経営労務情報 平成31年(2019年) 1月号

あけましておめでとうございます。
新しい年がよい年になりますよう皆様のご活躍とご健康を心よりお祈り申し上げます。本年もよろしくお願いいたします。

お知らせ◆4月から労働基準法が変更
有給休暇の5日消化の義務化、残業時間の上限設定など労働基準法が大きく変わります。お客様へは詳しくご説明いたします。
◆労働基準監督署調査が変更。
障害を残すような「労災事故」が発生すると監督官が突然会社に来ます。以前は事故原因のみの確認で終わりましたが、昨年ぐらいから、同時に「総合調査」を行う監督署がでてきました。残業単価・労働時間などいろいろ細かく確認され指摘してきます。突然きても「忙しい」と伝え、後日来てもらうことも可能です。お客様へは全てこちらで対応いたします。けがをしない安全策も重要です。
◆住所の変更をお知らせください。
年末調整の際、従業員さんの住所が変わっていましたらご連絡ください。協会けんぽの保険証裏の住所は各自で修正してください。
◆外国人受入が拡大
外国人を採用されるお客様が増えています。社会保険、雇用保険の手続きも変わり、ご用意いただく書類も増えています。スムーズな申請に心がけますのでご協力お願いいたします。
◆インフエンザの感染拡大中
乾燥が続き感染が拡大しています。手洗い・うがいなどの徹底と、早期の受診をおすすめします。回復が格段に早まります。

「チームの雰囲気」が社員の満足度やモチベーションにどう影響するか?ビジネスマンは今の職場に満足しているのか。「チームの雰囲気」が働く人の満足度やモチベーションにどう影響しているのか。㈱日本能率協会総合研究所のアンケート調査(第9回「ビジネスパーソン1,000人調査」【理想のチーム編】調査期間:2018年9月28日~10月9日
◆あなたは現在所属しているチームの雰囲気に満足していますか?
現在の職場のチームの雰囲気に「満足」している人は半数を超えました。(とても満足:10.9%、やや満足:43.6%)ただし20代、60代の約6割が満足している一方、50代と非正規従業員では過半数が満足してない結果でした。
満足の理由は「困ったときに助け合うから(39.6%)」、「自分なりの創意工夫で仕事を進めることができるから(27.2%)」、「互いに情報を共有したり学びあったりしているから(22.2%)」、「期待されている役割が明確であるから(18.2%)」となっています。
一方、満足していない理由は、「フェアな評価がなされていない(24.0%)」、「困ったときにも互いに助け合うことがない(21.8%))、「互いに本音を話せない(21.3%)」となっています。
満足している人と満足してない人の比較では、「職場のチームリーダーはチームの雰囲気を良くすることができているか」について、満足している人は「できている」と6割が回答、満足してない人は「できてない」と5割が回答。
チームの雰囲気に満足している人は良好な人間関係を魅力と感じる傾向が強いようです。
◆上司から言われて嫌だと思う一言は?
「上司から言われて嫌だと思う一言は何ですか」という質問では、
1位 「使えないな!」(33.8%)
2位 「そんなこともできないのか?」(32.6%)
3位 「余計なことをするな」(23.4%)
続いて、
「上が言っているんだから、やれ」(21.5%)
「やる気があるのか?」(16.5%)
「自分で考えろ」(11.5%)
「聞いてないぞ」(10.8%) でした。
◆上司から言われてやる気がでる一言は?
1位「ありがとう」(35.1%)
2位「よくやった」(23.9%)
3位「頑張ってるね」(19.8%)
他には、
「いいアイデアだ」(17.5%)
「おつかれさま」(17.4%)
「あなたにしかできない」(17.1%)
「期待しているよ」(16.0%) が続きました。
上司による感謝とねぎらいの声かけが従業員のモチベーションアップにつながるようです。

本年4月より労働基準法が改正~5つのポイント~「働き方改革」という理由で労働基準法が変わります。ポイントを5つお知らせします。
・・・・お客様へは個別にご説明いたします・・・・
◆ポイント① 有給休暇の取得義務化
有休が年間10日以上となる対象者は、年間5日の消化が義務づけられます。4月から全企業が対象です。消化できない企業は困ったことに罰則の対象となります。
従業員の希望を聞き、有休を5日決めて休ませることになります。または従業員と協定を結び、有休5日を指定することもできます。
ほぼ毎年5日以上使っている、病気などで結果として5日使った場合なども消化したことになります。

◆ポイント② 残業時間の上限が設定
残業の上限時間が法律となります。原則として1月45時間以内、1年間360時間以内となります。特別な事情がある場合(特別条項)として、単月100時間以内(2~6ヶ月平均80時間以内・休日出勤含む)、年間720時間以内となります。上限を超えると罰則の対象となってしまいます。ただし、建設業、運送業、医師などはまだ適用されません。

◆ポイント③ 同一労働、同一賃金
非正規雇用(パート、アルバイトなど)と正規雇用の間の不合理な待遇差を解消する必要があります。また有期雇用の従業員と無期雇用の従業員(正社員を含む)が、同じ職場で同じ業務をしている場合も格差を解消する必要があります。ただし「仕事の質・内容」や「責任の重さの違い」等があれば待遇に差があったとしても問題はありません。
◆ポイント④ 勤務間インターバル制度
インターバルとは、退社時間から翌日の出社までの時間をいいます。例えば、退社から翌日出勤までに11時間以上空ける制度とした場合では、残業した翌日の出勤時間を遅らせるケースもでてきます。これは長時間労働による健康被害を避ける制度です。
◆ポイント⑤ 高度プロフェッショナル制度
高度で専門的な知識を持つアナリスト、プログラマー、コンサルタントなどの職種で、年収1,075万円超の場合、希望者を対象とし、裁量労働制(仕事のやり方や時間配分を本人の裁量に任せる制度)として労働時間の管理をしない制度です。残業代が発生しません。
年間104日以上の休日、4週間で4日以上の休日と健康確保措置が必要になります。

過去最多を記録「人手不足倒産」~帝国データバンク動向調査より◆「人手不足倒産」とは
帝国データバンクが全国約1万社の調査回答を集計した。(2018年9月)
正社員不足の企業は全体の51.7%、1年前の同調査(48.2%)に比べ増加しました。
従業員の離職や採用難などで収益が悪化し倒産(個人事業含む、負債1,000万円  以上、法的整理)を「人手不足倒産」と定義し、過去5年半の集計と分析をした。今回は2018年度上半期(2018年4~9月)の結果。
◆倒産件数・負債総額
2018年度上半期の人手不足倒産件数は76件、前年同期(54件)より40.7%増加、2年連続で過去最多を更新。
一方、負債総額は110億4200万円、前年同期(191億2,900万円)より42.3%減少。
過去5年半の累計は、倒産件数447件、負債額946億9,500万円でした。
◆負債規模別
負債規模別の件数は「1億円未満」が45件、前年同期(22件)に比べ2倍。
5年半累計でも227件(構成比50.8%)と小規模倒産が過半数を占めていた。
「1~5億円未満」が上半期27件、5年半累計で179件(構成比40%)と、5億円未満の倒産が全体の90%以上を占めました。
◆業種別件数
2018年度上半期で最も件数が多かったのは、「サービス業」26件、次に「建設業」19件、「運輸・通信業」17件。
業種細分類別の過去5年半の累計では「道路貨物運送」38件、「老人福祉事業」27件、「木造建築工事」26件、「労働者派遣」21件、「建築工事」19件、「受託開発ソフトウエア」18件、「土木工事」15件でした。
◆都道府県別
都道府県別の5年半累計では、「東京都」の62件が突出して多く、次に「福岡県」34件、「大阪府」32件、「北海道」と「静岡」が並んで25件、「愛知県」22件でした。
昨年10月より最低賃金の全国平均26円引き上げ、運送費や原材料価格の高騰、企業環境が厳しさを増す中、「人手不足倒産」もさらに増加することが懸念されます。

外国人実習生の監督指導と技能実習制度の見直し◆外国人実習生に関する監督指導
入国管理法改正により外国人技能実習制度等の見直しが行われます。労働人口は少子化や人口減少により2030年までに最大で約900万人弱、2060年までには3,000万人弱も減少すると言われています。見直しは国が労働力不足対応としての在留資格見直しに大きく踏み出すことを意味しています。
「技能実習」について、実習生を受け入れる企業に対しての全国の労働局や労働基準監督署による監督・指導状況を厚生労働省が公表しました。
◆監督対象事業場・違反事業場は年々増加
平成29年は、実習実施者(企業)に対して5,966件の監督指導を実施、4,226件(70.8%)で法令違反が認められました。
主な違反は、労働時間(26.2%)、安全基準(19.7%)、割増賃金の支払(15.8%)、・就業規則(9.2%)、労働条件の明示(9.1%)などでした。重大ケースとして34件が送検されました。技能実習生の増加に伴って、監督指導も増え、違反件数増も予想されます。
◆違反の申告、通報もより活発に?
技能実習生から監督署などに法令違反の申告がされるケースもあります。技能実習生同士のつながりにより、賃金や割増賃金の不払い等の情報は広まりやすいと思われます。
こうした申告は、監督署だけでなく、各地の入国管理局へも行われ、それが監督等につながるケースもあります。違反等に対するペナルティとして実習生の受入れの停止等が行われますので企業活動に大きく影響します。
◆改正に伴う情報収集を
新しい制度が始まれば企業への監督等も厳しくなることが予想されます。また、労基法・安衛法関連だけでなく、技能実習制度自体に定められている報告や手続きについても、新制度の下で見直しが行われると思われます。
外国人雇用、技能実習生の受入れなどを検討する企業は情報に注意しておきましょう。

スポット情報●11月実質賃金1.1%増、渦中の毎月勤労統計で(1月9日)
厚生労働省が発表した「毎月勤労統計」(速報値)で、2018年11月の賃金が前年同月から1.1%増となった。同統計の調査手法に問題が判明している点については、影響などを「調査中」とする注釈を記載した。
●国民年金への加入は「職権適用」を原則に ~厚労省が検討 (12月30日)
厚生労働省は、若者の国民年金加入漏れを効率的に防ぐため、20歳になった人の加入時の手続きについて、年金機構が手続きを進める「職権適用」の仕組みを原則とするよう省令を改正する方針を固めた。2019年10月の切替えを目指す。従来通り市区町村で加入手続をすることもでき、学生納付特例の申請も窓口で受け付ける。
●「外国人労働者受入れ拡大」政省令案を公表 ~法務省(12月28日)
法務省は、外国人労働者の受入れを拡大する改正入管法の関連政省令案を公表した。「同じ業務に従事する日本人と同等以上の報酬を支払う」などの雇用契約基準、報酬額、行方不明者数の届出など受入企業の義務の内容等が盛り込まれている。1月26日まで意見公募を行ない、3月に公示する方針。
●高プロ運用ルールが決定(12月27日)
厚生労働省は、高度プロフェッショナル制度の運用ルールを盛り込んだ省令案と指針案をまとめた。対象者の年収は1,075万円以上、金融商品開発などの5業務を対象とし、企業側が出勤時間や仕事の具体的な指示をすることは原則禁止とする。また、企業は制度適用の際に1年ごとに本人の同意を得るのが適当と定めた。
●「特定技能」の詳細が決定(12月25日)
政府は、改正入管法による新しい在留資格「特定技能」の詳細を決定した。 平成31年4月からの5年間で約34万人を上限として外国人労働者を受け入れる方針。技能試験は4月から介護、宿泊、外食の3業種で実施し、残りの11業種は2019年度中に始める。また外国人との共生のための「総合的対応策」として、生活相談窓口を全国に100カ所設置する。
●社会保険適用拡大の議論開始(12月19日)
厚生労働省は、18日、働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会の初会合を開いた。2019年を目途に短時間労働者への適用範囲拡大を検討し、2020年の通常国会に法案を提出する方針。企業規模や月給の要件を引き下げる必要があるが、保険料の一部を負担する企業側の反発も強い。
●特定技能の外国人建設労働者の情報を一括登録義務化(12月16日)
国土交通省は、「特定技能」で働く外国人建設労働者の就労日数や内容、技能、社会保険加入状況、在留資格などを建設キャリアアップシステムに登録することを受入企業に義務づける。日本人労働者にも同様のシステムが適用されるため、技能に応じて日本人と同等の適正な賃金の支払いを促す。
●後期高齢者医療保険料の軽減特例を廃止(12月13日)
政府は社会保障費の伸びを抑えるため、後期高齢者医療の保険料を軽減する特例を2019年10月の消費増税と同時に廃止することを決めた。現在、低所得者の保険料は7割軽減されるが、収入に応じて8.5割から9割軽減される特例がある。消費増税による増収分を使った低所得者の介護保険料軽減や低年金者への給付を実施することで、特例廃止による負担増の相殺を見込むが、それでも負担が増える人には別途財政支援を検討する。

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