経営労務情報 平成27年(2015年)9月号

I お知らせ◆年1回の社会保険料の「定期変更」は、10月に支払う給与から対象となります。
(具体例は以下のとおり)※例年9月支払給与から変更されている場合は9月で結構です。
●翌月払の会社では9月分から(例:9月末日締切の10月10日支払)
●当月払の会社では10月分から(例: 10月20日締切の10月末日支払)
「厚生年金」の料率も上がります。お客様への通知は、今月中にはお届け致します。
◆最低賃金が、10月1日より820円(愛知県)に変更されます。今回も大幅な変更になります。パート募集時の時間給や、10月1日以降の給与計算時はご注意ください。

II 「マイナンバー」 について、会社が準備すること◆いよいよマイナンバーの「通知カード」が10月から送付されてきます。
小規模事業者向けの「マイナンバーチェックリスト」(内閣府)よりご説明します。従業員さんへの対応は以下の「7項目」となります。
【1】「担当者」1名を、「役員」か「責任のある方」から決めてください。
【2】皆さんへ「マイナンバー制度」が始まり「通知カード」が届くことを伝えて下さい。
【3】利用目的(「年末調整」「社会保険・雇用保険届出」)を皆さんへ伝えてください。
【4】「通知カード」コピーと「運転免許証」コピーを預かってください。免許証がない場合は写真付書面(パスポートなど)のコピーとなります。扶養家族は「通知カード」コピーのみ預かります。※来年からは「個人番号カード」コピーでも可能です。
【5】預かった書類のファイルは、必ずカギのかかる書棚や引出に保管してください。
【6】パソコン管理の場合は、セキュリティ対策を厳重にしてください。当面はパソコンによる管理をしない方が安全です。紙(コピー)での管理をお勧めします。
【7】退職者のマイナンバーのコピーは、シュレッダーによる確実な破棄が必要です。
◆お客様へは、従業員さんへお渡しする「届出書」「回収封筒」などをご用意いたします。

III 個別労使紛争の「解決状況確認ツール」の活用◆個別労使紛争の3つの解決手段
労使紛争の解決手段には「労働局によるあっせん」「労働審判」「民事訴訟」があります。
1)「労働局によるあっせん」=労働問題専門の「紛争調整委員会」が、(1)双方の主張確認、(2)双方が求めると具体的なあっせん案を提示、(3)合意の形成を提示します。
2)「労働審判」=労働審判官(裁判官)1名と労働関係の労働審判員2名による「労働審判委員会」が、3回以内の期日で審理し適宜調停を試みます。解決に至らない場合には、柔軟な解決を図るための労働審判となる場合もあります。
3)「民事訴訟」=裁判官が法廷で「判決」を出します。途中での「和解」の場合もあります。

◆最近の傾向
厚生労働省の調査結果では、上記の紛争解決を利用した場合には「会社が従業員に金銭を支払って解決した」が全体の9割を超えました。内閣府でも、裁判で認められ、労働者の申出による「金銭補償解決」制度の導入の検討を発表しています。

◆「解決状況確認ツール」とは?
厚生労働省は、労使紛争の解決方法を確認することができるサイトを開設しました。
(1)事案内容(普通解雇、整理解雇、労働条件引下げ等)、(2)残業代請求の有無、(3)労働者の性別、(4)雇用形態、(5)勤続年数、(6)役職、(7)月額賃金、(8)企業規模の条件、を入力し解決方法(あっせん、労働審判、和解)や、「解決金」の金額を調べることもできます。

IV「精神障害」の 労災請求件数 が過去最多◆「心の病」での労災請求が過去最高
平成26年度の労災請求が公表され、うつ病などの「心の病」が1,456人(うち認定者497人、自殺・自殺未遂者99人)で、前年度比47件増、支給決定件数497件となり、統計開始以来最高でした。また、脳・心臓疾患認定者も277人となり、前年比は減少しましたが、ここ数年300人前後の高止まりが続いています。

◆精神障害に関する内訳
請求件数の業種別では「製造業」245件、「医療・福祉」236件、「卸売業・小売業」213件の順に多く、支給決定件数では「製造業」81件、「卸売業・小売業」71件、「運輸業・郵便業」63件の順でした。年齢別の請求件数(カッコ内は支給決定件数)では「4049歳」454件(140件)、「3039歳」419件(138件)が多くなっていました。

「月80時間以上の残業」を行っていた人は約4割
認定者497人のうち、「過労死ライン」の月80時間以上の残業を超えた人は201人(前年比57人増)。このうち160時間以上の残業は67人(前年比36人増)でした。

◆長時間労働やストレスを減らす工夫が必要
心の病になっても労災が認定される人は限られますが、「長時間労働の削減」「ストレスを軽減できる環境づくり」が大切と考えられます。

V スポット情報●マイナンバー通知カード、 送付先変更の受付開始(8月24日)
全国の自治体が、10月から郵送されるマイナンバーの「通知カード」について、送付先の変更届の受付を開始した。対象者は、DVや児童虐待、ストーカーなどの被害者や東日本大震災で避難した被災者、病院や介護施設に長期間入っている独り身の人など。希望者は8月24日~9月25日の間に、住民登録している市区町村に申請します。(郵送申請可)

●「マイナンバー法改正案」成立へ(8月27日)
参議院内閣委員会は、マイナンバーと基礎年金番号の連結を最大1年5カ月間凍結する修正案を盛り込んだ「マイナンバー法改正案」を可決した。修正が入ったため参議院本会議で可決後、改めて衆議院へ送り、来週の衆議院本会議で成立する見通し。当初案はマイナンバーを預金口座にも記載することで税金や保険料の徴収に役立て、年金分野でも活用する予定だったが、凍結中は年金相談や支給申請手続等にマイナンバーを使うことができない。具体的な凍結期間は政令で定める予定。

●介護保険料額に年収反映、平成30年度にも導入へ(8月10日)
政府は、医療保険事業者が加入者数に応じて拠出している介護納付金について、加入者の平均年収に応じて負担割合を決める「総報酬割制度」を導入する方針を固めた。社会保障審議会で本格的な見直し論議をスタートし、平成30年度から段階的に制度を移行していく考え。総報酬割制度に完全移行した場合、個人が支払う保険料は大企業社員で月595円、公務員で月1,850円増加し、中小企業社員は月272円減となる見通し。

●雇用保険料引下げへ、議論開始(8月5日)
厚生労働省が雇用保険料の引下げに向けた議論をスタートさせた。雇用情勢の改善により積立金が6兆円を超えたことを受けたもので、失業給付に当てる保険料を現在の1%から0.8%に下げる方向。その場合の労使の負担の減少額は約3,200億円となる見込み。

●厚生年金・国民年金が、運用好調で黒字最高に(8月7日)
平成26年度年金特別会計の収支決算(時価ベース)について、厚生年金は4年連続の黒字(13兆390億円)、国民年金は6年連続の黒字(8,046億円)となりました。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用成績が好調で、15兆2,626億円の運用収益を計上、いずれも年金積立金の市場運用を始めた平成13年度以降最高の黒字額となった。

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