経営労務情報 平成29年(2017年)4月号

I お知らせ(該当されるお客様へは、改めてお知らせいたします) ◆ 3月より「健康保険料 率」が 下がり、「介護保険料 率」が 上がる 変更となりました。
支払日が4月の給与から(翌月払いは3月分、当月払は4月分)から保険料の変更をお願い致します。◆ 4月の給与より「雇用保険料」が下がります。(詳細は、改めてお知らせいたします)
本人負担率 は、建設業の会社は、0.4%、建設業以外 の会社は、0.3%となります。
◆ 4月の給与より、次の従業員は「雇用保険料」が 不要(免除)になります。
対象者は 昭和28年 4月 1日以前 に生まれた方です。(対象者は 改めてお知らせいたします)
◆ 4月から6月に支払う給与総額にご注意ください。今年9月から1年間の社会保険料は、4月 から 6月に支払う給与の「平均額」で決まります。この間で残業などの手当が多いと社会保険料が増えてしまいます。

Ⅱ 社会保険・納税事務の手続き見直しへ ~ 企業の負担軽減策 ~◆厚生年金、健康保険、雇用保険の申請手続きの一元化を検討
政府は、重点分野の社会保険手続きの見直しで、2割のコスト削減を目標に、ハローワークや年金事務所へ別々に申請する手間をなくし、また許認可の申請様式の統一など、手続きの簡素化に乗り出します。
マイナンバーや法人番号の連携により、重複する書類申請の簡素化を検討することが挙げられています。
◆企業の約半数が行政手続に負担感
昨年11月の調査結果によれば、中小企業の半数近くが、行政手続きを負担に感じると回答しています。
負担の上位は、「社会保険・労務」48.6%、「補助金・助成金」48.2%、「税務申告」45.0%の順でした。
◆負担感は企業規模による違いも
経団連の調査では「調査・統計への協力」の47.8%が最多で、「社会保険」と「納税に関する事務」が同率の46.7%でした。経済同友会の調査では「社会保険」52%、「納税」50.3%、日本商工会議所の調査では「営業の許認可」46.4%、「補助金の交付申請」41.5%の順となっています。
◆住民税の特別徴収手続きの見直しも検討
社員の住む市区町村から届く「住民税課税決定通知書」の送付も、法改正により電子データでの送付が検討される見通しです。

Ⅲ タクシー運転手の「歩合給」をめぐる「注目の裁判」◆「歩合給だから割増賃金なし」は 有効?無効?
タクシー運転手の給与には、一定の「基本給」と 運賃収入に応じて支給される「歩合給制」が多くの会社で採用されていますが、この歩合給制をめぐる注目の判決が間もなく出される見通しです。
今回は運転手など14人が、「歩合給」の計算額から「残業手当相当額」を引く給与規則は無効として、引かれた「残業手当相当額」の支払いを求めています。東京地裁は公序良俗に反するとして「残業手当相当額」の合計約1,500万円の支払いを命じました(国際自動車事件・東京地判平27.1.28)。
◆分かれる裁判所の判断
このような訴訟は現在、第4次訴訟まで提起され、原告も200名を超える大きな訴訟となっています。そのうち第2次訴訟では、「残業手当相当額」を引く計算は労働基準法37条に違反せず、公序良俗にも違反しない(東京地判平28.4.21)としており、裁判所の判断が分かれています。
◆高裁判決も「無効」だが...
第1次訴訟の高裁判決(二審)では、地裁判決(一審)が支持され、会社側に未払い賃金の支払いが命じられたことから、会社側が上告し、現在も最高裁で係争中です。
◆運転手の「残業代計算」に大きな影響が
タクシー運転手の給与では「歩合給制」が採用されているケースが多いため、この事件の確定判決が注目されます。タクシー会社に限らず「歩合給制」を採用されている職種では、自社の「賃金規則」のチェックが必要になってきます。

Ⅳ スポット情報●「雇用保険法 改正案」が 衆院通過 年度内に成立見込み(3月16日)
雇用保険料 の 引下げ などを盛り込んだ 雇用保険法改正案 が 衆議院本会議で可決された。同法案には、育児休業期間を 最長2年 に延ばす 育児・介護休業法改正案や、「残業時間超過企業」 の取締まりを強化する 職業安定法改正案 などを含めた 一括法案で、年度内に成立する見込み。

●「労基署業務」の 民間委託案 に 厚労省が難色(3月16日)
政府の 規制改革推進会議 が、労働基準監督署の業務 を 一部民間に委託する検討会の初会合を開いた。残業規制の強化に伴う労基署の人手不足を解消するのがねらい。6月の答申に委託解禁を盛り込む予定。会合では社労士などへの業務委託が提案されたが、厚生労働省は「複雑な仕事」などとして難色を示した。

●5年ぶり に「実質賃金」が増加(2月22日)
厚生労働省が平成28年の「毎月勤労統計調査(確報値)」の結果を発表し、実質賃金が前年より0.7%増加し、5年ぶり にプラスに転じたことがわかった。名目賃金にあたる 現金給与総額 は 0.5%増加し、3年連続 の増加となった。

●高齢者の「就業促進」のため 官民協議会 を大幅増へ(2月20日)
厚生労働省は、地方自治体が中心となってつくる官民の協議会を、2020年までに現在の15から100に増やす方針を示した。地域の企業などを支援して 高齢者の 雇用増加 につなげたい考え。また、高齢者の 再就職支援を行うハローワークの窓口も 300カ所(現在80カ所)に増やす考え。

●公共工事の「労務単価」を 3.4% 引上げ 3月より適用(2月10日)
国土交通省は、公共工事設計労務単価(国や自治体が公共工事を発注する際に使う労務単価)について、人手不足による賃金の上昇傾向を反映し、全国全職種平均 で 対前年度比3.4%(東日本大震災の被災3県は平均3.3%)引き上げると発表した。1日8時間労働で1万8,078円となり、平成11年以来の高い水準。平成29年3月1日以降に契約する工事から適用される。

●平成29年度「税制改正」関連法案 が 国会提出(2月4日)
今年度の 税制改正に関する法案 が閣議決定され、国会に提出された。法案では、配偶者控除についてパートタイマーなどで 配偶者が働いている場合の 減税枠が拡大 されている一方、 高所得世帯においては控除の 適用を制限する 内容。3月末までに成立の見込み。

●平成29年度「年金額」は 0.1%引下げ 3年ぶりマイナス(1月27日)
厚生労働省から「平成29年度の年金額改定」が発表された。総務省が発表した 「平成28年平均の全国消費者物価指数」 が対前年比で0.1%下落したことを受け、平成29年度の 年金額 は平成28年度から0.1%引下げ となる。 マイナスとなるのは 3年ぶり。

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