経営労務情報 令和7年(2025年)9月

お知らせ◆最低賃金 が10月1日より63円上がり1,140円(愛知県)となります。
今年も過去最大の引き上げ幅です。
パートさんの時給と、社員の基本給や手当など固定して支払う「月額」または「日額」が時間 単価に換算した場合に最低賃金額以上となっている必要があります。
◆年1回の社会保険料の「定期変更」です。
「社会保険の算定基礎届」に基づく年1回の社会保険料の「定期変更」は、10月に支払う 給与から対象となります。個人ごとに社会保険料を変更する必要があるかをご確認ください。
◆健康保険証の使用期限は12月1日までです。
現在の「健康保険証」は原則、今年12月1日までの使用期限です。翌日より「資格確認書」または「マイナ保険証」となります。病院によっては健康保険証でも来年3月末まで受診できる場合もありますが、「マイナ保険証」になっていない方は、まずは「資格確認書」が届いているかご確認ください。

「資格確認書」が会社に届いた場合の対応◆「資格確認書」とは
昨年12月2日からは従来の「健康保険証」から原則として「マイナ保険証」へ変更されました。
しかし本年5月現在「マイナ保険証」の利用割合は43.1%(推計)と半数に届かず、マイナ保険証を解除する人もいるため、従来の健康保険証に変わり「資格確認書」が交付されています。
◆送付対象者の自宅への送付
協会けんぽでは、本年7月下旬よりマイナ保険証に切り替わっていない加入者へ「資格確認書」を自宅へ送付しています。
また送付対象者がいる事業所へは「送付対象者一覧表」を送付しています。
◆自宅に送れない場合は会社宛へ送付
加入者の転居等で届かない場合は、会社宛に送付されます。送付先は4月30日時点の情報のため、退職者などが一覧表に掲載されていたり、退職者の資格確認書が届いたりする場合がありますのでご注意ください。

19歳以上23歳未満の健康保険の扶養認定要件が変わります◆健康保険の扶養家族の年間収入要件が変更
令和7年度税制改正で、19歳以上23歳未満の親族等を扶養する場合の「特定扶養控除」の要件見直しが行われました。これにより扶養認定を受ける者(配偶者を除く)が19歳以上23歳未満の年間収入要件が変わります。
◆19歳以上23歳未満の年間収入要件とは
扶養家族の認定日が令和7年10月1日以降で、19歳以上23歳未満の場合は、現行の「年間収入130万円未満」が「年間収入150万円未満」に変更になります。この年齢要件(19歳以上23歳未満)は、扶養の認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定されます。
◆他の認定要件
この年齢要件は、あくまで年齢によって判断され学生である必要はありません。
年間収入が150万円未満かどうかの判断は、「従来と同様の年間収入の考え方」によります。
具体的には「認定対象者の過去の収入」「現時点の収入」または「将来の収入の見込み」などから「今後1年間の収入」を見込むことになります。
令和7年10月1日以降の届出でも、令和7年10月1日より前の期間について認定する場合は、19歳以上23歳未満の被扶養者にかかる年間収入の要件は130万円未満で判断されます。内容をよく確認する必要があります。

独禁法上の問題になりそうな荷主の行為公正取引委員会では、荷主と物流事業者との取引の公正化に向けた調査を継続的に行っています。令和6年度の調査結果報告によると、現下の労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコスト上昇分の取引価格への反映の必要性について協議をすることなく取引価格を据え置く行為等が疑われる事案に関して、荷主100名に対する立入調査も行っていました。
また調査の結果を踏まえ、独占禁止法上の問題の恐れのある行為を行った荷主(646名)に対して注意喚起文書を送付しています。
以下は問題につながる恐れのある行為としてあがった主な事例です。
⑴不当な発注内容の変更及びやり直し
荷主(飲食料品卸売業)は、物流事業者に対し、定期便として発注した運送業務を集配送の当日にキャンセルしたが、そのような突然のキャンセルに伴い物流事業者が負担した車両の手配に要した費用を支払わなかった。
⑵代金の支払遅延
荷主(飲食料品小売業)は、物流事業者に対し、自社の事務処理が間にあわないことを理由に、あらかじめ定めた支払期日を遅らせて運賃を支払った。
⑶買いたたき
荷主(機械器具卸売業)は、物流事業者から、それまで無償で提供させていた附帯業務の料金が上乗せされた見積書を受け取ったにもかかわらず、理由を一切説明することなく、運賃を一方的に据え置いた。(注意喚起文書を送付した荷主は96件「12.9%」)
⑷不当な経済上の利益の提供要請
荷主(その他の卸売業)は、物流事業者に対し、契約では運送の委託しかしていないにもかかわらず、運送した荷物の荷卸し、検品及び棚入れを無償で行わせた。
⑸代金の減額
荷主(物品賃貸業)は、物流事業者に対し、理由を一切説明することなく、あらかじめ定めた運賃を一方的に減額して支払った。
⑹割引困難な手形の交付
荷主(機械器具卸売業)は、物流事業者に対し運賃として手形期間150日の約束手形を交付した。
⑺物の購入強制・役務の利用強制
荷主(家具・装備品製造業)は、物流事業者に対し、自社が開催する展示会における家具の運送等の委託をする際に自社製品を購入させた。

働く母親が8割超に令和6年国民生活基礎調査より◆働く母親が過去最高の8割超に
厚生労働省が公表した令和6年の「国民生活基礎調査」によると、児童(18歳未満)のいる世帯において、母親が「仕事あり」と回答した割合は80.9%に達しました。
これは過去最高の水準であり、働く母親が社会の中でますます一般的な存在となっていることを示しています。
こうした状況を背景に、企業には育児と仕事の両立支援のための環境整備がますます求められています。具体的には、柔軟な勤務形態(時短勤務、フレックスタイム制、テレワークなど)や、子育て支援に関する社内制度(子の看護等休暇、育児支援手当など)があります。
また、男性育休の取得推進も重要です。こうした取組みに対して、国は助成金や認定制度も用意しています。
◆両立支援は未来への投資
令和7年10月1日からは、改正育児・介護休業法により、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置を講じることが事業主に義務付けられます。
法律を守るという観点はもちろんですが、従業員のライフステージに寄り添った制度設計は、職場の定着率や生産性向上につながる投資ともいえます。
夫婦で育児を担うという意識が社会に浸透し、若年層が就職・転職時に企業の育児支援制度を重視する傾向も強まっています。働き手が減少する中で、持続的な経営を実現するためにも、実効性のある人事施策を検討していくことも重要です。

40歳から始める職場の転倒対策職場での転倒事故が増えています。
東京労働局の調査では、休業4日以上の労働災害の約3割が転倒によるものでした。
ヒトの筋肉量は30歳以降年間1%ほどの割合で減少していき、40歳代からは加齢に伴う身体機能の低下が徐々に始まるとされており、筋力低下やバランス感覚の衰え、視力の変化が転倒のリスクを高めます。
フレイルとは、加齢によって心身の機能が低下し、外部の変化に対応しにくくなる状態であり、早めの対策が重要です。「まだ大丈夫」と思っていても、身体機能の衰えは思ったより早く始まります。
◆職場環境と日常業務の見直しで転倒対策
転倒災害は予防できる事故です。まずは通路の整理整頓、適切な照明、滑りやすい床面の改善など、基本的な安全対策を徹底しましょう。 
4S(整理・整頓・清掃・清潔)活動や危険の見える化、危険予知(KY)活動を取り入れ、従業員全員が危険箇所を把握しやすくすることも効果的です。
◆身体機能維持への日常的な取組み
転倒防止には個人の身体機能維持も不可欠です。厚生労働省は年齢に関わらず筋力トレーニングやストレッチの実施を推奨しています。
朝礼や業務の合間に簡単な体操や柔軟運動を取り入れる、意識的に階段を使うようにするといった対策で、転倒リスクを大きく減らすことが可能です。定期健康診断で視力やバランス機能の変化を定期的にチェックし、必要な対応を行いましょう。
40歳を過ぎたら早めの対策を心がけることが、安全確保につながります。高齢化が進む中、従業員の年齢に合わせた安全対策は、健康維持や生産性向上にも直結する重要な経営課題です。今一度、職場の安全衛生管理を見直してみる必要もあります。

Z世代の満足ポイントと中小企業の離職防止策Z世代の若手社員は、会社の現状に対して、思ったほど満足していないようです。
レバレジーズ株式会社の調査では、Z世代の働き方への満足度は51.5%。一方で会社の管理職は「社員は今の働き方に満足している」と68%が考えており、両者の間には約17ポイントものギャップがありました。現場のリアルな声と経営側の認識には意外と差がありました。
◆Z世代の満足ポイント
Z世代は、「残業時間が短いこと」や「上司との人間関係」に特に満足を感じやすい世代です。 
また、「心情的な寄り添い」や「異動の提案」など、会社や上司が自分のことを気にかけてくれていると実感できたとき、離職を踏みとどまった経験がある人も多いようです。日々のちょっとした変化や気持ちに目を向けることが、若手の安心感につながります。
◆中小企業が取れる対策
中小企業でも取り組みやすい離職防止策にはどんなものがあるのでしょうか。キーワードは「コミュニケーション」です。
⑴悩みや疑問を気軽に話せる場をつくる。
定期的な1on1や日報・チャットなどで、日々の小さな変化もキャッチします。
⑵若手が日々得た情報や学びを、朝礼やミーティングなどで共有する仕組みをつくる。
一言でも自分の意見を添えるルールにすることで思考や感情変化も見えやすくなります。
⑶若手社員の意見や成功事例を発信する。
成長や努力をみんなで認め合い「きっとうまくいく」「自分ならできる」という「自己効力感」を高めることができます。
⑷「気にかけているよ」という姿勢を伝える。
経営層や管理職も積極的に声をかけちょっとした会話を大切にします。
まずはできることから少しずつ始め、会社全体で働きやすい環境づくりと業績アップを目指していきたいものです。

スポット情報●最低賃金 全国平均1,121円へ(9/5)
厚労省は5日、全国の地域別最低賃金の改定額を集計した結果を公表した。全国加重平均は過去最高の1,121円で昨年度から66円引上げとなった。過去最大の上げ幅。最高額は東京の1,226円で、最低額は高知、宮崎、沖縄の1,023円と、初めて全都道府県で1,000円を超えた。 
最大の引上げ幅は熊本の82円で、国が示した引上げ目安額64円を39県で上回った。発効日を例年の10月から遅らせる地域が相次ぎ、秋田や群馬は26年3月の予定。
●外国人雇用実態調査結果を公表(8/29)
厚労省は令和6年外国人雇用実態調査の結果を公表した。外国人労働者のうち、10.9%が就労上のトラブルを経験したことがあると回答した。トラブルの内容として多かったのは「紹介会社(送出し機関含む)の費用が高かった」18.6%、「トラブルや困ったことをどこに相談すればよいかわからなかった」14.9%。
また外国人労働者全体の54.8%が、母国に仕送りをしていると回答し、在留資格「技能実習」と「特定技能」の外国人労働者では8割以上だった。年間の仕送り金額の平均は、全体で104.3万円だった。
●雇調金コロナ特例の不正受給(8/28)
厚労省は、コロナ特例の雇用調整助成金の不正受給額が約1,044億6,000万円(2025年6月末時点、緊急雇用安定助成金を含む)、支給決定取消件数は4,820件の集計結果を発表した。雇調金支給決定額は約6兆円だった。延滞金を含めた約804億6,000万円が回収済み。
●氷河期世代支援のための交付金創設(8/27)
内閣府は「地域就職氷河期世代支援加速化交付金(仮称)」を26年度に創設し、地方自治体に交付する。来年度予算の概算要求として10億円程度を盛り込む。各自治体は交付金を活用し、正社員化の促進、個別相談、就職希望者と企業のマッチングなどの取組みに充てる。
●同一、同一指針見直しの論点案を提示(8/9)
厚労省は8日、同一労働・同一賃金の施行後5年の見直しにあわせて検討中のガイドラインの改訂(時期未定)案を労働政策審議会の部会に示した。非正規労働者の待遇改善をさらに進めるため、待遇差に関する項目について追加・見直しを検討する。追加項目は、退職金、住宅手当、無事故手当、夏季・冬季休暇、家族手当、褒賞など。見直し項目は、賞与や病気休暇。また正社員の待遇引下げに関する記載も、見直しを検討する。
●トラック運転手の負担軽減義務化(8/6)
政府は5日、トラック運転手の長時間労働抑制に向けた計画作成を2026年4月から義務化すると決めた。配送拠点で順番を待つ「荷待ち」や、荷物を積み降ろす「荷役」の時間を短縮し、負担軽減につなげる。扱う荷物の総重量が年間9万トン以上の荷主、保有トラック台数150台以上の運送業者、保管量70万トン以上の倉庫業者など、全国計3,000社超が対象。計画には予約システム導入など具体策を盛り込み、実施状況を国に定期報告することも義務となる。違反は是正勧告、命令の対象となるほか、最大100万円の罰金が科される。

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