経営労務情報 平成26年(2014年)1月号

I 2013年度の新入社員の意識調査新入社員の意識に変化はあったのか
日本生産性本部が入社半年後の新入社員を対象に実施した「2013 秋・若者意識アンケート」の調査結果が発表され、新入社員の意識にいくつかの変化が見られました。

「スペシャリスト」志向の割合が増加
キャリアについて「1つの仕事や持ち場を長い間経験させて、スペシャリスト(専門家)としてきたえる職場」と「いろいろな仕事や持ち場を経験させて、ジェネラリスト(会社全般の仕事が見渡せるような人)としてきたえる職場」のどちらを希望するかという問に対し、「スペシャリストの職場」と回答した割合は48.8%となり、「ジェネラリストの職場」のほうを若干上回りました。前回調査と比較すると、「スペシャリストの職場」が7.2ポイント上昇し、過去最高の変化を見せました。

「キャリアに反する仕事を我慢するのは無意味」が過去最高
「自分のキャリアプランに反する仕事を我慢して続けるのは無意味だ」という問に対し、「そう思う」が42.4%(昨年比15.9ポイント上昇)で、調査を開始した2006年以降で過去最高の上昇幅となりました。また、「条件の良い会社があれば、さっさと移るほうが得だ」という問に対し、「そう思う」が41.4%(昨年比5.2 ポイント上昇)となりました。

さらに、転職について「あなたは1つの会社に、最低でもどのくらい勤めるべきだと思いますか?」に対しては、「1年」および「2~3年」とする回答が2011年より上昇し続け、過去最高の44.5%となりました。

「自分の良心に反する仕事の指示には従わない」回答が急増
「上司から、会社のためにはなるが自分の良心に反する手段で仕事を進めるように 指示されました。この時あなたは...」の問いに対し、「指示に従わない」の回答者が16.4%(昨年比6.9ポイント上昇)で、こちらも2006年の調査開始以来の最高の増加でした。

II スポット情報◆ 新卒採用者数が4年連続で増加の見込み(2013/12/19)
2015年春卒業の、大学生・大学院生の採用見通しに関する調査(リクルートホールディングス実施)で、採用者数が前年より「増える」と回答した企業の割合(13.3%)が「減る」と回答した企業の割合(5.5%)を大きく上回ったことがわかった。「増える」と回答した割合の多かった業種は、「建設」(21.5%)、「飲食サービス」(21.1%)、「情報通信」(19.4%)、「証券」(19.4%)の順だった。

◆ 高卒者の就職内定率が64.1%に上昇(2013/12/17)
文部科学省が高卒者(平成26年3月卒業予定者)の就職内定状況(平成25年10月末現在)を発表し、就職内定率が64.1%(前年同期比3.2ポイント上昇)となり、4年連続で改善したことがわかった。同省では「景気回復に伴って企業の採用活動が活発化している」と分析している。

◆ 公的年金の支給総額と受給者数が過去最高に(2013/12/17)
厚生労働省は、2012年度における公的年金の支給総額が約53兆2,397億円(前年度比1.9%増)、受給者数が3,942万人(前年度比2%増)となり、いずれも過去最高となったと発表した。なお、加入者数は6,736万人で、前年度から39万人減少した。

◆ 連合が5年ぶりにベア1%以上を正式決定(2013/12/4)
連合は、来年の春闘において、年齢や勤続年数に応じて賃金が上昇する定期昇給(2%)を確保したうえで、基本給を一律で引き上げるベースアップ(1%以上)の実施を5年ぶりに要求することを正式決定した。大企業との格差を埋める必要がある中小企業については、さらに1%程度の上乗せを要求する方針。

◆ 現金給与総額が4カ月ぶりに増加(2013/12/3)
厚生労働省が10月の「毎月勤労統計調査」の結果を発表し、現金給与総額が26万7,167円(前年同月比0.1%増)となり、4カ月ぶりに増加したことがわかった。所定内給与は24万22,153万円(同0.4%減)で17カ月連続で減少、所定外給与は1万9,511円(同5.4%増)で7カ月連続で増加した。

◆ 「ブラック企業」対策で求人票に採用者数・離職者数を記載(2013/12/2)
厚生労働省は「ブラック企業」対策として、ハローワークを通じて大学生らを採用する企業に対し、来年度から離職率の公表を求めることを決定した。求人票に過去3年間の採用者数と離職者数の記入欄を設ける。ただし、記入は強制とはしない考え。

◆ 公的年金の黒字額が3兆円 7~9月期(2013/11/30)
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、今年7~9月期の運用実績が約3兆2,418億円の黒字であったと発表した。国内外における株式の上昇により評価益が増加したことによるもので、黒字は5四半期連続となった。

◆ 完全失業率 横ばいの4.0% (2013/11/29)
総務省が10月の完全失業率を発表し、前月と同じ4.0%だったことがわかった。また、厚生労働省が発表した同月の有効求人倍率は0.98倍(前月比0.03ポイント上昇)となり2カ月ぶりに上昇した。

◆ 労働者派遣制度見直し案を労政審に提示 厚労省(2013/12/13)
厚生労働省は、労働者派遣制度の見直し案を労働政策審議会の部会に示した。最長年としている派遣社員の受け入れ期間の上限をなくし、無期限で働き続けられるようにする。また、通訳などの「専門26業務」の区分についても廃止する。来年の通常国会に労働者派遣法の改正案を提出し、2015年の施行を目指す。

◆ 社会保障給付費が過去最高の107兆円(2013/12/7)
国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2011年の年金・医療・介護などの社会保障給付費が107兆4,950億円(前年度比2.7%増)となり、過去最高を更新したことがわかった。内訳をみると、年金が53兆623億円(同0.2%増)で全体の49.4%を占め、医療は34兆634億円(同3.5%増)、介護は7兆8,881億円(同5.1%増)だった。

監修 :中島光利、八木義昭、坂山徹

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