経営労務情報 令和3年(2021年) 4月

お知らせ◆健康保険料・介護保険料が変更されます。
3月より協会けんぽの保険料が増額されます。保険料は「4月に支払う給与」からご変更ください。
(以下は本人負担率です)
     健康保険 = 4.955 %
     介護保険 = 0.9   %
健康保険+介護保険 = 5.855 %
◆4月から6月に支払う給与にご注意を
4月から6月に支払う給与の「平均額」で、9月(10月払いの給与)から1年間の社会保険料が決まります。残業等の増加で給与が増えると結果として社会保険料が増えてしまいます。
◆コロナ感染にご注意を
マンネリ化しそうですが、社内の感染拡大を防ぐため、基本対策と、手洗い、マスク着用、消毒用アルコール使用などをお忘れなくお願いします。
発熱時のPCR検査は公費で受けられます。いざという時に備えて検査可能なお近くの病院を探しておくのも重要です。
◆4月は入社・異動が増加
この時期は入社や異動の申請が多く新しい「保険証」の発行が遅れます。早めの連絡をお願いいたします。

コロナ禍でも「社長就任後10年未満の企業」の約6割は直近期黒字
~日本商工会議所調査~
 「事業承継と事業再編・統合の実態に関するアンケート」の調査結果を3月5日公表。
調査は2020年8月17日~9月25日に各地商工会議所の会員企業14,221件で実施され4,140件の事業者が回答。
◆事業承継の現状とコロナ禍の影響
後継者の決定状況は「経営者年齢が60歳以上の企業」で約半数が決定済みで、一方後継者不在の企業が約2割を占めました。
同族経営が多数を占める中小企業では、親族内承継が8割近くを占め、一方親族外承継も徐々に増加し、2000年代は約1割、2010年以降では約2割でした。
また経営者の在任期間別の利益状況では「社長就任後10年未満の企業」の約6割は直近決算が黒字、「社長就任後30年以上の企業」はコロナ禍で赤字を見込む割合が最も多く、若返りの活性化によりコロナ禍でも業績を上げている傾向があります。
◆事業承継の課題
事業承継への障害と課題は「後継者への株式譲渡」が最も多く約3割を占め、株式譲渡の障害は、「譲渡の際の相続税・贈与税が高い」が約7割、「後継者に株式買取資金がない」が約6割となっていました。
◆事業再編・統合(M&A)
「過去に買収を実施・検討した企業」は全体では約15%、「売上高10億円超の企業」で見ると「買収を実施・検討した企業」は約4割を占めました。買収先では後継者難が深刻化している小規模企業(従業員20名以下)が約7割を占め、M&Aが後継者不在企業の事業継続の受け皿となっていることがわかります。買収目的では、「売上・市場シェアの拡大」が約7割、続いて「事業エリアの拡大」が約4割。買収目的・期待効果の達成度は、「概ね達成した」が約半数を占めており、中小企業の事業拡大にM&Aが功を奏していることがわかります。

2度目の緊急事態宣言で人手不足の企業は減少
~帝国データバンク調査~
◆1月18日~31日にかけて全国の2万3,695社を対象に調査を実施し、1万1,441社(48.3%)から回答を得ました。
◆正社員不足は建設、情報サービスで高い
正社員が「不足」している企業は35.9%となり、コロナ禍直前の2020年1月から13.6ポイント減少し、1月としては2014年(36.6%)とほぼ同水準まで低下しました。「適正」と回答した企業は46.5%で同5.6ポイント増加。「過剰」と回答した企業は17.6%で同8.0ポイント増でした。
「不足」企業の業種別では「放送」が56.3%、公共工事が好調な「建設」が54.6%、IT人材不足の「情報サービス」が53.3%、「自動車・同部品小売」が51.8%、などが5割台でした。「電気通信」は44.4%でした。
◆月次では、2021年1月に再び減少
月次推移は、宣言解除1度目の昨年5月以降、人手不足割合は緩やかに上昇傾向にあったものの、再び出された2021年1月は減少となりました。
◆非正社員の人手不足は19.1%、
「電気通信」は51業種中で唯一の前年同月比増加、非正社員が「不足」していると回答した企業は19.1%となり(前年同月比10.1ポイント減)、1月としては2013年(16.4%)以来、8年ぶりに2割を下回りました。「適正」は65.3%(同3.4ポイント増)、「過剰」は15.5%(同6.6ポイント増)となりました。
◆「飲食店」の人手不足割合は大幅に減少、「旅館・ホテル」は過去最低に
「GoToキャンペーン」の利用が広がった2020年10月、11月を山にして、2度目の宣言の発出や「GoTo」の一時停止も加わり、2021年1月にかけて更に減少しました。

コロナ禍による働き方の変化と求職者の企業選びへの影響
~エン・ジャパン調査より~
◆変化を余儀なくされた働き方の概念
二度の緊急事態宣言などで「出社して働く」という働き方も変化しています。
◆企業選びにも変化が
エン・ジャパン株式会社が『エン転職』のユーザーを対象に実施した「コロナ禍での企業選びの軸の変化」に関するアンケートによれば(回答:11,536名、調査期間:2020年11月26日~2021年1月26日)、4割が「コロナ禍で企業選びの軸が変わった」と回答しました。特に重視する企業選びは上位から「希望の働き方(テレワーク・副業など)ができるか」(42%)、「企業・事業に将来性があるか」(38%)、「勤務時間・休日休暇・勤務地が希望に合うか」(35%)となり、年代別では「希望の働き方(テレワーク・副業など)ができるか」(20代は47%、30代は47%、40代以上は35%)、「経験・スキルが活かせるか」(同、8%、11%、18%)となりました。
◆考え方の変化にも関心を持つことが必要
柔軟な働き方の導入は、多くの労働者にとってメリットとなっています。
オンライン授業を経験している大学生も多くなるこれからの採用活動では、柔軟な働き方を導入していない企業イメージが悪化しそうです。

勤続年数の長期化を見すえた人事制度を考えるために◆人生100年時代
独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った「人生100年時代のキャリア形成と雇用管理の課題に関する調査」を実施。
◆管理職へ昇進できない社員の処遇
中小企業では「昇進・昇格がなく勤続」は77.9%と最も高く、「管理職相当の専門職とする」34.4%、「管理職相当の社員格付とする」30.5%と続き大企業も同様でした。
◆キャリア形成の人事制度とその効果
目標管理制度やキャリア面談等の人事制度について、39歳までの若年層では「メンター制度」が特に効果的という結果でした。
60歳以上では全般的に制度導入効果が低く、特に自己申告制度などは若年層と比べて効果が薄く逆効果になる場合もありましたが「社会貢献参加」制度は効果がでました。ボランティア活動などの人材育成効果は、社会の価値観に触れる機会(69.5%)、社外ネットワークの拡大(48.6%)、新しい視点の獲得(37.0%)などで、大企業も中小企業も同様の傾向です。
◆改正高年齢者雇用安定法が4月1日に施行され、従業員の70歳までの就業確保を努力義務とする規定が盛り込まれます。

2020年「休廃業・解散企業」の動向
~東京商工リサーチ調査~
◆昨年に休廃業・解散(倒産以外で事業活動を停止)した企業は4万9,698件(前年比14.6%増)で、2000年の調査開始以降で最多を更新。
休廃業・解散した企業の従業員は、12万6,550人(同26.4%増)で、2年ぶりに増加。コロナ感染拡大による景気の悪化や、政府や自治体からの支援があっても事業の継続をあきらめる企業が増加しました。
一方、国の支援やコロナ対策融資等によって昨年の倒産件数は7,333件(同7.2%減)と2年ぶりに減少しました。
◆業種別では?
 業種別では飲食や宿泊を含む「サービス業他」が1万5,624件(前年比17.96%増)と最も多く全体の31.4%を占め、次いで、建設業が8,211件(同16.85%増)小売業が6,168件(同7.29%増)となりました。
◆事業承継も課題
 代表者の年齢別では、70代が最も多く41.7%で、60代以上が全体の84.2%を占め、代表者の高齢化、後継者難に加えコロナ禍による理由も多いと考えられます。
◆今後も事業継続をあきらめ休廃業・解散する企業は増えることが懸念されます。

令和2年「高齢者の雇用状況」
~厚労省調査より~
◆65歳雇用の実施状況などを集計した「令和2年「高年齢者の雇用状況」」(2020年6月1日現在)を公表(従業員31人以上の企業164,033社)。
「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置  (高年齢者雇用確保措置)のある企業は164,033社、99.9%(前年同比0.1ポイント増)でした。
◆定年の引上げ、65歳定年企業が増加
・「定年制の廃止」4,468社、2.7%(前年同比は変動なし)
・「定年の引上げ」34,213社、20.9%(同1.5ポイント増)
・「継続雇用制度の導入」125,352社、76.4%(同1.5ポイント減)
 継続雇用制度の導入による企業が多いのがわかります。
・「65歳定年企業」は30,250社、18.4%(同1.2ポイント増)
大企業、中小企業ともに増加しています。
◆4月1日からは70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務へ
・「66歳以上も働ける制度のある企業」は54,802社、33.4%(同2.6ポイント増)
・「70歳以上も働ける制度のある企業」についても51,633社、31.5%(同2.6ポイント増)
2025年4月には、全企業に65歳までの雇用確保が義務となります。

スポット情報●健康保険証代わりにマイナンバーカード
試行運用開始(3月5日)
厚労省は、健康保険証の代わりにマイナンバーカードを利用できるシステムの試行運用を開始。3月下旬の本格運用を目指し、全国19カ所の医療機関、調剤薬局で開始。
●1月の有効求人倍率 2カ月ぶり上昇(3月2日)
1月の有効求人倍率が1.10倍と2カ月ぶりに改善し、2020年6月(1.12倍)以来の水準となった。1月は緊急事態宣言が再発令されたことから、仕事を探す人が減ったことが背景にある。
●転職、転籍時のマイナンバ‐再提出不要に(2月24日)
政府は会社員が転職や転籍をした際に、新たな勤務先へマイナンバー情報を提出しなくても済むように制度を改め、従業員の負担軽減をはかる方針。マイナンバー法を改正し、従業員の同意のうえ新旧の勤務先同士で情報を移す。9月からの実施予定。
●ワクチン非接種で不利益扱いは不適切(2月20日)
政府はワクチン接種をしない者への不利益な取扱い(解雇、減給、配置転換、取引の中止など)について禁止する法令はないが不適切だとする閣議決定をした。
接種を採用条件にする、面接で接種の有無を聞く、取引先に接種証明の提出を求める等も不適切だとした。接種した人に報奨金を出すこと、店舗での割引優遇を行うことなど、接種しない人が極端に不利益にならない、差別とならないことが重要とした。
●出向を後押し 官民協議会設置(2月18日)
出向を促進する官民協議会「全国在籍型出向等支援協議会」が17日に発足し、出向を積極的に進める意向を表明した。厚労省や経産省、経団連、日商、全銀協、連合などが参加。厚労省が助成金や減税で出向を積極的に後押しする。
●デジタル給与支払 銀行口座を併用(2月16日)
解禁予定の給与デジタル払いについて、厚労省は銀行との併用を前提とし、制度設計とする方針。100万円超は銀行への振込みとする。デジタル払いでも銀行口座との併用を企業に求める。また労使の合意が前提で希望する従業員に限定する方針。
●雇用調整助成金の特例を6月末まで延長(2月12日)
政府は経営が厳しい企業とコロナ感染が拡大している地域の外食業などを対象に、雇用調整助成金の特例水準を6月末まで維持する方向性を示した。特例を一律で適用するのは4月末までとし、5月以降は企業の経営状態と地域の感染状況で差をつける。
●パートタイム労働者比率31.14%、初の低下(2月10日)
2020年のパートの比率が31.14%(前年比0.39ポイント減)となり、調査を始めた1990年以来初めて低下した(厚労省毎月勤労統計調査)。20年の非正規社員数は2,090万人で75万人減。コロナ禍で外食産業などがパートの雇用を一気に減らしたことが影響した。
●コロナ禍による業績悪化で給与総額減(2月9日)
2020年12月の労働者1人当たりの現金給与総額は前年同月比3.2%減の54万6,607円、月平均では前年比1.2%減の31万8,299円となった(厚労省毎月勤労統計調査)。リーマンショック翌年の2009年以来の下げ幅となった。

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