経営労務情報 令和2年(2020年) 4月

お知らせ◆新型コロナウイルス対応の助成金
学校の臨時休校により欠勤した従業員への有給休暇の助成金が決まってきました。
その他の助成金なども詳細がでてきましたらその都度お知らせいたします。
◆健康保険料・介護保険料の変更
3月より愛知県は健康保険が下がり介護保険が上がりました。保険料は「4月に支払う給与」から変更してください。
◆雇用保険料の「免除」の廃止
65歳以上の雇用保険料免除が廃止されました。一般社員と同じ保険料が必要となります。
◆4月から6月に支払う給与にご注意を
4月から6月に支払う給与の「平均額」で、9月(10払給与)から1年間の社会保険料が決まります。残業等の増加で給与が増えると結果として社会保険料が増えます。
◆4月からの残業規制の強化。
残業時間の上限設定(月45時間、年間360時間等)が中小企業(運送業、建設業などは除外)も対象となり厳しくなります。
◆4月は入社・異動が増加
この時期は申請が多く「保険証」の発行が遅れます。早めの連絡をお願いします。

高齢者雇用の実態と意識調査~連合調査から連合が1月30日、「高齢者雇用に関する調査2020」結果を発表しました。(昨年12月にインターネットで実施し、全国の45歳~69歳の有職者1,000名の有効サンプルを集計)
◆60歳以上の高齢者雇用について現状は、
労働時間が平均 6.8時間/日、
労働日数が平均4.5日/週、
給与は平均18.9万円/月の回答でした。
「60歳以上の従業員とコミュニケーションが取れている」との回答は販売職で顕著でした。満足度では「働き方満足度」は 70.3%、「賃金満足度」は44.0%でした。
働きたいと思う理由の
1位は「生活の糧を得るため」、
2位は「健康を維持するため」。
考えられる現役世代へのメリットは
「人手不足を補える」
「スキルを伝承できる」でした。
希望する配慮の1位は「労働時間・日数への配慮」でした。
◆65歳以降の高齢者雇用について現状は、
労働時間が平均5.4時間/日、
労働日数は平均3.9日/週、
給与は平均16.8万円/月の回答でした。
希望する働き方の1位は「現役時代と同じ会社で正規以外の雇用形態で働く」でしたが、「今の職場に70歳まで働ける制度がある」は40.9%にとどまり「今の職場で70歳まで働けないと思う」は57.0%、その理由の1位は「70歳までの制度がない」でした。
「政府の70歳までの就労確保施策の推進」には「賛成」が71.4%、「反対」が28.6%。
「働き続けたい」人は74.2%。心配なことの上位は「自身の体力」「自身の健康維持」「十分な所得えられるか」でした。
 企業としても高齢者雇用の環境整備をさらに真剣に考えていく必要がありそうです。

時間外労働上限規制
4月から中小企業も適用に
◆4月から中小企業も適用に
いよいよ中小企業も「時間外労働の上限規制」が始まります。また月60時間を超える時間外労働の割増率50%以上も、2023年から適用されます。
◆労働時間は減少傾向に
労働時間自体は全体的に減少傾向です。直近の厚労省「毎月勤労統計調査」令和元年分(速報)でも月間の総実労働時間139.1時間と前年比2.2%減でした。
◆残業時間削減の取組み
残業時間削減の取組みとしては、
「年次有給休暇取得促進の取組」、
「従業員間の労働時間の平準化を実施」、「残業を事前に承認する制度の導入」、
「能力開発の実施や自己啓発の支援」、
「IT環境の整備」など様々あります。
各企業で適切な対策は異なりますが、少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。

「身元保証書」の留意点◆4月からの身元保証契約は要注意
民法の改正により、連帯保証を求める入社時の「身元保証書」の扱いが変わります。
今後の身元保証書は賠償の上限(極度額)を定める必要があります。
◆極度額の定め方
リスクヘッジという観点からは、あまりに低額では実効性がなく、あまりに高額では連帯保証人決まらない恐れもあります。
具体額の明記がベストですが、「極度額は従業員の月給の○○か月分」などと定めることも考えられます。
◆「身元保証契約」締結の見直しも
形骸化しない契約の再検討や、金銭面の損害賠償を省き、身元引受人をお願いするということも考えられます。会社にとって本当に必要な契約の再検討が必要です。

「未払い残業代対策」の課題◆セブン‐イレブンの未払い残業代問題
昨年12月、パート・アルバイトの未払い残業代が2012年3月以降分だけで4.9億円(遅延損害金1.1億円含む)、1人当たり最大280万円と発表されました。
原因は、残業代の基準となる手当を含めずに計算していたことでした。
◆未払い残業は経営を直撃する
同社は厳しい批判を浴び、また労基署の是正勧告も長年放置していたようです。こうしたことは今後の人材募集にも深刻な影響を与えかねません。
◆未払い残業代リスクは更なる脅威に
厚労省は、賃金などの支払いを請求する権利の時効を「現行の2年」から民法改正に合わせ原則5年へと延長する方針を固め、「4月1日以降は3年」となります。
◆残業代が適正かのチェックが必要に
4月1日以降は、時間外労働の上限規制も全面施行となるため、残業時間のカウントと残業代の計算方法に注意を払う必要があります。一度チェックを受けてみてはいかがでしょうか?

「平成30年 若年者雇用実態調査」にみる若者の 転職意識厚労省から「平成30年若年者雇用実態調査」が公表されました。
常用労働者5人以上の事業所約1万7,000ケ所で働く若年労働者(15~34歳) 約3万人を対象。平成30年10月1日現在、前回は平成25年
◆若年正社員の転職希望
①定年前に「転職したい」は27.6%でした。
平成25年調査と比べて1.9ポイント増え、賃金や労働時間などの待遇面でよい条件を求め、転職を考える若者が増えていました。
②「転職を望まない」は33.2%でした。
性別では、男性で
「転職したい」が24.7%、
「望まない」が 35.1%。
女性は
「転職したい」が31.3%、
「望まない」が 30.6%。
年齢別では
「転職したい」は20~24歳代が32.8%と他の年齢層より高くなりました。
◆希望する転職年齢
転職希望の若年正社員の、希望する転職年齢では、男性は「30~39歳」が42.7%と最も高く、女性は「29歳以下」が44.0%と最も高くなっていました。
◆若年正社員の転職希望理由
転職希望の若年正社員の希望理由(複数回答)は①「賃金の条件がよい会社にかわりたい」が56.4%、②「労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい」が46.1%と高くなっています。
◆学生ではない正社員以外の若年労働者
この層の今後の働き方希望をみると、
「正社員として働きたい」が  41.8%、
「正社員以外として働きたい」が30.9%、
「独立して事業を始めたい」が  4.7%。
性別では、男性は
「正社員として働きたい」が  49.3%、
「正社員以外として働きたい」が14.9%。
女性では
「正社員として働きたい」が  38.2%、
「正社員以外として働きたい」が38.3%。
◎企業では、若者の意識を考えた採用面接が必要になりそうです

利用者急増の「退職代行」サービス◆"退職代行"とは
 近年このサービスの利用者が増加しています。退職代行サービスとは、直接退職の意思を伝えられない従業員に代わり、退職の意思を会社に伝え、退職処理を行うサービスです。企業と一切のやり取りをすることなくスムーズに退職できると宣伝する業者が多いのも特徴です。
 弁護士のいない代行会社は、利用者の意思・希望の伝達以外をすることはできません。また原則として企業は従業員本人と連絡をとらなければなりません。費用は3~5万円が多く、弁護士に依頼するよりも費用は抑えられますが、代行する行為にも制限があるのが特徴です。
◆背景にある問題
退職代行サービスを利用する理由は、
①退職の意思を伝えたが、人手不足や上司の多忙等を理由に受け入れてもらえない。
②パワハラがあり、相手の態度・言動が怖くて退職を言い出せない。
③引留め交渉に時間を取られたくない。
従業員本人としては退職の意思が固まっているにもかかわらず、企業側がそれを受け入れないという状況が読み取れます。
「自分の意思が尊重されないのでは」という思いが利用者側にあるようです。
◆企業の対応
 従業員が退職代行サービスを利用すると、ある日突然、代行会社から企業に連絡がきます。
書面や電話等により、「当該従業員は本日より出社できない、有給を消化したうえで退職したい、以降の連絡は退職代行会社へしてほしい」という旨を伝えられることが多いようです。
突然出社しなくなるため、退職の理由を従業員本人から聞く機会もなければ、業務の引継ぎも難しい場合がほとんどです。
 交渉すべき事項がある場合を除き、原則として退職は自由のため、企業は退職を受け入れいれることになり、退職の手続きを行なうケースが多いようです。
 業務の引継ぎを行なってからの退職にするためにも、問題がこじれるのを防ぐためにも、会社規則(就業規則を含む)を整備し、従業員が退職代行サービスを利用しなくて済む環境を整えることが求められます。

スポット情報●新型コロナ雇用調整助成金 週20時間未満のパートにも拡大(3月5日)
厚労省は、感染拡大防止のため北海道のように緊急事態宣言を出し活動自粛をする地域では、雇用調整助成金の上乗せを発表。中小企業:2/3→4/5、大企業:1/2→2/3に上げる。売上高減少要件も問わず、雇用保険未加入のパートなども対象とする。
●年金改革法案が閣議決定(3月5日)
政府は年金改革法案を閣議決定。主な内容は、受給開始年令を60~75歳へ拡大、在職老齢年金の基準額引上げ、在職定時改定の導入、短時間労働者への厚生年金適用拡大、個人型確定拠出年金の加入期間拡大など.今国会で成立を目指し2022年4月から施行予定。
●新型コロナ 自宅待機に傷病手当金(3月4日)
厚労省は、感染拡大を防ぐため、発熱で自宅待機を指示された社員にも、条件を満たせば健康保険から傷病手当金を給付することを認める方針。本来は医師の意見書が必要だが、自宅待機で受診できなかった場合などは特例的に意見書を不要とする。
●テレワーク導入の中小企業を助成(3月3日)
厚労省は、新型コロナ対策としてテレワークを新たに導入した中小企業に対し、費用の半額を助成する方針を固めた。機器や従業員研修などの費用の半分で1社あたり100万円を上限に助成する。2月17日以降の導入が対象。時間外労働等改善助成金の特例とし期限は今年5月末までとする。
●保護者休業 賃金補償で新助成金(3月3日)
厚労省は、新型コロナによる小学校等の休校で保護者が休暇を取得した場合、1人当たり日額8,330円を上限とする助成金を発表した。対象期間は2月27日~3月31日。非正規社員も対象。中学生と高校生の保護者は対象外。
●最高裁初判断 勤務中事故の損害賠償、雇用主に負担請求可能(2月29日)
仕事中事故で、被害者側に損害賠償をした従業員が、勤務する会社にも負担を求めることができるかの上告審で、最高裁は「従業員は会社に対し、損害の公平な分担という観点から相当と認められる額を請求できる」との初判断を示した。これまで明確なルールがなかった、逆求償権を認める判断。
●転職者数が過去最高に(2月22日)
総務省は、2019年の月次平均の転職者数が351万人となり、2002年以降過去最高となった。年齢別では15~34歳が全体の45%、55歳以上の転職者数も2年連続で20%を上回った。

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