経営労務情報 令和2年(2020年) 9月

お知らせ◆最低賃金 が10月1日より1円上がり927円(愛知県)となります。
パートさんの時給確認と、基本給などの「時給換算額」が最低賃金以下でないかをご確認下さい。
◆年1回の社会保険料の「定期の変更」
10月に支払う給与から一人ひとりの保険料が変更されているかご確認ください。
本年は厚生年金の上限月額が変更されました。62万円上限が65万円に変更され
本人保険料は、月額2,745円増えます。
◆ 今年も厳しい 残暑 が続いています。
外作業、工場内の「熱中症」に十分ご注意ください。仕事に関係する「熱中症」は労災になってしまいます。

台風や秋雨前線に要注意!早めの防災対策を
◆防災対策の見直しは早めに!
例年9月は台風に加えて秋雨前線などの影響で雨量が増加し、土砂災害や河川の増水などに注意が必要となります。
この夏の大雨による被害も念頭に、改めて自社の防災対策について見直しておきたいものです。
◆企業が準備すべき物資と対策
一例として東京都では、災害時に従業員が留まることができるよう、勤務する全従業員の、3日分の水、食料、その他の必要物資(ヘルメット、毛布、ビニールシート、簡易トイレ、衛生用品、医療薬品、携帯ラジオ、懐中電灯、乾電池等)の備蓄を行うことが「努力義務」とされています。
水は1人1日3ℓ(3日で9ℓ)、食料(アルファ米、クラッカー、乾パン、カップ麺等)は1人1日3食(3日で9食)の用意が必要です。保管場所の確保も必要です。
愛知県ではこのような基準はありませんが、従業員が「会社に留まる場合の準備」「帰宅方法や帰宅ルートの確認」「家族との連絡方法」など、できる限りの対応と準備が必要になりそうです。

コロナ禍の人材派遣業界の最新動向◆コロナに起因する非正規雇用への影響
厚生労働省では、解雇等の可能性がある労働者のうち、非正規雇用の労働者(パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託等)は、7月31日時点では16,342人でした。
5月25日時点の同2,366人と比較すると約7倍の13,976人増加となりました。
解雇等の可能性がある労働者のうち、正規雇用の労働者は、7月31日時点では41,391人、5月25日時点の同16,723人、比較すると約2.5倍の24,668人増加と比べると、非正規雇用労働者の増加率が多いのがよくわかります。
◆厚労省も派遣労働者の雇い止めを注視
厚生労働省では、リーマンショック時の派遣労働の雇止め問題を受け、コロナ問題発生後、労使団体や派遣業界に対して雇用維持を図るよう、度々要請してきました。
7月末時点では、派遣契約更新の多い6月末は派遣契約の継続や新たな派遣先確保により、雇用維持ができている認識でしたが、この9月の更新時期では労働局において雇い止め等があれば、雇用安定措置の適切な履行あるいは雇用調整助成金の活用による雇用維持など必要な指導を徹底的に行いたいとしています。
◆令和3年度、一般労働者賃金額の公表延期
派遣労働者については、今年4月1日よりいわゆる同一労働同一賃金が求められています。
派遣労働者の待遇決定にあたり、労使協定方式を採用している場合、派遣元は派遣労働者の待遇を「同種の業務に従事する一般労働者の賃金」(以下、「一般労働者の賃金水準」という)と同等以上になるように、労使協定で定めることになります。
この一般労働者の賃金水準は、前年または前年度の統計調査等を活用し、毎年6~7月に示すこととされていますが、今年7月29日には令和3年度分の公表を延期することが明らかなりました。

組織と人を成長させる「1 on 1」ミーティング◆「1on1」ミーティングとは
働き方改革・テレワークの浸透などで、社内コミュニケーションの重要性が再認識されています。そこで注目されているのが、「1 on 1(ワンオンワン)ミーティング」です。これは上司と部下が1対1で行う面談のことです。
1回の所要時間は30分~1時間程度で、1週間や1か月ごとなど定期的に開催するのが特徴です。
話し合う内容は、現状の確認や、業務上の小さな気づきや困りごと、今後の目標、プライベートについてなどが多いようです。
人事評価のための面談とは異なり、その場で評価することはしません。定期的に対話を行うことで、上司と部下の関係性を深めながら、部下自身の気づき・成長を促すことが目的です。
◆どのような効果があるか
①部下の成長を促す
上司が問題や解決策を教えるのではなく、対話の中で部下が自ら気づくことを求めます。これで自らの課題について主体的に考え行動できるようにします。
②上司の成長を促す
上司の役割は、部下の考え・感情をくみ取り、適切な方向に導くことです。
聞く力を磨くことで、部下を育成する力を高めることができます。
③組織の成長を促す
上司と部下が信頼しあい、なんでも話せる組織を作ることができ、定着率の向上にも役立ちます。
テレワークなどは関係ない中小企業でも、飲み会や社内会話が減少している場合では様々な社内コミュニケーション方法の検討が求められそうです。

中途採用の「オンライン選考」の実態 ~エン・ジャパン~新型コロナウイルス感染が拡大する中、採用においてもWEBを利用したオンライン選考が進んでいます。
その実態について、エン・ジャパン株式会社が運営する転職サイト「ミドルの転職」を利用する転職コンサルタントのアンケート方式の調査結果が発表されました。
◆オンライン選考を導入するメリット
コンサルタントの9割がメリットと答えたのは①「面接地から遠隔にいる人とも面接をできる」という点です。
②「時間的にも効率的で、日本全国や世界規模で良い人材を見つけられる」
③「地方企業や大手企業の地方拠点にとってオンライン面接の恩恵は絶大」といった声が寄せられました。
◆オンライン面接の実施割合
「最終面接まですべてオンライン面接を実施している企業は何割程度か」の問いには、「8割以上」が15%、「7割~5割」が17%と回答し、5割以上最終面接までオンライン面接を実施しているが合計32%となりました。
また最終面接以外をオンラインで実施している企業は、「8割以上」が27%、「7割~5割」が32%と回答し、5割以上は合計59%でした。
一次面接のみオンラインで実施している企業は「8割以上」が35%、「7割~5割」が30%と回答し5割以上は合計65%でした。
◆採用企業がオンライン選考を導入しない理由として上位に挙げられたのは
①「直接会ってみたら印象が違ったという事例があった」(61%)
②「非言語情報がオンラインでは判断しづらい」(59%)
③その他の回答は「セキュリティに関する社内方針から」、「求職者側にネット環境が整っていない場合があるため」、「役員クラスは対面を希望する人が多く、その風習がある」ということでした。
◆オンライン選考で気を付けるべきこと
採用側としては「トラブル時の対応について求職者に事前に指示を出す」(58%)、「面接案内文に利用するツールの準備について明記をする」(52%)が上位で、その他「接続の不具合で開始予定時刻が大幅に遅れ、求職者の動揺を招いてしまったこと」「利用ツールの案内が遅く、面接時間に求職者側の準備が遅れたケースがある」といった内容でした。面接をスムーズに実施できるよう、情報を事前に周知しておくことが大切と言えそうです。。

マイナンバーカードを「健康保険証」に利用受付が始まりました来年3月からマイナンバーカードを「健康保険証」として利用できることになります。
◆メリットとデメリット
①就職・転職・引越をしても「健康保険証」としてずっと使える
②マイナポータルで「特定健診情報」や「薬剤情報・医療費」が見られる
③マイナポータルで確定申告の「医療費控除」ができる(来年分の確定申告から)
④窓口への書類の持参が不要になる
⑤マイナンバーカードを持ち歩くことになり紛失のリスクがある。
⑥健康保険証も持ち歩く必要がある。
◆使い方は?
オンライン資格確認が導入されている医療機関や薬局でマイナンバーカードをカードリーダーにかざして使います。
医療機関や薬局は、カードの顔写真で本人を確認します。医療機関や薬局が12桁のマイナンバーそのものを取り扱うことはなく、カードのICチップ内の利用者証明用電子証明書を利用します。
ただ、オンライン資格確認が導入されていない医療機関・薬局では、今までどおり「健康保険証」が必要です。

スポット情報●労基署の立入り調査 
半数が超過残業(9月9日)
厚労省は、全国の労基署が2019年度に立入調査した3万2,981事業所のうち、47.3%(1万5,593事業所)で超過残業を確認。「過労死ライン」の月80時間を超える残業を行っていたのは5,785事業所で37.1%(前年度比29.7ポイント減)
●7月求人倍率1.08倍 6年3ヶ月ぶりの低水準(9月1日)
厚労省が発表した7月の有効求人倍率は1.08倍となり、7カ月連続のマイナスとなった。同数値は2014年4月以来6年3ヶ月ぶりの低水準。新規求人数は前年同月比28.6%減で、業種別では、「宿泊業、飲食サービス業」「製造業」「生活関連サービス業、娯楽業」などの下落が目立った。
●新型コロナ、解雇・雇止め5万人(9月1日)
新型コロナの影響で解雇や雇止めになった労働者が、8月末時点で5万326人(見込み含む)となった。雇用形態別(5月25日~8月21日)では、非正規雇用の労働者が2万625人に上る。業種別(8月21日)では、製造業が最も多い7,575人。都道府県別(同)では東京都が1万1,200人と最多。
●有期契約労働者「2ヶ月超の雇用見込」最初から社会保険加入へ(8月31日)
現状では、雇用期間が2ヶ月以内の場合、契約期間後も継続雇用されなければ厚生年金に加入できない。これを「2ヶ月を超えて雇用される見込み」がある場合、当初から厚生年金に加入するよう見直す。雇用契約書に「契約が更新される」、「更新される場合がある」などと明示されている場合が対象。2022年10月から実施。
●4人に1人が休業手当なし(8月28日)
独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の調査(20~64歳の労働者4,881人を対象)によると、新型コロナウイルスの影響で休業を命じられた労働者(603人)のうち、休業手当を「全く支払われていない」と答えた人が24%(145人)に上ることがわかった。このうち69%をパート、アルバイト等の非正規雇用者が占めていた。
●雇用調整助成金の特例12月末まで延長へ(8月26日)
新型コロナウイルス対策で拡充している雇用調整助成金の特例措置について、政府は、現行の助成率(最大100%)や上限額(1万5,000円)のまま12月末まで延長する方針を固めた。また、来年1月以降は内容を縮小して続ける方向。
●保育所の「就労証明書」押印不要に(8月24日)
政府は、保育所の入所に必要な「就労証明書」について、勤め先の押印は不要と通知する。保育所を利用するには、保護者が就労状況を証明する書類を地方自治体に提出する必要があり、それに押印欄を設けている場合が少なくない。政府は押印不要について、来春の入所申請が本格化する10月までに対応を決める。
●雇用調整助成金支給決定額5ヶ月で7,399億円に(8月17日)
厚労省は12日、雇用調整助成金について、今年3月以降で新型コロナによる休業を対象とした支給決定額が合計約7,399億円(7日時点)となり、リーマンショックの影響を受けた2009年度の1年分の支給額を約5ヶ月で上回ったことを明らかにした。休業者が4月に過去最多(597万人。うち企業などで雇われて働く人は516万人)となったことなどが背景にあるとみられる。
特例措置は12月まで延長されるが、現状のまま延長すると財源が続かなくなるとの見方も出てきています。
●3か月連続、給与総額減(8月8日)
厚労省が発表した6月の毎月勤労統計調査によると、労働者一人あたりの平均賃金を示す現金給与総額は、前年同月比1.7%の減少となり、3ヶ月連続で低下した。    
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、残業代などの所定外給与が24.6%下がったことが響いている。この下げ幅は、比較可能な2013年1月以降、先月5月に続いて2番目に大きかった。

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