経営労務情報 平成26年(2014年)7月号

I お知らせ◆給与から引く住民税の額が7月より一定額に変わります。給与計算の際に注意して控除をお願い致します。
◆社会保険「算定基礎届」の提出は無事終わりましたが、「消えた年金問題」も落ち着いてきたことから社会保険調査が増えています。調査3点セットの 1)給与台帳 2)出勤簿 3)給与所得税の領収書 が必要になります。問題にならぬように日頃の 準備をお願い致します。仕事が忙しい場合は、調査予定日の変更も可能です。
◆毎回のお願いになりますが、「熱中症」で倒れる事故が発生しています。皆様の会社でも具体的な暑さ対策をお願い致します。
最近は、労災事故が発生するとすぐ監督署の監督官が来ます。曖昧な事故発生状況の記入は避け、できるだけ分かりやすい事故状況の記入に心掛けてください。

II 好況で変わってきた? 新入社員の働くことに対する意識◆「第一志望に入社」昨年から微増
日本生産性本部と日本経済青年協議会が今年度の新入社員を対象に実施した「働くことの意識」の調査結果によると、「第一志望の会社に入れた」と答えた新入社員は、質問を開始した2009年以降で、過去最低を更新した昨年の52%からわずかに改善され55%でした。

◆「定年まで同じ会社で働きたい」は減少
「この会社でずっと働きたいか」という問いには、一昨年は過去最高を記録した「定年まで勤めたい」が28.8%までに減少し、代わって「状況次第でかわる(転職)」が34.5%となり、2年連続で「定年まで勤めたい」を上回りました。「定年まで同じ会社で働きたい」は景況感の好転とともに減少傾向です。

◆ 約7割が「手当が出るなら残業はいとわない」
「残業について」は、昨年度に続き「手当が出るならやってもよい」が最多となり、昨年度の63%から69.4%に急増し、過去最高を更新しました。いわゆる「ブラック企業」による残業代不払いなどの報道に敏感になっており、残業はいとわないけれども、それに見合った処遇を求めている傾向にあるようです。

◆「社長になりたい」は1割を下回る
産業能率大学がまとめた「2014年度新入社員の会社生活調査」によると、最終目標とする役職・地位について、「社長」と答えた人が9.0%となり、調査を開始した1990年以降で過去最低だった昨年の11.9%を下回り初めて1割を下回りました。女性の管理職登用を進める企業が増えている中、将来「管理職で部門の指揮をとる」と回答した女性の新入社員が28.8%で過去最高となりました。

III 人手不足産業でも採用できた事業所とできなかった事業所の違い◆ 医療・福祉、建設業における人手不足が深刻
厚生労働省発表の「人手不足産業における高卒求人の充足状況」によると、平成25年度の高卒者向け求人は、製造業、医療・福祉、建設業、卸売・小売業などで多かったものの、充足率をみると医療・福祉で31.3%、建設業で34.2%と低く、人手不足の深刻化による充足率の向上が課題となっています。

◆ 採用できた事業所・できなかった事業所の差は?
高卒求人票を用いて採用できた事業所とできなかった事業所の違いは、医療・福祉では、早期(7月末まで)に求人票を高校に送付した事業所の割合が、採用できた事業所で77.2%、採用できなかった事業所で 58.7%となり大きな差がでました。

また、求人票に「採用・離職状況」の記載があった事業所や、賞与支払いがある事業所が採用割合を高くしています。建設業でも、早期に求人を提出し採用できた事業所69.2%が採用できなかった事業所45.1%を大きく上回りました。「早期の求人提出」、「求人票における積極的な情報提供」が重要と考えられます。

◆ なぜ人が集まらないのか?改善点はなに?
高校の進路指導担当教諭に対して、生徒が応募しない理由を聞いたところ、宿泊業・飲食サービス業では、「休日が少ない・労働時間が長い・勤務時間が不規則等、労働時間の問題」、建設業と医療・福祉では、「仕事がきつそう・面白くなさそう等、仕事内容(職種)の問題」という回答でした。給与・休日・労働時間等労働条件の改善、イメージの向上、日勤・夜勤でもリズムが崩れない配慮、3Kのイメージ払拭、長時間拘束の改善などの取り組みが重要になります。

IV スポット情報●建設業の外国人労働者に日本人並みの給与支給を義務化へ(2014/7/25)
政府は、人手不足が問題となっている建設業において、来年度から技能実習制度による受入れを拡大する外国人労働者にも、同じ技能を有する日本人と同等以上の給与を支払うことを受入れ企業に義務付ける方針を明らかにした。同水準であるかどうかを確認する体制づくりを今後検討するとしている。

●外国人技能実習制度で不正「3年連続で増加」(2014/7/13)
外国人技能実習制度で来日した外国人に対し、昨年は賃金等の不払いなどの不正を行った受入れ団体・機関の数が230団体に上り、現行制度が開始されてから3年連続で増加したことが法務省の調査で明らかになった。これらの団体に対し、同省は新たに罰則を制定する方針。

●精神障害での労災申請が「過去最多」を更新(2014/6/28)
厚生労働省が「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を公表し、2013年度に精神障害により労災申請をした人が1,409人(前年度比152人増)で、過去最多を更新したことがわかった。労災認定者は436人(同39人減)で減少となったが、2年連続で400人を超えた。
〔関連リンク〕平成25年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」まとめ

●ハローワークの求職者情報を民間の職業紹介会社に開放へ(2014/6/19)
厚生労働省の労働政策審議会は、来年度からハローワークが持つ 求職者情報 を、民間の職業紹介会社に開放する制度案を固めた。求職者が希望した場合に限り、職歴や資格等の情報を職業紹介の実績のある職業紹介会社に限定して公開する。同制度は、2015年度からスタートする見込み。

●所定内給与が26カ月ぶりに増加 (2014/7/1)
厚生労働省が5月の「毎月勤労統計調査」の結果を発表し、所定内給与が平均24万1,739円(前年同月比0.2%増)となり、26カ月ぶりに増加したことがわかった。残業代を含めた現金給与総額は26万9,470円(同0.8%増)で、3カ月連続で増加した。

監修 :中島光利、坂山徹

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