経営労務情報 平成26年(2014年)12月号

I お知らせ◆賞与を計算される時の、社会保険料率にご注意ください。
夏の賞与時より、厚生年金の料率が変わっています。 ⇒⇒ 厚生年金 8.737%
健康保険4.985% 介護保険0.86% (健康保険+介護保険=5.845%
◆通勤手当の「非課税限度額」が増額されました。
本年4月にさかのぼって変更されました。課税となる通勤手当を支給している場合はご注意ください。変更案内は、税務署からの「年末調整書類」の中に同封されています。
国税庁のホームページより確認もできます。
◆早いもので今年も12月!慌ただしい頃ですが、事故・ケガや風邪などひかれませんようお気をつけになってください。本年もご愛読いただきありがとうございました。

II 「高年齢者雇用」の実態はどうなっている?◆9割以上が 高年齢者雇用確保措置 を実施済
厚労省が、平成26年「高年齢者の雇用状況」(6月1日現在)の集計結果を発表した。高年齢者雇用を実施済の企業の割合は、98.1%(143,179社)となりました。規模別では、大企業99.5%(15,015社)、中小企業98.0%(128,164社)でした。

◆約8割が「継続雇用制度」を導入
雇用確保の内訳では、「定年制の廃止」2.7%(3,850社)、「定年の引上げ」15.6%(22,317 社)、「継続雇用制度の導入」81.7%(117,012 社)となりました。

◆希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合
この割合は71.0%(103,586社)となり、大企業51.9%(7,831社)、中小企業73.2%(95,755社)でした。さらに、70 歳以上まで働ける企業の割合は19.0%(27,740社)で、大企業11.8%(1,780 社)中小企業19.8%(25,960社)となり中小企業の取組みが進んでいます。

◆今後の取組み
同省では、労働局、ハローワークにより未実施企業の早期解消を図るとしています。また、「70 歳まで働ける企業」の普及・啓発等に取り組むとしています。

III 各種調査結果に見る「人材不足」の実態 と 対応策◆雇用・労働分野の切実な問題
「人材不足」は雇用・労働をめぐる最も切実な問題となっています。「人材不足により倒産する中小企業も増え始めている」との報道もあります。特に、飲食サービス業や小売業、運送業等で状況が深刻です。人材不足により社員の業務の負担が高まり、それがさらなる離職につながるといった悪循環も発生しています。

◆厳しい採用状況
リクルートワークス研究所が行った「人手不足の影響と対策に関する調査」では、3社に1社は必要な人数を確保できておらず、うち50%以上は事業に影響が出ているとの結果が出ています。さらに、人材不足の企業の52.7%が「見通しがない」と回答、今後ますます人材不足の悪影響が出てくることが懸念されます。

◆対応策は?
(1)採用対象の拡大(未経験者も採用対象とする、外国人を採用対象とするなど)
(2)処遇の改善(賃金の引上げ、パート・アルバイトの正社員登用など)
(3)業務等の調整(業務効率の向上、外部人材活用、アウトソーシング、受注調整、営業時間の調整など)です。
今後、主婦(20~49歳の既婚・子供あり女性)や高齢者の活用が人材不足の解消につながることが大いに期待されます。

IV パートタイマー用の「労働条件通知書」が変更されました◆改正法で 労働条件に関する説明 を義務化
改正パートタイム労働法が、平成27年4月1日から施行されます。パート・アルバイトの雇入れ時や契約更新時に、労働条件(賃金の決定方法、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用、正社員転換等の措置内容等)についての説明が義務化されます。労働条件は、必ず文書など(電子メールやFAXでも可)を渡す必要があります。違反した場合は10万円以下の罰金となってしまいます。

◆労働条件通知書の変更箇所
新たに「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」を記載することになります。この「相談窓口」の体制整備が事業主の義務とされたため、パート・アルバイトを採用している会社では、担当者または担当部署を決めておく必要があります。

◆労務管理に関する疑問は早めに相談を
「平成26年版労働経済白書」では、平成25年の非正規労働者(パート・アルバイト含む)の割合は36.7%、10年前と比較して6%増、人数は約400万人増加しています。非正規労働者の増加に伴い、正社員との労働条件の差について、不公平感を感じるパートと事業主の間でトラブルとなるケースが増えており、パートタイム労働法が改正された大きな理由の1つにもなっていました。労務管理に関する疑問や不安は、早めに対策を検討する必要があります。

V スポット情報 ●就職内定率が大卒・高卒ともに改善(2014/11/15)
文科省と厚労省は、来春卒業予定の大学生の就職内定率が68.4%(10月1日時点。前年同期比4.1ポイント増)となり、4年連続で上昇したと発表した。また、高校生の内定率も54.4%(9月末時点。同8.8ポイント増)に上昇した。

●「配偶者控除」の見直しを検討へ(2014/10/22)
首相は、女性の就労拡大に向け、配偶者控除など税制上の措置や社会保険制度の見直し案を検討するよう、経済財政諮問会議において関係官僚に指示した。政府は、先行して国家公務員の配偶者手当の見直しを検討する考え。

●連合がベア2%以上要求へ 17年ぶりの高水準(2014/10/18)
連合は、来年の春闘で定期昇給(2%)を確保したうえで、全組合員の賃金を2%以上引き上げるベースアップの実施を要求する方針を決定した。ベア要求は2年連続で、1998年の2.9%以来、17年ぶりの高水準。

●高額給与者の健康保険料を引き上げへ -厚労省方針-(2014/10/17)
厚労省は、高所得の会社員の医療保険料を引き上げる方針を明らかにした。標準報酬月額の上限(現在121万円)より上に新たに4段階設定する。約32万人が対象となり、最大で月1万円ほど保険料が上がる見通し。来年の通常国会での法改正を目指すとしている。

●来年度から公的年金給付の抑制策を実施へ(2014/10/16)
厚労省は、現役世代の減少と平均余命の伸びに合わせて公的年金給付額を抑える「マクロ経済スライド」を来年度から導入する方針を固めた。物価下落時も年金額を減額できるようにすることで高齢者への給付を抑え、若者の将来の受給額が減りすぎないようにする。来年の通常国会に国民年金法などの改正案を提出する方針。

監修 :中島光利、坂山徹

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