経営労務情報 平成28年(2016年)12月号

Ⅰ お知らせ◆ 賞与を計算される時の、社会保険料率 にご注意ください。(以下は本人負担率です)
夏の賞与時より、厚生年金の料率が変わっています。⇒ ⇒ 厚生年金 9.091 %
健康保険 4.985 % 介護保険 0.79 % ( 健康保険+介護保険= 5.775 % )
◆ 年末調整や法定調書(支払調書)でのマイナンバーの取り扱いが開始されました。
事業所内でのマイナンバーの取り扱いも増えています。マイナンバー担当者を決め、関係書類の紛失がないよう十分ご注意ください。1月からは、厚生年金・健康保険への扱いもスタートします。
◆ 本年もいろいろとお世話になりありがとうございました。年末年始及び冬場の、事故・ケガ・風邪などにお気をつけください。
年末年始の休業は、29日(木)より5日(木)までとさせていただきます。

Ⅱ 平成29年1月より 65歳以上 も加入者へ!今まで加入できなかった65歳以上の方も、雇用保険へ加入することになります。(64歳前からの加入者のみ現在も65歳以上で加入しています)
◆適用拡大に伴い、1週間に20時間以上働く「未加入者」の加入の手続きが必要
1月からは、すでに働いている人で採用時に65歳以上だったため雇用保険に入ってない人や、新たな65歳以上の採用者へも加入手続きが必要となります。(お客様へは改めてお知らせいたします)
◆保険料の免除(今回の加入でも、雇用保険料はすぐには増額しません)
毎年4月1日時点で満64歳以上の方は、本人も会社負担も、現在は雇用保険料が免除されています。
ただし、今回の改正により平成32年4月1日で保険料の免除制度が廃止となり、平成32年4月1日以降は年齢にかかわらず、本人も会社も雇用保険料を負担することになってしましました。
◆雇用保険の給付も対象に
65歳以上の方も「⾼年齢被保険者」として失業給付が受給できるほか、要件を満たすと育児休業や介護休業の⽀給対象となり、また要件を満たせば退職後の教育訓練給付⾦の⽀給対象ともなります。

Ⅲ 売り手市場が続く中、「多様な選考」を検討する企業が増加◆売り手市場が続く!
ここ数年、新卒採用は「売り手市場」が続き、企業は採用活動を活発化させています。日本経済団体連合会(経団連)が会員企業を対象に実施した「平成28年度 新卒採用に関するアンケート調査」(平成28年7月5日~8月22日調査、回答社数709社)では、平成28年4月入社の採用選考を実施した企業(実施予定も含む)の割合は96.8%と高水準で推移。平成29年4月入社については「前年と比べて売り手市場であった」は71.3%と回答、売り手市場の状況は続いていることがわかります。
◆「多様な選考」を提供する企業が増える?
この調査では、「新卒一括採用について」も調査しており、現在は「春季一括採用のみ実施」(45.8%)との回答が最も多かったものの、今後は「春季一括採用に加え、「多様な選考」を設ける」が53.6%と最も多く、「春季一括採用のみ実施」(27.6%)よりもかなり多くなりました。
◆経営環境の変化を踏まえた選考活動の検討
「多様な選考」を設ける理由は、「様々な機会を設けることで優秀な人材を確保しやすくするため」(87.3%)がトップ、「既卒者、留学生、外国人など多様な人材を確保するため」(74.8%)、「経営環境の変化を踏まえ、柔軟に必要な人材を採用するため」(71.3%)となっています。
◆中小企業も柔軟な発想が求められる
売り手市場の中、中小企業でも「売り手市場」「買い手市場」などの動向に惑わされず、長いスパンでみた独自の人材確保策を模索していくことが必要となりそうです。

Ⅳ「定年後、再雇用者の賃金減額」をめぐる裁判で会社側が逆転勝訴◆東京地裁 から 東京高裁へ
今年5月、東京地裁で、定年後に嘱託社員(1年ごとの契約)として再雇用されたトラックドライバーが、定年前と仕事が変わらないにもかかわらず、会社(長澤運輸)が賃金を 約3割 引き下げたことは「違法」との判決がありました。このような正社員と定年後の賃金格差について違反を認めた判決は過去に例がなく、人事労務担当者にとっては大きなインパクトのある判決として受け止められました。
◆11月2日の東京高裁における判断は?
控訴審判決において、裁判長は「定年後、再雇用での賃金減額は一般的であり、社会的にも容認されている」とし、賃金の引下げは違法として差額の支払い等を命じた東京地裁 判決を取り消しました。
しかし、労働者側の弁護士は上告する方針を示しています。
◆賃金の設定には慎重な判断が必要
この裁判は最高裁まで進む可能性があるため、司法における最終的な判断がどのように確定するのかは不明ですが、「東京高裁の判断が妥当」と見る向きが多いようです。
しかし、この事件が 定年後 再雇用者の処遇についてのこれまでの常識(当然のように賃金の引下げを行うこと)について一石を投じたことには間違いはなく、最終的な結論がどちらに転んだとしても、会社としては「定年後の再雇用者の処遇」について、今後は慎重な対応が求められると言えるでしょう。

Ⅴ スポット情報●「年金制度改革関連法 」が成立(12月14日)
将来の年金支給水準を維持するために年金支給額の新たな改定ルールを導入することを柱とする「年金制度改革関連法」が成立した。厚生年金加入対象の拡大も盛り込まれており、平成29年4月から従業員500人以下の企業で 週20時間以上働く短時間労働者も 労使で合意 すれば 厚生年金に加入できる。
また、平成31年4月から、国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料が免除となる。

●雇用保険料率を 0.6% に引き下げへ 、平成29年度 から(12月8日)
労働政策審議会が来年度の 雇用保険制度改正案 に関する報告書を承認し、来年度から3年間、雇用保険料率を0.2ポイント 引き下げて 0.6% となることが明らかになった。来年の通常国会に関連法の改正案を提出する見通し。

●育児休業期間 を「最長2年」に延長へ(12月7日)
労働政策審議会(雇用均等分科会)が「経済対策を踏まえた仕事と育児の両立支援について(案)」を示し、育児休業期間 の「最長2歳まで」への 延長 が盛り込まれたことがわかった。女性の 離職 を防ぐのがねらいで、来年の通常国会に 育児・介護休業法改正案 を提出して早ければ 来秋にも実施される見通し。

●実質賃金 の伸びが止まる 、9カ月ぶり(12月6日)
厚生労働省が10月の「毎月勤労統計調査(速報値)」を発表し、実質賃金が 前年同月 と比べて 横ばいだったことがわかった。9月まで8カ月連続で前年を上回っていたが、9カ月ぶりに伸びが止まった。
消費者物価指数は 0.1%上昇 した。

●「賃上げ」実施企業 が 過去最高(12月1日)
厚生労働省が 「賃金引上げ等の実態に関する調査」 の結果を発表し、平成28年に 賃金の引上げ を「実施した」または「実施予定」の企業が 5年連続 で増加し、過去最高の86.7% となったことがわかった。1人平均の 改定額(予定を含む)は5,176 円(前年5,282 円)で、前年を下回った。

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