経営労務情報 平成31年(2019年) 4月号

お知らせ◆3月より「介護保険料」の保険料率が上がりました。給与の保険料は、「4月に支払う給与」から上げてください。お客様へは新保険料をお送りしていますのでご確認ください。
◆本年4月からの「雇用保険料免除(不要)」対象者は昭和30年4月1日以前生の方です。対象者は改めてお知らせいたします。
◆4月から6月に支払う「給与総額」にご注意ください。今年9月から1年間の社会保険料は4月から6月に支払う給与の「平均額」で決まります。この間で残業などの手当が多いと社会保険料が増えてしまいます。
◆4月は入社・異動が増え「年金事務所」への申請が多くなり「保険証」が届くのが遅れてしまいます。早めの連絡をお願い致します。
◆4月から労働基準法が変更
有給休暇の5日消化の義務化、残業時間の上限設定など労働基準法が大きく変わりました。お客様へは詳しくご説明いたします。

人手不足問題への対応どうしますか?◆人材不足を実感している企業が 9割
企業の「人手不足」の問題については、しばしば新聞やテレビでも報道されるところですが、自社の状況はいかがでしょうか?
エン・ジャパン株式会社が実施した2019年の「人材不足の状況」についてのアンケート調査(762社から回答)によると、「人材が不足している部門がある」と回答した企業が9割という結果でした。 これは2016年の調査に比べ、5ポイント上昇した数字となり、3年前よりも人材不足感が増していることが分かります。
◆人手不足への対応策は?
人手不足を実感している会社では、どのような対策を講じているのでしょうか。
同調査では、人材不足への対応策として、86%が「新規人材の採用(欠員の補充)」と回答。次いで「既存の業務を効率化する(ICT化、標準化等)が35%、既存社員の教育、能力向上が30%、社員のモチベーション向上のため処遇見直しが18%となりました。
調査でも、「新規人材の採用」を解決策とする会社が多数でしたが、最近は「高齢者雇用」「外国人雇用」「退職後からブランクのある女性の雇用」など、これまで採用市場に多くなかった人材の積極採用に目を向ける企業も増えていいます。
◆「新規人材の採用」以外の解決策も
今後避けられない人口減少、労働力人口減少の中では、「今いる人材が離職しないこと」「業務の効率化をすること」は重要テーマです。
社員の処遇制度を見直したり、職場環境の改善、社内コミュニケーションの活性化などにより人材確保のための積極的な取組みを始めている企業も少なくありません。
◆人材確保のために今から対策を
人手不足の問題は、今後企業ごとに工夫を凝らして解決していかなければならないテーマです。人材獲得競争の波に乗り遅れないように、今から検討していく必要があるでしょう。

人事・労務に関する 「トップ・マネジメント」の意識 ~経団連調査~◆調査の概要
日本経済団体連合会(経団連)は、会員企業および東京経営者協会の主要会員企業の労務担当役員等を対象に、春季労使交渉・協議や人事・労務に関するトップ・マネジメントの意識・意見などを調査しています。今回は2018年の調査結果の注目点を取り上げます。
◆賃金関係
月額賃金について、労働組合等の要求とは無関係に、自社として実施を決定したことは、
①「定期昇給の実施、賃金体系の維持」64.9%と、②「初任給の引上げ」46.5%でした。
賞与・一時金では、前年度より増額した企業は54.6%、前年度の水準を維持した企業も32.0%と、増額・維持する企業が約87%にのぼっています。
◆労働生産性と人材育成の取組み
新たなビジネスやイノベーションの創出に向けた具体的な取組みとして、
①「挑戦する社内風土づくり」(54.5%)
②「組織や業務体制の見直し」(47.8%)
③「中途採用など外部人材の積極的な採用と活躍の推進」(42.4%)
④「社員の知識・スキル向上のための教育・研修」(40.5%)があげられています。
今後(5年程度)注力したい項目としては、「成長分野・重点分野への戦略的な人事異動」(47.4%)が最も多い結果になりました。
◆高齢社員の活躍推進
高齢社員を雇用する目的としては、
①「知識や経験等を活かした専門能力の発揮」(45.4%)
②「労働力・人材の確保」(28.9%)、
③「後進の指導・育成、技術・技能の伝承」(23.4%)と続きます。
高齢社員のモチベーション維持・向上のために既に実施している施策は、
①「人事評価制度」(56.4%)、
②「勤務時間・日数などの柔軟な勤務制度」(55.5%)が最も多く、検討している施策は、①「基本給水準の引上げ」(39.4%)と ②「定年年齢の引上げ」(37.4%)が上位を占めています。
◆副業・兼業の取扱い
副業・兼業の実態として、「現在認めている」企業が21.9%に対し、「認めていない」企業は78.1%と圧倒的に多い結果となりました。
後者のうち今後も認めるつもりはない企業は43.5%にのぼります。
副業・兼業を認める理由として、「社員のモチベーション向上」(37.7%)、「自社では提供できない仕事経験による能力向上やアイデアの創出」(34.9%)でした。
認めない理由としては、「社員の総労働時間が把握できない」(64.6%)、「社員の健康確保が図れない」(54.5%)、「疲労の蓄積によって社員の業務効率が低下する」(44.9%)が多くあげられています。

中小企業の半数が「継続雇用65歳超の義務化」に反対~日商・東商調査~◆中小企業の「リアル」を調査
日本・東京商工会議所は、「働き方改革関連法への準備状況等に関する調査」と併せ、「高齢者雇用の拡大に関する調査」の結果を公表しています(調査対象:全国の中小企業 2,881社、調査期間:2018年10月22日~12月3日)2019年1月9日公表、日本・東京商工会議所は昨年10~12月に中小企業2,881社(従業員規模300人未満の企業が約9割)。その概要をご紹介します。
◆高年齢者雇用安定法の対応状況は?
現況は、「希望者対象の継続雇用制度導入」が72.7%、「65歳までの定年制導入」が19.2%、「定年制の廃止」が5.1%でした。
定年前・後における給与水準の変化について、「職務内容と責任の水準が変わるため給与水準を下げている」が53.9%に。一方「職務内容と責任の程度は同程度だが給与水準を下げている」が16.3%となり、こうした企業は今後、同一労働同一賃金に向けた対応が必要となりそうです。
給与を下げている企業の定年後の給与は、
①「定年前の7~8割程度」が57.3%、
②「定年前の5~6割」が24.0%、
③「5割未満」は3.0%、でした。
◆7割以上が65歳超を雇用するも、半数が「義務化」に反対
65歳超を雇用する企業の割合は73.7%で、2016年調査結果より2.6%増えました。
「65歳超への義務化」には、「影響はない」が44.0%だった一方、「雇用しているが義務化には反対」29.7%、「65歳までは雇用できるがそれ以上の対応は難しい」20.8%で、義務化に反対する割合が50.5%でした。
しかし2016年調査結果の57.2%に比べて下がっており、中小企業において高齢者雇用が進んでいる実態がうかがえます。
義務化された場合の対応については、
①「不明」が28.5%ながら、
②「定年は60歳のまま、希望者を65歳超まで再雇用する」32.4%、
③「65歳を定年とし、希望者を65歳超まで再雇用する」26.0%で、
定年引上げも視野に入れている企業もありました。

気になる!企業のソーシャルリスク対策 の実態◆従業員の不適切動画投稿問題で改めて問われる企業の対策
飲食店やコンビニの従業員が投稿した不適切動画問題が、企業の評判に悪影響を及ぼしかねない事件が、立て続けに起こりました。
対応として従業員に損害賠償請求訴訟を決定した企業、全店休業して社員の研修を決定をした企業と様々ですが、SNSを活用する企業も、個人も増加している中ではいつ問題に巻き込まれても不思議はありません。
まだ社会人としての自覚に乏しい新入社員の入社も近づくこの時期は、自社の対策を確認しておくべき時期とも言えるでしょう。
◆多くが何らかの対策を講じており、4割が研修を実施
ウェブサイトやアプリのユーザーサポート等を行うアディッシュ株式会社が、2018年12月に行った調査によれば、ソーシャルリスク対策について「未実施、今後も実施なし」と回答したのは5.2%で、多くの企業が対策を行っています。
具体的な内容を実施率で見ると、
①「研修の実施」39.1%、
②「ガイドラインの作成」37.2%、
③「マニュアルの作成」30.9%が上位に入っています。
従業員数別に見ると、100人以上300人未満の研修の実施率が50%であるのに対し、100人未満では19.1%と、十分な対策が取られていない可能性があります。
◆雇入れ時に自筆の誓約書を書かせるのも有効!!
人事コンサルタントの増沢隆太氏によれば、研修の実施や朝礼時の啓発を継続的に行うとともに、雇入れ時に「バイトテロ」を起こした場合の損害賠償を約束させる「誓約書」すべて手書きしてもらうのが望ましいようです。
例えば、必要となる清掃や消毒、商品の廃棄や交換、休業補償などを加害者の負担で行うことを明文化するものです。
用意された誓約書にサインさせるのではなく、従業員自身に「内容を手書きさせる」ことが「バイトテロ」の行為のリスクを自覚させるのに有効だということです。
◆未実施の場合は早急に対策の検討を!
不適切動画を投稿した本人による「せいぜいクビになるだけ」という趣旨の発言が報道にもありましたが、不適切動画の投稿はスマートフォン1台あれば簡単にできます。
投稿する従業員自身も社会問題に発展しかねないリスクだと自覚していない可能性があります。新入社員だけでなく、他の従業員も研修の実施を検討してはいかがでしょうか。

ス ポ ッ ト 情 報●介護保険料算出ミス追加負担も(4月5日)
厚労省は4日、介護保険料の算出に誤りがあったため2019年度に徴収すべき保険料総額が本来より約200億円不足する可能性があることを発表。厚労省所轄の「社会保険診療報酬支払基金」が加入者(40~60歳)の数を誤ったためとしている。厚労省は徴収を担う健康保険組合などに追加拠出を求めており、保険料の引上げを迫られる可能性がある。
●職業紹介事業者2020年春から労働法違反の求人拒否も(4月5日)
厚労省は2020年3月から、悪質な企業による採用を防ぐため、職業紹介事業者が労働法令に違反している企業の求人を拒否できるようになる。具体的には、過去1年間に2回以上、労働基準法や最低賃金法に違反して是正勧告を受けたり送検されて企業名が公表されたりすると拒否される。職業紹介会社のほかハローワークも対象。2017年の改正職業安定法で悪質な企業の求人を拒める規定が盛り込まれたが、具体的な開始時期や内容が決まっていませんでした。
●厚生年金未加入推計156万人(4月5日)
厚労省の調査により、厚生年金に加入する資格があるのに未加入になっている労働者が推計156万人に上ることがわかった。2017年10月から2018年3月にかけて、国民年金第1号被保険者から抽出調査した結果をもとに推計したもの。約3年前の前回調査から44万人減ったものの、未加入労働者は相当数あり、企業が保険料の負担を避けるために加入逃れをしているケースが多いとみられる。
●建設業外国人受入れで監督機関(4月1日)
国交省は、「特定技能」による外国人受け入れが始まるのを受け、建設業で働く外国人の労務管理を徹底するため、日本建設業連合会や全国建設業協会などの業界団体とともに専門機関である「建設技能人材機構」を設立した。機構は適切な技能を備えた人材の確保と受け入れ企業の監督を行う。海外の教育機関と提携し、人材育成から試験・選考までを実施し、作業員に配るICカードで技能の資格や経験をデータとして一元管理する仕組み等も設ける。
●改正入管法施行(4月1日)
4月1日、新在留資格「特定技能」を創設した改正出入国管理・難民認定法が施行され、法務省の外局として出入国在留管理庁が同日発足した。
●技能実習生 2018年の失踪9,052人、6年間で死亡者171人も(3月30日)
法務省は外国人技能実習制度に関する調査結果として、2018年に日本で失踪した外国人技能実習生が過去最高の9,052人だったことを発表した。また、2012年~2017年の6年間に、事故や病気などで亡くなった実習生が171人に上ることも公表した。
●所定内給与30万6,200円と過去最高に(3月30日)
厚労省が3月29日に発表した2018年の賃金構造基本統計調査によると、フルタイムで働く労働者の所定内給与(月額)の平均が30万6,200円(前年比0.6%増)と過去最高となったことが分かった。ただし男女間の格差、非正規・正社員との格差は拡大した。
●求人募集に受動禁煙対策明示の義務化(3月28日)
厚労省は、求人募集を出す際、企業が講じている受動禁煙対策を明記するように義務付けると発表した。改正健康増進法の全面施行に合わせ、2020年4月から適用となる。
●不法就労で強制退去1.6万人(3月28日)
法務省は27日、2018年に出入国管理法違反で強制退去となった外国人が1万6,269人(前年比2,583人増)に上ったことを発表した。全体の6割が不法就労であったという。
●在留カード番号 届出義務化へ(3月23日)
厚労省は、外国人を雇用した事業主が厚労省に提出する「外国人雇用状況の届出」に、在留カード番号の記載を義務付ける方針を固めた。4月からの外国人労働者受け入れ拡大に伴い不法就労を防ぐことが狙いで、2019年度中の運用改正を目指す。

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