経営労務情報 令和2年(2020年) 7月

お知らせ◆年1回の社会保険料の「定期の変更」は、
10月に支払う給与からです。
◆梅雨明け後の暑さが心配されます。
外作業や工場内での「熱中症」にはくれぐれもご注意ください。本格的な夏の前に様々な熱中症の対策をご検討ください。
◆雇用調整助成金について
コロナ感染症の影響で ①売上が減少し、②従業員を休ませ(休業)、③その間の休業手当(給与の補償)を支払った場合にその休業手当に対しての補助が受けられる返済義務のない「助成金」です。
◆夏期賞与を支払った際はお知らせ下さい。

コロナ感染症対応休業支援金の受付開始!
◆個人向けのコロナ対応休業支援金とは?
雇用調整助成金を活用できない企業の労働者を対象とし、休業実績に応じて賃金の8割が支給(上限月額33万円)されます。
雇用保険未加入の学生アルバイトや外国人労働者、技能実習生も対象となります。  
登録型派遣、日雇派遣労働者も、要件を満たせば対象となります。ただし海外勤務者や日雇労働者、地方公共団体の非常勤公務員は対象となりません。
◆申請方法など
申請は労働者本人または事業主のどちらか一方が郵送で行ない、給付は直接本人の口座に振り込まれます。
書類は支給申請書と支給要件確認書(事業主提出時は「続紙」も必要)、本人確認書類、振込先口座の通帳コピー、休業前および休業中の給与明細のコピーが必要です。
●事業主は支給要件確認書へ証明
支給要件確認書には、事業主による休業証明の記入欄(事業主欄)があり、労働者の雇用、賃金支払いの事実や休業の事実についての証明が必要です。事業主が証明を拒んだ場合は労働局から報告を求められます。 
証明を偽った場合は給付金の2倍相当額の返金と年3%の延滞金を請求されます。

コロナ感染による社会保険の報酬月額の特例改定◆報酬月額の特例改定(1回限り)
コロナ感染により月額給与が著しく下がった場合に、健康保険・厚生年金の月額保険料の変更を、通常の4か月目の変更によらず翌月から変更可能となりました。
◆3つの条件
①コロナ感染の休業により、4月から7月までの間の1月でも月額が著しく低下した場合。
②著しく低下した月額が「標準報酬月額表」で2等級以上下がった場合。※固定的賃金(基本給、固定額手当や時間外単価等)の変動がない場合も対象となります。
③本人の書面同意が得られる場合。
申請は通常の届出書と異なります。
◆対象期間
給与が急減したその翌月の5月から8月の保険料が対象となります。

「家賃支援給付金」の申請開始経産省が7月7日「家賃支援給付金」の要領を公表しました。この給付金は地代・家賃(賃料)の負担軽減を目的とし、賃料を支払っている事業主に対して支給されます。
◆対象事業主と給付条件
資本金10億円未満の法人と個人事業者を対象とし、医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人なども対象となります。
条件は今年5月~12月の単月売上高が、前年同月比50%以上の減少、または3カ月連続で同30%以上の減少とし、事業のために土地・建物の賃料を払っている場合です。
◆給付額と申請期間
給付額は法人が最大600万円、個人事業者が同300万円です。申請期間は7月14日から来年1月15日までの予定です。
◆家賃支援給付金コールセンター
電話0120-653-930 (8:30~19:00)

年1回の健康診断が延期可能◆一般健康診断を6月に実施しなければならなかった会社では、10月までの延期が可能となりました。特殊健康診断は十分な感染防止対策を講じることが困難な場合には、やはり10月まで延期が可能となりました。
◆「一般健康診断」と「特殊健康診断」
会社では、採用時と年1回の一般健康診断が義務づけられています。
特殊健康診断としては、有害な業務に従事する場合や、有害な業務後に配置転換した場合などに特別の項目について一定の期間(6ヶ月ごともあります)ごとに特殊健康診断を実施することが義務づけられています。
また一定の有害な業務に従事する場合には歯科医師による健康診断等も義務づけられています。

コロナ感染による厚生年金保険料などの「納付猶予制度」大幅な売上減少となった場合、特例として厚生年金保険料及び労働保険料等の納付を1年間猶予することが可能となります。
◆対象事業者と内容
本年2月以降の任意期間(1か月以上)で、売上が前年同期比20%以上の減少があり、一時に納付を行うことが困難な事業主です。
期間は1年間、厚生年金保険料等の納付が猶予されます。担保の提供は不要、延滞金も免除されます。
本年年2月1日から令和3年2月1日までに納期限が到来する厚生年金保険料等が対象です。
◆厚生年金と協会けんぽは、年金事務所へ、
労働保険料は、労働局へ申請します。
◆厚生年金保険料等を一時に納付することが困難な場合は、上記の納付猶予の特例のほか「分割納付」の仕組みもあります。
◆個人が支払う「国民健康保険」、「国民年金」、「後期高齢者医療制度」及び「介護保険」の 保険料(税)の減免など
コロナ感染症の影響により一定程度収入が下がった個人の場合は、国民健康保険、国民年金、後期高齢者医療制度及び介護保険の保険料(税)の減免や徴収猶予等が認められる場合があります。
この場合はお住まいの市区町村、年金事務所または国民健康保険組合にお問い合わせください。

70歳までの就労確保が努力義務へ~改正高年齢者雇用安定法成立~◆改正高年法が成立
70歳までの就労確保が努力義務となる改正高年法が来年4月に施行されます。
現在は65歳までの「高年齢者雇用確保措置」が義務化されています。
「高年齢者雇用確保措置」とは「①定年の引上げ」、「②継続雇用制度の導入」、「③定年の廃止」のいずれかの措置が該当しあくまで「雇用」を前提としたものです。
今回の改正では、65歳から70歳までの「高年齢者就業確保措置」として①~③に加え、労使同意で雇用以外の措置「㋑継続的に業務委託制度」、「㋺社会貢献活動制度」のいずれかを講ずることを企業の努力義務としています。
更に「再就職支援」、「フリーランス契約への資金提供」や「起業支援」などこれまでの考え方にない措置も登場しています。
◆少子高齢化や労働力人口の減少が避けられない状況の中、これからの雇用の在り方をしっかり検討していきたいところです。

~厚労省発~「熱中症予防策」◆「新しい生活様式」
感染対策としては①身体的距離の確保(約2m)、②マスクの着用、③手洗いに加え、㋑3密(密集、密接、密閉)の回避、㋺換気、㋩こまめな健康チェックが効果的とされています。
◆熱中症対策
夏場は上記対策に加え、熱中症対策も求められます。しかし高温多湿でのマスクは熱中症のリスクを高めます。
◆予防のポイント
①マスクを外す。 
屋外で人と十分な距離(2m以上)が確保できる場合は外します。着用時の強い負荷運動は避け、こまめに水分補給します。 
人と十分な距離をとり一時的にマスクを外して休憩します。
②エアコンの活用方法。
窓開放や換気扇によって室内温度が高くなりがちのため、エアコンの設定温度を上手に調整します。
③涼しい場所への移動。
体調異変を感じたらすぐ涼しい場所に移動します。外作業では日陰や風通しのいい場所への移動、車のクーラーも活用します。
④日頃の健康管理
体温測定や健康チェックをします。平熱を知れば発熱に早く気づけます。また体調が悪いと感じたら、無理せず静養します。

スポット情報●コロナ感染死で初の労災認定
海外出張中に感染(7月17日)
厚労省は海外出張中にコロナ感染し死亡した卸売・小売業勤務の労働者について、業務で感染したとして労災認定したことを明らかにした。ウイルス感染の死亡者が労災と認定されたのは今回が初めて。
●バイト時給が前年同月比2.8%上昇(7月16日)
リクルートジョブズが発表した三大都市圏の6月のアルバイト・パートの募集時平均時給は前年同月比2.8%(29円)上昇して1,083円だった.コロナの影響で5月に大幅に減少した「フード系(飲食店)」は0.5%(5円)高い1,019円、「販売・サービス系」は0.6%(6円)高い1,052円だった。5月は求人が前年同月を下回ったが、6月は緊急事態宣言の解除で増加した。
●派遣時給は前年同月比2年ぶりに減少、介護の求人は増加(7月16日)
エン・ジャパンが発表した三大都市圏の6月の派遣社員の募集時平均時給は、前年同月比で0.4%(6円)減少し1,577円だった。前月同月の平均時給を下回るのは2018年5月以来。またコロナの影響で「一般事務」の求人数は前年同月比62%減少したが、「介護関連」は33%増加、平均時給は0.7%(9円)増で1,296円だった。
●中小企業の賃金上昇率は1.2%(7月11日)
厚労省は、中小企業の6月1日時点の見込賃金を1年前と比べた賃金上昇率を公表し今年は1.2%(前年比0.1ポイント減)だった。賃金上昇率は最低賃金の引上げ幅の目安の参考になり、過去4年は3%の引上げの目安を示していたが今年はコロナの影響から3%にこだわらない姿勢に転換した。
●非正規の解雇・雇止め1.1万人
~厚労省集計~(7月8日)
厚労省が5月25日から全ハローワークを集計した結果、コロナの影響で解雇、雇止めとなった非正規労働者が7月3日時点で1万1,798人に上ることがわかった。
●個人向けの休業給付、10日申請開始(7月8日)
雇用調整助成金を使えない中小企業などの従業員が対象となる「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の受付けが10日より開始された。休業者が勤め先を通さずに国から生活資金がもらえるもので、申請には事業主の指示で休業していることの証明書などが必要になる。
●所定外給与、5月は25.8%減(7月7日)
厚労省の毎月勤労統計調査(速報値)によると、5月の所定外給与は14,601円(前年同月比25.8%減)となった。比較できる2013年1月以来、最大の下げ幅。
一般労働者は26.2%減だったが、働く時間が短いパートタイム労働者は33.1%減った。また平均の現金給与総額は、269,341円(同2.1%減)だった。
●有効求人倍率46年ぶり下げ幅(7月1日)
厚労省の発表では5月の有効求人倍率は1.20倍(季節調整値。4月から0.12ポイント低下)となった。下げ幅は1974年1月に次ぐ過去2番目の大きさとなった。
総務省発表の5月の完全失業率は2.9%(季節調整値。4月から0.3ポイント上昇)となった。またコロナ感染拡大に関連した解雇や雇止めの人数(見込み含む)は、31,710人になった。
●休業で「社会保険料軽減」ルール緩和(6月27日)
厚労省は、健康保険や厚生年金の標準報酬月額についてコロナによる休業で賃金が急減した場合、通常の随時改定によらず特例により翌月から改定できるよう緩和した。新型コロナの影響で4~7月の間に1カ月以上賃金が下がった場合が対象。
●労災の「精神障害」最多(6月27日)
厚労省は、仕事が原因で精神疾患にかかり2019年度に労災申請した人は2,060人、労災認定されたのは509件で、いずれも1983年度の統計開始以降、最多だったと発表した。業種別では「社会保険・社会福祉・介護事業」が48件と最も多く、次いで「医療業」(30件)、「道路貨物運送業」(29件)と続いた。
●残業上限規制は副業も含めて計算~政府方針~(6月17日)
兼業・副業の労働時間管理について、労働者に副業での労働時間を自己申告させる制度を導入する方針を政府が16日の未来投資会議で明らかにした。労働時間は通算することとし本業と副業先の労働時間が残業時間の上限規制に収まるよう調整する。
同会議では、①本業の労働時間を前提に副業の労働時間を決めること、②それぞれ自社の時間外労働分だけ割増賃金を払うこと、③自己申告に漏れや虚偽があった場合は残業上限を超えても会社の責任を問わない等、のルール案も示された。

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