経営労務情報 令和3年(2021年) 7月

お知らせ◆コロナ感染対策と熱中症対策が重なる2度目の夏を迎えます。外作業や工場内での「熱中症」にはくれぐれもご注意ください。本格的な夏が訪れる前に色々な対策をご検討ください。
◆7月は4月から6月に支払う給与の届出月です。この届出で今年10月支払の給与から1年間の社会保険料が決まります。この間の給与が高いと保険料が増えます。
◆7月は「労働保険料」の納付月です。
現金納付は7月12日ですが、口座振替は9月6日になり、2期・3期の振替えも現金納付より遅くなります。
◆雇用調整助成金について
コロナ感染の「雇用調整助成金」は、8月まで延長が決まりました。ご不明な点はご連絡ください。

緊急事態宣言下でも企業の約37%が正社員不足
~帝国データバンク調査~
帝国データバンクは2021年4月に調査した「人手不足に対する企業の動向調査」の結果を発表しました(調査対象は全国 2万3,707 社、有効回答企業数1万1,003 社、回答率 46.4%)。
依然として雇用継続に苦慮している企業がある一方で、堅調な回復から人手が不足している企業もあり、企業の動向に二極化が表れていることがわかりました。
◆正社員の「不足」は37.2%。前年同月より増加も、2年前と比較すると大幅に低下
正社員が不足していると答えた企業は37.2%(前年同月比6.2 ポイント増、2年前比 13.1ポイント減)でした。
業種別では、「メンテナンス・警備・検査」と「教育サービス」(ともに「不足」55.6%)が最も高いという結果でした。以下、「建設」(54.5%)、「情報サービス」(54.1%)、「農・林・水産」(53.5%)、「自動車・同部品小売」(50.0%)が5割台と上位で続いています。
◆非正規社員(パートなど)の「不足」は 20.6%。業種では「飲食店」が唯一5割
非正規社員不足の企業は、20.6%(前年同月比4.0 ポイント増、2年前比11.2 ポイント減)でした。業種別では、「飲食店」が50.0%でしたが、2年前(78.6%)と比較すると、人手不足の割合は大幅に低下していました。次いで、「教育サービス」(46.2%)、「各種商品小売」(45.2%)、「メンテナンス・警備・検査」(42.8%)が4割台でした。
◆抜本的対策を講じなければ、人手不足は再拡大の傾向
企業の人手不足感は高まっているものの、新型コロナ以前と比較するとやわらいでいます。
ただ、新型コロナという非常事態によって人手不足は大きく低下したにもかかわらず、この調査からは依然人手不足感をもっている企業は多いという結果がわかりました。

シニア人材の処遇の不透明さは若手社員の流出につながる
~パーソル総合研究所 調査~
◆法令対応以外にも重要なことがある
改正高年齢者雇用安定法が4月1日に施行され、70歳までの就業確保を努力義務とする規定が盛り込まれました。パーソル総合研究所が行った「シニア人材の就業実態や就業意識に関する調査」からは、法令対応以外の対策も、経営にとって重要であることがわかります。
◆定年後の再雇用「年収」と「職務」の変化
定年後の再雇用で、年収が50%程度下がった人は22.5%、50%より下がった人は27.6%と約5割の人は半分以下になり、約9割の人が定年前より年収が下がっていた。(平均では44.3%減)以下の職務変化も「年収の変化」とおおむね似た傾向でした。
●定年前とほぼ同様の業務=55.0%
●定年前と同様だが業務範囲・責任が縮小した=27.9%
●定年前と関連するが異なる業務=8.1%
●定年前とは全く異なる業務=9.0%
シニア人材ついて考える参考となります。
◆シニア人材に対する会社の対応と、若手社員に与える影響
結果からは、若い世代ほどシニア人材は「給料をもらいすぎだ」「成果以上に評価されている」と思い(いずれも20代社員では約3割)、不公平を感じています。
また、シニア人材の役割や仕事を明確にせず「孤立した状況」にある会社では、転職意向を持つ若手社員が、そうでない会社に比べて2倍以上多く、この傾向は20代、30代、40代のどの年齢層でも同様でした。
◆シニア人材への教育・研修が不十分
シニア人材への教育・研修を
「していない」が50.7%、
「しているが充実していない」が9.8%。
「しており充実している」は19.5%でした。
労働力人口が減少する中で、シニア人材への対応をきちんと考えることが重要です。

2021年度賃上げの実態
~東京商工リサーチアンケート~
◆2021年4月1日~12日にネットによる調査を実施
(資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人事業を含む)を「中小企業」と定義)
◆賃上げ実施率
回答企業8,235社のうち、「実施する」は66.0%で、前年比8.5ポイント上昇
・実施する企業の産業別割合(高い順)
①製造業71.9%、
②建設業67.4%
③卸売業66.9%、
最下位は不動産業の46.2%。
・規模別では、大企業が74.1%に対し、中小企業は64.8%(中小企業で70%を超えたのは製造業だけ)
◆賃上げの内容
賃上げ内容については、「定期昇給」が83.6%、「ベースアップ」が28.7%、「賞与(一時金)の増額」22.4%。
◆賃上げ率
最多は「2%以上3%未満」の26.6%。
次いで「1%以上2%未満」の24.0%。
賃上げに慎重な企業が多いものの、半数以上が賃上げをする傾向でした。
今後は厳しい企業と余力のある企業との二極化がさらに進むことが懸念されます。

令和2年の労働災害発生状況◆死亡者数は3年連続過去最少、
令和2年の労働災害は、死亡者数は802人(前年比43人減・5.1%減)と3年連続で過去最少でしたが、休業4日以上の負傷者と死者数の総数(以下「死傷者数」)は131,156人(前年比5,545人増・4.4%増)と平成14年以降で最多でした。
◆死傷者数の傾向
最多の「転倒」が前年比943人増(3.1%増)、「動作の反動・無理な動作」が同1,412人増(8.0%増)で増加しています。
年齢別では、60歳以上が全死傷者数の約4分の1を占め、34,928人(前年比1,213人増・3.6%増)でした。転倒防止は、高齢者への重要課題といえます。

「最低賃金引上げの影響に関する調査」の集計結果
~日本商工会議所~
日本商工会議所と東京商工会議所から「最低賃金引上げの影響に関する調査」の結果が公表されました。
調査は、最低賃金が2016年から2019年まで4年連続で3%台(25円~27円)の大幅な引上げが行われてきたことを踏まえ、コロナ禍における中小企業の負担感や経営への影響等を把握し、今後の要望活動に活かしていくために実施されました。(2021年2月1日~22日までに全国の中小企業6,007社を対象、3,001社が回答し回答率:50.0%)
●昨年は全国加重平均額1円増だったが、その前は4年連続の大幅増で、現在の最低賃金額の負担感について、「負担になっている」(「大いに負担」と「多少負担」の合計)企業が過半数に達した(55.0%)。
●業種別では、コロナ禍の影響が大きい「宿泊・飲食業」が「負担になっている」と8割が回答した(82.0%)。
●最低賃金額が経営に影響したか、については「影響があった」(「大いに影響」と「多少は影響」の合計)と回答した企業が4割に達した(43.9%)。
●最低賃金額を「全国で一元化すべき」という考えについて、「反対」(「反対」と「どちらかと言うと反対」の合計)と回答した企業約8割に達した(78.0%)。
地方別では、Dランク(青森、岩手、秋田、 山形、福島、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)の企業が83.9%「反対」と回答しました。
●仮に今年の最低賃金が30円増となった場合「影響がある」と回答した企業は6割に達した(63.4%)。
●「影響がある」とした企業の対応策は、
「設備投資の抑制等」(42.1%)が最多、次に「一時金を削減する」(28.4%)、
「非正規社員の採用を抑制する」(24.9%)との回答だった。
※最低賃金の大幅な引上げは、設備投資による生産性向上の阻害要因になることに加え、賃金増に必ずしも直結しないことや採用の抑制につながることが分かります。

令和2年「高齢者の雇用状況」
~厚労省調査より~
◆65歳雇用を調査した令和2年「高年齢者の雇用状況」(2020年6月1日現在)を公表(従業員31人以上の企業164,033社)。
◆定年の引上げ、65歳定年企業が増加
・「定年制の廃止」4,468社、2.7%(前年同比は変動なし)
・「定年の引上げ」34,213社、20.9%(同1.5ポイント増)
・「継続雇用制度の導入」125,352社、76.4%(同1.5ポイント減)
・「65歳定年企業」30,250社、18.4%(同1.2ポイント増)
大企業、中小企業ともに増加しています。
◆4月1日からは70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務へ
・「66歳以上も働ける制度のある企業」は54,802社、33.4%(同2.6ポイント増)
・「70歳以上も働ける制度のある企業」も51,633社、31.5%(同2.6ポイント増)
2025年4月には、全企業に65歳までの雇用確保が義務となります。

スポット情報●中小3割、夏季賞与「増額」(6月18日)
人材サービス大手、エン・ジャパンが中小企業を対象にした調査では、2021年度の夏季賞与を支給する企業のうち、28%が前年から「増額予定」とした。コロナ禍の長期化に対する懸念が和らぎ景況感回復への期待からボーナスを増額する傾向にはずみがついたようだ。
●派遣時給、5月0.6%高 三大都市圏、IT系は最高額(6月18日)
エン・ジャパンが発表した5月の派遣社員の募集時平均時給は三大都市圏(関東、東海、関西)で前年同月比0.6%(9円)高の1594円だった。IT系は前月の過去最高額を更新した。コロナ禍でデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速し、時給水準を押し上げた。
●雇用調整助成金特例措置延長(6月17日)
厚労省は7月末までの期限としていたコロナウイルス感染拡大に伴う雇用調整助成金の特例措置を8月も延長する。措置内容に変更はなく同じ措置を続ける。9月以降の扱いは7月中にも判断するとしている。
●中小企業のコロナ一時支援金、余る見込み(6月15日)
国が中小企業や個人事業主に最大60万円を支給する一時支援金給付が、予算の2割にとどまっている。6,550億円の予算に対し、6月10日までの支給件数は約31万件、1,259億円。申請自体も約55万件(6月10日現在)で、全申請後も予算が余る見込み。売上高が50%以上減る等の厳しい要件が一因のようだ。
●6月1日時点の大卒内定率 過去最高(6月8日)
2022年春卒業予定の大学生らの就職内定率が6月1日時点で71.8%だったことが就職情報会社の調査結果で明らかになった。前年同期比を7.8ポイント上回り、現行の就活ルールとなった2017年卒以降、過去最高。インターンシップなどで採用が早期化していることも要因とみられている。
●来春卒業予定大学生らの採用選考が解禁(6月1日)
2022年春に卒業予定の大学生・大学院生を対象にした採用選考が解禁された。コロナ禍で2年目となり、ウェブ面接による選考も定着するなか、最終面接のみ対面で実施する企業も出てきている。今年はコロナ禍での停滞はみられず、解禁前にすでに内定を出している企業も多い。
●残業時間13.7%減、過去最大の減少幅。給与総額も8年ぶり減少(5月29日)
厚労省が28日に発表した2020年度の毎月勤労統計調査で、正社員の所定外労働時間が前年度比13.7%減、パート労働者も21%減で、1993年の調査開始以来最大の減少幅となった。飲食業や生活関連サービスでの減少が著しく、新型コロナによる休業や時短営業の影響によるとみられる。また、労働者1人あたりの平均賃金を示す現金給与総額は31万8,081円で同1.5%減となり、8年ぶりに減少に転じた。
●マイナンバー連携進まず19年実績は想定の5.5%(5月26日)
国のマイナンバー情報連携システムについて、2019年の利用実績が想定の5.5%(約6億4,700万件の利用想定のところ、実績3,600万件)にとどまることが会計検査院の調査でわかった。また個人情報の監視システムが事実上機能していなかったことも判明。
●介護保険料が初の6,000円超(5月15日)
厚労省は、65歳以上が支払う介護保険料が、4月から全国平均で月6,014円になったと発表。介護保険料は3年ごとに見直し、要介護者などの増加により上昇が続いている。4月の改定では全国平均が改定前の5,869円から145円上がり、上昇率は2.5%。制度が始まった2000年度の2,911円から約20年で約2.1倍の水準となった。

経営労務情報 令和3年(2021年) 4月

お知らせ◆健康保険料・介護保険料が変更されます。
3月より協会けんぽの保険料が増額されます。保険料は「4月に支払う給与」からご変更ください。
(以下は本人負担率です)
     健康保険 = 4.955 %
     介護保険 = 0.9   %
健康保険+介護保険 = 5.855 %
◆4月から6月に支払う給与にご注意を
4月から6月に支払う給与の「平均額」で、9月(10月払いの給与)から1年間の社会保険料が決まります。残業等の増加で給与が増えると結果として社会保険料が増えてしまいます。
◆コロナ感染にご注意を
マンネリ化しそうですが、社内の感染拡大を防ぐため、基本対策と、手洗い、マスク着用、消毒用アルコール使用などをお忘れなく。
発熱時のPCR検査は公費で受けられます。いざという時に備えて検査可能なお近くの病院を探しておくのも重要です。
◆4月は入社・異動が増加
この時期は入社や異動の申請が多く新しい「保険証」の発行が遅れます。

コロナ禍でも「社長就任後10年未満の企業」の約6割は直近期黒字
~日本商工会議所調査~
 「事業承継と事業再編・統合の実態に関するアンケート」の調査結果を3月5日公表。
調査は2020年8月17日~9月25日に各地商工会議所の会員企業14,221件で実施され4,140件の事業者が回答。
◆事業承継の現状とコロナ禍の影響
後継者の決定状況は「経営者年齢が60歳以上の企業」で約半数が決定済みで、一方後継者不在の企業が約2割を占めました。
同族経営が多数を占める中小企業では、親族内承継が8割近くを占め、一方親族外承継も徐々に増加し、2000年代は約1割、2010年以降では約2割でした。
また経営者の在任期間別の利益状況では「社長就任後10年未満の企業」の約6割は直近決算が黒字、「社長就任後30年以上の企業」はコロナ禍で赤字を見込む割合が最も多く、若返りの活性化によりコロナ禍でも業績を上げている傾向があります。
◆事業承継の課題
事業承継への障害と課題は「後継者への株式譲渡」が最も多く約3割を占め、株式譲渡の障害は、「譲渡の際の相続税・贈与税が高い」が約7割、「後継者に株式買取資金がない」が約6割となっていました。
◆事業再編・統合(M&A)
「過去に買収を実施・検討した企業」は全体では約15%、「売上高10億円超の企業」で見ると「買収を実施・検討した企業」は約4割を占めました。買収先では後継者難が深刻化している小規模企業(従業員20名以下)が約7割を占め、M&Aが後継者不在企業の事業継続の受け皿となっていることがわかります。買収目的では、「売上・市場シェアの拡大」が約7割、続いて「事業エリアの拡大」が約4割。買収目的・期待効果の達成度は、「概ね達成した」が約半数を占めており、中小企業の事業拡大にM&Aが功を奏していることがわかります。

2度目の緊急事態宣言で人手不足の企業は減少
~帝国データバンク調査~
◆1月18日~31日にかけて全国の2万3,695社を対象に調査を実施し、1万1,441社(48.3%)から回答を得ました。
◆正社員不足は建設、情報サービスで高い
正社員が「不足」している企業は35.9%となり、コロナ禍直前の2020年1月から13.6ポイント減少し、1月としては2014年(36.6%)とほぼ同水準まで低下しました。「適正」と回答した企業は46.5%で同5.6ポイント増加。「過剰」と回答した企業は17.6%で同8.0ポイント増でした。
「不足」企業の業種別では「放送」が56.3%、公共工事が好調な「建設」が54.6%、IT人材不足の「情報サービス」が53.3%、「自動車・同部品小売」が51.8%、などが5割台でした。「電気通信」は44.4%でした。
◆月次では、2021年1月に再び減少
月次推移は、宣言解除1度目の昨年5月以降、人手不足割合は緩やかに上昇傾向にあったものの、再び出された2021年1月は減少となりました。
◆非正社員の人手不足は19.1%、
「電気通信」は51業種中で唯一の前年同月比増加、非正社員が「不足」していると回答した企業は19.1%となり(前年同月比10.1ポイント減)、1月としては2013年(16.4%)以来、8年ぶりに2割を下回りました。「適正」は65.3%(同3.4ポイント増)、「過剰」は15.5%(同6.6ポイント増)となりました。
◆「飲食店」の人手不足割合は大幅に減少、「旅館・ホテル」は過去最低に
「GoToキャンペーン」の利用が広がった2020年10月、11月を山にして、2度目の宣言の発出や「GoTo」の一時停止も加わり、2021年1月にかけて更に減少しました。

コロナ禍による働き方の変化と求職者の企業選びへの影響
~エン・ジャパン調査より~
◆変化を余儀なくされた働き方の概念
二度の緊急事態宣言などで「出社して働く」という働き方も変化しています。
◆企業選びにも変化が
エン・ジャパン株式会社が『エン転職』のユーザーを対象に実施した「コロナ禍での企業選びの軸の変化」に関するアンケートによれば(回答:11,536名、調査期間:2020年11月26日~2021年1月26日)、4割が「コロナ禍で企業選びの軸が変わった」と回答しました。特に重視する企業選びは上位から「希望の働き方(テレワーク・副業など)ができるか」(42%)、「企業・事業に将来性があるか」(38%)、「勤務時間・休日休暇・勤務地が希望に合うか」(35%)となり、年代別では「希望の働き方(テレワーク・副業など)ができるか」(20代は47%、30代は47%、40代以上は35%)、「経験・スキルが活かせるか」(同、8%、11%、18%)となりました。
◆考え方の変化にも関心を持つことが必要
柔軟な働き方の導入は、多くの労働者にとってメリットとなっています。
オンライン授業を経験している大学生も多くなるこれからの採用活動では、柔軟な働き方を導入していない企業イメージが悪化しそうです。

勤続年数の長期化を見すえた人事制度を考えるために◆人生100年時代
独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った「人生100年時代のキャリア形成と雇用管理の課題に関する調査」を実施。
◆管理職へ昇進できない社員の処遇
中小企業では「昇進・昇格がなく勤続」は77.9%と最も高く、「管理職相当の専門職とする」34.4%、「管理職相当の社員格付とする」30.5%と続き大企業も同様でした。
◆キャリア形成の人事制度とその効果
目標管理制度やキャリア面談等の人事制度について、39歳までの若年層では「メンター制度」が特に効果的という結果でした。
60歳以上では全般的に制度導入効果が低く、特に自己申告制度などは若年層と比べて効果が薄く逆効果になる場合もありましたが「社会貢献参加」制度は効果がでました。ボランティア活動などの人材育成効果は、社会の価値観に触れる機会(69.5%)、社外ネットワークの拡大(48.6%)、新しい視点の獲得(37.0%)などで、大企業も中小企業も同様の傾向です。
◆改正高年齢者雇用安定法が4月1日に施行され、従業員の70歳までの就業確保を努力義務とする規定が盛り込まれます。

2020年「休廃業・解散企業」の動向
~東京商工リサーチ調査~
◆昨年に休廃業・解散(倒産以外で事業活動を停止)した企業は4万9,698件(前年比14.6%増)で、2000年の調査開始以降で最多を更新。
休廃業・解散した企業の従業員は、12万6,550人(同26.4%増)で、2年ぶりに増加。コロナ感染拡大による景気の悪化や、政府や自治体からの支援があっても事業の継続をあきらめる企業が増加しました。
一方、国の支援やコロナ対策融資等によって昨年の倒産件数は7,333件(同7.2%減)と2年ぶりに減少しました。
◆業種別では?
 業種別では飲食や宿泊を含む「サービス業他」が1万5,624件(前年比17.96%増)と最も多く全体の31.4%を占め、次いで、建設業が8,211件(同16.85%増)小売業が6,168件(同7.29%増)となりました。
◆事業承継も課題
 代表者の年齢別では、70代が最も多く41.7%で、60代以上が全体の84.2%を占め、代表者の高齢化、後継者難に加えコロナ禍による理由も多いと考えられます。
◆今後も事業継続をあきらめ休廃業・解散する企業は増えることが懸念されます。

令和2年「高齢者の雇用状況」
~厚労省調査より~
◆65歳雇用の実施状況などを集計した「令和2年「高年齢者の雇用状況」」(2020年6月1日現在)を公表(従業員31人以上の企業164,033社)。
「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置  (高年齢者雇用確保措置)のある企業は164,033社、99.9%(前年同比0.1ポイント増)でした。
◆定年の引上げ、65歳定年企業が増加
・「定年制の廃止」4,468社、2.7%(前年同比は変動なし)
・「定年の引上げ」34,213社、20.9%(同1.5ポイント増)
・「継続雇用制度の導入」125,352社、76.4%(同1.5ポイント減)
 継続雇用制度の導入による企業が多いのがわかります。
・「65歳定年企業」は30,250社、18.4%(同1.2ポイント増)
大企業、中小企業ともに増加しています。
◆4月1日からは70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務へ
・「66歳以上も働ける制度のある企業」は54,802社、33.4%(同2.6ポイント増)
・「70歳以上も働ける制度のある企業」についても51,633社、31.5%(同2.6ポイント増)
2025年4月には、全企業に65歳までの雇用確保が義務となります。

スポット情報●健康保険証代わりにマイナンバーカード
試行運用開始(3月5日)
厚労省は、健康保険証の代わりにマイナンバーカードを利用できるシステムの試行運用を開始。3月下旬の本格運用を目指し、全国19カ所の医療機関、調剤薬局で開始。
●1月の有効求人倍率 2カ月ぶり上昇(3月2日)
1月の有効求人倍率が1.10倍と2カ月ぶりに改善し、2020年6月(1.12倍)以来の水準となった。1月は緊急事態宣言が再発令されたことから、仕事を探す人が減ったことが背景にある。
●転職、転籍時のマイナンバ‐再提出不要に(2月24日)
政府は会社員が転職や転籍をした際に、新たな勤務先へマイナンバー情報を提出しなくても済むように制度を改め、従業員の負担軽減をはかる方針。マイナンバー法を改正し、従業員の同意のうえ新旧の勤務先同士で情報を移す。9月からの実施予定。
●ワクチン非接種で不利益扱いは不適切(2月20日)
政府はワクチン接種をしない者への不利益な取扱い(解雇、減給、配置転換、取引の中止など)について禁止する法令はないが不適切だとする閣議決定をした。
接種を採用条件にする、面接で接種の有無を聞く、取引先に接種証明の提出を求める等も不適切だとした。接種した人に報奨金を出すこと、店舗での割引優遇を行うことなど、接種しない人が極端に不利益にならない、差別とならないことが重要とした。
●出向を後押し 官民協議会設置(2月18日)
出向を促進する官民協議会「全国在籍型出向等支援協議会」が17日に発足し、出向を積極的に進める意向を表明した。厚労省や経産省、経団連、日商、全銀協、連合などが参加。厚労省が助成金や減税で出向を積極的に後押しする。
●デジタル給与支払 銀行口座を併用(2月16日)
解禁予定の給与デジタル払いについて、厚労省は銀行との併用を前提とし、制度設計とする方針。100万円超は銀行への振込みとする。デジタル払いでも銀行口座との併用を企業に求める。また労使の合意が前提で希望する従業員に限定する方針。
●雇用調整助成金の特例を6月末まで延長(2月12日)
政府は経営が厳しい企業とコロナ感染が拡大している地域の外食業などを対象に、雇用調整助成金の特例水準を6月末まで維持する方向性を示した。特例を一律で適用するのは4月末までとし、5月以降は企業の経営状態と地域の感染状況で差をつける。
●パートタイム労働者比率31.14%、初の低下(2月10日)
2020年のパートの比率が31.14%(前年比0.39ポイント減)となり、調査を始めた1990年以来初めて低下した(厚労省毎月勤労統計調査)。20年の非正規社員数は2,090万人で75万人減。コロナ禍で外食産業などがパートの雇用を一気に減らしたことが影響した。
●コロナ禍による業績悪化で給与総額減(2月9日)
2020年12月の労働者1人当たりの現金給与総額は前年同月比3.2%減の54万6,607円、月平均では前年比1.2%減の31万8,299円となった(厚労省毎月勤労統計調査)。リーマンショック翌年の2009年以来の下げ幅となった。

経営労務情報 令和2年(2020年) 12月

お知らせ◆賞与の社会保険料率にご注意ください。
(以下は本人負担率です)
     厚生年金 = 9.15 %
健康保険+介護保険 = 5.835 %
(健康保険4.94 %、介護保険0.895 %)
◆新型コロナウイルス感染の増加
感染防ぐために基本に沿った対策として、社内の換気を行ない、頻繁な手洗い、マスク着用、消毒用アルコールの使用と補充をお忘れなくお願いいたします。
◆インフエンザワクチンを接種しましょう。
感染予防にも効果的と言われています。接種費用の一部会社負担も可能です。
◆年末調整が始まります。
今年は給与所得控除、基礎控除、扶養控除などが変更されました。配偶者や扶養家族の収入の確認にもご注意ください。
◆本年も1年間、誠にありがとうございました。
新型コロナウイルスの1日も早い終息をお祈りします。年始の事故・ケガ等にお気をつけください。年末年始の休業は「29日(火)より新年6日(水)まで」です。

来年4月施行!70歳までの就労確保(努力義務)について◆これまでの高齢者雇用安定法(義務)
①60歳未満の定年禁止、
②65歳までの雇用確保措置、
前記②で定年が65歳未満の場合は、
㋑65歳までの定年引上げ、㋺定年制の廃止、㋩65歳までの継続雇用制度の導入(再雇用制度・勤務延長制度等)のどれかをする必要がありました。
◆70歳までの就業機会の確保(努力義務)
来年4月1日から、前記の義務に加え、以下の「努力義務」が新設されました。
①70歳までの定年引上げ
②定年制の廃止
③70歳までの継続雇用制度の導入
(再雇用制度・勤務延長制度)
④高齢者が希望するときは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤高齢者が希望するときは、70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
㋑事業主が自ら実施する社会貢献事業
㋺事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
④⑤は創業支援等措置(雇用でない措置)となり、過半数労働者等の同意も必要です。
◆注意点
① 70歳までは努力義務のため、定年引上げ、定年制廃止を除き、対象者の基準を設けて限定できます。
ただし基準は過半数労働者等の同意が望ましく、また事業主が恣意的に高年齢者を排除することは認められません。
② 継続雇用制度、創業支援等措置の場合は、「心身の故障のため業務に耐えられないと認められる」「勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ない」といった事項等を就業規則や就業支援等措置の計画に記載した場合は、契約をしないことが認められます。

来年4月施行!気になる「同一労働、同一賃金」の取組みと賃金の動向について◆「同一労働 同一賃金」とは?
同一企業内の「正社員」と「非正規社員」(有期雇用労働者、パートタイマー、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指し、基本給や賞与などについても待遇差を設けることが禁止されます。
また非正規社員から求められた場合には、正社員との待遇差の理由などを説明すること、更に聞いたことを理由に不利益取扱いをしないことが義務付けられます。
今年4月1日からは大企業と労働者派遣事業者について適用され、中小企業は 来年4月から適用となります。
◆企業と労働者の反応
11月6日に提出された「令和2年度 年次経済財政報告」では、
①「正社員と比較して業務の内容等が同じで納得できない」と回答したパートタイマー・有期雇用労働者の割合は、
「賞与」37.0%、
「定期的な昇給」26.6%、
「退職金」23.3%、
「人事評価・考課」12.7%
② 企業の取組みの実施率は、
「業務内容の明確化」35.2%、
「給与体系の見直し」34.0%、
「諸手当の見直し」31.3%、
「福利厚生制度の見直し」21.2%、
「人事評価の一本化等」17.7%、でした。
➂ 企業の課題としては、
「費用がかさむ」30.4%、
「取り組むべき内容が不明確」19.5%、
「社内慣行や風習の変更が難しい」18.7%、
「効果的な対応策なし、分らない」16.5%、
「業務の柔軟な調整」16.1%、でした。
◆対応に必要な費用の一部に助成金
キャリアアップ助成金は、キャリアアップ計画を提出して6コースから選んで非正規社員の待遇改善等を行う場合に助成が受けられます。助成金の利用も含めて対応にはしっかりとした準備が必要となります。

「中途採用者 比率」の公表来年春スタート◆「中途採用比率」の公表
来年度から中途採用者比率が公表されます。これは①求職者と企業側ニーズのマッチング、②新卒一括採用の見直し、③就職氷河期世代や高齢層の中途採用の拡大をめざすための施策です。9月の厚労省労働政策審議会で答申が行われ令和3年4月1日から施行予定です。
◆公表方法
対象は労働者数が301人以上の企業です。
雇用した「通常の労働者」及び「これに準ずる者」に占める「中途採用者」の割合を
・おおむね1年に1回以上、
・公表日を明示し、
・直近の3事業年度分の実績について、
・インターネットなど容易に閲覧できる方法で公表するとしています。
ここの「通常の労働者に準ずる者」とは、「短時間正社員」のことです。これは期間の定めがなく、通常の労働者と同等の待遇を受けるも、1週間の労働時間が一般より短い正社員のことです。
対象企業は注意が必要です。

「コロナ」 と 「整理解雇」◆予断許さず
新型コロナについては「指定感染症」からは外す方向で議論が進められています。  
しかし緊急事態宣言がなされてから痛手を負っている企業も多く、今後の景気回復も急激に良くなるとの予想はされていません。今後、倒産や解雇の増加という波が時間差でやってくるとも予想されます。
また、冬に向けて新型コロナ感染者のさらなる増加や、ウイルスの変異による感染力の増強、さらに別のウイルス等による感染症の発生なども考えられます。
今は何とか持ちこたえている企業でも、企業体力や今後の情勢によっては、コロナ禍による業績の落込みから、正社員の整理解雇等を検討せざるを得なくなるかもしれません。
いくら「コロナだから、緊急事態だから」と言っても、裁判例ではコロナによる業績の落込みは、天災地変等のやむを得ない事由ではなく、経営上の理由による解雇と扱われる場合がほとんどと思われます。  
正社員の整理解雇は、厳格な要件(要素)で判断されています。(整理解雇の4要素)
◆可能な限りの解雇の回避
この4要素の一つとして「解雇回避努力義務の実行」があります。
可能な限りの雇用確保(解雇せざるを得ない場合でも労働者の負担をなるべく軽減)が求められます。その後で、
・転勤・出向等による異動
・休業手当相当の退職一時金を支払い、
雇用契約を合意解約
・訴訟を考慮しつつ退職金の上積み等を 提案し退職勧奨
というような方策が考えられます。
◆就業規則等の確認を
こうした方策をとる前提として、一時帰休の際の賃金の扱い(休業手当相当額を減額する規定)、コロナ等の事態が発生した場合の整理解雇があり得ること等は、就業規則や個別労働契約に明記しておくことが重要となります。
コロナ等による整理解雇に備え、説明資料や説得資料なども、事前の準備が必要にもなります。質問等にしっかりと答えられるようまとめておくと、会社としての統一的対応が図れ、担当者の負担も減ります。

新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者)
  ~厚生労働省公表~
平成29年3月以降卒業の、新卒者の「就職後3年以内の離職状況」が、厚労省から公表されました。
◆学歴別、3年以内の離職率
【大 学 卒】合計32.8%、前年比+0.8P
(1年目11.6%、2年目11.4%、3年目9.9%)
【短大等卒】合計43.0%、前年比+1.0P
(1年目17.7%、2年目13.3%、3年目12.0%)
【高 校 卒】合計39.5%、前年比+0.3P
(1年目17.2%、2年目12.3%、3年目10.0%)
【中 学 卒】合計59.8%、前年比-2.6P
(1年目36.5%、2年目14.7%、3年目8.5%)
※ ハローワークへ、新規学卒者として雇用保険加入届が提出された者の、生年月日、入社日等、入社理由から学歴ごとに、新卒業者と推定される人数を算出し、さらにその離職日から離職者数・離職率を算出した。
3年目までの離職率は、1年目、2年目、3年目の離職率の合計(四捨五入)です。
◆事業所規模別、3年以内離職率
【 大学 】 ( )内は前年比
1,000人以上 26.5%(+1.5P)
500~999人 29.9% (+0.3P)    
100~499人 33.0% (+0.8P)    
30~99 人 40.1% (+0.8P)    
5~29 人 51.1% (+1.4P)    
5 人未満 56.1% (▲1.6P)
【 高校 】
1,000人以上 27.4% (+1.4P)
500~999人 32.5% (▲0.6P)
100~499人 38.1% (+0.5P)
30~99 人 46.5% (+0.5P)
5~29 人 55.6% (+0.2P)
5 人未満 63.0% (▲1.9P)
◆産 業 別、就職後3年以内離職率
離職率の高い上位5産業 ( )内は前年比
 【 大学 】 
宿泊・飲食サービス業 52.6% (+2.2P)
生活サービス業・娯楽業 46.2% (▲0.4P)
教育・学習支援業 45.6% (▲0.3P)
小売業 39.3% (+1.9P)  
医療、福祉 38.4% (▲0.6P) 
 【 高校 】
宿泊・飲食サービス業 64.2% (+1.3P)
生活サービス業・娯楽業 59.7% (+1.7P)
教育・学習支援業 55.8% (▲2.2P)
小売業 49.5% (+0.1P)
医療、福祉 47.0% (+0.5P)
※ 平均して高卒者の約4割、大卒者の約3割が、就職後3年以内に離職し、ここ数年は大きな変動は見られませんでした。

スポット情報●不妊治療助成制度「所得制限を撤廃」
今年度内に利用開始へ(11月19日)
政府は不妊治療への助成金制度の拡充について、所得制限を撤廃する方針を固めた。
助成額の増額や、治療回数の制限の見直す案を検討し、今年度内の利用開始を目指す。不妊治療の保険適用が実現するまで現行の制度を拡充して対応するとしている。
●大卒内定率69.8%、リーマン・ショック以来の下げ幅(11月18日)
来春卒業予定の大学生の就職内定率が、69.8%(10月1日時点)で前年同期比7.0ポイント減だった。(厚労省調査)
この時期に70%を切るのは5年ぶり、リーマン・ショック後の2009年(7.4ポイント減)に次ぐ下げ幅だった。
●行政手続き、存続83件を除き押印を廃止(11月13日)
河野改革相は、行政手続きに必要な1万4,992件の押印のうち、99%以上の廃止を明らかにした。認め印は全廃、実印を使う商業・法人登記や不動産登記の申請、相続税の申告など83件は存続となる方向。
来年の通常国会で一括法案を提出する。
●75歳以上の医療費、2割負担で
年平均3.4万増に(11月13日)
厚労省は、75歳以上の後期高齢者が支払う医療費の窓口負担割合を現行の1割から2割に引き上げた場合、1人当たりの自己負担額が年3.4万円増える(8.1万円→11.5万円)との試算を示した。政府は議論を踏まえ、年内に2割負担引上げの所得基準を決める方針。
●有給取得率が過去最高に(10月31日)
厚労省の就労条件総合調査で、2019年の有給休暇の取得率が56.3%(前年比3.9ポイント上昇)となり、過去最高となった。平均取得日数は10.1日で0.7日の増加。
●雇用調整助成金 
1月以降も特例延長 (10月29日)
政府は12月末まで延長していた雇用調整助成金の特例措置延長を来年1月以降も延長する方針を固めた。現行の特例措置は新型コロナ感染拡大を受けて1日当たりの上限額を約8,300円から1万5,000円に、中小企業向け助成率も3分の2から最大10割に引き上げるなどしている。
●福祉施設の労災1万人超(10月30日)
厚労省によると、特別養護老人ホームなどの昨年の労災による死傷者数が1万人を超え、1999年の統計開始以降、過去最多となったことがわかった。原因は、腰痛など「動作の反動・無理な動作」が34%と最多で、次いで「転倒」が33%。「交通事故」「転落」も多かった。60歳以上の占める割合が32%で、高年齢者の労災が目立った。
●就活 23年卒も現行通り(10月30日)
就活・採用活動の新ルールを検討する政府の「関係省庁連絡会議」は、2023年春卒業(現2年生)の大学生の採用日程について、現行通りとすることと決めた。
解禁日は会社説明会が「3年生の3月1日」、面接など選考が「4年生の6月1日」。

経営労務情報 令和2年(2020年) 9月

お知らせ◆最低賃金 が10月1日より1円上がり927円(愛知県)となります。
パートさんの時給確認と、基本給などの「時給換算額」が最低賃金以下でないかをご確認下さい。
◆年1回の社会保険料の「定期の変更」
10月に支払う給与から一人ひとりの保険料が変更されているかご確認ください。
本年は厚生年金の上限月額が変更されました。62万円上限が65万円に変更され
本人保険料は、月額2,745円増えます。
◆ 今年も厳しい 残暑 が続いています。
外作業、工場内の「熱中症」に十分ご注意ください。仕事に関係する「熱中症」は労災になってしまいます。

台風や秋雨前線に要注意!早めの防災対策を
◆防災対策の見直しは早めに!
例年9月は台風に加えて秋雨前線などの影響で雨量が増加し、土砂災害や河川の増水などに注意が必要となります。
この夏の大雨による被害も念頭に、改めて自社の防災対策について見直しておきたいものです。
◆企業が準備すべき物資と対策
一例として東京都では、災害時に従業員が留まることができるよう、勤務する全従業員の、3日分の水、食料、その他の必要物資(ヘルメット、毛布、ビニールシート、簡易トイレ、衛生用品、医療薬品、携帯ラジオ、懐中電灯、乾電池等)の備蓄を行うことが「努力義務」とされています。
水は1人1日3ℓ(3日で9ℓ)、食料(アルファ米、クラッカー、乾パン、カップ麺等)は1人1日3食(3日で9食)の用意が必要です。保管場所の確保も必要です。
愛知県ではこのような基準はありませんが、従業員が「会社に留まる場合の準備」「帰宅方法や帰宅ルートの確認」「家族との連絡方法」など、できる限りの対応と準備が必要になりそうです。

コロナ禍の人材派遣業界の最新動向◆コロナに起因する非正規雇用への影響
厚生労働省では、解雇等の可能性がある労働者のうち、非正規雇用の労働者(パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託等)は、7月31日時点では16,342人でした。
5月25日時点の同2,366人と比較すると約7倍の13,976人増加となりました。
解雇等の可能性がある労働者のうち、正規雇用の労働者は、7月31日時点では41,391人、5月25日時点の同16,723人、比較すると約2.5倍の24,668人増加と比べると、非正規雇用労働者の増加率が多いのがよくわかります。
◆厚労省も派遣労働者の雇い止めを注視
厚生労働省では、リーマンショック時の派遣労働の雇止め問題を受け、コロナ問題発生後、労使団体や派遣業界に対して雇用維持を図るよう、度々要請してきました。
7月末時点では、派遣契約更新の多い6月末は派遣契約の継続や新たな派遣先確保により、雇用維持ができている認識でしたが、この9月の更新時期では労働局において雇い止め等があれば、雇用安定措置の適切な履行あるいは雇用調整助成金の活用による雇用維持など必要な指導を徹底的に行いたいとしています。
◆令和3年度、一般労働者賃金額の公表延期
派遣労働者については、今年4月1日よりいわゆる同一労働同一賃金が求められています。
派遣労働者の待遇決定にあたり、労使協定方式を採用している場合、派遣元は派遣労働者の待遇を「同種の業務に従事する一般労働者の賃金」(以下、「一般労働者の賃金水準」という)と同等以上になるように、労使協定で定めることになります。
この一般労働者の賃金水準は、前年または前年度の統計調査等を活用し、毎年6~7月に示すこととされていますが、今年7月29日には令和3年度分の公表を延期することが明らかなりました。

組織と人を成長させる「1 on 1」ミーティング◆「1on1」ミーティングとは
働き方改革・テレワークの浸透などで、社内コミュニケーションの重要性が再認識されています。そこで注目されているのが、「1 on 1(ワンオンワン)ミーティング」です。これは上司と部下が1対1で行う面談のことです。
1回の所要時間は30分~1時間程度で、1週間や1か月ごとなど定期的に開催するのが特徴です。
話し合う内容は、現状の確認や、業務上の小さな気づきや困りごと、今後の目標、プライベートについてなどが多いようです。
人事評価のための面談とは異なり、その場で評価することはしません。定期的に対話を行うことで、上司と部下の関係性を深めながら、部下自身の気づき・成長を促すことが目的です。
◆どのような効果があるか
①部下の成長を促す
上司が問題や解決策を教えるのではなく、対話の中で部下が自ら気づくことを求めます。これで自らの課題について主体的に考え行動できるようにします。
②上司の成長を促す
上司の役割は、部下の考え・感情をくみ取り、適切な方向に導くことです。
聞く力を磨くことで、部下を育成する力を高めることができます。
③組織の成長を促す
上司と部下が信頼しあい、なんでも話せる組織を作ることができ、定着率の向上にも役立ちます。
テレワークなどは関係ない中小企業でも、飲み会や社内会話が減少している場合では様々な社内コミュニケーション方法の検討が求められそうです。

中途採用の「オンライン選考」の実態 ~エン・ジャパン~新型コロナウイルス感染が拡大する中、採用においてもWEBを利用したオンライン選考が進んでいます。
その実態について、エン・ジャパン株式会社が運営する転職サイト「ミドルの転職」を利用する転職コンサルタントのアンケート方式の調査結果が発表されました。
◆オンライン選考を導入するメリット
コンサルタントの9割がメリットと答えたのは①「面接地から遠隔にいる人とも面接をできる」という点です。
②「時間的にも効率的で、日本全国や世界規模で良い人材を見つけられる」
③「地方企業や大手企業の地方拠点にとってオンライン面接の恩恵は絶大」といった声が寄せられました。
◆オンライン面接の実施割合
「最終面接まですべてオンライン面接を実施している企業は何割程度か」の問いには、「8割以上」が15%、「7割~5割」が17%と回答し、5割以上最終面接までオンライン面接を実施しているが合計32%となりました。
また最終面接以外をオンラインで実施している企業は、「8割以上」が27%、「7割~5割」が32%と回答し、5割以上は合計59%でした。
一次面接のみオンラインで実施している企業は「8割以上」が35%、「7割~5割」が30%と回答し5割以上は合計65%でした。
◆採用企業がオンライン選考を導入しない理由として上位に挙げられたのは
①「直接会ってみたら印象が違ったという事例があった」(61%)
②「非言語情報がオンラインでは判断しづらい」(59%)
③その他の回答は「セキュリティに関する社内方針から」、「求職者側にネット環境が整っていない場合があるため」、「役員クラスは対面を希望する人が多く、その風習がある」ということでした。
◆オンライン選考で気を付けるべきこと
採用側としては「トラブル時の対応について求職者に事前に指示を出す」(58%)、「面接案内文に利用するツールの準備について明記をする」(52%)が上位で、その他「接続の不具合で開始予定時刻が大幅に遅れ、求職者の動揺を招いてしまったこと」「利用ツールの案内が遅く、面接時間に求職者側の準備が遅れたケースがある」といった内容でした。面接をスムーズに実施できるよう、情報を事前に周知しておくことが大切と言えそうです。。

マイナンバーカードを「健康保険証」に利用受付が始まりました来年3月からマイナンバーカードを「健康保険証」として利用できることになります。
◆メリットとデメリット
①就職・転職・引越をしても「健康保険証」としてずっと使える
②マイナポータルで「特定健診情報」や「薬剤情報・医療費」が見られる
③マイナポータルで確定申告の「医療費控除」ができる(来年分の確定申告から)
④窓口への書類の持参が不要になる
⑤マイナンバーカードを持ち歩くことになり紛失のリスクがある。
⑥健康保険証も持ち歩く必要がある。
◆使い方は?
オンライン資格確認が導入されている医療機関や薬局でマイナンバーカードをカードリーダーにかざして使います。
医療機関や薬局は、カードの顔写真で本人を確認します。医療機関や薬局が12桁のマイナンバーそのものを取り扱うことはなく、カードのICチップ内の利用者証明用電子証明書を利用します。
ただ、オンライン資格確認が導入されていない医療機関・薬局では、今までどおり「健康保険証」が必要です。

スポット情報●労基署の立入り調査 
半数が超過残業(9月9日)
厚労省は、全国の労基署が2019年度に立入調査した3万2,981事業所のうち、47.3%(1万5,593事業所)で超過残業を確認。「過労死ライン」の月80時間を超える残業を行っていたのは5,785事業所で37.1%(前年度比29.7ポイント減)
●7月求人倍率1.08倍 6年3ヶ月ぶりの低水準(9月1日)
厚労省が発表した7月の有効求人倍率は1.08倍となり、7カ月連続のマイナスとなった。同数値は2014年4月以来6年3ヶ月ぶりの低水準。新規求人数は前年同月比28.6%減で、業種別では、「宿泊業、飲食サービス業」「製造業」「生活関連サービス業、娯楽業」などの下落が目立った。
●新型コロナ、解雇・雇止め5万人(9月1日)
新型コロナの影響で解雇や雇止めになった労働者が、8月末時点で5万326人(見込み含む)となった。雇用形態別(5月25日~8月21日)では、非正規雇用の労働者が2万625人に上る。業種別(8月21日)では、製造業が最も多い7,575人。都道府県別(同)では東京都が1万1,200人と最多。
●有期契約労働者「2ヶ月超の雇用見込」最初から社会保険加入へ(8月31日)
現状では、雇用期間が2ヶ月以内の場合、契約期間後も継続雇用されなければ厚生年金に加入できない。これを「2ヶ月を超えて雇用される見込み」がある場合、当初から厚生年金に加入するよう見直す。雇用契約書に「契約が更新される」、「更新される場合がある」などと明示されている場合が対象。2022年10月から実施。
●4人に1人が休業手当なし(8月28日)
独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の調査(20~64歳の労働者4,881人を対象)によると、新型コロナウイルスの影響で休業を命じられた労働者(603人)のうち、休業手当を「全く支払われていない」と答えた人が24%(145人)に上ることがわかった。このうち69%をパート、アルバイト等の非正規雇用者が占めていた。
●雇用調整助成金の特例12月末まで延長へ(8月26日)
新型コロナウイルス対策で拡充している雇用調整助成金の特例措置について、政府は、現行の助成率(最大100%)や上限額(1万5,000円)のまま12月末まで延長する方針を固めた。また、来年1月以降は内容を縮小して続ける方向。
●保育所の「就労証明書」押印不要に(8月24日)
政府は、保育所の入所に必要な「就労証明書」について、勤め先の押印は不要と通知する。保育所を利用するには、保護者が就労状況を証明する書類を地方自治体に提出する必要があり、それに押印欄を設けている場合が少なくない。政府は押印不要について、来春の入所申請が本格化する10月までに対応を決める。
●雇用調整助成金支給決定額5ヶ月で7,399億円に(8月17日)
厚労省は12日、雇用調整助成金について、今年3月以降で新型コロナによる休業を対象とした支給決定額が合計約7,399億円(7日時点)となり、リーマンショックの影響を受けた2009年度の1年分の支給額を約5ヶ月で上回ったことを明らかにした。休業者が4月に過去最多(597万人。うち企業などで雇われて働く人は516万人)となったことなどが背景にあるとみられる。
特例措置は12月まで延長されるが、現状のまま延長すると財源が続かなくなるとの見方も出てきています。
●3か月連続、給与総額減(8月8日)
厚労省が発表した6月の毎月勤労統計調査によると、労働者一人あたりの平均賃金を示す現金給与総額は、前年同月比1.7%の減少となり、3ヶ月連続で低下した。    
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、残業代などの所定外給与が24.6%下がったことが響いている。この下げ幅は、比較可能な2013年1月以降、先月5月に続いて2番目に大きかった。

経営労務情報 令和2年(2020年) 7月

お知らせ◆年1回の社会保険料の「定期の変更」は、
10月に支払う給与からです。
◆梅雨明け後の暑さが心配されます。
外作業や工場内での「熱中症」にはくれぐれもご注意ください。本格的な夏の前に様々な熱中症の対策をご検討ください。
◆雇用調整助成金について
コロナ感染症の影響で ①売上が減少し、②従業員を休ませ(休業)、③その間の休業手当(給与の補償)を支払った場合にその休業手当に対しての補助が受けられる返済義務のない「助成金」です。
◆夏期賞与を支払った際はお知らせ下さい。

コロナ感染症対応休業支援金の受付開始!
◆個人向けのコロナ対応休業支援金とは?
雇用調整助成金を活用できない企業の労働者を対象とし、休業実績に応じて賃金の8割が支給(上限月額33万円)されます。
雇用保険未加入の学生アルバイトや外国人労働者、技能実習生も対象となります。  
登録型派遣、日雇派遣労働者も、要件を満たせば対象となります。ただし海外勤務者や日雇労働者、地方公共団体の非常勤公務員は対象となりません。
◆申請方法など
申請は労働者本人または事業主のどちらか一方が郵送で行ない、給付は直接本人の口座に振り込まれます。
書類は支給申請書と支給要件確認書(事業主提出時は「続紙」も必要)、本人確認書類、振込先口座の通帳コピー、休業前および休業中の給与明細のコピーが必要です。
●事業主は支給要件確認書へ証明
支給要件確認書には、事業主による休業証明の記入欄(事業主欄)があり、労働者の雇用、賃金支払いの事実や休業の事実についての証明が必要です。事業主が証明を拒んだ場合は労働局から報告を求められます。 
証明を偽った場合は給付金の2倍相当額の返金と年3%の延滞金を請求されます。

コロナ感染による社会保険の報酬月額の特例改定◆報酬月額の特例改定(1回限り)
コロナ感染により月額給与が著しく下がった場合に、健康保険・厚生年金の月額保険料の変更を、通常の4か月目の変更によらず翌月から変更可能となりました。
◆3つの条件
①コロナ感染の休業により、4月から7月までの間の1月でも月額が著しく低下した場合。
②著しく低下した月額が「標準報酬月額表」で2等級以上下がった場合。※固定的賃金(基本給、固定額手当や時間外単価等)の変動がない場合も対象となります。
③本人の書面同意が得られる場合。
申請は通常の届出書と異なります。
◆対象期間
給与が急減したその翌月の5月から8月の保険料が対象となります。

「家賃支援給付金」の申請開始経産省が7月7日「家賃支援給付金」の要領を公表しました。この給付金は地代・家賃(賃料)の負担軽減を目的とし、賃料を支払っている事業主に対して支給されます。
◆対象事業主と給付条件
資本金10億円未満の法人と個人事業者を対象とし、医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人なども対象となります。
条件は今年5月~12月の単月売上高が、前年同月比50%以上の減少、または3カ月連続で同30%以上の減少とし、事業のために土地・建物の賃料を払っている場合です。
◆給付額と申請期間
給付額は法人が最大600万円、個人事業者が同300万円です。申請期間は7月14日から来年1月15日までの予定です。
◆家賃支援給付金コールセンター
電話0120-653-930 (8:30~19:00)

年1回の健康診断が延期可能◆一般健康診断を6月に実施しなければならなかった会社では、10月までの延期が可能となりました。特殊健康診断は十分な感染防止対策を講じることが困難な場合には、やはり10月まで延期が可能となりました。
◆「一般健康診断」と「特殊健康診断」
会社では、採用時と年1回の一般健康診断が義務づけられています。
特殊健康診断としては、有害な業務に従事する場合や、有害な業務後に配置転換した場合などに特別の項目について一定の期間(6ヶ月ごともあります)ごとに特殊健康診断を実施することが義務づけられています。
また一定の有害な業務に従事する場合には歯科医師による健康診断等も義務づけられています。

コロナ感染による厚生年金保険料などの「納付猶予制度」大幅な売上減少となった場合、特例として厚生年金保険料及び労働保険料等の納付を1年間猶予することが可能となります。
◆対象事業者と内容
本年2月以降の任意期間(1か月以上)で、売上が前年同期比20%以上の減少があり、一時に納付を行うことが困難な事業主です。
期間は1年間、厚生年金保険料等の納付が猶予されます。担保の提供は不要、延滞金も免除されます。
本年年2月1日から令和3年2月1日までに納期限が到来する厚生年金保険料等が対象です。
◆厚生年金と協会けんぽは、年金事務所へ、
労働保険料は、労働局へ申請します。
◆厚生年金保険料等を一時に納付することが困難な場合は、上記の納付猶予の特例のほか「分割納付」の仕組みもあります。
◆個人が支払う「国民健康保険」、「国民年金」、「後期高齢者医療制度」及び「介護保険」の 保険料(税)の減免など
コロナ感染症の影響により一定程度収入が下がった個人の場合は、国民健康保険、国民年金、後期高齢者医療制度及び介護保険の保険料(税)の減免や徴収猶予等が認められる場合があります。
この場合はお住まいの市区町村、年金事務所または国民健康保険組合にお問い合わせください。

70歳までの就労確保が努力義務へ~改正高年齢者雇用安定法成立~◆改正高年法が成立
70歳までの就労確保が努力義務となる改正高年法が来年4月に施行されます。
現在は65歳までの「高年齢者雇用確保措置」が義務化されています。
「高年齢者雇用確保措置」とは「①定年の引上げ」、「②継続雇用制度の導入」、「③定年の廃止」のいずれかの措置が該当しあくまで「雇用」を前提としたものです。
今回の改正では、65歳から70歳までの「高年齢者就業確保措置」として①~③に加え、労使同意で雇用以外の措置「㋑継続的に業務委託制度」、「㋺社会貢献活動制度」のいずれかを講ずることを企業の努力義務としています。
更に「再就職支援」、「フリーランス契約への資金提供」や「起業支援」などこれまでの考え方にない措置も登場しています。
◆少子高齢化や労働力人口の減少が避けられない状況の中、これからの雇用の在り方をしっかり検討していきたいところです。

~厚労省発~「熱中症予防策」◆「新しい生活様式」
感染対策としては①身体的距離の確保(約2m)、②マスクの着用、③手洗いに加え、㋑3密(密集、密接、密閉)の回避、㋺換気、㋩こまめな健康チェックが効果的とされています。
◆熱中症対策
夏場は上記対策に加え、熱中症対策も求められます。しかし高温多湿でのマスクは熱中症のリスクを高めます。
◆予防のポイント
①マスクを外す。 
屋外で人と十分な距離(2m以上)が確保できる場合は外します。着用時の強い負荷運動は避け、こまめに水分補給します。 
人と十分な距離をとり一時的にマスクを外して休憩します。
②エアコンの活用方法。
窓開放や換気扇によって室内温度が高くなりがちのため、エアコンの設定温度を上手に調整します。
③涼しい場所への移動。
体調異変を感じたらすぐ涼しい場所に移動します。外作業では日陰や風通しのいい場所への移動、車のクーラーも活用します。
④日頃の健康管理
体温測定や健康チェックをします。平熱を知れば発熱に早く気づけます。また体調が悪いと感じたら、無理せず静養します。

スポット情報●コロナ感染死で初の労災認定
海外出張中に感染(7月17日)
厚労省は海外出張中にコロナ感染し死亡した卸売・小売業勤務の労働者について、業務で感染したとして労災認定したことを明らかにした。ウイルス感染の死亡者が労災と認定されたのは今回が初めて。
●バイト時給が前年同月比2.8%上昇(7月16日)
リクルートジョブズが発表した三大都市圏の6月のアルバイト・パートの募集時平均時給は前年同月比2.8%(29円)上昇して1,083円だった.コロナの影響で5月に大幅に減少した「フード系(飲食店)」は0.5%(5円)高い1,019円、「販売・サービス系」は0.6%(6円)高い1,052円だった。5月は求人が前年同月を下回ったが、6月は緊急事態宣言の解除で増加した。
●派遣時給は前年同月比2年ぶりに減少、介護の求人は増加(7月16日)
エン・ジャパンが発表した三大都市圏の6月の派遣社員の募集時平均時給は、前年同月比で0.4%(6円)減少し1,577円だった。前月同月の平均時給を下回るのは2018年5月以来。またコロナの影響で「一般事務」の求人数は前年同月比62%減少したが、「介護関連」は33%増加、平均時給は0.7%(9円)増で1,296円だった。
●中小企業の賃金上昇率は1.2%(7月11日)
厚労省は、中小企業の6月1日時点の見込賃金を1年前と比べた賃金上昇率を公表し今年は1.2%(前年比0.1ポイント減)だった。賃金上昇率は最低賃金の引上げ幅の目安の参考になり、過去4年は3%の引上げの目安を示していたが今年はコロナの影響から3%にこだわらない姿勢に転換した。
●非正規の解雇・雇止め1.1万人
~厚労省集計~(7月8日)
厚労省が5月25日から全ハローワークを集計した結果、コロナの影響で解雇、雇止めとなった非正規労働者が7月3日時点で1万1,798人に上ることがわかった。
●個人向けの休業給付、10日申請開始(7月8日)
雇用調整助成金を使えない中小企業などの従業員が対象となる「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の受付けが10日より開始された。休業者が勤め先を通さずに国から生活資金がもらえるもので、申請には事業主の指示で休業していることの証明書などが必要になる。
●所定外給与、5月は25.8%減(7月7日)
厚労省の毎月勤労統計調査(速報値)によると、5月の所定外給与は14,601円(前年同月比25.8%減)となった。比較できる2013年1月以来、最大の下げ幅。
一般労働者は26.2%減だったが、働く時間が短いパートタイム労働者は33.1%減った。また平均の現金給与総額は、269,341円(同2.1%減)だった。
●有効求人倍率46年ぶり下げ幅(7月1日)
厚労省の発表では5月の有効求人倍率は1.20倍(季節調整値。4月から0.12ポイント低下)となった。下げ幅は1974年1月に次ぐ過去2番目の大きさとなった。
総務省発表の5月の完全失業率は2.9%(季節調整値。4月から0.3ポイント上昇)となった。またコロナ感染拡大に関連した解雇や雇止めの人数(見込み含む)は、31,710人になった。
●休業で「社会保険料軽減」ルール緩和(6月27日)
厚労省は、健康保険や厚生年金の標準報酬月額についてコロナによる休業で賃金が急減した場合、通常の随時改定によらず特例により翌月から改定できるよう緩和した。新型コロナの影響で4~7月の間に1カ月以上賃金が下がった場合が対象。
●労災の「精神障害」最多(6月27日)
厚労省は、仕事が原因で精神疾患にかかり2019年度に労災申請した人は2,060人、労災認定されたのは509件で、いずれも1983年度の統計開始以降、最多だったと発表した。業種別では「社会保険・社会福祉・介護事業」が48件と最も多く、次いで「医療業」(30件)、「道路貨物運送業」(29件)と続いた。
●残業上限規制は副業も含めて計算~政府方針~(6月17日)
兼業・副業の労働時間管理について、労働者に副業での労働時間を自己申告させる制度を導入する方針を政府が16日の未来投資会議で明らかにした。労働時間は通算することとし本業と副業先の労働時間が残業時間の上限規制に収まるよう調整する。
同会議では、①本業の労働時間を前提に副業の労働時間を決めること、②それぞれ自社の時間外労働分だけ割増賃金を払うこと、③自己申告に漏れや虚偽があった場合は残業上限を超えても会社の責任を問わない等、のルール案も示された。

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