経営労務情報 平成25年(2013年)1月号

あけましておめでとうございます。
本年が、皆様にとって良き年となりますよう、所員一同心から祈念いたしております。本年もよろしくお願い申し上げます。

I 平成24年「賃金引上げ等の実態に関する調査」厚生労働省は、平成24年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を公表しました。厚生労働省の統計上においては、平成24年の各企業の給与改定等の状況をみると、前年に比べ好転しています。ただ、ベースアップ(全体的な給与額の底上げ)する企業はあまり増加してないようです

●調査結果のポイント
1 給与額の改定(平成24年中)
(1) 一人当たり平均給与額を引き上げた(予定も含む)企業は75.3%で、前年を上回りました。一人当たり平均給与額を引き下げた企業は3.9%で、前年を下回りました。
(2) 平成24年給与の平均改定額は4,036円、改定率は1.4%で、前年を上回りました。
(3) 給与カット(一定期間、給与を減額すること)を実施している企業は12.8%で、前年を下回りました。

2 定期昇給等の実施
(1) 定期昇給制度がある企業のうち、定期昇給を行った(予定も含む)企業は、管理職56.7%、一般職64.7%で、管理職・一般職ともに前年を上回りました。
(2) 定期昇給制度がある企業のうち、ベースアップを行った企業は、管理職9.8%、一般職12.1%で、管理職・一般職ともに前年を下回りました。

3 賞与の支給状況
(1) 平成23年冬期賞与を支給した企業割合は、89.5%となっています。
平成23年冬期賞与の平均賞与支給額をみると、582,902円、平成22年冬期賞与に比べ、40,753円増加しました。
(2) 平成24年夏期賞与を支給した企業割合は86.8%となっています。
平成24年夏期賞与の平均賞与支給額をみると、573,357円、平成23年夏期賞与に比べ、28,895円増加しました。

※統計上、給与改定等の数値は改善しています。が、現状、中小企業ではそこまでの回復には至っていないようにも感じます。本年以降の景気動向に期待したいものです。

II 雇用促進税制を利用しませんか?従業員を新たに雇うと従業員数の増加一人につき、一人当たり最大20万円の法人税が控除される制度です。活用する場合、「雇用促進計画」を事業年度開始後2ヶ月以内に、ハローワークへ提出する必要があります。平成26年3月31日までの期限付きの制度です。

●制度の要件
前事業年度末日と今期事業年度末日の雇用保険加入者数を比較

(例)平成25年3月決算で税制を利用したい場合
平成24年3月31日と平成25年3月31日との比較で、以下の①かつ②の要件を満たす企業は、雇用増加数1人当たり20万円の税額控除が受けられます。
(※法人税額の10%(中小企業は20%)が限度になります)
税額控除に該当する時は、雇用促進計画を平成25年5月31日までに労働局に提出し、確認を受けます。

(1)5人以上(中小企業の場合は2人以上)雇用した
(2)平成24年3月31日時点と比較し、雇用保険加入者数が10%以上増加した

●対象企業
・青色申告書を提出する企業(個人事業主)であること
・適用年度とその前事業年度に、解雇等による離職者がいないこと
・適用年度における給与等の支給額が、一定額以上であること  など

期間限定のお得な制度です。従業員を増やす計画がある場合は、是非、活用をご検討下さい。雇用保険の助成金とは独立した制度のため、他の助成金を受けていても、利用可能です。

III 新入社員の入社後の意識の変化●「今の会社に一生勤めようと思っている」が大幅減
春に新入社員が入社してから半年以上が経ちました。新入社員には、働くうえで意識の変化はあったのでしょうか。公益財団法人日本生産性本部が2012年度新入社員(340人)に実施した、「2012年度新入社員秋の意識調査」によると、「今の会社に一生勤めようと思っている」とする回答は30.6%。同年春の調査結果(60.1%)から29.5ポイント減少しました。この落差は、1997以来過去最大となったそうです。

●「仕事を通じてかなえたい『夢』がある」も減少
「自分には仕事を通じてかなえたい『夢』がある」という質問に対して、「そう思う」と回答した人の割合は50.7%。同年春の調査結果(70.5%)から19.8ポイント減となりました。これらの意識の変化は、入社前の「理想」と、実際に働きはじめてからの「現実」とのギャップを感じ始めていることを示していると言えそうです。

●「人間関係の良さ」も企業選びには重要?
また、「今の会社に一生勤めようと思っている」と回答した人は、その理由として、給料・福利厚生等の良さの他に、「教育担当の先輩が熱心に指導してくれて、頑張らなければならないと感じている」、「先輩や上司が優しく働きやすい」など、人間関係の良さを挙げている傾向も見られました。入社直後は先輩・上司から指導を受けることが多く、誰にどのような指導を受けたかが、会社のイメージを左右するといっても過言ではありません。その意味で、新入社員の指導法等について検討することは、社員の定着向上のためにも大切です。

監修 :中島光利、木嵜真一、八木義昭

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