経営労務情報 平成29年(2017年)4月号

I お知らせ(該当されるお客様へは、改めてお知らせいたします) ◆ 3月より「健康保険料 率」が 下がり、「介護保険料 率」が 上がる 変更となりました。
支払日が4月の給与から(翌月払いは3月分、当月払は4月分)から保険料の変更をお願い致します。◆ 4月の給与より「雇用保険料」が下がります。(詳細は、改めてお知らせいたします)
本人負担率 は、建設業の会社は、0.4%、建設業以外 の会社は、0.3%となります。
◆ 4月の給与より、次の従業員は「雇用保険料」が 不要(免除)になります。
対象者は 昭和28年 4月 1日以前 に生まれた方です。(対象者は 改めてお知らせいたします)
◆ 4月から6月に支払う給与総額にご注意ください。今年9月から1年間の社会保険料は、4月 から 6月に支払う給与の「平均額」で決まります。この間で残業などの手当が多いと社会保険料が増えてしまいます。

Ⅱ 社会保険・納税事務の手続き見直しへ ~ 企業の負担軽減策 ~◆厚生年金、健康保険、雇用保険の申請手続きの一元化を検討
政府は、重点分野の社会保険手続きの見直しで、2割のコスト削減を目標に、ハローワークや年金事務所へ別々に申請する手間をなくし、また許認可の申請様式の統一など、手続きの簡素化に乗り出します。
マイナンバーや法人番号の連携により、重複する書類申請の簡素化を検討することが挙げられています。
◆企業の約半数が行政手続に負担感
昨年11月の調査結果によれば、中小企業の半数近くが、行政手続きを負担に感じると回答しています。
負担の上位は、「社会保険・労務」48.6%、「補助金・助成金」48.2%、「税務申告」45.0%の順でした。
◆負担感は企業規模による違いも
経団連の調査では「調査・統計への協力」の47.8%が最多で、「社会保険」と「納税に関する事務」が同率の46.7%でした。経済同友会の調査では「社会保険」52%、「納税」50.3%、日本商工会議所の調査では「営業の許認可」46.4%、「補助金の交付申請」41.5%の順となっています。
◆住民税の特別徴収手続きの見直しも検討
社員の住む市区町村から届く「住民税課税決定通知書」の送付も、法改正により電子データでの送付が検討される見通しです。

Ⅲ タクシー運転手の「歩合給」をめぐる「注目の裁判」◆「歩合給だから割増賃金なし」は 有効?無効?
タクシー運転手の給与には、一定の「基本給」と 運賃収入に応じて支給される「歩合給制」が多くの会社で採用されていますが、この歩合給制をめぐる注目の判決が間もなく出される見通しです。
今回は運転手など14人が、「歩合給」の計算額から「残業手当相当額」を引く給与規則は無効として、引かれた「残業手当相当額」の支払いを求めています。東京地裁は公序良俗に反するとして「残業手当相当額」の合計約1,500万円の支払いを命じました(国際自動車事件・東京地判平27.1.28)。
◆分かれる裁判所の判断
このような訴訟は現在、第4次訴訟まで提起され、原告も200名を超える大きな訴訟となっています。そのうち第2次訴訟では、「残業手当相当額」を引く計算は労働基準法37条に違反せず、公序良俗にも違反しない(東京地判平28.4.21)としており、裁判所の判断が分かれています。
◆高裁判決も「無効」だが...
第1次訴訟の高裁判決(二審)では、地裁判決(一審)が支持され、会社側に未払い賃金の支払いが命じられたことから、会社側が上告し、現在も最高裁で係争中です。
◆運転手の「残業代計算」に大きな影響が
タクシー運転手の給与では「歩合給制」が採用されているケースが多いため、この事件の確定判決が注目されます。タクシー会社に限らず「歩合給制」を採用されている職種では、自社の「賃金規則」のチェックが必要になってきます。

Ⅳ スポット情報●「雇用保険法 改正案」が 衆院通過 年度内に成立見込み(3月16日)
雇用保険料 の 引下げ などを盛り込んだ 雇用保険法改正案 が 衆議院本会議で可決された。同法案には、育児休業期間を 最長2年 に延ばす 育児・介護休業法改正案や、「残業時間超過企業」 の取締まりを強化する 職業安定法改正案 などを含めた 一括法案で、年度内に成立する見込み。

●「労基署業務」の 民間委託案 に 厚労省が難色(3月16日)
政府の 規制改革推進会議 が、労働基準監督署の業務 を 一部民間に委託する検討会の初会合を開いた。残業規制の強化に伴う労基署の人手不足を解消するのがねらい。6月の答申に委託解禁を盛り込む予定。会合では社労士などへの業務委託が提案されたが、厚生労働省は「複雑な仕事」などとして難色を示した。

●5年ぶり に「実質賃金」が増加(2月22日)
厚生労働省が平成28年の「毎月勤労統計調査(確報値)」の結果を発表し、実質賃金が前年より0.7%増加し、5年ぶり にプラスに転じたことがわかった。名目賃金にあたる 現金給与総額 は 0.5%増加し、3年連続 の増加となった。

●高齢者の「就業促進」のため 官民協議会 を大幅増へ(2月20日)
厚生労働省は、地方自治体が中心となってつくる官民の協議会を、2020年までに現在の15から100に増やす方針を示した。地域の企業などを支援して 高齢者の 雇用増加 につなげたい考え。また、高齢者の 再就職支援を行うハローワークの窓口も 300カ所(現在80カ所)に増やす考え。

●公共工事の「労務単価」を 3.4% 引上げ 3月より適用(2月10日)
国土交通省は、公共工事設計労務単価(国や自治体が公共工事を発注する際に使う労務単価)について、人手不足による賃金の上昇傾向を反映し、全国全職種平均 で 対前年度比3.4%(東日本大震災の被災3県は平均3.3%)引き上げると発表した。1日8時間労働で1万8,078円となり、平成11年以来の高い水準。平成29年3月1日以降に契約する工事から適用される。

●平成29年度「税制改正」関連法案 が 国会提出(2月4日)
今年度の 税制改正に関する法案 が閣議決定され、国会に提出された。法案では、配偶者控除についてパートタイマーなどで 配偶者が働いている場合の 減税枠が拡大 されている一方、 高所得世帯においては控除の 適用を制限する 内容。3月末までに成立の見込み。

●平成29年度「年金額」は 0.1%引下げ 3年ぶりマイナス(1月27日)
厚生労働省から「平成29年度の年金額改定」が発表された。総務省が発表した 「平成28年平均の全国消費者物価指数」 が対前年比で0.1%下落したことを受け、平成29年度の 年金額 は平成28年度から0.1%引下げ となる。 マイナスとなるのは 3年ぶり。

経営労務情報 平成28年(2016年)12月号

Ⅰ お知らせ◆ 賞与を計算される時の、社会保険料率 にご注意ください。(以下は本人負担率です)
夏の賞与時より、厚生年金の料率が変わっています。⇒ ⇒ 厚生年金 9.091 %
健康保険 4.985 % 介護保険 0.79 % ( 健康保険+介護保険= 5.775 % )
◆ 年末調整や法定調書(支払調書)でのマイナンバーの取り扱いが開始されました。
事業所内でのマイナンバーの取り扱いも増えています。マイナンバー担当者を決め、関係書類の紛失がないよう十分ご注意ください。1月からは、厚生年金・健康保険への扱いもスタートします。
◆ 本年もいろいろとお世話になりありがとうございました。年末年始及び冬場の、事故・ケガ・風邪などにお気をつけください。
年末年始の休業は、29日(木)より5日(木)までとさせていただきます。

Ⅱ 平成29年1月より 65歳以上 も加入者へ!今まで加入できなかった65歳以上の方も、雇用保険へ加入することになります。(64歳前からの加入者のみ現在も65歳以上で加入しています)
◆適用拡大に伴い、1週間に20時間以上働く「未加入者」の加入の手続きが必要
1月からは、すでに働いている人で採用時に65歳以上だったため雇用保険に入ってない人や、新たな65歳以上の採用者へも加入手続きが必要となります。(お客様へは改めてお知らせいたします)
◆保険料の免除(今回の加入でも、雇用保険料はすぐには増額しません)
毎年4月1日時点で満64歳以上の方は、本人も会社負担も、現在は雇用保険料が免除されています。
ただし、今回の改正により平成32年4月1日で保険料の免除制度が廃止となり、平成32年4月1日以降は年齢にかかわらず、本人も会社も雇用保険料を負担することになってしましました。
◆雇用保険の給付も対象に
65歳以上の方も「⾼年齢被保険者」として失業給付が受給できるほか、要件を満たすと育児休業や介護休業の⽀給対象となり、また要件を満たせば退職後の教育訓練給付⾦の⽀給対象ともなります。

Ⅲ 売り手市場が続く中、「多様な選考」を検討する企業が増加◆売り手市場が続く!
ここ数年、新卒採用は「売り手市場」が続き、企業は採用活動を活発化させています。日本経済団体連合会(経団連)が会員企業を対象に実施した「平成28年度 新卒採用に関するアンケート調査」(平成28年7月5日~8月22日調査、回答社数709社)では、平成28年4月入社の採用選考を実施した企業(実施予定も含む)の割合は96.8%と高水準で推移。平成29年4月入社については「前年と比べて売り手市場であった」は71.3%と回答、売り手市場の状況は続いていることがわかります。
◆「多様な選考」を提供する企業が増える?
この調査では、「新卒一括採用について」も調査しており、現在は「春季一括採用のみ実施」(45.8%)との回答が最も多かったものの、今後は「春季一括採用に加え、「多様な選考」を設ける」が53.6%と最も多く、「春季一括採用のみ実施」(27.6%)よりもかなり多くなりました。
◆経営環境の変化を踏まえた選考活動の検討
「多様な選考」を設ける理由は、「様々な機会を設けることで優秀な人材を確保しやすくするため」(87.3%)がトップ、「既卒者、留学生、外国人など多様な人材を確保するため」(74.8%)、「経営環境の変化を踏まえ、柔軟に必要な人材を採用するため」(71.3%)となっています。
◆中小企業も柔軟な発想が求められる
売り手市場の中、中小企業でも「売り手市場」「買い手市場」などの動向に惑わされず、長いスパンでみた独自の人材確保策を模索していくことが必要となりそうです。

Ⅳ「定年後、再雇用者の賃金減額」をめぐる裁判で会社側が逆転勝訴◆東京地裁 から 東京高裁へ
今年5月、東京地裁で、定年後に嘱託社員(1年ごとの契約)として再雇用されたトラックドライバーが、定年前と仕事が変わらないにもかかわらず、会社(長澤運輸)が賃金を 約3割 引き下げたことは「違法」との判決がありました。このような正社員と定年後の賃金格差について違反を認めた判決は過去に例がなく、人事労務担当者にとっては大きなインパクトのある判決として受け止められました。
◆11月2日の東京高裁における判断は?
控訴審判決において、裁判長は「定年後、再雇用での賃金減額は一般的であり、社会的にも容認されている」とし、賃金の引下げは違法として差額の支払い等を命じた東京地裁 判決を取り消しました。
しかし、労働者側の弁護士は上告する方針を示しています。
◆賃金の設定には慎重な判断が必要
この裁判は最高裁まで進む可能性があるため、司法における最終的な判断がどのように確定するのかは不明ですが、「東京高裁の判断が妥当」と見る向きが多いようです。
しかし、この事件が 定年後 再雇用者の処遇についてのこれまでの常識(当然のように賃金の引下げを行うこと)について一石を投じたことには間違いはなく、最終的な結論がどちらに転んだとしても、会社としては「定年後の再雇用者の処遇」について、今後は慎重な対応が求められると言えるでしょう。

Ⅴ スポット情報●「年金制度改革関連法 」が成立(12月14日)
将来の年金支給水準を維持するために年金支給額の新たな改定ルールを導入することを柱とする「年金制度改革関連法」が成立した。厚生年金加入対象の拡大も盛り込まれており、平成29年4月から従業員500人以下の企業で 週20時間以上働く短時間労働者も 労使で合意 すれば 厚生年金に加入できる。
また、平成31年4月から、国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料が免除となる。

●雇用保険料率を 0.6% に引き下げへ 、平成29年度 から(12月8日)
労働政策審議会が来年度の 雇用保険制度改正案 に関する報告書を承認し、来年度から3年間、雇用保険料率を0.2ポイント 引き下げて 0.6% となることが明らかになった。来年の通常国会に関連法の改正案を提出する見通し。

●育児休業期間 を「最長2年」に延長へ(12月7日)
労働政策審議会(雇用均等分科会)が「経済対策を踏まえた仕事と育児の両立支援について(案)」を示し、育児休業期間 の「最長2歳まで」への 延長 が盛り込まれたことがわかった。女性の 離職 を防ぐのがねらいで、来年の通常国会に 育児・介護休業法改正案 を提出して早ければ 来秋にも実施される見通し。

●実質賃金 の伸びが止まる 、9カ月ぶり(12月6日)
厚生労働省が10月の「毎月勤労統計調査(速報値)」を発表し、実質賃金が 前年同月 と比べて 横ばいだったことがわかった。9月まで8カ月連続で前年を上回っていたが、9カ月ぶりに伸びが止まった。
消費者物価指数は 0.1%上昇 した。

●「賃上げ」実施企業 が 過去最高(12月1日)
厚生労働省が 「賃金引上げ等の実態に関する調査」 の結果を発表し、平成28年に 賃金の引上げ を「実施した」または「実施予定」の企業が 5年連続 で増加し、過去最高の86.7% となったことがわかった。1人平均の 改定額(予定を含む)は5,176 円(前年5,282 円)で、前年を下回った。

経営労務情報 平成28年(2016年)8月号

Ⅰ お知らせ◆ 厳しい 残暑 が続きます。外作業や工場内での「熱中症」にはくれぐれもご注意ください。
◆ 最低賃金が、10月より 845円(愛知県) に上がる予定です。今年も大幅な上昇です。パート募集時の時給や、10月以降の給与計算時にはご注意ください。
詳細は追ってご連絡いたします。
◆ 年1回 の 社会保険料 の「定期変更」は、10月に支払う給与 からです。
例年9月支払の給与 から 変更されてきた場合 には 9月 でも結構です。
※(問題は残りますが)
「厚生年金」の 料率 も また 上がります。 お客様へは改めてお知らせいたします。
◆ 本年10月より、社会保険加入者が500人以上の会社で、1年以上働く予定があり1週20時間以上働くパートさんも、社会保険加入対象となります。
◆ 本年も「労働保険料申告」「社会保険算定基礎届」にご協力いただきありがとうございました。

Ⅱ 同じ業務で定年後に再雇用、賃金差別は違法 ?◆会社に「賃金差額の支払いを命じる」 東京地裁判決 の 影響は今年5月、「定年後の再雇用と処遇(賃金)」について、これまでの "常識" をくつがえす判決が出ました。
「定年後に、嘱託社員 として 再雇用された トラックドライバー3人 の仕事内容が、定年前と変わらないのに、運送会社 が 賃金を約3割下げた ことは違法(労働契約法20条違反)である」というもので、会社には 賃金の差額 の支払いなどが命じられました。
◆今後の 企業実務 への影響は?
このような判決は 過去に例がなく 、会社側はすぐに 控訴 したため、最終的な結論 がどのようになるかはわかりません。この判決が、高裁・最高裁 でもなされた場合、定年時の賃金引下げは、認められなくなるケースが出てくる可能性があり、企業実務への影響 は 非常 に 大きなものとなります。
今後の 裁判がどのような結論 となるのかについて、注視しておく必要があります。
※このまま確定するとは思われませんが、定年後の条件を「少しでも変える対応」は必要になりそうです。

Ⅲ 自民党「外国人労働者の受入れ拡大案」の概要◆「単純労働者」 の受入れを容認?(※研修生ではありません)
自民党の「労働力確保に関する特命委員会」は、今後 本格化する「少子高齢化」や「人口減少」による 人手不足解消 のための 外国人労働者 の受入れを拡大することを提言しました。
政府は、これまでは 原則 として、大学教授 や 経営者、高度な技術者 といった 「専門的・技術的分野」 の 外国人労働者 を受け入れてきましたが、同委員会では、 建設作業員等 の 「単純労働者」 の受入れも 「必要に応じて認めるべきだ」 として容認し、政策の 抜本的 な転換を求めるとしています。
また、日本人 と 外国人 の 報酬 を同等にするなどの仕組みについても提言し、在留期間 を 当面は「5年間」 とすることも盛り込みました。近日中に正式決定し、政府への提言を検討するとしています。
◆外国人労働者 は 「過去最高」を更新
厚生労働省 発表 の「外国人雇用についての届出状況」(平成27年10月末 現在)によると、外国人労働者数 は90万7,896人(前年比15.3%増)と 過去最高 を 更新ました。
政府は、平成26年4月 の 「建設分野における外国人人材の活用に係る緊急措置を検討する閣僚会議」において、復興事業 のさらなる加速を図りつつ、平成32年(2020年)東京オリンピック 等の関連施設整備等 による 一時的な建設需要 の増大に対応するため、緊急かつ時限的な措置として、 即戦力 となりうる 外国人材の活用推進 を図る方針を示し、平成27年4月から 対象となる外国人材の受入れを 開始しています。
◆今後の 労働力不足 の 解消 となるか
平成32年(2020年)代には 介護分野で25万人、建設分野で77万~99万人 の 労働力が不足するとの 推計 があります。 外国人労働者 を研修生ではなく 明確な労働力 として受入れを容認すると、外国人労働者 はさらに増えることが予想されます。 中小企業 としても、今後 外国人 を 新たな人材 として採用できるか動向に注目する必要があります。

Ⅳ 人材不足問題は 深刻 ...採用すべき人材を確保するために...◆平成28年は「人材不足問題」が 企業経営 を圧迫する?
平成28年の 業績見通し について、中小企業経営者はどのように考えているのかを尋ねた、学校法人産業能率大学 の 調査結果 が公表されています。
これによると、多くの経営者 が業績は 平成27年と同様か 良くなるとの見方を示しましたが、一方で「人材の不足」が 経営活動 に影響を与えると想定しており、業績を上げる機会 を人材不足によって逃がすことのない対策 を講じることが 急務 となっています。
人材不足問題 は深刻であり、人材の確保は優先度の高い経営課題となっていると言えるでしょう。
◆厳しいのは「新卒採用」求人
中小企業にとっては、特に「新卒採用活動」が厳しい状況です。同調査では平成28年入社の新卒採用について、およそ4割が当初の採用予定数を下回るという結果となりました。
代わって活発化しているのが中途採用です。恒常的な人員不足の解消や欠員の補充、即戦力となる人員の確保をねらい、半数以上が中途採用の予定があると回答しました。
◆これからの採用活動に求められること
新卒採用にせよ中途採用にせよ、人材不足が深刻化している状況にあって、現在、採用選考を行うに あたり「いかに良質な母集団を形成するか」 に関心が集まっています。
採用すべき人材と接点を持ついろいろな方法の確立が望まれます。Facebook等のSNSを活用しようとする企業も多くなりました。一歩進んでSNSなどのデータから人材を探し、直接連絡を取って採用するという方法も見られるようになってきました。「従来の方法では競合に負ける」と言われ、様々な手法を検討しながら、自社にあった採用活動を行うことが求められています。

Ⅴ スポット情報●社会保障給付費 が 過去最高 の112兆円超 に(8月5日)
国立社会保障・人口問題研究所が、平成26年度の年金・医療・介護等の「社会保障給付費」を発表。112兆1,020億円(前年比1.3%増)で過去最高を更新。高齢化による介護利用者が伸びた。今後も増加予想。

●厚生年金・国民年金 の 決算収支 3 . 2兆円 の赤字(8月5日)
厚労省が、平成27年度の厚生年金と国民年金の収支決算(時価ベース)を発表。合計積立金は3兆2,458億円の赤字。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が出した5兆3,000億円の運用損 が影響した。

●平成29年度から 雇用保険料 引下げ --- 経済対策の一環 ---(7月26日)
政府は、雇用保険料率を平成29年度から数年間の引下げを決定。企業の負担軽減より最低賃金の引上げへの負担軽減策として。引下げ幅は年末までに決定。また雇用保険積立金が財源の「育児休業時の給付金」を拡充する方針で、育休の期間を半年伸ばし、最長2年とすることが検討されている。

●無年金者 救済策 「平成29年度中 に 実施」予定(7月26日)
政府は、年金が受給できる加入期間を10年(現在20年)に短縮する救済策を、平成29年度に実施する法案を提出する。今秋の臨時国会での成立を目指す。必要予算額は、年間約650億円(約64万人分)となる。

●中小企業 の 賃金上昇率 1.1%(7月14日)
厚労省は、本年の中小企業(従業員30人未満)の賃金上昇率が 「1.1%」 と発表。上昇したのは2年ぶり。有効求人倍率 が上昇し、パート募集時 の賃金が上がっていることなども影響した。

●「改正 確定拠出 年金法」が成立 専業主婦・公務員も対象(5月24日)
改正 確定拠出年金法 が衆議院本会議で可決、成立。平成29年1月から「個人型の確定拠出年金(DC)」の対象を専業主婦(約932万人)、公務員(約439万人)にも広げ、全現役世代が加入資格を得た。企業年金の普及策として、従業員100人以下の中小企業向けに設立手続を簡素化した「簡易型DC」も創設する。

経営労務情報 平成28年(2016年)4月号

I お知らせ(該当されるお客様へは、別途お知らせいたします) ◆ 4月は、入社・異動が多く、年金事務所・職安の事務処理が遅れますので、早めの連絡をお願い致します。
◆ 4月より、健康保険料の上限が3等級増えました。(基準上限121万円から139万円へ増額
 月額給与123万5千円以上で、該当される方は5月に支払う給与から増額となります。
◆ 4月の給与より、加入者全員の「雇用保険料」が下がります。
 本人負担率は、建設業以外 の会社は、0.4%、建設業の会社は、0.5%となります
◆ 4月の給与より、次の方の「雇用保険料」が不要(免除)になります。
 対象者は 昭和27年4月1日以前に生まれた方です。(新たな対象者は別途お知らせ致します)
4月から6月に支払う給与にご注意ください。今年9月から1年間の社会保険料は、4月から6月に支払う給与の「平均額」で決まります。この間で残業等の手当が多いと社会保険料が増えてしまいます。

II 社員の転職理由の「本音」と「建て前」◆転職市場は盛況
株式会社インテリジェンスの「DODA 転職求人倍率レポート」によると、平成28年2月の「転職求人数」は前月比4.9%増・前年同月比45.3%増となり、15カ月連続の増加、平成20年1月調査開始以来の最高値を更新した。「転職希望者数」も前月比6.5%増、前年同月比56.8%増となり、6カ月連続で最高値を更新し転職市場は盛況です。企業にとっては人材確保が大きな問題になります。

◆会社に「伝える退職理由」と「本当の理由」
転職する場合、会社に退職の意思を伝えてくる際の「退職理由」が本音ばかりとは限りません。エン・ジャパン株式会社の「退職理由のホンネとタテマエ」のアンケート調査(回答1,515名)によると、約半数の人が会社に本当の退職理由を伝えていないことがわかりました。
会社に「伝えた退職理由」と「本当の退職理由」は以下のとおりです。

【会社に伝えた退職理由】
(1)結婚、家庭の事情(23%)
(2)体調を崩した(18%)
(3)仕事内容(14%)

【本当の理由】
(1)人間関係(25%)
(2)評価・人事制度(12%)
(3)社風や風土、給与、拘束時間(各11%)

◆社員の本音から考える
退職者の本音と建て前を見極めながら、退職者を減らす対策を講じていくことも必要と思われます。

III 企業に広がる有期契約労働者の「無期転換」の動き ◆平成30年4月から本格適用(労働契約法18条のいわゆる「5年ルール」)
平成25年4月に施行された、有期契約者の契約更新に通算5年を超えた場合、無期契約への転換権利が与えられる「5年ルール」の規定が、平成30年4月から順次適用になります。

◆「無期契約」に変える企業が増加
ここ最近、パート社員や契約社員などの「有期契約」で働く人を「無期契約」に変える企業が増えています。背景は「人手不足の中で人材を安定的に確保したい」という考えからです。労働政策研究・研修機構の調査(平成27年7~9月)では、「無期にしていく」と回答した企業は6割を超えました。

◆当初の懸念はあたらず?
企業側も、無期にするメリットとして「長期勤続が期待できる」「要員を安定的に確保できる」という理由を挙げた割合が増えています。

◆経団連も検討を後押し
経団連も今後は人材獲得が困難になるとして、「無期転換を前向きに検討すべきだ」としています。ただし企業は無期転換しても賃金を変える必要はありません。労働政策研究・研修機構の調査でも4分の1程度の企業が「対応方針は未定・わからない」と答えています。

IV 平成27年の労災発生状況◆全体では微減だが...
平成27年における労災発生状況(2月速報)が発表され、全体では前年よりわずかに減少しました。
内訳は「建設業」や「製造業」では大きく減少、第三次産業では大きく増加しました。
特に、介護士・看護師など病院や社会福祉施設では15.9%増加しています。

◆労働者の高齢化
病院や社会福祉施設では、腰痛が最も多く、次いで「転倒」となります。半数が40歳から59歳の層で発生しています。就労環境を見直していくことが現実的かつ必要なことのようです。
一般の企業でも、ストレスチェック制度がスタートし、これから健康診断のシーズンを迎えますので、この機会に安全衛生や健康管理について再確認してみてはいかがでしょうか。

V 民間版の労災保険「使用者賠償責任保険」とは?◆契約件数が伸びている!(今後も伸びると予想)
うつ病などによる労災認定件数の増加や賠償額の高額化を背景に、大手損害保険会社3グループの平成27年度「使用者賠償責任保険」の契約件数が前年度比約1.5倍となっています。

◆「使用者賠償責任保険」とは?
労災認定された事案について、損害賠償責任を負った場合に備える保険です。労災保険金を上回る補償や和解金の支払いのために保険金が支払われます。こうしたリスクへの備えとなります。
加入することで今後のリスク回避のための一助となりそうです。

VI スポット情報●高収入者の 本人負担増を検討。平成30年度介護保険制度見直し (3月25日)
厚生労働省は、介護保険財政の悪化に歯止めをかけるため、大企業の社員らの保険料を引き上げ、さらに一定以上の収入がある高齢者の自己負担の上限を引き上げる検討を始めた。介護保険部会において改革案を取りまとめて来年の通常国会に関連法案を提出し、平成30年4月の介護報酬改定時の施行を目指す予定。

●「残業80時間」で労基署立入り調査の対象に(3月24日)
政府は、労働基準監督官の立入り調査について、1カ月の残業時間の基準の引下げ(100時間→80時間)を検討していることを明らかにした。長時間労働に歯止めをかけるために指導を強化し、子育て中の女性や高齢者が働きやすい環境を整えることがねらい。これに伴う対象者は300万人(2.7倍)に拡がることが予想される。法改正による規制強化などは見送る方向。※ 業種に関係なく対象となります。

●是正指導に伴う 残業代支給 対象従業員が過去最多(3月22日)
厚生労働省は、平成26年度にサービス残業で是正指導を受けた企業が未払残業代を支給した従業員が20万3,507人となり、過去最多となったことがわかった。100万円以上の残業代を支払った企業は前年度より88社減の1,329社だったが、支払われた未払い残業代は約19億円増の142億4,576万円だった。従業員の多い企業が労務管理システムの不備により残業代の一部を一律に支払っていなかったことなどが、全体の人数を押し上げました。

●外国人実習生の失踪が過去最多に(3月7日)
平成27年に日本で失踪した外国人技能実習生が過去最多の5,803人に上ったことが法務省の調べでわかった。失踪者が多かったのは中国人(3,116人)とベトナム人(1,705人)で、賃金不払いなどの不正行為を指摘された受入れ先企業・団体も5年連続で増加している、政府は昨年、実習先の監視を強化する「技能実習適正実施・実習生保護法案」を提出、早期成立を目指しています。

●「法人番号」活用で、社会保険未加入企業を特定へ(2月24日)
厚生労働省は、社会保険未加入企業をなくすため、今年4月から法人番号を活用する方針を明らかにした平成29年度末までにすべての未加入企業を特定して悪質な企業には立入り検査を実施し、強制加入させる方針。現在、未加入の疑いのある企業は約79万社とされています。

経営労務情報 平成28年(2016年)1月号

謹 賀 新 年
皆様の ご健康 と ご繁栄 を心からお祈り申し上げます。
本年も職員一同、皆様とともに課題を解決し、力一杯!頑張りたいと思います。

I お知らせ◆従業員さんのマイナンバー回収は、あせらず着実にお願い致します。
◆中島事務所では、マイナンバーへの取り組みとして、(1)保管金庫の設置、(2)施錠管理ができる書棚増設、(3)光回線へのUTM設置(全ネットワークセキュリティ対策対応機)及び、全パソコンを最高レベルのウイルスソフトへ変更、(4)室内室外への防犯カメラの設置、(5)職員への「研修」の実施、などを今月には終える予定です。今後とも、ご安心いただける専門事務サービスを提供してまいります。
◆年末調整で従業員さんの住所変更が確認できた場合はご連絡ください。
◆インフエンザワクチンを接種しましょう。 高熱による欠勤予防、社内の感染予防、早い回復にも効果的です。接種費用の会社負担(一部または全額)も可能です。

II 「希望者全員が65歳以上まで働ける企業」の割合 ◆70歳以上まで働ける企業は過去最高(対象は従業員31人以上約15万社)
厚労省が平成27年の「高年齢者の雇用状況」を発表。 希望者が65歳以上まで働ける企業が、10万8,086社(前年比4,500社増)、割合は72.5%(同1.5ポイント増)。条件付きを含め70歳以上でも働ける企業は、約3万社。平成21年以降で過去最高。

◆割合は中小企業が多い
内訳は中小企業9万9,952社(同1.6ポイント増増)、大企業8,134社(同0.8ポイント増増)
内訳は中小企業2万7,994社(同1.2ポイント増増)、大企業1,957社(同0.9ポイント増増)
「定年制の撤廃」「定年年齢の引上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれかの実施済み企業は99.2%(14万7,740社、同1.1ポイント増増)。 内訳は中小企業99.1%(13万2,318社、同1.1ポイント増)、大企業99.9%(1万5,422社、同0.4ポイント増)。
平成28年度からは65歳以上の従業員を多く雇う企業への助成金が拡充されます。

III 調査結果にみる60代の雇用状況と就業意欲 (平成21年比較) ◆60代でも働いている人が増加(独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査)
・定年後の継続雇用の割合が上昇・・・・・・・・・・・(65~69歳で17.2%→24.0%)
・定年直後の無職が低下(60~64歳で18.2%→13.0%、65~69歳で28.4%→18.4%)
・定年後、60歳台後半 でのリタイアが低下・・・・・・・・・・・(28.3%→24.5%)
・定年未経験者でも上昇・・・(65~69歳で55歳時と同じ会社で勤務 6.1%→10.8%)
60代未就労者も26.0%が就労希望。男性60代前半の未就労者も42.9%が就労希望。

◆定年後の仕事が、「変わっていない」人は49.0%(継続雇用者50.7%)と最多。
定年後の賃金は、「減少した」41.9%(継続雇用者80.3%)が最多。
減少幅は、「41~50%」減が 19.1% (継続雇用者 24.2%)と最多。
減額の、是認派(やむを得ない)と、否認派(下がりすぎだ)の割合は、ほぼ同数。

IV 「時間外労働」に関する企業の意識調査◆残業時間削減への企業意識が上昇
エン・ジャパン㈱が行った「時間外労働(残業)」に関するアンケート調査(50名以上企業を対象)の結果、今後の残業時間削減について、「積極的に取り組む」とした企業が60%、「状況を見て、取り組みを検討する」とした企業が約30%となり、全体の約9割が残業時間削減を実施・検討していることがわかった。

◆先月(12月)からのストレスチェック義務化も意識
「積極的に取り組む」理由は、「メンタル面での不調者を出さないため」「社員の健康維持、ワークライフバランスのため」などが多数。また「業務効率を向上させ、生産性の高い企業体質に改善していきたい」など、『業務効率化』を挙げる企業も多く見られた。
一方、『残業代削減』を理由とした企業は43%と、昨年の66%から大きく減少。経費削減よりも、企業体質を改善し時間外の短縮を図ろうとする企業が増えています。

◆管理職への教育と業務フローの見直しが効果的
残業時間削減の対策としては、「管理職への教育(時間管理)」を実施している:47%、取組みしている:32%。「業務分担やフローの見直し」は、同47%、同27%。「残業を事前申請させる」は、同43%、同25%、が回答上位。管理職に時間管理の意識づけを行ない、業務分担や業務フローを見直すことが効果的と言えそうです。

◆経費削減だけではない効果
この問題は従業員のメンタルにも関係し、生産性の低下にもつながります。残業削減は経費削減だけでない効果(効率アップ、若者の採用など)も期待できそうです。

V スポット情報●愛知の「中小企業の賞与」は、経団連平均の3分の1 (12月11日)
愛知中小企業家同友会が会員企業へこの冬の賞与額アンケートを実施(3700社を対象)。平均額は32万6,500円で、大手企業による経団連平均約91万円の3分の1にとどまった。支給しないも約3割弱あり厳しい現状となった。調査は14年ぶりに実施。1,275社が回答。賞与を支給するは58%、支給しないは27%、検討中は15%。 平均額の内訳は、流通・商業が34万8,500円、建設が32万7,400円、サービス32万2,300円、製造 31万8,600円。 金額の内訳は、20万円未満が19%、60万円以上も9%あった。

●退職予定者の人材バンク創設(中小企業の人材確保支援) (12月4日)
厚労省が、中高年の退職予定者向けの人材バンクを創設する方針を明らかにした。産業雇用安定センターの会員となっている大企業や中堅企業(約6,000社)から退職後も働きたいという50代の人材を募り、退職後に中小企業への再就職を促す。また高齢者が多く働く企業向けの助成金も拡充する考えで、平成28年中に順次実施を予定している。

●65歳以上も雇用保険の適用に(12月9日)
厚労省は、65歳以上で新たに就職した人にも雇用保険の加入を認める方針を固めた。 失業時に最大50日分の一時金が受け取れる。保険料は当面、会社負担分も本人負担分も免除する。来年の通常国会に改正法案を提出。平成28年度からの実施を目指す。

●完全失業率が20年ぶりの低水準に(11月28日)
総務省が、平成27年10月の完全失業率を発表し、3.1%(前月比0.3ポイント改善)で20年3カ月ぶりの低水準となったことがわかった。一方、厚労省が発表した同月の有効求人倍率は前月と同じ1.24倍で、23年9カ月ぶりの高水準を維持した。

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