経営労務情報 令和1年(2019年) 12月号

お知らせ◆賞与の社会保険料率にご注意ください。
(以下は本人負担率です)
厚生年金 = 9.15 %
健康保険+介護保険 = 5.815%
(健康保険4.95%、介護保険0.865%)
◆労働基準監督署の臨検が増えています。
働き方改革に伴い労働基準監督官が急に会社に来る調査(臨検)が増えている感じがします。今までは数年に1件ほどでしたが、今年は5件も対応しました。
◆年末調整が始まります。
扶養家族の収入確認にご注意下さい。
配偶者は150万円から201万円の収入がある場合でも控除対象になります。
◆インフエンザワクチンを接種しましょう。
欠勤短縮、感染予防、早い回復にも効果的です。接種費用の会社負担も可能です。
◆本年も1年間、誠にありがとうございました。
年末年始の事故・ケガ等にお気をつけください。お正月休業をお知らせいたします。
「29日(日)より 新年5日(日)まで 」

年末の風物詩「職場の大掃除」実は義務でした!!◆大掃除は会社の義務とされている
「年末は忙しいのに、掃除の時間がもったいない」とか、「掃除は仕事じゃない......」という声もありますが、実は大掃除は、法律にも定められた義務で立派な仕事です。
これは労働安全衛生規則第619条第1項に「日常行う清掃のほか、大掃除を6月以内ごとに1回、定期に統一的に行うこと」と定められています。
◆職場の清潔は従業員にも義務
従業員には「作業場の清潔に注意し、廃棄物を定められた場所に捨てること」が義務づけられています。(同規則第620条)
◆義務を理解して積極的に大掃除を
これは事務所・工場内が整理・整頓されていないと事故も起こりやすく、不衛生な環境は病気の原因にもなるためです。
安心して働くことのできる職場環境を維持するためにも、定期的に大掃除を行って職場の清潔を保持することが大切です。
職場のみんなが積極的に大掃除をすることができる仕組みづくりが重要です。

若手のやりがいとパワハラ防止、コミュニケーションの重要性◆若手のやりがいとコミュニケーション
マンパワーグループが行った入社2年目
までの若手正社員(22~27歳)を対象とした調査では、仕事に「やりがいを感じている」割合は約70%でした。やりがいの中身(複数回答可)は、上位から順に
①「仕事の成果を認められる」37.6%、
②「仕事をやり遂げる」が34.7%、
③「自分の成長を感じる」が34.7%、
④ 「新しい仕事にチャレンジする」33.2%、
⑤「お礼や感謝の言葉をもらう」31.4%となっています。
また、若手正社員が取り入れてほしいと考える勤務制度への回答では、
①「フレックス制」36.8%、
②「在宅勤務」33.3%、
③「モバイルワーク」30.8%が目立つ一方「ない」との回答も37.5%ありました。
結果を「コミュニケーション」という視点から見ると、認められたい・コミュニケーションをとりたいという希望がある一方、勤務制度についてはコミュニケーションがとりづらい方法の希望がみられます。
◆コミュニケーションとパワハラ
パワハラ防止対策を企業に義務付けるパワハラ防止法が来年6月施行されます。(中小企業は2022年4月)
職場のリーダーは部下を指揮する一方、部下からの情報が届くようなコントロール(指揮・統制)が必要になります。一方的な指揮・統制ではなく部下とのコミュニケーションを増やす必要があります。
今回の調査でもコミュニケーションがとりやすい社内ツールとして、メール(55.3%)、電話(50.0%)に次いで「対面」(48.0%)も回答が多くなっています。
◆中小企業も準備が必要に
中小企業には多少猶予期間がありますが、今からでも考えておく必要がありそうです。

厚労省から公表された「労働時間の考え方労働基準法が改正され、中小企業は来年の4月から「時間外労働の上限規制」が適用されます。(大企業は今年の4月から施行)
◆時間外労働の上限規制
時間外労働の限度時間は原則として
①月45時間、年間360時間とし、
②臨時的な特別な事情がある場合でも、
年間720時間、
単月100時間未満(休日労働含む)、
複数月平均80時間以内(休日労働含む)とする規制です。会社はこれまで以上に労働時間の把握・管理が求められます。
今回、厚労省から「労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取り扱い」が公表されました(10月17日付)。
これは、① 研修・教育訓練、② 仮眠・待機時間、③ 労働時間の前後の時間、④ 直行直帰・出張に伴う移動時間 が労働時間に該当するか否かについて、実際の相談事例をもとに解説したものです。
◆そもそも「労働時間」とは?
労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことです。使用者の明示または黙示の指示により業務に従事する時間が労働時間に該当します。
①研修・教育訓練の取扱いは?
業務上義務付けられていない自由参加のものであれば、その研修・教育訓練の時間は、労働時間に該当しません。
例えば参加の強制はしていない。また参加しないことについて不利益な取扱いもしない勉強会などです。
②仮眠・待機時間の取扱いは?
仮眠室などにおける仮眠時間について、電話等に対応する必要はなく、実際に業務を行うこともないような場合は、労働時間に該当しません。
待機時間では、週1回交代で、夜間の緊急対応当番を決めているが、当番の労働者は社用の携帯電話を持って帰宅した後は自由に過ごすことが認められている場合の当番日の自宅待機時間なども該当しません。
③更衣時間の取扱いは?
制服や作業着の着用が任意の場合や、自宅からの着用を認めているような場合には、労働時間に該当しません。
④早出時間の取扱いは?
交通混雑の回避や会社駐車場の確保等で自発的に始業時刻より前に会社に到着し、始業時刻までの間、業務に従事しておらず、業務の指示も受けていないような場合には、労働時間に該当しません。
⑤直行直帰・出張に伴う移動時間は?
移動中の業務指示がなく、業務をせず、移動手段の指示もなく、移動時間を自由に利用できる場合は労働時間に該当しません。

平成30年度「長時間労働の実態」~厚生労働省~◆平成30年度の監督署指導結果が公表
長時間労働が疑われる事業場の平成30年4月から平成31年3月までの結果が公表されました。これは時間外・休日労働が、月80時間を超えていると考えられる事業場や、過労死等の労災請求が行われた事業場を対象としたものです。
◆40.4%の事業場で過大な時間外労働
実施事業場29,097のうち、11,766(40.4%)で過大な時間外労働が確認され指導されました。結果は、
①月80時間を超えるものが66.8%、
②月100時間を超えるものが44.3%、
③月150時間を超えるものが9.8%
◆労働時間の把握に関する指導状況
実施事業場のうち、4,752事業場について、労働時間の把握が不適正となり、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」違反の指導がされまた。指導としては、①「始業・終業時刻の確認・記録なし」が2,688事業場、②自己申告制の場合「内容確認せず」が2,154事業場、③「自己申告制度の説明なし」が296事業場、④「正確な申告ができない原因の対応なし」が244事業場でした。(指導事項が複数の場合あり)。
◆長時間労働是正に向けた取組み
11月は「過重労働解消キャンペーン」が実施され重点的な監督指導が行われました。
今後も長時間労働是正に向けた取組みはますます強化されることと思います。
労働時間の実態、管理方法等を今一度見直す必要がありそうです。

来年1月から変わります!
「ハローワーク求人票」
◆ハローワークの求人企業が増加中
ハローワークの求人票は、5年前から職業紹介事業を行う地方自治体や民間事業者にオンラインで提供されています。
今では多くの求職者が検索サイトIndeedなどを利用して企業を選んでいますが、ハローワークの求人票もこうしたサイトで見られることから、ハローワークの求人票が見直されています。
◆「人材確保対策コーナー」も人気
昨年4月からは全国84のハローワークに「人材確保対策コーナー」が設置され、介護・医療・保育の福祉人材分野と警備業、運輸業、建設業などの業種のマッチング支援強化のため専門相談員が配置されました。
求職者にも担当者がついて企業見学会や就職面接会などを実施しているため、求職者と密に接点を持つことができ、利用が増えているようです。
◆新求人票はより多くの情報掲載か可能
来年から求人票の様式が新しくなり、「A4判片面」から「A4判両面」となります。
みなし残業代制度、職務給制度や復職制度の有無の他、残業協定で繁忙期等に時間外労働が増える特別条項を定めているかなど、登録する項目が追加されます。
また会社や職場の写真、面接会場の地図や取扱商品の写真など、画像情報も登録でき工夫できる内容が増えます。
◆求職者とも直接やり取りが可能に
新ハローワーク インターネットサービスでは、会社が「マイページ」を設けて、会社からも求人内容を変更したり募集停止をしたりすることができるようになります。
また求職者からは、会社の「マイページ」のメッセージ機能を使い直接のやり取りか可能となり、会社もよりきめ細かい対応ができようになります。
既に求人票を登録している会社も、情報を追加登録することができますので検討してみてはいかがでしょうか。

スポット情 報●未払い賃金の請求期間2年が3年へ----重要情報!----(10月21日)
厚労省は従業員が企業に未払い賃金を請求できる期間について、現行の2年を3年に延長する検討に入った。2020年4月の改正民法施行で賃金に関する債権の消滅時効が原則5年となるのに対応する。将来は5年への延長を視野に入れつつ、企業経営の負担が過大にならないよう、まずは3年への延長で制度改正の実現をめざす。
●在職老齢年金の減額基準
「51万円」へ引上げ方針(11月14日)
厚労省は、在職老齢年金の制度見直し(減額基準の引上げ)案を社会保障審議会の年金部会に提示した。現行では、65歳以上の場合、給与月額と年金月額が合計で「月額47万円」を超えると減額となるが、見直し案では「月額51万円」(毎月の給与と厚生年金の報酬比例部分の平均額)へと引き上げる。関連法案を来年の通常国会に提出する。
●パートの厚生年金適用が拡大
「従業員51以上」方針(11月12日)
厚労省は、短時間労働者(パートタイマー)
への厚生年金の適用範囲を拡大するため、企業規模要件を下げる方針。
現行制度の「従業員501人以上」を、「51人以上」へと段階的に引き下げる案を軸に検討されている。個人の法律事務所や会計士事務所も適用対象とする方針。
関連法案を来年の通常国会に提出することを目指す。
●実習生の失踪への対策強化(11月12日)
出入国在留管理庁は、外国人技能実習生の失踪防止策を発表した。
日本の監理団体、受入れ企業、母国の送出し機関が大量の失踪者を出した場合、その受入れ・送出しを一時停止する。
また、失踪した実習生を違法に雇用した企業名を公表する。
本年の失踪者は6月末時点で約4,500人となるなど過去最多を更新する見込み。
●9月の実質賃金、9か月ぶりに増加(11月8日)
厚労省は、2019年9月の毎月勤労統計(速報値)を公表した。実質賃金は前年同月比0.6%増と、9か月ぶりに増加した。
労働者1人あたりの現金給与総額は平均27万2,937円(同0.8%増)だった。
夏季賞与は平均38万1,520円(同1.4%減)と4年ぶりに前年より減少した。
●国税庁調査「民間給与6年連続増加に」(9月28日)
国税庁の調査によると、民間企業の会社員やパート従業員らの2018年の1年間に得た平均給与は440万7,000円で、前年比85,000円増(2.0%増)と6年連続の増加となった。
ただし正規従業員(前年比9万8,000円増の503万5,000円)と非正規従業員(同3万9,000円増の179万円)では、分析を始めた2012年以降、格差が6年連続で広がった。

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