経営労務情報 平成25年(2013年)6月号

経営労務のお役立ち情報!!

I 若者チャレンジ奨励金が創設されました! 若者の人材育成に取り組む会社を支援することを目的として、「若者チャレンジ奨励金(若年者人材育成・定着支援奨励金)」が創設されました。この奨励金は平成25年度末までの期間限定の制度です。

●若者チャレンジ奨励金(若年者人材育成・定着支援奨励金)の概要
この奨励金は、35歳未満の非正規雇用の若者を、自社の正社員として雇用することを前提に、自社内での実習(OJT)と座学(Off-JT)を組み合わせた訓練(若者チャレンジ訓練)を実施する会社に支給されるものです。

●種類と支給額

訓練実施期間中に支給 訓練終了後に支給
訓練奨励金 正社員雇用奨励金
訓練奨励金訓練受講者1人1月当たり15万円 訓練受講者を正社員として雇用した場合に、1人当たり1年経過時に50万円、2年経過時に50万円(計100万円)

●若者チャレンジ訓練の対象者
35歳未満の若者であって、以下のいずれにも該当する者とされています。
(1) 過去5年以内に訓練を実施する分野で、正社員としておおむね3年以上継続して雇用されたことがない者等であって、登録キャリア・コンサルタントにより、若者チャレンジ訓練へ参加することが適当と判断され、ジョブ・カードの交付を受けた者
(2) 訓練を実施する会社と期間の定めのある労働契約を締結する者 等

●奨励金を活用できる会社の要件(主要なもの)
(1) 都道府県労働局長の確認を受けた訓練実施計画に基づき訓練受講者(雇用保険被保険者に限る)に訓練を実施すること。(一定の要件等に該当する訓練の実施計画を作成し、都道府県労働局長の確認を受けた上で、その計画に基づき訓練を実施する必要があります)
(2) 訓練受講者に訓練期間中の賃金を支払うこと。
(3) 雇用保険に加入していること。 等

II 雇用調整助成金の制度の変更 6月1日以降、雇用保険二事業として実施されている「雇用調整助成金」(※業績悪化により会社が休業した場合に支給される助成金)について、要件が変更となることが、厚生労働省から公表されています。概要は次のとおりです。

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●支給要件に、次の雇用指標が加わります
これまでは、直近3ヶ月売上と前年同期を比較して、売上が減少している場合が対象でしたが、今後はさらに、以下の要件を満たしていることが必要となります。
直近3か月の「雇用保険被保険者数と派遣労働者数の合計」の平均値が前年同期と比べ、
○大 企 業・・・「5%を超えてかつ6人以上」増加していないこと
○中小企業・・・「10%を超えてかつ4人以上」増加していないこと
※つまり、会社の売上が減少して休業しているときでも、新入社員をある程度採用している場合は、助成金対象外となります

●残業相殺が実施されます
平成25年6月1日以降の判定基礎期間から、「休業等を行った判定基礎期間内」に、休業の対象者が時間外勤務(残業)をしていた場合、残業時間相当分が助成額から差し引かれます。
(例)所定勤務時間が8時間の会社で、「休業日数が20日」「休業対象者の残業時間数が合計32時間」であった場合、20日-4日(32時間÷8時間)=16日分の支給となります。

●支給額(平成25年4月1日から、支給額が一部変更されています)

  大企業 中小企業
休業等を実施した場合の休業手当の負担額に対する助成率 1/2 2/3
教育訓練(事業所内訓練)を実施したときの加算額 (1人1日当たり)
1,000円
(1人1日当たり)
1,500円
教育訓練(事業所外訓練)を実施したときの加算額 (1人1日当たり)
2,000円
(1人1日当たり)
3,000円

III 今、話題の「解雇の金銭解決制度」とは? 最近、「解雇の金銭解決制度」(従業員が解雇されたときに、企業が和解金を支払って解決する仕組み)が、政府の規制改革会議で議論となっています。実現すれば、会社にとっては影響のある話題です。

●そもそもハードルの高い「解雇」
解雇については、労働契約法で、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効」とされています。裁判例においても、会社の敗訴が大多数で、解雇の実施は企業にとって非常にハードルの高いものとなっています。

●賛成側・反対側の意見
解雇トラブルが裁判になり、元従業員が勝訴した(解雇不当であると認定された)場合、職場復帰が原則となりますが、元の職場に戻るのは現実的には難しいものです。そのような場合、「和解金を支払うことでトラブルを解決する(職場復帰させない)のが妥当である」「和解金の相場がわかればトラブルの早期解決につながる」などというのが、制度導入に賛成する側の意見です。
一方、導入を反対する側の意見では、「『解雇が違法である』と裁判所が認めたのに、職場復帰できないのはおかしい」「企業が『お金を払えば解雇できる』と安易に考えやすくなる」などといったものがあります。実現には時間がかかるかもしれません。

監修 :中島光利、木嵜真一、八木義昭

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