経営労務情報 令和2年(2020年) 1月

明けましておめでとうございます。
本年も皆様のご活躍とご健勝を心よりお祈り申し上げます。
お知らせ◆オリンピックの開催年です。
東京を中心とする大きなイベントですが閉幕後の景気減速も指摘されています。
しっかり楽しんだ後は、しっかり考える必要がありそうです。
中部地区の景気減速の可能性は低いようにも感じます。
◆高齢者の雇用保険料免除が廃止されます。
これまで64歳以上の加入者の保険料が免除されてきましたが、本年4月から免除が廃止されます。本人負担も会社負担も必要となります。64歳以上の従業員が多い会社は負担増に注意が必要です。
◆4月から中小企業も対象となります。
昨年4月から残業時間の上限設定などの労働基準法が大きく変わりました。大企業は昨年4月より対象でしたが、本年4月からは中小企業も対象となります。

運転中の「スマホ」が厳罰化◆改正道路交通法が施行
昨年12月1日から改正道路交通法が施行され、運転中の「ながらスマホ(スマートフォン)」に対する罰則が厳しくなりました。変更により反則金はより高額に、違反点数はこれまでの3倍に、また事故を起こした場合は免許停止処分となります。
1、電話の使用等(保持):通話(保持)・画像注視(保持)の場合
・罰則:6月以下の懲役又は10万円以下の罰金
・反則金:普通車の場合 18,000円
・違反点数:3点
2、電話の使用等(事故時):通話(保持)・画像注視(保持)・画像注視(非保持)の場合
・罰則:1年以下の懲役又は30万円以下の罰金
・反則金:適用なし、反則金ではなく、罰則(懲役刑又は罰金刑)が適用
・違反点数:6点(免許停止)
◆「ながらスマホ」の危険性
事故は、過去5年間で約1.4倍に増加し、カーナビ等を注視中の事故も多発しています。停車しての操作がより重要になります。
◆企業にできること
運転前に電源を切る、またはドライブモードにするなどの指導も必要になります。
交通事故は、一生を大きく変えてしまい免停などは業務にも支障をきたします。まずは今回の改正を周知することが重要です。

高齢者雇用の雇用状況
    ~厚労省調査より~
◆65歳までの雇用確保措置のある企業はほぼ100%
厚労省は、高齢者の雇用状況などを集計した「高年齢者の雇用状況」(令和元年6月1日現在)を公表しました。(従業員31人以上の企業161,378社)。
同調査では65歳までの雇用確保措置のある企業は99.8%とほぼ100%でした。
◆定年制の廃止・引上げの企業割合が微増
①「定年制の廃止」の企業は4,297社、2.7%(対前年比0.1ポイント増加)、
②「定年の引上げ」の企業は31,319社、19.4%(同1.3ポイント増加)、
③「継続雇用制度の導入」の企業は125,501社、77.9%(同1.4ポイント減)
定年の廃止や定年の引上げよりも、継続雇用制度を導入する企業が多い結果でした。
◆66歳以上も働ける企業が増加
④66歳以上も働ける企業は49,638社(対前年比6,379社増)、30.8%(同3.2ポイント増)、66歳以上も働ける企業は、大企業、中小企業ともに増加しています。
⑤70歳以上も働ける企業は46,658社(同6,143社増)、28.9%(同3.1ポイント増)
◆今後の動向
政府は70歳までの就業機会確保を事業主の努力義務とする「高年齢者雇用安定法」の改正を検討しています。少子高齢化や労働力人口の減少により、高齢者雇用は今後ますます拡大することが予想されます。

「外国人雇用状況」の届出に在留カード番号が必要に!◆外国人雇用状況の届出について
現在は外国人(特別永住者と在留資格「外交」・「公用」の者を除く)を採用した場合には、氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域、資格外活動許可の有無についてハローワークへ届け出る必要があります。
◆在留カードの番号記載も必要に
本年3月1日以降は、在留カード番号も届出が必要になります。未届けは罰則の対象にもなります。
◆2種類の届出方法
①雇用保険の加入者となる外国人の場合
雇用保険の加入時と退職時に、在留カード番号を記載します。
②雇用保険に加入しない外国人の場合
「外国人雇用状況届出書」に在留カード番号の記載が追加されます。
2月29日以前の雇入れ、離職の届出は、経過措置として旧書式で届出が可能です。

健康保険の扶養家族に、国内居住要件が必要になります外国人労働者の受入れ拡大に伴い、本年4月1日から健康保険法の扶養家族に国内居住要件(一定の例外もあり)が必要となりました。これは健康保険財政を悪化させないための対応です。
◆国内に住所はないが、例外的に扶養家族となれる場合
渡航目的その他の事情を考慮して、国内に生活の基礎があると認められる場合(厚労省令による)とは下記のとおりです。
① 外国に留学をする学生
② 日本からの海外赴任に同行する家族
③ 海外赴任中の身分関係の変更により、新たな同行家族とみなすことができる者(海外赴任中に生まれた被保険者の子ども、海外赴任中に結婚した被保険者の配偶者など)
④ 観光・保養やボランティアなど就労以外の目的で一時的に日本から海外に渡航している者(ワーキングホリデー、青年海外協力隊など)
⑤ その他日本に生活基礎があると認められる特別な事情があるとして判断された者
◆国内に住所があっても、扶養家族になれない場合
①「医療滞在ビザ」での来日。
日本において治療等を受けることを目的として訪日する外国人患者等(人間ドックの受診者等を含む)及び同伴者。
②「観光・保養を目的とするロングステイビザ」での来日(富裕層対象の最長1年のビザ)
◆国民年金の第3号被保険者も同様に
健康保険と同様に、本年4月1日から国内居住要件が求められます。その要件は上記の健康保険と同様に判定されます。

10~40代で共通する「心の病」の課題◆10代~20代で初めて30%超え
日本生産性本部、第9回「メンタルヘルスの取組み」に関する企業アンケート結果が発表されました。
①10代~20代、②30代、③40代、の各年齢層で、「心の病(強いストレス状態やうつ状態)」を持つ割合が30%を占め、50代を除き共通の課題となっていることがわかりました。今回は10代~20代での割合が初めて30%を超えました。
◆40代の注目点
10年ほど前の調査では、当時の30代が「心の病」を持つ割合が60%前後を占めていましたが、現在40代になってもメンタルヘルスの問題が持ち越されています。
この世代は就職氷河期世代になります。
10代~20代については、10年ほど前のおよそ2倍超の割合になりました。
◆ストレスチェックの課題
今回は、ストレスチェックについての課題についても調査され、「集団分析結果の活かし方」が課題とする企業が3分の2を占めました。
ストレスチェックを外部に委託する場合の注意点は以下のとおりでした。
①見やすく活用しやすい結果をもらえる。②結果の経年変化も作成してもらえる。
◆50代のメンタルヘルス以外の課題
50代の「心の病」は多くない結果でしたが、40代後半から50代は親の介護や本人の健康問題などが多発します。厚労省の調査でも心筋梗塞や脳卒中は50代から急増しています。
◆社員の健康リスクは経営リスクになる
このような認識も広まり、積極的に対策をとる企業も増えています。組織や仕事の見直しにより、健康経営の推進に取り組む必要がありそうです。

スポット情 報●介護・健康保険証をマイナンバーカード
と一本化へ(1月12日)
政府は2023年度からマイナンバーカードと介護保険の保険証を一本化する予定。健康保険証の機能も先行して組み合わせる予定で行政と医療、介護の手続きが1枚のカードで済むようになる。
●副業の労災時、賃金・労働時間を合算へ(12月23日)
厚労省は、兼業や副業をする人が勤務中の事故などで働けなくなった場合に、本業の賃金と合算して労災保険を給付すると決定。長時間労働を原因とする労災の認定基準についても、複数の勤め先の労働時間を合算する仕組みに変える。2020年の通常国会に労災保険法などの改正案を提出し、年度内の施行を目指す。
●補助金申請はオンラインで完結(12月23日)
政府は、経産省や厚労省など7省庁と都道府県の一部が管轄する100種類の企業向け補助金について、2020年から申請手続をオンラインで完結できるシステムを稼働する。企業は政府が発行する各行政機関の手続き共通のIDを利用して補助金に応募できるようになる。
●建設業の外国人材、適正な就労環境確保へ新たな義務(12月23日)
国交省は、特定技能制度で来日した建設分野の外国人の失踪や不法就労を防ぐため、元請けとなる大手建設会社に就労環境の点検を義務付ける。また外国人労働者に対しては、2020年1月から就労管理機関による講習の受講を義務付ける。講習では、受け入れ企業の計画と実際に企業から説明を受けている条件に食い違いがないか、外国人労働者に確認する。
●高年齢雇用継続給付、2025年度から給付半減(12月21日)
厚労省は、賃金が現役時代に比べて大幅に下がった60~64歳の高齢者に支払う「高年齢雇用継続給付」について、段階的に減らす案をまとめた。65歳までの継続雇用が完全義務化される2025年度から、新たに60歳になる人の給付率を半分に減らす。見直しに伴い人件費の増加が見込まれる企業への支援策と合わせ、給付制度の廃止も検討する。
●2024年度までに行政手続9割電子化(12月21日)
政府は、行政手続の電子化に向けた「デジタル・ガバメント実行計画」の改定版を閣議決定した。2024年度中に国の行政手続の9割を電子化する方針を明記しており、約500の手続きの電子化に向けた工程表を示した。
●一定以上の所得がある75歳以上の医療費を2割へ(12月20日)
政府の全世代型社会保障改革検討会議は、中間報告をまとめた。75歳以上の病院での窓口負担は現在、原則1割で現役並み所得者は3割のところ、改革後は現役並みの所得がなくても一定以上の所得があれば2割とする。そのほか、紹介状のない大病院受診時の負担も1,000円~3,000円程度上積みし、対象病院を400床以上から200床以上に広げる。団塊の世代が75歳以上になり始める2020年度までの施行を目指す。
●70歳までの就業機会確保、75歳への年金受給開始年齢の引上げ(12月20日)
現在の65歳までの雇用義務を、70歳までの就労機会確保の努力義務とするため、企業自身の雇用だけでなく、①他企業への再就職支援、②フリーランスや起業した社員との業務委託契約、③勤め先が出資するNPOへの参加などの選択肢を加える。
年金制度も高齢者の就労を促すため、現在70歳が上限の受給開始年齢を、希望する人は75歳まで選択できることとする。
在職老齢年金は、65歳未満の減額基準を65歳以上と同じ47万円に引き上げる。厚生年金に入るパート労働者の対象も段階的に広げ2024年に51人以上の企業とする。
●マイナンバーカード活用策「在留カード」と一体化へ(12月19日)
政府はマイナンバーカードを在留カードとして利用できるよう早ければ2020年の通常国会に出入国管理・難民認定法など関連法の改正案を提出する。教員免許状や運転経歴証明書との一体化も進める。
●愛知県の中小企業、冬の賞与 4万円減~愛知中小企業家同友会調査(12月13日)
冬の賞与アンケート調査で平均支給額は312,962円で前年冬より40,056円減少。
製造業は米中貿易摩擦などの影響がでた。
もともと少ない零細企業ほど減少幅が大きかった。(▲はマイナス)
      2019年冬    前年冬比
建設業  331,061円  ▲61,246円
製造業  301,250円  ▲48,419円
流通・商業 323,765円  ▲59,712円
サービス業  303,935円  ▲21,984円
全 体  312,962円  ▲40,056円

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