経営労務情報 平成25年(2013年)9月号

経営労務のお役立ち情報です(次号からはテーマを絞り隔月発行とさせて頂きます)
お客様のご理解により担当のお客様をすべて譲り、この9月末にて退職し、木嵜真一君を独立させることができました。お客様には深くお礼を申し上げます。立派な社会保険労務士になってくれると思います。15年勤務してくれました。

I 転職者は転職に際して何を重視している?●人材確保のためには何が必要?
景気が上向きつつある現在、転職を希望する人も徐々に増えてきています。会社が「優秀な人材」「望む人材」「欲しい人材」を獲得するためには、転職者に「この会社に行きたい」と思ってもらわなければなりません。それでは、転職者は何を求めて(何を理由に「この会社に行きたい」と思って)転職をするのでしょうか?逆に会社としては、自社が望む人材に応募してもらうために、何をポイントにすべきでしょうか?

●調査結果
日本経済新聞社とNTTコムオンライン・マーケティング・ソリューションの共同調査の結果、「転職の条件で重視するもの」(3つまで回答)の回答の上位7つは以下の通りでした。
(1)給与水準
(2)会社の将来性
(3)福利厚生
(4)職場の人間関係
(5)スキルやキャリアを磨ける可能性
(6)職務やポスト
(7)会社の社会的貢献度

●「給与以外」で重要な要素
やはり1位はダントツで「給与水準」(82.2%)でした。しかし、給与はもちろん重要な要素ですが、それ以外の項目をみると、「仕事は大変でもやりがいがある」「仕事を通じて自分の成長を実感できる」「仕事を通じて社会の役に立てる」などと感じることができる職場・仕事が求められています。

II「最低賃金」と「定額残業代」●平均で14円の引上げに
政府は、今年10月頃に予定している平成25年度改定に合わせて、最低賃金の額の引上げ方針を固めました。引上げ幅は時給ベースで「14円」(全国平均)とされました。現在、全国平均で749円ですので、763円への引上げになります。今後はこれを目安に、都道府県ごとの最低賃金が決定されます。

最低賃金の引上げに向けて、政府は会社の内部留保が投資や賃金に回るような誘導策を導入する方針です。一方、負担の大きい中小企業に対しては、経営を過度に圧迫しないための対応策も検討するとしています。

●定額残業代と最低賃金、そして定額残業代自体の問題
パート・アルバイトの従業員がいない会社でも、最低賃金の引上げには要注意です。月給制の場合でも、「定額残業代制度」をとっている会社においては、(基本給)と(定額残業代以外の手当額)の合計を時間単価に直した場合、その額が最低賃金を下回ると法違反となり罰金が科される可能性があります。さすがにこの基準自体はクリアしていることが多いと思いますが、定額残業代にはまた別の問題点もあります。定額残業代の支払方法には、以下2パターンがあります。
(1)基本給とは別に手当として支払う方式
(2)基本給などに組み込んで支払う方式

未払残業代訴訟では、支払方法によって、会社側の主張が認められにくくなる場合があります。(1)については、就業規則や雇用契約書に定めがあれば、裁判でも定額残業代が認められやすい傾向にありますが、(2)については特に問題が多く、裁判で否定されることが多いようです。

●これから定額残業代を導入する場合
新たに定額残業代制度を導入しようとする場合、その多くは労働条件の不利益変更に該当することになります。その場合は、原則として書面による従業員との明確な合意が必要です。また、同意を得る前に、従業員に対する説明会や個別面談を行うなど、導入には周到な準備が必要です。消費税引上げを見据えて最低賃金引上げの圧力は強いようです。この機会に就業規則や雇用契約書、残業管理方法についても見直しておきましょう。

III 厚労省が「ブラック企業」の取り締まりを強化●「ブラック企業」の本格取締りがスタート
若年労働者等の使い捨てが疑われる会社(いわゆる「ブラック企業」)が社会問題となっていることを受けて、厚生労働省は、9月に集中的な監督指導を行います。法違反が認められた場合は是正指導が行われます。監督指導内容は以下の通りです。

・長時間労働抑制に向けた集中的な取組みの実施
主な重点確認事項
(1)時間外・休日労働が36協定の範囲内であるかの確認
(2)サービス残業の有無についての確認
(3)長時間労働者に対する、医師による面接指導などの健康確保措置についての確認

過労死、または、脳・心臓疾患等に係る労災請求が行われたなどの会社については、再発防止の取組を徹底させるため、法違反の是正確認後も監督指導が実施されるようです。監督指導の結果、法違反の是正が行われない場合は、是正が認められるまで、ハローワークにおける求人募集ができなくなることも決定しており、重大・悪質な違反が確認された会社については、送検、公表するとしています。

・しっかりとした相談対応
9月1日には全国一斉の電話相談を実施し、過重労働が疑われる会社などに関する相談を踏まえ、法違反が疑われる会社に監督・指導を行います。9月2日以後も「総合労働相談コーナー」「労働基準関係情報メール窓口」で相談や情報の受付をしています。新卒応援ハローワークでも、情報・相談を受け付け、労働基準法などの違反が疑われる会社に関しては労働基準監督署に情報を提供するとしています。

監修 :中島光利、八木義昭

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