経営労務情報 平成26年(2014年)5月号

I 5月のお知らせ4月に支払のあった給与から、協会けんぽの介護保険料を変更されましたか? 再確認をお願い致します。
◆今年4月は、昨年より入社した方が多いのか社会保険の手続きをしてから、「健康保険証」が、会社へ届くまでに3週間ほどかかっています。この遅れが改善するまでは、早めの連絡・手続きをお願い致します。
◆真夏を感じるほどの天候になり、建設業のお客様では「熱中症」で倒れる事故も発生しています。皆様の会社でも、暑さ対策の健康管理を早めにお願い致します。
◆住民税の「特別徴収」の通知が送られてきています。退職者分も含まれていないかの確認をお願い致します。

II 中小企業の「賃金」と「雇用」状況◆中小企業が賃金改善に前向き?
帝国データバンク発表の「2014年度、賃金動向に関する企業の意識調査」の結果、賃金改善を見込む会社の割合は46.4%(前年度比7.1ポイント増)となり、2006年の調査開始以降で最高となりました。今後の賃金改善が「ある(見込みを含む)」の回答割合は、意外にも大企業よりも中小企業が高く47.6%でした。

改善内容は、ベースアップで対応が34.0%、賞与(一時金)で対応が27.8%となり、こちらも中小企業ではベースアップで対応が35.5%、賞与で対応が28.2%でした。

◆3社に1社は給与水準アップ
日本政策金融公庫総合研究所発表の「全国中小企業動向調査」の結果、正社員の給与水準が、2013年12月を基準とし、前年同月と「ほとんど変わらない」とした会社の割合が64.2 %で最多となりましたが、「上昇した」会社の割合は34.1%となりました。賞与は「ほとんど変わらない」会社の割合が56.0% で最多でしたが、「増加」した会社は29.3% となりました。つまり、3社に1社は給与水準がアップしたことになりました。

約3割の企業で正社員が増加
次に、正社員数では、前年同月と「変わらない」会社51.4%、「増加」した会社は31.5%となり、約3割の企業で正社員が増加しました。増加理由は、「将来の人手不足に備えるため」が47.3%、「受注・販売が増加したため」が 36.3%、「受注・販売が今後増加する見通しのため」が28.9%でした。

一方、正社員の減少理由は、「退職者・転職者の人員補充できなかったため」64.6%、「受注・販売が減少したため」17.2%、「人員が過剰だったため」9.9%となりました。

III ハローワークの求人票に苦情多数!?7,000件以上の苦情
ハローワーク(職安)の求人票に対する苦情が多くなっています。厚生労働省の平成24年度調査では、求人票の記載内容と実際の労働条件が異なるといった申出が 7,783件にもなりました。

◆苦情の種類
苦情内容は、「賃金に関すること」が2,031件、「就業時間に関すること」が1,405件、「選考方法・応募書類に関すること」が1,030件と上位を占めました。その他にも、「雇用形態」「休日」「社会保険・労働保険」に関することが続きました。

◆具体例
具体的事例では、「面接に行ったら求人票より低い賃金を提示された」、「採用の直前に、求人票にはなかった勤務地を提示された」、「(あり)となっていた雇用保険、社会保険に加入していなかった」などと続きました。

◆具体的な対策
厚生労働省では、「求人ホットライン」を設置し、是正指導を行うことになりました。中島事務所のお客様企業では、このような苦情を受けたことはございませんが、問題の起きない求人票になるよう改善するとともに、より良い人材との出会いを増やす「求人票」になるよう会社様と一緒に今後も検討させて頂きます。

IV スポット情報●中小企業の深刻な後継者不足が明らかに、中小企業白書 (2014/4/26)
2014年度版「中小企業白書」では、経営者の高齢化が進む中、後継者不足が深刻になっている実態が明らかになりました。これが休業・廃業数の増加につながっているとの指摘もされており、今後は親族以外に事業を引き継ぎやすくする仕組みづくりが求められています。

70歳までを「働く人」に位置付け、 政府有識者会議 (2014/5/5)
政府の経済財政諮問会議が「人口減」と「超高齢化」への対策をまとめた提言案が明らかになり、「70歳までを働く人」と位置付けるほか、出産・子育てに関する支援を強化する方針であることがわかりました。6月にまとめる「経済財政改革の基本方針(骨太の方針)」に盛り込まれる見通しです。

●派遣の半数が「正社員」としての雇用を希望 (2014/4/30)
日本人材派遣協会の調査で、派遣労働者の48.3%が、将来の働き方として正社員を希望していることがわかりました。しかし同調査によると、派遣先企業から正社員としての採用を打診されたことがある人は18.1%で、本人が希望していても正社員になるのは難しいのが現状のようです。なお、派遣社員として働き続けたい人の割合は14.7%でした。

●現金給与総額が3カ月ぶりに増加、残業代などが押上げ (2014/4/30)
厚生労働省「毎月勤労統計調査」(本年3月)では、現金給与総額が27万6,740円(前年同月比0.7%増)となり、3カ月ぶりに増加したことがわかりました。ただし、これは残業代などの「所定外給与」やボーナスなどの「特別給与」の上昇によるもので、基本給などの「所定内給与」は、22カ月連続で減少しています。

●「紹介状なし」での大病院受診、初診料全額自己負担に(2014/5/9)
厚生労働省は、紹介状なしで患者が大病院で受診した場合に、新たな負担金を求める制度を2016年4月頃に導入する方針を示しました。医師を高度な治療に専念しやすくするため、軽傷で大病院に行く患者を減らすのが狙いです。来年の通常国会に関連法案の提出を目指しています。

監修 :中島光利、坂山徹

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