経営労務情報 令和1年(2019年) 7月号

お知らせ◆梅雨明け前から暑い日が続きます。外部作業や工場内での「熱中症」にはくれぐれもご注意ください。本格的な夏の前に色々な熱中症の対策をご検討ください。
◆4月から6月に支払う「給与」の届出が7月です。この届出により今年9月から1年間の社会保険料が決まります。この間の給与が高いと社会保険料が増えます。お客様へは具体的にご説明いたします。
◆ 7月は「労働保険料」の納付月です。
口座振替にされると納付が1~2ヶ月遅くできます。訪問の際ご説明いたします。
◆夏期賞与を支払った際はお知らせ下さい。
保険料や所得税の金額が分からない場合はご連絡ください。計算いたします。
◆病院へ支払う医療費が高額になりそうなときや入院する際はご連絡ください。
「限度額適用認定証」の申請をいたします。上限を超える医療費の、病院への支払いが不要となります。

電話対応を軽んじるなかれ!
~エン・ジャパン調査~?
◆電話対応でイメージダウン
エン・ジャパン㈱が実施した「アルバイト応募先の対応」に関するアンケート調査では「応募先の対応によってイメージが変わった」との回答が6割を超えた。
応募先企業のイメージアップとしては「電話」「面接」「メール」の順でした。
具体的には「連絡が早かった」「気持ちの良い挨拶があった」「正しい言葉や文章をだった」「不安や疑問を聞いてくれた」といった項目でした。
イメージダウンとなった対応は「面接」と「電話」が8割近くを占めました。
具体的には、「話をちゃんと聞いてくれなかった」「タメ口など丁寧な言葉づかいではなかった」「不安や疑問を話しても、回答がえられなかった」という項目です。いずれも電話対応が重要となっています。
◆クレームにもつながる怖さ
電話対応には通常の問い合せでもクレームに変身させてしまう怖さがあります。
予防策としては、どのような電話でも「相手の話をじっくり聞く」ことが重要です。
通話途中の「あ~、はいはいはい」とさえぎる返事や、「なるほどですね~」といった軽すぎる返事などは、「軽んじられた! バカにされた!」と不快に感じやすいものです。
社員同士の通話と違い、外部からみると不快に感じ企業イメージの低下につながります。
◆部下の対応を指導する難しさ
人手不足の中、電話対応により採用の機会を逃してしまうこともあり、また通常の取り引きにも影響がでてきます。
自信をもって「これが正しい対応だ」と言い切れる上司はどれだけいるでしょうか?また職場内研修(OJT)による指導も重要ですが、その場限り・その人限りの指導となりがちです。「いまさら電話マナーなんて...」という軽視は企業の経営に響いてきます。
電話対応を「対外的なイメージ戦略」の一つとしても、統一的な対応のレベルアップを図る必要があります。

「有給休暇の取得義務化」
企業の反応は ~エン・ジャパン調査~?
4月1日から、10日以上の有給休暇が与えられる従業員に年5日の取得が義務化されたことで、エン・ジャパン㈱では2月~3月にアンケート調査を行ないました。
◆取得義務化の認知度は9割以上。
取得義務化の認知度は96%が「知っている」と回答しました。(内訳:内容も知っている=63%、概要のみ=33%)
取得義務化の印象を問うと、「良いと思う」が73%(内訳:非常に良い=23%、まあ良い=50%)でしたが「良くないと思う」が26%(内訳:良いと思わない=21%、良くない=5%)となり、4社に1社が否定的に感じていることがわかりました。
◆7割が「有給休暇の取得を促進」と回答。
肯定的な業種としては「金融」「商社」「IT」など。逆に否定的な業種は「広告」「流通」「不動産」などでした。
「現在、有給取得を促進していますか」という問いでは「促進している」が70%でした。促進業種トップ3は「金融・コンサル関連」(100%)、「商社」(79%)、「IT・情報処理・ネット関連」(77%)でした。
逆に促進していないのは「広告・出版・マスコミ関連」(36%)、「流通・小売関連」(34%)、「不動産・建設関連」(27%)。
促進する理由は「社員の満足度向上のため」(67%)が最多。「義務化法に準拠するため」(42%)は第3位でした。
◆有給休暇の取得義務化へ対応策
対応策としては「有給休暇の計画的取得」(83%)、「有給休暇取得のための周知・啓発」(81%)と回答。
会社によっては人員に余裕がなく、有給をとれない場合もありますが、なんとか業務を見直し「有給消化」に努める必要がありそうです。

中途採用者の定着率は?
~エン・ジャパン調査~
◆人手不足の状況が続くも
人手不足の中、募集しても、「良い人からの応募がない」、「そもそも応募が全然来ない」という企業も多いようです。
たとえ良い人材がきても、離職されては人手不足の問題は改善されません。
中途採用者に定着してもらうには時間や労力が本当にかかります。
◆約4割が「定着率が低い」と回答
エン・ジャパン㈱が、直近3年間で中途採用者(正社員)がいる企業を対象に実施した「中途採用者の定着」についてのアンケート調査(回答:693社)によると、約4割が「定着率が低い」と回答。
業種別では「流通・小売関連」(51%)、規模別では「1,000名以上」(48%)がそれぞれ最も高い割合となりました。
退職までの期間では、37%が「1カ月未満~6カ月」。3社に1社が早期に退職していました。
◆定着率向上への企業の取り組み
取り組みとしては、「定期で行う上司との面談」(53%)、「歓迎会での交流」(50%)とこの回答が特に多くなっています。 
定着率向上の寄与度では、「定期で行う人事との面談」、「定期で行う上司との面談」があがっています。
また実施企業は1割と少ないものの効果的な制度としては「メンター・ブラザー・シスター制度(先輩社員の親身な対応)によるフォロー」でした。逆に「中途採用者交流会への参加」、「社内見学」はむしろマイナスの影響結果が出ています。
実際に効果のある取組みは何なのか、効果を検討しながら取り組んでいく必要がありそうです。

夏は 交通事故の発生件数 増加!
再確認したい企業の各種責任
◆交通事故の発生が多い「7月」
交通事故が最も多い月は12月、次いで7月です。長期休暇のタイミングで交通量が増加することが一因と考えられます。
特に7月は「天候」も大きな要因となります。梅雨や台風など、夏特有の天候の急変に注意が必要です。
梅雨時は、視界が悪化し、雨音で外部音が遮断され注意力が散漫になりがちです。
台風等の激しい雨風、道路の泥やチリが雨により更に滑りやすくなります。
◆自動車事故時の会社が負う責任
従業員が起こした自動車事故で、会社が責任を負う場合もあります。
社有車の事故では、企業や管理者が運行供用者となり、使用者責任も負うことは広く知られています。
また無断で社有車を私用に使っていた場合の事故でも、私用経緯や業務との関連、日常の使用状況などにより会社責任が判断されます。
マイカー事故も、業務でマイカー使用を認めていた場合、社有車使用と同様に会社の運行供用者責任・使用者責任が問われます。
マイカー通勤時の事故も、マイカー通勤を推奨している場合では、責任が発生する可能性が高くなります。
◆事故を防ぐ対策が必要
企業責任を免れることはとても難しいため、交通事故の危険性が高くなるシーズンを前に安全運転の徹底が求められます。また任意保険の補償内容の確認も重要にもなります。

職場でのストレスも......
「職場高血圧」に要注意!
◆「職場高血圧」をご存じですか?
病院受診時や健康診断時の血圧は正常でも、家庭やその他の場所で高い場合を「仮面高血圧」といいます。
何らかのストレスで、普段は正常でも、血圧が急激に上がる病態です。続くと本当の高血圧に移行する場合もあり注意が必要です。
「職場高血圧」はこの仮面高血圧の一種で仕事中のストレスにより上昇します。
◆本当に怖い「職場高血圧」
健康診断では正常値のため、職場高血圧に気がつかず、発見・対処が遅れてしまう点が「職場高血圧」の怖いところです。
職場高血圧が継続し、心臓・腎臓等の障害の進行や、脳卒中や心筋梗塞になる危険性が高くなるため注意が必要です。
◆職場で対応できること
職場での血圧測定で発見できます。職場での継続的な血圧測定は、詳細な血圧情報の把握や、治療等にも役立ちます。
最近では職場に血圧計を設置する会社も増えてきました。
特に職場で人事異動や業務の見直し等が行われたところでは、ストレスも高くなっていると考えられます。血圧計は比較的安価ですので、メンタルヘルス等の対策と合わせて、「血圧」にも注目して対応を検討してみてはいかがでしょうか。

ス ポ ッ ト 情 報●雇用する外国人の日本語学習支援が 
事業主の責務に(6月21日)
日本に住む外国人の日本語習得を後押しする「日本語教育推進法案」が6月20日参院文教科学委員会で全会一位により可決された。法案は国や自治体が外国人を雇用する事業主に対し、日本に住む外国人の希望や能力に応じて日本語教育を支援することを求めるもの。支援対象としているのは、就労者、外国人の子、留学生ら。
●厚労省「無期転換ルール」通知義務化等を検討(6月16日)
厚生労働省は、改正労働契約法で2013年4月から始まった「無期転換ルール」について、権利発生直前に企業が雇止めをする問題が起きていることを受け、対策に乗り出す。今秋までに雇止めの実態調査の結果をとりまとめ対応策を検討する。企業側に対して、無期転換の権利発生までに対象者に通知するよう都道府県の労働局に通達を出して義務付けることなどが軸となる。
●複数就労者の労災給付増額へ(6月13日)
厚生労働省は、副業・兼業をする就労者を念頭に、複数就労者が労災事故に遭った場合の給付額を増額する方針を示した。
労災保険法などの改正を検討する。
現在は労災に遭った事業場での賃金をもとに給付額を算定しているが、「けがをしていない」事業場での賃金も含めて計算することになる。「けがをした」事業場での給付の原資となる保険料については、メリット収支率算定の基礎とせず通勤災害と同様に取り扱う。
●継続雇用年齢70歳へ引き上げ(6月6日)
2019年の「成長戦略素案」が明らかになった。全世代型社会保障、人口減少下での地方対策、先端技術の活用、が柱となっている。社会保障改革では、継続雇用年齢の70歳への引き上げや再就職支援などが企業の「努力義務」となる。法整備を来年の通常国会で行うとしている。
●来年度から「中小企業 の 補助金申請」が簡単に(6月4日)
政府は、中小企業が補助金申請を簡単に行えるようにする共通システムを構築する。2020年度から導入する方針で、省庁や自治体によって異なる申請様式を統一し、公募から事後手続きまでを電子化する。
専用のIDとパスワードを設定し、経費のかかる電子証明書の取得も不要となる。
●外国人労働者の賃金実態把握に向け調査開始(5月28日)
国が毎年実施する「賃金構造基本統計」の調査対象に、「特定技能」の在留資格や技能実習生など、日本で働く外国人労働者を加えることがわかった。7月に実施する調査から開始する。改正入管法が施行され、外国人労働者の増加が見込まれるなかで、定期的に実態を把握することで、外国人労働者を不当に低い賃金で働かせていないか確認する。
●70歳以上の「厚生年金加入義務」検討(4月16日)
厚生労働省は、厚生年金の加入期間を延長し、一定以上の収入がある場合70歳以上も加入して保険料支払いを義務付ける検討に入る。6月をめどに加入期間を延長した場合の年金額の変化を試算した結果を公表し本格的な議論に入る。併せてパートタイム労働者等の適用拡大のさらなる拡大も検討を進めており、今秋結論をまとめる。

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