経営労務情報 令和2年(2020年) 12月

お知らせ◆賞与の社会保険料率にご注意ください。
(以下は本人負担率です)
     厚生年金 = 9.15 %
健康保険+介護保険 = 5.835 %
(健康保険4.94 %、介護保険0.895 %)
◆新型コロナウイルス感染の増加
感染防ぐために基本に沿った対策として、社内の換気を行ない、頻繁な手洗い、マスク着用、消毒用アルコールの使用と補充をお忘れなくお願いいたします。
◆インフエンザワクチンを接種しましょう。
感染予防にも効果的と言われています。接種費用の一部会社負担も可能です。
◆年末調整が始まります。
今年は給与所得控除、基礎控除、扶養控除などが変更されました。配偶者や扶養家族の収入の確認にもご注意ください。
◆本年も1年間、誠にありがとうございました。
新型コロナウイルスの1日も早い終息をお祈りします。年始の事故・ケガ等にお気をつけください。年末年始の休業は「29日(火)より新年6日(水)まで」です。

来年4月施行!70歳までの就労確保(努力義務)について◆これまでの高齢者雇用安定法(義務)
①60歳未満の定年禁止、
②65歳までの雇用確保措置、
前記②で定年が65歳未満の場合は、
㋑65歳までの定年引上げ、㋺定年制の廃止、㋩65歳までの継続雇用制度の導入(再雇用制度・勤務延長制度等)のどれかをする必要がありました。
◆70歳までの就業機会の確保(努力義務)
来年4月1日から、前記の義務に加え、以下の「努力義務」が新設されました。
①70歳までの定年引上げ
②定年制の廃止
③70歳までの継続雇用制度の導入
(再雇用制度・勤務延長制度)
④高齢者が希望するときは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤高齢者が希望するときは、70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
㋑事業主が自ら実施する社会貢献事業
㋺事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
④⑤は創業支援等措置(雇用でない措置)となり、過半数労働者等の同意も必要です。
◆注意点
① 70歳までは努力義務のため、定年引上げ、定年制廃止を除き、対象者の基準を設けて限定できます。
ただし基準は過半数労働者等の同意が望ましく、また事業主が恣意的に高年齢者を排除することは認められません。
② 継続雇用制度、創業支援等措置の場合は、「心身の故障のため業務に耐えられないと認められる」「勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ない」といった事項等を就業規則や就業支援等措置の計画に記載した場合は、契約をしないことが認められます。

来年4月施行!気になる「同一労働、同一賃金」の取組みと賃金の動向について◆「同一労働 同一賃金」とは?
同一企業内の「正社員」と「非正規社員」(有期雇用労働者、パートタイマー、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指し、基本給や賞与などについても待遇差を設けることが禁止されます。
また非正規社員から求められた場合には、正社員との待遇差の理由などを説明すること、更に聞いたことを理由に不利益取扱いをしないことが義務付けられます。
今年4月1日からは大企業と労働者派遣事業者について適用され、中小企業は 来年4月から適用となります。
◆企業と労働者の反応
11月6日に提出された「令和2年度 年次経済財政報告」では、
①「正社員と比較して業務の内容等が同じで納得できない」と回答したパートタイマー・有期雇用労働者の割合は、
「賞与」37.0%、
「定期的な昇給」26.6%、
「退職金」23.3%、
「人事評価・考課」12.7%
② 企業の取組みの実施率は、
「業務内容の明確化」35.2%、
「給与体系の見直し」34.0%、
「諸手当の見直し」31.3%、
「福利厚生制度の見直し」21.2%、
「人事評価の一本化等」17.7%、でした。
➂ 企業の課題としては、
「費用がかさむ」30.4%、
「取り組むべき内容が不明確」19.5%、
「社内慣行や風習の変更が難しい」18.7%、
「効果的な対応策なし、分らない」16.5%、
「業務の柔軟な調整」16.1%、でした。
◆対応に必要な費用の一部に助成金
キャリアアップ助成金は、キャリアアップ計画を提出して6コースから選んで非正規社員の待遇改善等を行う場合に助成が受けられます。助成金の利用も含めて対応にはしっかりとした準備が必要となります。

「中途採用者 比率」の公表来年春スタート◆「中途採用比率」の公表
来年度から中途採用者比率が公表されます。これは①求職者と企業側ニーズのマッチング、②新卒一括採用の見直し、③就職氷河期世代や高齢層の中途採用の拡大をめざすための施策です。9月の厚労省労働政策審議会で答申が行われ令和3年4月1日から施行予定です。
◆公表方法
対象は労働者数が301人以上の企業です。
雇用した「通常の労働者」及び「これに準ずる者」に占める「中途採用者」の割合を
・おおむね1年に1回以上、
・公表日を明示し、
・直近の3事業年度分の実績について、
・インターネットなど容易に閲覧できる方法で公表するとしています。
ここの「通常の労働者に準ずる者」とは、「短時間正社員」のことです。これは期間の定めがなく、通常の労働者と同等の待遇を受けるも、1週間の労働時間が一般より短い正社員のことです。
対象企業は注意が必要です。

「コロナ」 と 「整理解雇」◆予断許さず
新型コロナについては「指定感染症」からは外す方向で議論が進められています。  
しかし緊急事態宣言がなされてから痛手を負っている企業も多く、今後の景気回復も急激に良くなるとの予想はされていません。今後、倒産や解雇の増加という波が時間差でやってくるとも予想されます。
また、冬に向けて新型コロナ感染者のさらなる増加や、ウイルスの変異による感染力の増強、さらに別のウイルス等による感染症の発生なども考えられます。
今は何とか持ちこたえている企業でも、企業体力や今後の情勢によっては、コロナ禍による業績の落込みから、正社員の整理解雇等を検討せざるを得なくなるかもしれません。
いくら「コロナだから、緊急事態だから」と言っても、裁判例ではコロナによる業績の落込みは、天災地変等のやむを得ない事由ではなく、経営上の理由による解雇と扱われる場合がほとんどと思われます。  
正社員の整理解雇は、厳格な要件(要素)で判断されています。(整理解雇の4要素)
◆可能な限りの解雇の回避
この4要素の一つとして「解雇回避努力義務の実行」があります。
可能な限りの雇用確保(解雇せざるを得ない場合でも労働者の負担をなるべく軽減)が求められます。その後で、
・転勤・出向等による異動
・休業手当相当の退職一時金を支払い、
雇用契約を合意解約
・訴訟を考慮しつつ退職金の上積み等を 提案し退職勧奨
というような方策が考えられます。
◆就業規則等の確認を
こうした方策をとる前提として、一時帰休の際の賃金の扱い(休業手当相当額を減額する規定)、コロナ等の事態が発生した場合の整理解雇があり得ること等は、就業規則や個別労働契約に明記しておくことが重要となります。
コロナ等による整理解雇に備え、説明資料や説得資料なども、事前の準備が必要にもなります。質問等にしっかりと答えられるようまとめておくと、会社としての統一的対応が図れ、担当者の負担も減ります。

新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者)
  ~厚生労働省公表~
平成29年3月以降卒業の、新卒者の「就職後3年以内の離職状況」が、厚労省から公表されました。
◆学歴別、3年以内の離職率
【大 学 卒】合計32.8%、前年比+0.8P
(1年目11.6%、2年目11.4%、3年目9.9%)
【短大等卒】合計43.0%、前年比+1.0P
(1年目17.7%、2年目13.3%、3年目12.0%)
【高 校 卒】合計39.5%、前年比+0.3P
(1年目17.2%、2年目12.3%、3年目10.0%)
【中 学 卒】合計59.8%、前年比-2.6P
(1年目36.5%、2年目14.7%、3年目8.5%)
※ ハローワークへ、新規学卒者として雇用保険加入届が提出された者の、生年月日、入社日等、入社理由から学歴ごとに、新卒業者と推定される人数を算出し、さらにその離職日から離職者数・離職率を算出した。
3年目までの離職率は、1年目、2年目、3年目の離職率の合計(四捨五入)です。
◆事業所規模別、3年以内離職率
【 大学 】 ( )内は前年比
1,000人以上 26.5%(+1.5P)
500~999人 29.9% (+0.3P)    
100~499人 33.0% (+0.8P)    
30~99 人 40.1% (+0.8P)    
5~29 人 51.1% (+1.4P)    
5 人未満 56.1% (▲1.6P)
【 高校 】
1,000人以上 27.4% (+1.4P)
500~999人 32.5% (▲0.6P)
100~499人 38.1% (+0.5P)
30~99 人 46.5% (+0.5P)
5~29 人 55.6% (+0.2P)
5 人未満 63.0% (▲1.9P)
◆産 業 別、就職後3年以内離職率
離職率の高い上位5産業 ( )内は前年比
 【 大学 】 
宿泊・飲食サービス業 52.6% (+2.2P)
生活サービス業・娯楽業 46.2% (▲0.4P)
教育・学習支援業 45.6% (▲0.3P)
小売業 39.3% (+1.9P)  
医療、福祉 38.4% (▲0.6P) 
 【 高校 】
宿泊・飲食サービス業 64.2% (+1.3P)
生活サービス業・娯楽業 59.7% (+1.7P)
教育・学習支援業 55.8% (▲2.2P)
小売業 49.5% (+0.1P)
医療、福祉 47.0% (+0.5P)
※ 平均して高卒者の約4割、大卒者の約3割が、就職後3年以内に離職し、ここ数年は大きな変動は見られませんでした。

スポット情報●不妊治療助成制度「所得制限を撤廃」
今年度内に利用開始へ(11月19日)
政府は不妊治療への助成金制度の拡充について、所得制限を撤廃する方針を固めた。
助成額の増額や、治療回数の制限の見直す案を検討し、今年度内の利用開始を目指す。不妊治療の保険適用が実現するまで現行の制度を拡充して対応するとしている。
●大卒内定率69.8%、リーマン・ショック以来の下げ幅(11月18日)
来春卒業予定の大学生の就職内定率が、69.8%(10月1日時点)で前年同期比7.0ポイント減だった。(厚労省調査)
この時期に70%を切るのは5年ぶり、リーマン・ショック後の2009年(7.4ポイント減)に次ぐ下げ幅だった。
●行政手続き、存続83件を除き押印を廃止(11月13日)
河野改革相は、行政手続きに必要な1万4,992件の押印のうち、99%以上の廃止を明らかにした。認め印は全廃、実印を使う商業・法人登記や不動産登記の申請、相続税の申告など83件は存続となる方向。
来年の通常国会で一括法案を提出する。
●75歳以上の医療費、2割負担で
年平均3.4万増に(11月13日)
厚労省は、75歳以上の後期高齢者が支払う医療費の窓口負担割合を現行の1割から2割に引き上げた場合、1人当たりの自己負担額が年3.4万円増える(8.1万円→11.5万円)との試算を示した。政府は議論を踏まえ、年内に2割負担引上げの所得基準を決める方針。
●有給取得率が過去最高に(10月31日)
厚労省の就労条件総合調査で、2019年の有給休暇の取得率が56.3%(前年比3.9ポイント上昇)となり、過去最高となった。平均取得日数は10.1日で0.7日の増加。
●雇用調整助成金 
1月以降も特例延長 (10月29日)
政府は12月末まで延長していた雇用調整助成金の特例措置延長を来年1月以降も延長する方針を固めた。現行の特例措置は新型コロナ感染拡大を受けて1日当たりの上限額を約8,300円から1万5,000円に、中小企業向け助成率も3分の2から最大10割に引き上げるなどしている。
●福祉施設の労災1万人超(10月30日)
厚労省によると、特別養護老人ホームなどの昨年の労災による死傷者数が1万人を超え、1999年の統計開始以降、過去最多となったことがわかった。原因は、腰痛など「動作の反動・無理な動作」が34%と最多で、次いで「転倒」が33%。「交通事故」「転落」も多かった。60歳以上の占める割合が32%で、高年齢者の労災が目立った。
●就活 23年卒も現行通り(10月30日)
就活・採用活動の新ルールを検討する政府の「関係省庁連絡会議」は、2023年春卒業(現2年生)の大学生の採用日程について、現行通りとすることと決めた。
解禁日は会社説明会が「3年生の3月1日」、面接など選考が「4年生の6月1日」。

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