経営労務情報 平成25年(2013年)8月号

経営労務のお役立ち情報!!

I 業務中の居眠りによるパソコン入力ミスで会社に大損害!?●居眠りが裁判沙汰に
寝不足等が原因で仕事中にウトウト...。誰しもそのような経験があると思いますが、海外では居眠りが原因で「会社にあわや大損害」という事態が起き、裁判沙汰にまでなってしまったものもあるようです。

●一瞬の居眠りが
ドイツの銀行で、行員がパソコンの操作中に一瞬だけ居眠りをしてしまい、大金(日本円で約287億円)を誤って送金しそうになりました。銀行は、事態を重くみて上司である女性(48歳)を解雇処分としましたが、労働裁判所は「重大ミスではあるものの、意図的ではなく解雇理由にはならない。譴責(けんせき)にとどめるべき」との判断を下し、女性の復職と賠償金の支払いを命じました。

●行員の居眠りとミスの状況
この行員は、パソコンで送金額(62.4ユーロ)を入力すべきところ、キーボードに指を置いたまま一瞬居眠りをし、誤って「2億2,222万2222.22ユーロ(約287億円)」と入力してしまいました。その後、ミスが判明して修正されましたが、銀行は「上司が監督責任を果たさず、誤入力を見逃した」として解雇処分としましたが、上司の女性は「処分は不当である」と訴えていました。

●効果的な「昼寝」の活用
居眠りをしてしまいそうなほど眠いときに、効果的なのは「昼寝」です。昼寝研究の第一人者と言われている、カリフォルニア大学のサラ・メドニック氏は、「1時間半の昼寝は一晩分の睡眠に等しい」と主張しています。会社で1時間半もの昼寝をすることは現実的には不可能ですが、昼休みの時間を利用して10分~数十分程度の昼寝をするだけでも、疲労回復により、午後の業務の効率アップにつながります。最近では、昼寝用の専用部屋を用意する企業もあるようです。

II いま注目されている社会人の「学び直し」とは?●雇用保険制度見直し案
現在、厚生労働省では雇用保険制度の見直しをすすめていますが、現在挙げられている論点案は次の通りです。
(1)個別延長給付・雇止めによる失業者の支給日数充実
(2)助成金や職業訓練などに要する費用の、失業給付等の積立金からの借入れ
(3)労働移動・学び直しの支援措置
(4)基本手当の水準(支給率、支給日数)
(5)高年齢雇用継続給付
(6)教育訓練給付
(7)マルチジョブホルダー(2ヶ所以上で働く人)への対応
(8)65歳以上の方への対応
(9)求職者支援制度
(10)財政運営

●「学び直し」に注目
このうち、今、特に注目されているのが(3)の「学び直し」です。現在、「行き過ぎた雇用維持型」から「労働移動支援型」への政策転換を図り、雇用を流動化させ、成長分野(新エネルギー開発、都市再生、農林水産業の高度化等)への転職を促進させるため、国は社会人の「学び直し」に力を入れようとしています。

●国による支援の内容
具体的な支援策として、社会人が専門知識を学び直せるように大学や専門学校の教育プログラム開発に対して助成を行う方針が示されています。また、6月下旬に厚生労働省の職業安定分科会雇用保険部会で示された資料の中で、社会人への支援として「若年者等の学び直しに対する支援」「非正規雇用労働者等のキャリアアップのための自発的な職業訓練に対する支援」を挙げ、企業への支援として「従業員の学び直しプログラムの受講を支援する事業主への手厚い経費助成」を挙げています。

III 精神障害の労災認定件数が過去最多に!●脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況
厚生労働省が、平成24年度の「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を発表しました。これは、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況についてまとめたものです。くも膜下出血などの「脳血管疾患」や、心筋梗塞などの「心臓疾患」は、過重な仕事が原因で発症する場合があり、これにより死亡した場合は「過労死」とも呼ばれています。

●精神障害の労災認定件数が過去最多に
今回の発表では、精神障害の労災申請自体は前年より若干少なくなりましたが、労災認定件数は前年度比150件増となり、過去最多となりました。その内容を見ると、長時間労働やいじめなど、行政指導でもよく指摘されるような事項が並んでいます。業種別では、製造業や卸・小売業、運輸業、医療・福祉といった業種が多くなっています。

●仕事量・内容の変化、嫌がらせ・いじめに注意
出来事別での支給決定件数は、以下の理由によるものが多くなっています。
(1)仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった
(2)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた
(3)悲惨な事故や災害の体験、目撃をした順に多くなっています。

●体調の管理と併せて労働時間の管理も
「1ヶ月に80時間以上の時間外労働を行う」場合、脳・心臓疾患や精神障害が、仕事によるものとして、労災認定されやすくなります。会社の労働時間管理も重要になってきます。時間外労働が過度となると、睡眠不足など体調の管理も難しくなり、ヒヤリ・ハットミスが増えるなど、事故が起きる可能性も徐々に増してきます。暑い時期になり、熱中症も多く発生しています。体調管理と併せて、労働時間の管理についても、今一度問題がないか再点検してみてはいかがでしょうか。

監修 :中島光利、木嵜真一、八木義昭

経営労務情報 平成25年(2013年)7月

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I 職場での「熱中症予防対策」はお済みですか? ●職場での熱中症により21人が死亡
平成24年の「職場での熱中症による死亡災害の発生状況」によると、職場での熱中症による死亡者は21人で、依然として多くの方が亡くなっています。また、死亡した21人のうち18人については、WBGT値(暑さ指数)の測定を行っていなかったことが明らかとなったそうです。業種別にみると、「建設業」「製造業」で前年より死者数が増えています。また、昨年は「7月」と「8月」に集中的に発生し、死亡災害の57%が「高温多湿な環境での作業開始から2日以内」という短期間で発生していたとのことです。

●3人に1人が"熱中症予備軍"
"職場での熱中症"による死亡者数は上記の通り21人ですが、昨年6~9月の熱中症による全死亡者数は、685人となっています。また、昨年の夏季には日本人の3人に1人が"熱中症予備軍"だったという調査結果もあるそうです。

●注意すべきポイント
熱中症についての注意事項は、以下のとおりです。
◎建設、製造、運輸交通、貨物で発生割合が高い
◎熱中症になると半数は4~7日の休業を必要とする
◎40歳代の割合がもっとも高く、次いで50歳代、60歳代
◎経験年数が1年未満の従業員の被災が多い
◎全体の約3分の2が従業員数50人未満の事業場で発生
◎どの時間帯でも発生するがピークは15時
◎気温30度以上での被災が多い
◎WBGT値(暑さ指数)が25度以上31度未満での発生が大半

●対策グッズの活用や労働環境の見直し
熱中症の危険性がわかる簡易な熱中症計、内部の温度が上がりにくいヘルメット、冷却材を入れられるベストなど、熱中症対策グッズもいろいろとあるようです。今年の夏は、特に平年より気温が高くなることが見込まれています。対策グッズの活用と作業環境の見直し、健康管理の指導強化などの労務管理が必要とされます。

II 新情報!キャリアアップ助成金が新設されました 雇用保険二事業の一環として、有期契約労働者等*の企業内でのキャリアアップ等を支援する企業に対する包括的な助成制度として、「キャリアアップ助成金制度」が創設されましたので、概要を紹介します。(*対象は有期契約社員およびパートタイマー、派遣従業員など)

助成内容〔下記の6つのコースがあります〕 助成額 ......(  )の額は大企業の額
正規雇用等へ転換 正規雇用等に転換または直接雇用(以下「転換等」といいます。)する制度を規定し、有期契約労働者等を正規雇用等に転換等した場合に助成 ・有期→正規:1人当たり40万円(30万円)
・有期→無期:1人当たり20万円(15万円)
・無期→正規:1人当たり20万円(15万円)
※対象者により、加算の場合あり
人材育成 有期契約労働者等に、「一般職業訓練(OFF-JT)」または「有期実習型訓練(ジョブ・カードを活用したOFF-JT+OJTを組み合わせた3~6か月の職業訓練)」を行った場合に助成 OFF-JT《1人当たり》
・賃金助成:1h当たり800円(500円)
・経費助成:上限20万円(15万円)
OJT《1人当たり》
・実施助成:1h当たり700円(700円)
処遇改善 すべての有期契約労働者等の基本給の賃金テーブルを改定し、3%以上増額させた場合に助成 1人当たり1万円(7,500円)
健康管理 有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を規定し、延べ4人以上実施した場合に助成 1事業所当たり40万円(30万円)
短時間
正社員
短時間正社員制度を規定し、労働者を短時間正社員に転換・新規雇入れした場合に助成 1人当たり20万円(15万円) ※対象者により、加算の場合あり
パート労働時間延長 有期契約労働者等の週所定労働時間を25時間未満から30時間以上に延長した場合に助成 1人当たり10万円(7.5万円)

III 昨年度の個別労働紛争相談で、「いじめ・嫌がらせ」がトップに! 平成24年度の個別労働紛争解決制度の施行状況によると、「いじめ・嫌がらせ」での相談が増え、今年は初めて「解雇」に関する相談を抜いて、トップになりました。

●平成24年度の相談、助言・指導、あっせん件数
◎総合労働相談件数 106万7,210件
◎民事上の個別労働紛争相談件数 25万4,719件
◎助言・指導申出件数 1万 363件
◎あっせん申請受理件数 6,047件

●平成24年度状況のポイント
・総合労働相談件数は、5年連続で100万件を超えた。
・『いじめ・嫌がらせ』に関する相談は増加傾向にあり、51,670件。
・助言、指導の申出件数は増加傾向にあり、初めて1万件を超えて過去最多。

●あっせんとは例えばどんなもの?
職場の上司によるいじめ・嫌がらせ(暴言等)の実際例

事案の概要 申請人は、採用されてから現在に至るまで、職場の上司より暴言、差別等を受けており、精神的に限界状態にある。このため、暴言等により体調を崩し退職に追い込まれたとして、50万円の慰謝料の支払いを求めて、あっせん申請した。
あっせんのポイント・結果 あっせん委員が双方の主張を聞き、調整を図ったところ、当事者間の歩み寄りにより、解決金として20万円を支払うことで合意が成立し、解決した。

「パワハラ」の予防は、「何がパワハラか」を管理職、社員が理解することが大切です。定期的に研修を行い、知識・理解を深めることなどが有効です。

監修 :中島光利、木嵜真一、八木義昭

経営労務情報 平成25年(2013年)6月号

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I 若者チャレンジ奨励金が創設されました! 若者の人材育成に取り組む会社を支援することを目的として、「若者チャレンジ奨励金(若年者人材育成・定着支援奨励金)」が創設されました。この奨励金は平成25年度末までの期間限定の制度です。

●若者チャレンジ奨励金(若年者人材育成・定着支援奨励金)の概要
この奨励金は、35歳未満の非正規雇用の若者を、自社の正社員として雇用することを前提に、自社内での実習(OJT)と座学(Off-JT)を組み合わせた訓練(若者チャレンジ訓練)を実施する会社に支給されるものです。

●種類と支給額

訓練実施期間中に支給 訓練終了後に支給
訓練奨励金 正社員雇用奨励金
訓練奨励金訓練受講者1人1月当たり15万円 訓練受講者を正社員として雇用した場合に、1人当たり1年経過時に50万円、2年経過時に50万円(計100万円)

●若者チャレンジ訓練の対象者
35歳未満の若者であって、以下のいずれにも該当する者とされています。
(1) 過去5年以内に訓練を実施する分野で、正社員としておおむね3年以上継続して雇用されたことがない者等であって、登録キャリア・コンサルタントにより、若者チャレンジ訓練へ参加することが適当と判断され、ジョブ・カードの交付を受けた者
(2) 訓練を実施する会社と期間の定めのある労働契約を締結する者 等

●奨励金を活用できる会社の要件(主要なもの)
(1) 都道府県労働局長の確認を受けた訓練実施計画に基づき訓練受講者(雇用保険被保険者に限る)に訓練を実施すること。(一定の要件等に該当する訓練の実施計画を作成し、都道府県労働局長の確認を受けた上で、その計画に基づき訓練を実施する必要があります)
(2) 訓練受講者に訓練期間中の賃金を支払うこと。
(3) 雇用保険に加入していること。 等

II 雇用調整助成金の制度の変更 6月1日以降、雇用保険二事業として実施されている「雇用調整助成金」(※業績悪化により会社が休業した場合に支給される助成金)について、要件が変更となることが、厚生労働省から公表されています。概要は次のとおりです。

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●支給要件に、次の雇用指標が加わります
これまでは、直近3ヶ月売上と前年同期を比較して、売上が減少している場合が対象でしたが、今後はさらに、以下の要件を満たしていることが必要となります。
直近3か月の「雇用保険被保険者数と派遣労働者数の合計」の平均値が前年同期と比べ、
○大 企 業・・・「5%を超えてかつ6人以上」増加していないこと
○中小企業・・・「10%を超えてかつ4人以上」増加していないこと
※つまり、会社の売上が減少して休業しているときでも、新入社員をある程度採用している場合は、助成金対象外となります

●残業相殺が実施されます
平成25年6月1日以降の判定基礎期間から、「休業等を行った判定基礎期間内」に、休業の対象者が時間外勤務(残業)をしていた場合、残業時間相当分が助成額から差し引かれます。
(例)所定勤務時間が8時間の会社で、「休業日数が20日」「休業対象者の残業時間数が合計32時間」であった場合、20日-4日(32時間÷8時間)=16日分の支給となります。

●支給額(平成25年4月1日から、支給額が一部変更されています)

  大企業 中小企業
休業等を実施した場合の休業手当の負担額に対する助成率 1/2 2/3
教育訓練(事業所内訓練)を実施したときの加算額 (1人1日当たり)
1,000円
(1人1日当たり)
1,500円
教育訓練(事業所外訓練)を実施したときの加算額 (1人1日当たり)
2,000円
(1人1日当たり)
3,000円

III 今、話題の「解雇の金銭解決制度」とは? 最近、「解雇の金銭解決制度」(従業員が解雇されたときに、企業が和解金を支払って解決する仕組み)が、政府の規制改革会議で議論となっています。実現すれば、会社にとっては影響のある話題です。

●そもそもハードルの高い「解雇」
解雇については、労働契約法で、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効」とされています。裁判例においても、会社の敗訴が大多数で、解雇の実施は企業にとって非常にハードルの高いものとなっています。

●賛成側・反対側の意見
解雇トラブルが裁判になり、元従業員が勝訴した(解雇不当であると認定された)場合、職場復帰が原則となりますが、元の職場に戻るのは現実的には難しいものです。そのような場合、「和解金を支払うことでトラブルを解決する(職場復帰させない)のが妥当である」「和解金の相場がわかればトラブルの早期解決につながる」などというのが、制度導入に賛成する側の意見です。
一方、導入を反対する側の意見では、「『解雇が違法である』と裁判所が認めたのに、職場復帰できないのはおかしい」「企業が『お金を払えば解雇できる』と安易に考えやすくなる」などといったものがあります。実現には時間がかかるかもしれません。

監修 :中島光利、木嵜真一、八木義昭

経営労務情報 平成25年(2013年)5月号

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I 雇用者を1人増やすごとに、40万円の税額控除を受けられます!事業年度中に、雇用者数を5人以上(中小企業は2人以上)かつ10%以上増加させるなど一定の要件を満たした事業主は、法人税(個人事業主の場合は所得税)の税額控除の適用が受けられる制度がパワーアップします。今年4月より、「雇用者一人につき20万円」から「雇用者一人につき40万円の税額控除」と増額されました。
※ただし、当期の法人税額の10%(中小企業は20%)が限度です。

●対象となる事業主の要件
・青色申告書を提出する事業主であること
・現事業年度とその前事業年度に、事業主都合による退職者がいないこと
・現事業年度に雇用者(雇用保険一般被保険者)の数を2人以上(中小企業)かつ 、10%以上増加させていること
※雇用者増加数は、現事業年度末日と前事業年度末日の雇用者数の差
・適用年度における給与等の支給額が、比較給与等支給額以上であること

※比較給与等支給額=前事業年度の給与等の支給額+(前事業年度の給与等の支給額× 雇用増加割合×30%)
・風俗営業等を営む事業主ではないこと

●適用の要件
適用を受けるためには、あらかじめ「雇用促進計画」をハローワークに提出する必要があります。

II「第12次 労働災害防止計画」のポイント「労働災害防止計画」とは、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画です。今後、国が、どこに重点を置いて、企業に対する指導を行っていく方針なのか(どのような企業が調査対象になるか)を知ることができます。

●現状と課題 労働災害による被災者数(平成23年:震災直接原因分除く)
•死亡者数: 1,024人 (過去最少)
•死傷者数:117,958人(2年連続増加  平成24年も増加)
※労働災害は長期的には減少しているが、第三次産業では増加(特に社会福祉施設は過去10年で2倍以上)
※死亡災害も減少しているが、建設業・製造業での被災が過半数を占め、割合が高い

●計画の目標  
・労働災害による死亡者数及び死傷者数 それぞれ15%以上減少

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●「第12次労働災害防止計画」の重点(平成25年4月~平成30年3月)
(1)重点対策ごとに数値目標を設定
※重点対策には、近年増加している「メンタルヘルス」、「過重労働(長時間労働)」に関するものも含まれています。

(2)第三次産業を最重点業種に位置づけ
労働災害が増加し、全体に占める割合が高まっている第三次産業に焦点を当て、特に災害の多い「小売業」、「社会福祉施設」、「飲食店」に対する集中的取組を実施

(3)死亡災害に対し重点を絞った取組を実施
依然として死亡災害の半数以上を占める建設業、製造業に対して、「墜落・転落災害」、「機械によるはさまれ・巻き込まれ災害」に重点を当てて取り組む

メンタルヘルス対策⇒【目標】対策に取り組んでいる事業場の割合 80%以上にする
・メンタルヘルス不調を予防するための職場改善手法を検討
・ストレスチェックなどの取組を推進
・事例集やモデルプログラムの作成により職場復帰支援を促進

過重労働対策⇒【目標】週労働時間60時間以上の雇用者割合を30%以上減少させる
・健康診断の実施と事後措置などの健康管理を徹底
・休日・休暇の付与・取得を促進
・時間外労働の限度基準の遵守を図り、時間外労働削減を推進

※健康診断の実施と事後措置についても、最近、労基署の調査で重点的にチェックされています。「メンタルヘルス対策」「過重労働対策」がより重要になってきています。

III 全国初!自治体が「中小企業用のパワハラ対策マニュアル」を作成●神奈川県がマニュアルを作成
職場のパワーハラスメント(パワハラ)問題への関心が高まるなか、神奈川県は「ハラスメントのない職場づくりを神奈川から」を発信するなど、取組を強化しています。その一環として、県内の事業所におけるパワハラ対策の取組状況に関する実態調査を実施。その結果を踏まえて、中小企業向けに「パワハラ対策マニュアル」を全国で初めて作成しました。

●パワハラの実態調査の概要
・過去1年以内にパワハラの相談・苦情があった中小企業事業所は約3割(28.6%)
・中小企業事業所の8割以上がパワハラ対策を経営上重要と認識しているが、3割以上が何も取り組んでいない。
・取り組んでいる場合の内容
「会議や朝礼での注意喚起」(28.2%)
「相談窓口の設置」    (21.0%)
「研修・講習会の実施」  (13.9%)

●マニュアルの概要
マニュアルでは、パワハラの定義、企業の責任、取組実態、予防策などについて解説されていて、次のような特徴があります。
・パワハラは、会社・従業員全体が一体となって取り組むべき必要のある問題
・中小企業で活用できるよう、わかりやすく具体的に解説するとともに、企業の実情に応じたステップバイステップの取組方法を解説

監修 :中島光利、木嵜真一、八木義昭

経営労務情報 平成25年(2013年)4月号

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I 1年間に負担する社会保険料はどのように決まる?●社会保険料の額を決める「標準報酬月額」とは
健康保険や厚生年金保険の保険料額は、従業員の個々の給与の額ではなく、区切りのよい幅で区分した「標準報酬月額」に基づいて計算されます。この幅が、「標準報酬月額等級」として、健康保険は47等級、厚生年金保険は30等級に分かれています。これらの保険料は会社と従業員の折半ですので、会社の負担が過重とならないよう、保険料額の上限が設定されています。なお、状況に応じて、政府の決定で最高等級の上に等級を追加することができることとされています。

●標準報酬月額はどうやって決まる?
標準報酬月額の決定方法として、以下の3つがあります。
(1)資格取得時決定
  「新入社員」は(1)により決定されます。
(2)定時決定
原則、4月・5月・6月に支払われる給与の平均額を基準として決定されます。決定された「標準報酬月額」は、基本給額・定額の手当額の変更がない限り、1年間適用されます。
(3)随時改定
基本給額・定額の手当額の変更により、大幅な給与額の変動があるときは、3ヶ月平均の給与額にて、等級が変更となります。

●残業量の調整や昇給のタイミングに注意
上記(2)の定時決定によって、1年間の「標準報酬月額」が決定されることから、4月・5月・6月に多くの残業が発生すると、負担する社会保険料の額が大きくなります。特に、厚生年金保険料は平成16年の制度改正によって平成29年9月まで毎年0.354%ずつ引き上げられることとなっています。そのため、昇給等がなくても、保険料の負担は年々増加する一方です。

不必要な残業を控えたり、業務の進め方を見直したり、昇給月を変更したりするなど、社会保険料の削減対策・方法もありますので、お気軽にご相談ください。

II 「叱られること」についての若手社員の意識●若手社員の約5割が上司・先輩に叱られた経験
ある人材総合サービス企業が、入社3年目までの若手社員を対象に行った意識調査の結果を発表しました。調査では、若手社員に対し「上司・先輩に叱られることがあるか」を尋ねたところ、ほぼ半数が叱られたことがあると回答しました。性別でみると、男性のほうが女性よりも叱られている傾向が見られたようです。

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●「正当な理由があれば、上司・先輩に叱られたい」8割弱
「正当な理由があれば、上司・先輩に叱られたいか」と尋ねたところ、「叱られたい」と回答した割合は78.5%で、大多数は叱られたいと感じていることがわかりました。また、「叱られることは自身の成長に必要か」と尋ねたところ、「必要」と回答した割合は87.7%で、性別を問わず、叱られることは自身の成長に必要と考えていることがわかりました。

●「叱り方」にも工夫が必要
昨今、世間を騒がせている体罰問題やパワハラ・セクハラによる訴訟問題によって、上司が部下に対して「叱る」という行為に慎重になっている傾向にあるようです。しかし、今回の調査で、「正当な理由があれば叱られたい」と8割弱の若手社員が回答しており、社会に出るまでにあまり叱られた経験がない若手社員が、本当は「叱られたい」と思っていることがわかりました。

ただ、叱られることに慣れていない若手社員の指導方法を間違えると、訴訟問題にも発展しかねません。例えば、以下のような指導方法・叱り方には注意が必要です。
・他の従業員がいる前で、一方的に叱責すること
・人格や尊厳を否定する発言をすること
・会社の方針とは無関係に、自分のやり方・考え方を部下に強要すること
・部下からの相談の拒絶、もしくは業務上必要な助言を与えないこと

●「パワハラ防止規程」の策定
近年は訴訟となるケースも増加しているため、パワハラ防止規程を定めて、運用している企業も増えているようです。パワハラ対策やセクハラ対策は、日頃の労務管理における予防が重要です。「社内ルールの策定」「相談窓口の設置」「セクハラ・パワハラに対する認識の研修」など、予防策に取り組むことで、重大トラブル発生のリスクは相当に抑えることが出来ます。

III 「解雇権濫用」「名ばかり管理職」に関する裁判例●メーカーが多数の労働組合員を解雇
神戸市にある鋼管メーカーを解雇された従業員(22人)が地位確認などを求める訴えを提起していました。神戸地裁は「解雇権濫用のため無効である」として、会社に対して未払賃金の支払いを命じる判決を下しました。この会社は、事業縮小を理由として2011年6月に工場勤務の従業員(28人)を解雇しましたが、28人のうち26人は労働組合員だったそうです。裁判官は「他部署への配転を検討するなど、解雇を避ける努力を尽くしていない」と指摘し、また、「解雇された従業員の大半が労働組合に加入していたことは、明らかに不自然である」としました。

●大学が財務課長を管理職扱い
広島県にある私立大学の元財務課長(57歳)が、実態は管理職ではないにもかかわらず管理職として扱われて残業代が支払われなかったとして、大学側に対して未払賃金等(約630万円)の支払いを求めて訴えを提起していました。広島地裁は「管理監督者には該当しない」として、学校側に対して約520万円の支払いを命じました。裁判官は主に以下の2点より、「権限や責任が経営者と一体ではない」と判断しました。
(1)財務課長には、上司として法人事務局長などが置かれ、業務の大部分で上司の決裁が必要であり、権限は限定的だった
(2)出退勤の時間等に関する自己裁量が限定されていた

監修 :中島光利、木嵜真一、八木義昭

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