経営労務情報 平成28年(2016年)4月号

I お知らせ(該当されるお客様へは、別途お知らせいたします) ◆ 4月は、入社・異動が多く、年金事務所・職安の事務処理が遅れますので、早めの連絡をお願い致します。
◆ 4月より、健康保険料の上限が3等級増えました。(基準上限121万円から139万円へ増額
 月額給与123万5千円以上で、該当される方は5月に支払う給与から増額となります。
◆ 4月の給与より、加入者全員の「雇用保険料」が下がります。
 本人負担率は、建設業以外 の会社は、0.4%、建設業の会社は、0.5%となります
◆ 4月の給与より、次の方の「雇用保険料」が不要(免除)になります。
 対象者は 昭和27年4月1日以前に生まれた方です。(新たな対象者は別途お知らせ致します)
4月から6月に支払う給与にご注意ください。今年9月から1年間の社会保険料は、4月から6月に支払う給与の「平均額」で決まります。この間で残業等の手当が多いと社会保険料が増えてしまいます。

II 社員の転職理由の「本音」と「建て前」◆転職市場は盛況
株式会社インテリジェンスの「DODA 転職求人倍率レポート」によると、平成28年2月の「転職求人数」は前月比4.9%増・前年同月比45.3%増となり、15カ月連続の増加、平成20年1月調査開始以来の最高値を更新した。「転職希望者数」も前月比6.5%増、前年同月比56.8%増となり、6カ月連続で最高値を更新し転職市場は盛況です。企業にとっては人材確保が大きな問題になります。

◆会社に「伝える退職理由」と「本当の理由」
転職する場合、会社に退職の意思を伝えてくる際の「退職理由」が本音ばかりとは限りません。エン・ジャパン株式会社の「退職理由のホンネとタテマエ」のアンケート調査(回答1,515名)によると、約半数の人が会社に本当の退職理由を伝えていないことがわかりました。
会社に「伝えた退職理由」と「本当の退職理由」は以下のとおりです。

【会社に伝えた退職理由】
(1)結婚、家庭の事情(23%)
(2)体調を崩した(18%)
(3)仕事内容(14%)

【本当の理由】
(1)人間関係(25%)
(2)評価・人事制度(12%)
(3)社風や風土、給与、拘束時間(各11%)

◆社員の本音から考える
退職者の本音と建て前を見極めながら、退職者を減らす対策を講じていくことも必要と思われます。

III 企業に広がる有期契約労働者の「無期転換」の動き ◆平成30年4月から本格適用(労働契約法18条のいわゆる「5年ルール」)
平成25年4月に施行された、有期契約者の契約更新に通算5年を超えた場合、無期契約への転換権利が与えられる「5年ルール」の規定が、平成30年4月から順次適用になります。

◆「無期契約」に変える企業が増加
ここ最近、パート社員や契約社員などの「有期契約」で働く人を「無期契約」に変える企業が増えています。背景は「人手不足の中で人材を安定的に確保したい」という考えからです。労働政策研究・研修機構の調査(平成27年7~9月)では、「無期にしていく」と回答した企業は6割を超えました。

◆当初の懸念はあたらず?
企業側も、無期にするメリットとして「長期勤続が期待できる」「要員を安定的に確保できる」という理由を挙げた割合が増えています。

◆経団連も検討を後押し
経団連も今後は人材獲得が困難になるとして、「無期転換を前向きに検討すべきだ」としています。ただし企業は無期転換しても賃金を変える必要はありません。労働政策研究・研修機構の調査でも4分の1程度の企業が「対応方針は未定・わからない」と答えています。

IV 平成27年の労災発生状況◆全体では微減だが...
平成27年における労災発生状況(2月速報)が発表され、全体では前年よりわずかに減少しました。
内訳は「建設業」や「製造業」では大きく減少、第三次産業では大きく増加しました。
特に、介護士・看護師など病院や社会福祉施設では15.9%増加しています。

◆労働者の高齢化
病院や社会福祉施設では、腰痛が最も多く、次いで「転倒」となります。半数が40歳から59歳の層で発生しています。就労環境を見直していくことが現実的かつ必要なことのようです。
一般の企業でも、ストレスチェック制度がスタートし、これから健康診断のシーズンを迎えますので、この機会に安全衛生や健康管理について再確認してみてはいかがでしょうか。

V 民間版の労災保険「使用者賠償責任保険」とは?◆契約件数が伸びている!(今後も伸びると予想)
うつ病などによる労災認定件数の増加や賠償額の高額化を背景に、大手損害保険会社3グループの平成27年度「使用者賠償責任保険」の契約件数が前年度比約1.5倍となっています。

◆「使用者賠償責任保険」とは?
労災認定された事案について、損害賠償責任を負った場合に備える保険です。労災保険金を上回る補償や和解金の支払いのために保険金が支払われます。こうしたリスクへの備えとなります。
加入することで今後のリスク回避のための一助となりそうです。

VI スポット情報●高収入者の 本人負担増を検討。平成30年度介護保険制度見直し (3月25日)
厚生労働省は、介護保険財政の悪化に歯止めをかけるため、大企業の社員らの保険料を引き上げ、さらに一定以上の収入がある高齢者の自己負担の上限を引き上げる検討を始めた。介護保険部会において改革案を取りまとめて来年の通常国会に関連法案を提出し、平成30年4月の介護報酬改定時の施行を目指す予定。

●「残業80時間」で労基署立入り調査の対象に(3月24日)
政府は、労働基準監督官の立入り調査について、1カ月の残業時間の基準の引下げ(100時間→80時間)を検討していることを明らかにした。長時間労働に歯止めをかけるために指導を強化し、子育て中の女性や高齢者が働きやすい環境を整えることがねらい。これに伴う対象者は300万人(2.7倍)に拡がることが予想される。法改正による規制強化などは見送る方向。※ 業種に関係なく対象となります。

●是正指導に伴う 残業代支給 対象従業員が過去最多(3月22日)
厚生労働省は、平成26年度にサービス残業で是正指導を受けた企業が未払残業代を支給した従業員が20万3,507人となり、過去最多となったことがわかった。100万円以上の残業代を支払った企業は前年度より88社減の1,329社だったが、支払われた未払い残業代は約19億円増の142億4,576万円だった。従業員の多い企業が労務管理システムの不備により残業代の一部を一律に支払っていなかったことなどが、全体の人数を押し上げました。

●外国人実習生の失踪が過去最多に(3月7日)
平成27年に日本で失踪した外国人技能実習生が過去最多の5,803人に上ったことが法務省の調べでわかった。失踪者が多かったのは中国人(3,116人)とベトナム人(1,705人)で、賃金不払いなどの不正行為を指摘された受入れ先企業・団体も5年連続で増加している、政府は昨年、実習先の監視を強化する「技能実習適正実施・実習生保護法案」を提出、早期成立を目指しています。

●「法人番号」活用で、社会保険未加入企業を特定へ(2月24日)
厚生労働省は、社会保険未加入企業をなくすため、今年4月から法人番号を活用する方針を明らかにした平成29年度末までにすべての未加入企業を特定して悪質な企業には立入り検査を実施し、強制加入させる方針。現在、未加入の疑いのある企業は約79万社とされています。

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