」と続きますが、他の業種の割合も増えてます。全体として採用の動きが早まっていることがわかります。
◆早期化する企業の採用活動
人手不足の現状で、早期に採用活動を開始する企業が多く、この傾向はますます強くなることが予想されます。また、いわゆる「就活ルール」など新卒一括採用という慣習も見直しが行われる状況の中、新しい採用活動の在り方についても検討が必要になっています。

外国人雇用の届出状況を発表~厚生労働省~厚生労働省は令和4年10月末現在の「外国人雇用についての届出状況」を公表しました。
この届出制度は、労働施策総合推進法に基づき、外国人労働者の雇用管理の改善や再就職支援などを目的として、すべての事業主に外国人の「雇入れ・離職」時に、「氏名、在留資格、在留期間など」を確認し、ハローワークへ届け出ることを義務づけています。
◆外国人労働者数は、182万2,725人で、過去最高を更新
外国人労働者数は、前年比で9万5,504人増加し、届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新しました。前年増加率は5.5%と前年の0.2%から5.3ポイント増加しています。
◆外国人雇用の事業所も過去最高の約30万に
外国人を雇用する事業所数は、29万8,790で、前年比1万3,710増加し、届出の義務化以降、こちらも過去最高を更新しています。
ただし前年増加率は4.8%と、前年の6.7%から1.9 ポイントの減少でした。
◆国籍別では、ベトナムが46万2,384人で最多
国籍別ではベトナムが最も多く、外国人労働者数全体の25.4%を占めています。
次いで中国38万5,848人(全体の21.2%)、フィリピン20万6,050人(全体の11.3%)の順となっています。
前年増加率が高い主な国は、インドネシアが前年比47.5%増で7万7,889人、次いでミャンマーが前年比37.7%増の4万7,498人、ネパールが前年比20.3%増の11万8,196人の順となっています。
◆在留資格別では、「技能実習」が前年比8,534人減
在留資格別では、⑴「専門的・技術的分野の在留資格」が47万9,949人で、前年比8万5,440人(21.7%)の増加、 ⑵「特定活動」が7万3,363人で、前年比7,435人(11.3%)増加、 ⑶「身分に基づく在留資格」が59万5,207人で、前年比1万4,879人(2.6%)増加しました。
一方で、「技能実習」は34万3,254人で、前年比8,534人(2.4%)減少し、「資格外活動」のうち「留学」は25万8,636人で、前年比8,958人(3.3%)減少しています。

スポット情報●高度外国人材の獲得に新制度導入(2/18)
政府は2月17日、高度外国人材を呼び込むための新制度の導入を決定した。在留資格「高度専門職」の取得要件を緩和して優遇措置を設け、資格要件を満たす経営者や研究者、技術者などは滞在1年で永住権の申請可能等とする。また、在留資格「特定活動」に「未来創造人材」を創設し、世界の上位大学を卒業後5年以内の外国人を対象に日本で最長2年間の就職活動等を認める。今年4月中の運用開始を目指す。
●「特定技能」前年比2.6倍増(2/18)
出入国在留管理庁は2月17日、在留資格「特定技能」で働く外国人が13万923人(昨年12月末時点)で、前年同期の約2.6倍に増えたと発表した。新型コロナウイルスによる出入国の水際対策緩和により増加した。
業種別では飲食料品製造業が最も多く4万2,505人で、国籍別ではベトナム人が7万7,137人で最多だった。
●「自己都合退職」の失業給付制限期間を短縮(2/16)
政府は15日、「新しい資本主義実現会議」で失業給付のあり方の見直しなどの議論を始めた。自己都合退職の場合の給付制限期間の必要性について「慎重に検討すべきではないか」とし、資料では住民税の減免措置の対象外となること等も会社都合退職の場合との違いとして挙げられている。
6月末までに策定する指針に盛り込むかを検討する。
●75歳以上の負担増、健康保険法などの改正案を国会に提出(2/10)
政府は2月10日、75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」の見直しや「出産育児一時金」の財源を後期高齢者にも新たに負担することを盛り込んだ改正案を国会に提出した。
現役世代の負担軽減のため、年金収入が153万円を超える後期高齢者の保険料を収入に応じて引き上げる。今年4月から50万円に増額する「出産育児一時金」の7%分を、後期高齢者医療制度が負担する仕組みとする。今国会での成立をめざす。
●2022年実質賃金 前年比0.9%減(2/7)
厚生労働省が2月7日に発表した2022年の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)で、物価の影響を考慮した実質賃金は前年比0.9%減と、2年ぶりのマイナスとなった。
賃金の実質水準を算出する指標となる物価が3.0%上昇して、名目賃金に当たる現金給与総額の2.1%増を上回り、賃金上昇が物価高に追いつかない状況を映した。
●昨年の求人倍率1.28倍、4年ぶり上昇(1/31)
厚生労働省が1月31日に発表した2022年平均の有効求人倍率は1.28倍と、前年を0.15ポイント上回った。
コロナ禍からの経済活動の再開に伴い求人が伸びた。総務省が同日発表した22年平均の完全失業率は2.6%と前年に比べて0.2ポイント低く、2018年以来4年ぶりの低下となった。
●出産育児一時金が8万円増額(1/28)
政府は27日、出産育児一時金を4月1日から8万円増額し、48万8,000円とする政令を閣議決定した。産科医療補償制度の掛金1万2,000円を含めた総額は50万円となる。総額の引上げは2009年10月以来で、過去最大の上げ幅となる。
●物流業「2024年問題」対応で法改正の方針(1/18)
物流業界で運転手不足が懸念される2024年問題(運転者の労働時間の改善)への対応策として、国交省は関連法を改正する方針を固めた。
納品回数や待機時間の削減に関する計画を荷主と物流事業者が協力して作成することを義務付ける。来年の通常国会への法案提出を目指すとしている。

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