経営労務情報 平成26年(2014年)3月号

この1月末にて退職し、八木義昭君が独立することになりました。独立祝いにお客様を譲ることもできました。立派な社会保険労務士になってくれると思います。

I 介護保険料が変わります協会けんぽの介護保険料率が3月分(4月納付分)より、現行の1.55%から1.72%へ約11%増額されました。原則として、4月に支払う給与からの変更となります。お客様へは、3月末までに変更一覧表をお送り致しますのでご確認ください。

II 産前産後中も社会保険料が免除されます4月より、産前産後の休業(産前42日・産後56日)を取得した場合、社会保険料の免除が受けられるようになります(本人分および事業主分)。この制度の対象者は、3月5日出産の方からで4月分保険料より免除となります。変更ではありませんが、扶養家族の妻が出産し、夫が「育児休業」を取得した場合は出産日から社会保険料の免除となっています。

III 企業の「退職給付制度」に関する最新調査結果◆4社に1社は退職一時金・退職年金「なし」
昨年11月に発表された「厚生労働省・就労条件総合調査」(常用労働者数30人以上の企業を対象、4,211社から有効回答)では、前回調査以来5年ぶりに退職金に関する調査が行われました。それによると2008年調査時は83.9%の企業が退職金制度ありと回答していましたが、今回は75.5%まで減少していました。

◆「退職一時金制度のみ」が大幅増
制度の形態別では、2008年当時は31.9%あった「退職一時金と退職年金を併用」する企業が今回は22.6%へと大きく減少し、「退職一時金制度のみ」とする企業が55.3%から65.8%と大きく増えました。支払準備形態は、退職一時金制度がある企業では、「社内で準備する」企業が64.5%で最も多く、次に「中小企業退職金共済制度を利用」が46.5%でした。

一方、退職年金制度がある企業では、「厚生年金基金」(44.8%)が最も多く、確定拠出年金(企業型)の35.9%、確定給付企業年金の35.6%となりました。今後は、厚生年金基金制度の見直しが進むにつれて変化する可能性があります。

◆支給額も大幅減
勤続35年以上の定年退職者の平均退職金額は、大卒者が2,156万円(前回比 335万円減)、高卒者(管理・事務・技術職)が1,965万円(同273万円減)、高卒者(現業職)が1,484万円(同537万円減)となり、いずれも大きく減少しました。

◆これからの主流は「確定拠出年金」??
2014年度の税制改正では拠出限度額の引上げ検討もされていますが、税制上の優遇措置もあり今後は、確定拠出年金が増加する可能性もあります。《一言》中小零細企業の退職金の現状とは大きな隔たりを感じますが、「退職一時金のみ」という退職金制度への見直しと、今までにない大きな減額が進んでいます。

IV 未払残業代を請求する内容証明が急増中!◆東京管内の割増賃金遡及支払額が17億円
東京労働局から「賃金不払残業の是正結果(平成24年度)」が公表され、割増賃金の是正勧告・指導対象により100万円以上の遡及支払いとなった企業数が125となり、その総額は17億円となりました。

◆ネット上にあふれる割増賃金請求に関する情報
最近は、元従業員から、未払残業代請求の内容証明が届く企業が非常に増えています。「あなたの未払残業代がすぐわかる!」といったホームページや、残業代請求に関する内容証明のひな形を掲載するサイトも増えています。

◆会社としての対応
まず内容証明の送り手は誰か。差出人が従業員個人なのか、合同労組やユニオンなのか、弁護士等なのかにより対応が違ってきます。例えば、本人が会社へのうっぷんを晴らしたいのか、お金が欲しいだけなのか、個人的恨みなのか等が判断できる場合もあります。会社としては、必要な資料(タイムカード、日報、就業規則、賃金規程等)の収集・検討を行い、残業時間を確認したうえで、対応がスタートします。

◆日頃の労務管理が重要!!
未払残業代を発生させない残業・労働時間管理への見直しが必要となります。未払残業代を請求されたという噂が広まれば、今の従業員からも不満を爆発させてしまう場合もあります。今一度、検証してみてはいかがでしょうか。

V スポット情報●国民年金保険料滞納者の差押「年収400万円以上」が対象(2014/1/24)
厚生労働省は、国民年金保険料の納付率アップを図るため、資産の差押えの対象を「年収400万円以上、滞納13ヶ月以上」の人とする方針を明らかにした。また、所得が低い人向けに保険料納付を猶予する制度の対象者年齢を拡大し4月から順次実施の見込み。

●社会保険未加入の建設業者を排除へ 国交省(2014/1/22)
国土交通省は、社会保険未加入の建設業者について、公共事業の元請と一次下請に参加させない方針を明らかにした。将来的には二次下請以下からも排除する考え。同省では、未加入業者への指導を強化し、2017年度には加入率100%を目指している。

●60~64歳の就業希望者のうち男性81%・女性66%が就業(2014/2/20)
厚生労働省が「中高年者縦断調査」の結果を発表し、60~64歳で、2005年時点の「60~64歳は仕事をしたい」と希望していた人のうち、男性の81.2%、女性の66.3%が実際に就業していたことがわかった。同省は「希望者の多くが実際に働いていて、中高年の働く意欲が高まっている証拠」と分析している。

●建設業での外国人受入れ拡大 政府検討(2014/1/25)
政府は人手不足が深刻な問題となっている建設業における外国人の活用を検討する緊急会議を開き、「外国人技能実習制度」の拡充などについて検討を行った。今年度中に対策をまとめ、2015年度から外国人労働者の受入れ拡大を目指す考え。

監修 :中島光利、坂山徹

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