2012年1月号

I 社員の「世代間ギャップ」をどう埋める? 独立行政法人労働政策研究・研修機構が、昨年1月に「世代間コミュニケーション」についての企業調査を行いました。調査対象を3世代に分類し、それぞれの世代の入社時点での印象を企業に尋ねたところ、キャリア意識などの面で違いが見られました。

●世代間ギャップの要因は?
バブル期以前の採用世代の印象は
「組織が求める役割を果たそうとする意識が強い」
「失敗や困難があってもやり遂げようとする意思が強い」
など
1990~2000年代に採用世代の印象は
「自分の取り組みたい仕事へのこだわりが強い」
「失敗したり困難な仕事に直面したりすると自信を失う」
など

上の世代は、自分が若かった時と比べがちで、それが世代間ギャップの一因ともなっているようです。

●働く目的は何か?
高度経済成長で豊かになった時代に生まれ育った団塊ジュニア世代以降は、「食べるために働く」意識が希薄だと言われています。働く目的は「自分の能力や個性を生かすため」であり、「給料をもらうために辛抱しろ」といった考えは通用しない傾向が見られます。一方、下の世代からみると、会社への依存傾向が強い今の40代に対する不満がつのりやすいようです。

●部下・後輩に歩み寄ることも必要
若手社員は「自己成長」には強い関心があります。先輩・上司は、その特質を知り、どのように接すれば良いパフォーマンスを引き出せるかを考える必要があります。仕事環境は常に変化し、不景気で人員も少ない中で効率を上げることが求められています。コミュニケーションに割ける時間は確実に減少していますが、先輩・上司が自分から部下・後輩に歩み寄り、彼らの仕事観に合わせることも必要になってきています。

II 平成23年の給与見直し状況 平成23年11月30日に「賃金引上げ等の実態に関する調査」概要が公表されました。

●給与の改定状況
(1)平成23年中に「1人平均賃金を引き上げた」または「予定している」企業の割合
73.8%(前年74.1%)
(2)平成23年中に「賃金カットを実施」または「予定している」企業の割合
5.2%(前年23.0%)

定期昇給制度がある企業のうち
(3)平成23年中に「定期昇給を行った」または「予定している」企業の割合
管理職52.4%(前年51.6%)・一般職62.9%(前年63.1%)
(4)平成23年中に「ベースアップを行った」または「予定している」企業の割合
管理職11.7%(前年 9.4%)・一般職13.4%(前年 9.6%)

III 平成23年初任給の概況 平成23年11月15に「賃金構造基本統計調査結果(初任給)」概要が公表されました。

●学歴別にみた初任給

  男女計 男性 女性
大学卒 202,000円(+2.3%) 205,000円(+2.3%) 197,900円(+2.3%)
高校卒 156,500円(-0.8%) 159,400円(-0.8%) 151,800円(-0.9%)

(  )は、対前年増減率
大卒の初任給は男女とも前年から増加、高卒の初任給は男女とも前年を下回りました。

●企業規模別にみた初任給

社員数100 人以上の大・中規模の企業 大卒の男女で前年比 増加
社員数100人未満の小企業 大卒・高卒の男女とも前年比 減少

大卒の初任給は、男女とも20万円台
高卒の初任給は、男性16万円台 ・女性15万円台が、最も多くなっています。

IV 平成24年度の労災保険率、35業種で引き下げへ 労災保険料を算出するための労災保険率が、平成24年4月1日より引き下げられる見込みです。

●4月1日以降の労災保険率
平均で1,000分の0.6 引下げ 〔引下げ35業種 / 据置き12業種 / 引上げ8業種〕

<平均の労災保険率の推移(単位:1/1,000)>

元年度 4年度 7年度 10年度 13年度 15年度 18年度 21年度 改正案
10.8 11.2 9.9 9.4 8.5 7.4 7.0 5.4 4.8

●メリット制の適用対象を拡大
労災保険には、個々の事業場の災害発生率に応じて労災保険料を-40%~+40%の幅で増減する「メリット制」という制度があります。これは、同一の業種でも事業主の災害防止努力などによって災害発生率に差があるためで、保険料負担の公平性の確保や事業主による災害防止努力を一層促進するために設けられている制度です。

改正案 建設業と林業で、メリット制の適用要件である確定保険料の額
現行の「100 万円以上」→「40 万円以上」 に緩和して適用対象を拡大

業種ごとの詳しい保険料率等につきましては、決定後、詳しくお伝えしていきます。

監修 :中島光利、木嵜真一、八木義昭

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