経営労務情報 平成29年(2017年)12月号

Ⅰ お知らせ◆賞与の社会保険料率にご注意を(以下は本人負担率です) 厚生年金 9.15 %
健康保険 4.96 %、介護保険 0.825 %(健康保険+介護保険 = 5.785 %)
◆インフエンザのワクチンを接種しましょう。
感染予防、欠勤短縮、早い回復にも効果的です。接種費用の会社負担も可能です。
手洗い、うがいの徹底も大切です。
◆年末調整が始まります。従業員のマイナンバーの取り扱いには十分ご注意ください。
◆本年も1年間、誠にありがとうございました。
年末年始の事故・ケガ・風邪などにお気をつけください。
年末年始休業をお知らせいたします。「29日(金)より新年4日(木)まで」

Ⅱ 中小企業の7割近くが「賃上げ」を 実施、 その理由とは ?◆企業規模別の調査
10月下旬、経済産業省より平成29年度「企業の賃上げ動向等に関するフォローアップ調査」の結果が発表されました。
この調査は、「大企業調査」(東証一部上場企業2,001社のうち364社が回答、回答率18.2%)と、「中小企業調査」(中小企業・小規模事業者30,000社のうち8,310社が回答、回答率27.7%)に分かれています。
◆中小企業が積極的に賃上げを実施
大企業では、常用労働者の賃上げを実施は89.7%(前年度90.1%)、中小企業・小規模事業者では、66.1%(前年度59.0%)となりました。
前年度と比較すると、中小企業が積極的に賃上げを行っている傾向がうかがえます。
◆中小企業が賃上げを実施する理由は?
賃上げを実施した理由のベスト5は、
(1)人材採用・従業員の引留めの必要性(49.2%)
(2)業績回復・向上したため(34.3%)
(3)他社の賃金動向(21.6%)
(4)最低賃金引上げのため (11.4%)
(5)業績連動型賃金制度のため(15.3%)
◆賃金規定、人手不足に関する状況
中小企業・小規模事業者で、賃金表等を含む「賃金規定」を定めているとの回答は61.0%。
「人手不足・人材不足」を感じているとの回答は66.4%、採用活動方法については、「ハローワーク」が最多(78.7%)となっていました。

Ⅲ 来年1月から「募集」や「求人申込み」の制度が変わります!。◆職業安定法の改正
来年1月1日から施行の、募集や求人申込み制度の主な変更点は以下のとおりです◆労働条件の明示について
ハローワーク等への求人申込み、ホームページ等での募集の際、「業務内容」「契約期間」「就業時間」「賃金」といった労働条件の明示は必要でしたが、今回の改正では労働条件に変更があった場合は、「可能な限り」速やかに変更内容の明示が必要になりました。
面接等の過程で労働条件に変更があった場合も速やかに求職者へ知らせる必要があります。
◆追加された明示を必要とする「労働条件」
今回の改正により書面交付を必要とする項目に、「試用期間」、「裁量労働制(採用企業)」、「固定残業代(採用企業の場合)」、「募集者の氏名または名称」、「雇用形態(派遣労働者として雇用する場合」)の明示が追加されました。
◆変更明示の方法
下記の場合は変更明示が必要となりました。
(1)「当初の明示」と異なる内容の場合
例)当初:基本給30万円⇒基本給28万円
(2)範囲のある「当初の明示」の条件を、確定提示する場合
例)当初:基本給25万円~30万円 ⇒  基本給28万円
(3)「当初の明示」の条件を削除する場合
例)当初:基本給25万円+営業手当3万円 ⇒ 基本給25万円のみ
(4)「当初の明示」していなかった条件を追加する場合
例)当初:基本給25万円 ⇒基本給25万円+営業手当3万円
明示の方法は、「変更前と変更後の内容が対照できる書面」、「労働条件通知書で、変更事項に下線を引く、着色する」など、変更内容をより理解できる方法が必要となります。

Ⅳ 「高齢まで働くことができる中小企業」 が 増加中!◆高年齢者の雇用状況
厚生労働省が平成29年「高年齢者の雇用状況」(6月1日現在)を公表。従業員31人以上の企業15万6,113社の状況が報告されました。このうち中小企業(従業員31人~300人規模)の状況も以下のとおりです。
◆「定年制の廃止」、「65歳以上定年企業」
定年制の廃止企業は4,064社(前年比変動なし)、割合は2.6%(同0.1ポイント減)となり、定年を65歳以上としている企業は2万6,592社(同2,115社増)、割合は17.0%(同1.0ポイント増)となりました。
このうち、定年制を廃止した中小企業は3,983社(同1社増加)、2.8%(同0.1ポイント減)でした。また、65歳以上の定年としている中小企業は2万5,155社(同1,968社増)、18.0%(同1.1ポイント増)でした。
◆「希望者全員66歳以上の継続雇用制度導入」
希望者全員が66歳以上まで働ける継続雇用制度を導入している企業は、8,895社(同1,451社増)、割合は5.7%(同0.8ポイント増)となり、このうち中小企業は8,540社(同1,393社増)、6.1%(同0.9ポイント増)という状況です。
◆「70歳以上まで働くことができる」
70歳以上まで働ける企業は、3万5,276社(同2,798社増)、割合は22.6%(同1.4ポイント増)となり、このうち中小企業は3万2,779社(同2,504社増)、23.4%(同1.3ポイント増)という状況でした。
◆労働人口減への対策
以上のように、2025年までに700万人が減ると言われている日本の人口問題を抱え、人手の確保のため、定年制の廃止や、さらなる定年延長を行う中小企業は着実に増加しています。
継続雇用制度の拡大に伴い、「会社諸規則」は定期的な見直しが必要となります。
ただし再雇用に伴う「賃金変更」や「職種変更」を行う場合は、より慎重な検討が必要となります。

Ⅴ ス ポ ッ ト 情 報●「解雇の金銭解決」検討促進を提言 自民党(11月21日)
自民党は、解雇の「金銭解決ルール」の検討を急ぐよう求めることを内容とした政府への提言案をまとめ、政府に申し入れる考えを示した。金銭解決制度があれば雇用の流動性が高まり、成長分野への人材移動が起こりやすくなるとされていますが、政府では本格的な検討が始まっておらず、提言案には「労働政策審議会で速やかに検討に着手する」との文言を明記した。

●大卒内定率が75.2%で過去最高水準(11月17日)
厚生労働省・文部科学省が、来春大卒予定者の就職内定率(10月1日時点)を発表。
75.2%(前年同期比4.0ポイント増)となり、調査開始以降で過去最高となったことがわかった。国公立は73.3%(同5.7ポイント増)、私立は75.7%(同3.3ポイント増)、文系は74.4%(同3.0ポイント増)、理系は78.6%(同7.9ポイント増)となった。

●「マイナンバー」と「年金情報」の連携  来年3月から順次導入へ(11月10日)
政府は、日本年金機構と自治体がマイナンバーを使った個人情報の共有を可能とする政令を閣議決定した。年金事務所での手続きで課税証明書などが不要になったり、自治体で各種手当の申請を行う際にも年金書類が不要になったりする。来年1月から稼働テストを開始し3月から順次導入する考え。

●4割の企業が「面接解禁前」 に内々定(11月7日)
平成29年度の就職活動について、全国の大学でつくる就職問題懇談会と内閣府が企業や学生を対象に行った調査結果を発表し、経団連が定めている採用面接解禁日(6月1日)より前に内々定を出したと回答した企業が39.6%(前年度比4.8ポイント増)だったことがわかった。選考開始時期については「6月」と回答した企業が最多(33.8%)だったが、「5月以前」とする回答が計59.3%だった。

●適職探しの情報サイトを平成29年度にも運用開始、厚労省(11月6日)
厚生労働省は、働き方改革の一環として、就職を控えた学生や求職者が自らに適した職業を見つけやすくするため、インターネット上で職業情報を網羅的に提供するサイトを開設する方針を示した。2019年度末の運用開始を目指すとしている。

●外国人技能実習制度 法施行で新制度スタート(11月1日)
技能実習法(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)が施行された。技能実習生制度の拡大と実習生の保護強化を目的とするもので、新制度では、優良な管理団体や企業については実習の最長期間が5年(従来は3年)に延長され、技能実習の対象職種に「介護」が加わった。
一方、実習生の保護強化のため、新設した「外国人技能実習機構」 が受け入れ先などを監督し、技能実習計画を審査・認定する体制が整備され、外出禁止などの私生活の不当制限やパスポート取り上げなどの人権侵害行為には罰則が設けられた。

●法人所得が7年連続増 過去最高額に(10月19日)
国税庁が、平成28年度に決算期を迎え、今年7月末までに税務申告があった法人の所得総額が、過去最高の63兆4,749億円となったことを明らかにした。昨年度から3.2%増加して7年連続の上昇。建設業やサービス業が特に伸びた。

●9月の求人倍率は1.52倍 高水準を維持(10月31日)
昭和49年2月以来の高水準を持している。正社員の有効求人倍率は1.02倍で、4カ月連続で1倍を上回った。総務省が発表した9月の完全失業率は、前月と同じく2.8%だった。

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