経営労務情報 平成25年(2013年)5月号

経営労務のお役立ち情報!!

I 雇用者を1人増やすごとに、40万円の税額控除を受けられます!事業年度中に、雇用者数を5人以上(中小企業は2人以上)かつ10%以上増加させるなど一定の要件を満たした事業主は、法人税(個人事業主の場合は所得税)の税額控除の適用が受けられる制度がパワーアップします。今年4月より、「雇用者一人につき20万円」から「雇用者一人につき40万円の税額控除」と増額されました。
※ただし、当期の法人税額の10%(中小企業は20%)が限度です。

●対象となる事業主の要件
・青色申告書を提出する事業主であること
・現事業年度とその前事業年度に、事業主都合による退職者がいないこと
・現事業年度に雇用者(雇用保険一般被保険者)の数を2人以上(中小企業)かつ 、10%以上増加させていること
※雇用者増加数は、現事業年度末日と前事業年度末日の雇用者数の差
・適用年度における給与等の支給額が、比較給与等支給額以上であること

※比較給与等支給額=前事業年度の給与等の支給額+(前事業年度の給与等の支給額× 雇用増加割合×30%)
・風俗営業等を営む事業主ではないこと

●適用の要件
適用を受けるためには、あらかじめ「雇用促進計画」をハローワークに提出する必要があります。

II「第12次 労働災害防止計画」のポイント「労働災害防止計画」とは、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画です。今後、国が、どこに重点を置いて、企業に対する指導を行っていく方針なのか(どのような企業が調査対象になるか)を知ることができます。

●現状と課題 労働災害による被災者数(平成23年:震災直接原因分除く)
•死亡者数: 1,024人 (過去最少)
•死傷者数:117,958人(2年連続増加  平成24年も増加)
※労働災害は長期的には減少しているが、第三次産業では増加(特に社会福祉施設は過去10年で2倍以上)
※死亡災害も減少しているが、建設業・製造業での被災が過半数を占め、割合が高い

●計画の目標  
・労働災害による死亡者数及び死傷者数 それぞれ15%以上減少

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●「第12次労働災害防止計画」の重点(平成25年4月~平成30年3月)
(1)重点対策ごとに数値目標を設定
※重点対策には、近年増加している「メンタルヘルス」、「過重労働(長時間労働)」に関するものも含まれています。

(2)第三次産業を最重点業種に位置づけ
労働災害が増加し、全体に占める割合が高まっている第三次産業に焦点を当て、特に災害の多い「小売業」、「社会福祉施設」、「飲食店」に対する集中的取組を実施

(3)死亡災害に対し重点を絞った取組を実施
依然として死亡災害の半数以上を占める建設業、製造業に対して、「墜落・転落災害」、「機械によるはさまれ・巻き込まれ災害」に重点を当てて取り組む

メンタルヘルス対策⇒【目標】対策に取り組んでいる事業場の割合 80%以上にする
・メンタルヘルス不調を予防するための職場改善手法を検討
・ストレスチェックなどの取組を推進
・事例集やモデルプログラムの作成により職場復帰支援を促進

過重労働対策⇒【目標】週労働時間60時間以上の雇用者割合を30%以上減少させる
・健康診断の実施と事後措置などの健康管理を徹底
・休日・休暇の付与・取得を促進
・時間外労働の限度基準の遵守を図り、時間外労働削減を推進

※健康診断の実施と事後措置についても、最近、労基署の調査で重点的にチェックされています。「メンタルヘルス対策」「過重労働対策」がより重要になってきています。

III 全国初!自治体が「中小企業用のパワハラ対策マニュアル」を作成●神奈川県がマニュアルを作成
職場のパワーハラスメント(パワハラ)問題への関心が高まるなか、神奈川県は「ハラスメントのない職場づくりを神奈川から」を発信するなど、取組を強化しています。その一環として、県内の事業所におけるパワハラ対策の取組状況に関する実態調査を実施。その結果を踏まえて、中小企業向けに「パワハラ対策マニュアル」を全国で初めて作成しました。

●パワハラの実態調査の概要
・過去1年以内にパワハラの相談・苦情があった中小企業事業所は約3割(28.6%)
・中小企業事業所の8割以上がパワハラ対策を経営上重要と認識しているが、3割以上が何も取り組んでいない。
・取り組んでいる場合の内容
「会議や朝礼での注意喚起」(28.2%)
「相談窓口の設置」    (21.0%)
「研修・講習会の実施」  (13.9%)

●マニュアルの概要
マニュアルでは、パワハラの定義、企業の責任、取組実態、予防策などについて解説されていて、次のような特徴があります。
・パワハラは、会社・従業員全体が一体となって取り組むべき必要のある問題
・中小企業で活用できるよう、わかりやすく具体的に解説するとともに、企業の実情に応じたステップバイステップの取組方法を解説

監修 :中島光利、木嵜真一、八木義昭

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