経営労務情報 令和3年(2021年)12月

お知らせ◆賞与の社会保険料率にご注意ください。
(以下は本人負担率です)
     厚生年金 = 9.15 %
健康保険+介護保険 = 5.855 %
(健康保険4.955 %、介護保険0.9 %)
◆感染の再拡大に注意しましょう。
再拡大を防ぐため、基本に沿った対策(社内の換気、ていねいな手洗い、マスク着用、消毒アルコールの使用など)をお忘れなくお願いいたします。
◆インフエンザワクチンを接種しましょう。
昨年は流行せず感染者が少なかったため、今年は感染の増加が見込まれます。
インフエンザのワクチン接種も積極的にご検討ください。
◆年末調整が始まります。
今年は押印が不要になった他には、大きな変更はありませんが、配偶者や扶養家族の収入確認などをしっかりご確認ください。

コミュニケーションと職場環境が新入社員の働きがいに大きく影響
~マイナビBizの調査結果から~
◆コロナ禍で「働きがい」意識の低下
マイナビが9月30日に発表した、2018年~2021年度入社を対象者にした「新入社員のエンゲージメント(愛社精神)と職場環境に関する調査」の結果からは、新入社員が仕事の「やりがい」を「感じている」と答えたのは2020年度入社が(70.8%)で、コロナ感染拡大前の2019年度入社(76.4%)より5.6ポイント減少していた。
企業側の新入社員の受け入れ態勢が十分に整っていなかったことが、仕事へのやりがいに影響したと考えられた。
◆先輩社員とのコミュニケーションや職場環境が「やりがい」や「会社への好感度」に影響
コミュニケーション頻度とやりがいの影響度・好感度では、「やりがいを感じる」人ほど、上司や先輩社員とのコミュニケーションが「あった(71.4%)」と回答した割合が高く、「やりがいを感じない」人はコミュニケーションが「なかった(77.2%)」という回答が多かった。
会社・部署への好感度も、コミュニケーションの頻度が高いほど高く、頻度が低いほど下がっていました。
また、「業務を行うとき職場のツールや備品などの業務環境が整っているか」の問いでは、「やりがいを感じる」と回答した社員は、業務環境が「整っている」が80.7%と高かったのに対し、「やりがいを感じない」と回答した社員は31.5%と低く、業務環境もやりがいに影響していました。テレワークや働き方の多様化が進む中、コミュニケーションの多さや職場環境の整備は、新入社員定着への重要な課題だと言えるでしょう。

70歳までの継続雇用制度を考えるにあたって◆70歳までの就業機会の確保
高年齢者雇用安定法の改正により、本年4月から70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となりました。
◆体力と意欲
70歳に近づくにつれ、関節性疾患やガンなどの受診率が増え、身体機能の個人差も大きくなり、単純に70歳までの雇用にすればよいという訳にはいきません。継続雇用前と同じ業務を続ける場合でも、処遇を十分検討していないケースも多く、70歳雇用になっただけでは仕事への意欲や満足感が低下しかねません。
◆他人事ではなく
後進の育成などの担当、専門業務を継続するなど、処遇の変化と個人に合わせた制度設計が求められます。若い世代も巻き込んだ見直しが必要となりそうです。
◆マルチジョブホルダー制度が来年からスタート
新しい制度が来年1月から始まります。
複数の会社で勤務する65歳以上の労働者が、その内の2つの会社の勤務を合計して所定の要件を満たす場合には、本人がハローワークへの申出を行うことで特例的に雇用保険の加入ができる制度です。

社会人の学び直しに関するプログラム・施策など◆7割以上が学び直しを必要と感じている
アデコ㈱が実施した「社会人の学び直し」調査結果では、7割以上の会社員が「今後働いていくうえで『学び直し』が必要である」と回答しましたが、現在「学び直し」に取り組んでいるのは約4割にとどまっていました。(調査期間2021年9月7日~10日)
◆学び直しに関するプログラム・施策など
国も社会人の資格取得やスキルアップのための学び直しを支援しています。
たとえば、
①ポータルサイト「マナパス」
 講座や支援制度の情報を総合的に発信。
②公共職業訓練(ハローワーク)
 在職者向けの職業訓練コースも実施。
③教育訓練給付制度
 厚労省指定の教育訓練講座を修了した場合、支払った経費の一部を補助する制度。
④放送大学
 BSテレビ等を通して誰でも学ぶことができる。人文・自然・社会のすべての分野が学部・大学院を合わせて約340科目開設。
⑤職業実践力育成プログラム
 大学等で受講することにより、職業に必要な能力の向上を図ることを目的として、社 会人や企業等のニーズに応じた実践的・専門的なプログラムを文部科学大臣が認定する 制度。
「女性活躍」、「非正規労働者のキャリアアップ」、「中小企業活性化」など様々な職業分野を対象としたプログラムを認定しています。

傷病手当金の支給期間が改正されます◆傷病手当金とは
病気ケガの療養で4日以上欠勤し、給与の支払いがない場合に請求できます。これまでの制度の支給期間は、途中の復職期間も含め最長1年6ヶ月でした。
◆改正により支給期間を通算化
令和4年1月1日から、療養中に復職し再び治療のため欠勤した場合、復職期間を除いて支給期間を通算できることになります。(詳細は間もなく明確になります)
◆仕事と治療の両立のための改正
通算化されることとなった理由は、がん治療など入退院を繰り返して療養する患者が柔軟に傷病手当金制度を利用できないとの問題点が指摘され、支給期間が通算化されている共済組合と取扱いを合わせることになりました。
◆両立支援に取り組む会社に対する支援
仕事と治療の両立のため、休暇制度を導入したり、健康づくりの制度を導入したりする取組みが要件を満たす場合には、国の助成金を請求できる場合もあります。

副業を認めますか?◆副業等を認める方向か
アデコ㈱が実施した「副業・複業に関するアンケート調査」では、
・認める企業は約4割を超えたが(2018年より15ポイントアップ)、半数以上は「副業・複業」を認めていない。
・現在は禁止だが検討中は2割以下。
・副業・複業をしている労働者を
「受け入れている」企業は3割以下、
「受け入れる予定がない」は半数以上、
という結果がでました。
この調査は上場企業勤務の部長職・課長職を対象としたものですが、だんだんと副業等を認める方向に進んでいます。
◆それでも副業を認めますか
副業等には労働時間の把握(労働時間の自己申告制、通算ルール、厚労省の管理モデルによる管理など)、割増賃金支払い義務、健康管理など注意する点があります。
副業等を認める場合には、本業たる自社の業務に専念する義務があること、労働時間の報告義務なども含めて社員と誓約書を交わすことや関連する就業規則などを整備することは必須でしょう。現状ではなかなか導入がむずかしい制度と言えそうです。

中小企業の 後継者難 倒産の8割は代表者の死亡と、体調不良が原因東京商工リサーチが9月8日に公表した調査・分析結果によると、2021年1月~8月の「後継者難」による倒産は累計236件で、倒産全体(3,986件)に占める構成比は5.9%と前年同期の4.4%を1.5ポイント上回り、調査を開始した2013年以降で最高を記録しました。
◆「後継者難」倒産は中小企業が圧倒的多数
産業別では、サービス業他が51件(前年同期比10.8%増)で最多。
次いで、建設業45件(同21.0%減)、製造業42件(同5.0%増)でした。
資本金別では、1千万円未満(個人企業他を含む)が126件と半数以上を占めた 一方、1億円以上は1件でした。
負債額別では、1億円未満が163件で約7割を占め、1億円以上5億円未満(54→63件)、5億円以上10億円未満(5→7件)は増加しており、小・零細企業だけでなく、次第に中堅規模でも事業承継の問題が顕在化していることがわかりました。
◆「後継者難」倒産の8割は代表者の死亡・体調不良が原因
「後継者難」倒産の236件のうち、代表者などの「死亡」は128件(構成比54.2%)と、1~8月累計では2年連続で100件を超えています。
次いで、「体調不良」が67件(同28.3%)で、この2つの要因で「後継者難」倒産の8割(構成比82.6%)を占めました。
多くの中小企業では代表者が経営全般を担っており、代表者が不測の事態に直面すると、経営が立ち行かなくなる状況に直結することを物語っています。
中小企業では経営者が長年、事業の前線に立ち、後継者育成は先送りされたままに経営者の高齢化が進んできたというケースも多いでしょう。今回の調査・分析結果は、後継者問題の先送りが事業継続の最大のリスクであることをあらためて示すものといえます。
~【東京商工リサーチ「後継者難倒産、代表者の「死亡」と「体調不良」が82.6(2021年1-8月)」】より~

スポット情報●雇調金 確認厳格化(11月19日)
厚労省は、雇用調整助成金について来年1月から確認を厳格化する方針を決定。これまで初回申請時だけだった業績悪化を証明する書類の提出を2回目以降も求めるとする。業績が回復して要件を満たさなくなった企業への対応策のため。
●非正規労働者10万人に転職支援(11月17日)
政府はコロナ感染の影響を受ける非正規労働者ら10万人を対象に求人の多い分野への転職を支援する。国の負担で派遣会社の研修を受け、派遣先で試験的に働き、ITなど成長分野への就職を促す。
●新型コロナで労災認定は感染者の1%(11月16日)
労災申請数は、9月末時点で1万8,637件、この内1万4,834件が認定された。77%が医療従事者、一般企業の申請は少数。
●雇調金の特例を段階的縮小(11月12日)
厚労省は、新型コロナによる雇用調整助成金の特例措置を来年1月から縮小し、労働者1人当たりの1日分の上限額を段階的に引き下げる方針を固めた。助成率はすべての企業で3月末まで現行で据え置く。
●中小向けに新給付金
最大250万円(11月11日)
政府は、コロナ禍による1か月の売上が前年か2年前の同月より30%以上減少した中小企業者を対象に、最大250万円となる新たな給付金を支給する方針を固めた。
売上が年1億円未満の事業者に最大100万円、5億円以上で最大250万円とする。個人事業主にも最大50万円を支給する。
●一定台数以上の白ナンバー保有事業者もアルコール検査義務付け(11月5日)
警察庁は来年10月1日より、「白ナンバー」の車を一定台数以上使用する事業者に対して、アルコール探知機による酒気帯び確認を義務づけると発表した。当初は来年4月実施予定だったが、準備が間に合わないとの意見から10月に変更となった。
●過労自殺者の約半数が直前に精神疾患発症(10月25日)
厚労省の調査から、2012~2017年度の6年間に精神疾患で労災認定された自殺者497人のうち47%(235人)が発症から6日以内に死亡していた。60%超(318人)が医療機関を受診していなかった。
●新卒者の離職率が減少(10月23日)
2018年3月卒業の新卒就職者で、3年以内の退職者の割合は、大卒で31.2%(前年比1.6ポイント減)、高卒で36.9%(同2.6ポイント減)だった。3年目の離職率は、大卒が8.3%で前年卒と比べると1.6ポイント減、高卒も8.1%と同1.9ポイント減った。3年目にあたる2020年度がコロナ禍で雇用環境の悪化により転職活動も活発でなかったと厚労省は分析している。
●職場のトイレ「男女共用1個」でも容認(10月11日)
厚労省は職場トイレを男女別々にと定めてきた規則を、従業員10人以内なら「共用1つ」を認める例外規定を設けることを決めた。「事務所衛生基準規則」では、「男性用と女性用に区別すること」となっていた。
男女別を原則とするが従業員10人以内なら共用1つだけでも認める省令改正案をまとめた。公布は12月上旬の予定。
●2021年上半期の倒産件数2,937件 過去50年で最少 (10月8日)
東京商工リサーチが発表した2021年度上半期(4~9月)の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は、前年同期比24%減の2,937件だった。上半期としては過去50年で最少。コロナ対策の資金繰り支援が下支えしているとみられる。

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